8月, 2022 - 原水禁

「核なき世界」へ、真摯な対話を NPT再検討会議閉会にあたっての原水禁声明

2022年08月29日

原水禁はNPT(核拡散防止条約)再検討会議が8月26日、閉会したことをうけ下記の声明を発表しました。

「核なき世界」へ、真摯な対話を
NPT再検討会議閉会にあたっての原水禁声明

8月1日から行われてきた核拡散防止条約(NPT)再検討会議が、26日閉会した。コロナ禍で何度も先延ばしされてきた再検討会議は、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が続く中で行われた。核兵器使用をほのめかし他国を威嚇するロシア・プーチン大統領の発言やロシア軍によるウクライナのザポリージャ原発占拠といった核をめぐるきびしい現実の中での再検討会議は、ロシア一国が反対して最終文書が採択されない残念な結果に終わった。ロシア政府には猛省を促したい。ロシアのザポリージャ原発占拠への懸念やウクライナの核放棄と引き換えに安全を保障した「ブダペスト覚書」の遵守などの表明に対するロシア政府の反発が原因とされるが、最終文書には核保有国に配慮する形で「核の先制不使用」が書き込まれず、「消極的安全保証」の記述も不十分なままになっていた。核保有を五カ国に限定して認めているNPTの限界を見る思いだ。核保有国に課された核軍縮の責任を再度確認すべきではないか。

日本の岸田文雄首相は、歴代首相の中で初めて再検討会議に参加し発言した。核保有国が参加しない核兵器禁止条約(TPNW)の署名批准を拒んでいる日本政府は、「NPTこそが『核なき世界』への現実的アプローチ」と主張し、核保有国と非保有国の橋渡し役を自任するが、その役割を果たしているとは到底言えない。TPNW批准国を代表して最後に演説したメキシコ代表は、核抑止論や核軍縮の停滞を批判しつつ、「『核なき世界』をめざす全ての国に、TPNWへの参加を求める」と結んだ。唯一の戦争被爆国である日本が、核の非人道性を基本にして、その生産から使用までを禁じるTPNWに批准し、被爆の実相を粘り強く訴えていくことがどれほど大きな意味があるかを考えるべきだ。被爆の実相の中にしか「核なき世界」を実現する可能性はない。

TPNWを批准しその推進に努める国々は、進まない核軍縮への強い不満を表明している。そのことこそが、TPNWの発効につながった原動力だ。NPTとTPNWが対立を生むものではないことは、それぞれの目的が「核なき世界」へ向けたものであることで明らかだ。唯一核保有国も参加するNPT再検討会議の重要性は言うまでもない。がしかし、核保有国の態度如何ではその意義の低下は免れまい。

核の脅威がかつてないほど高まっている現在、しかし、核廃絶への声もかつてないほど高まっている。非核保有国を中心に、核保有国間の真摯な対話を促していくこと、再検討会議の議論を無駄にすることなく、あらゆる機会を通じて対話の環境を作りあげて行くことが重要だ。原水禁は、日本政府にその役割を果たすことを強く求める。

2022年8月29日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野浩一
金子哲夫
藤本泰成

核廃絶への道を、ともに歩もう 「被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」が閉会

2022年08月10日

8月9日、「被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」閉会総会を長崎県立総合体育館アリーナで開催し、約850人が参加しました。

山下和英・現地実行委員長から主催者あいさつ。続いて谷雅志・事務局長が3日間にわたる長崎大会全体について、総括的に報告しました。

TPNW第1回締約国会議が開催されるにあたり6月、開催地・ウィーンに派遣された第24代平和大使の大内由紀子さん(広島)と神浦はるさん(長崎)が、日本語と英語で世界の人々に向けてのスピーチを披露しました。

「特別報告」として、馬毛島への米軍基地建設問題について鹿児島県護憲平和フォーラムの磨島昭広・事務局長より現状について報告がありました。

最後に「ナガサキ・アピール」を全体で確認し、集会を終了しました。

その後、会場から爆心地公園に向けて「非核・平和行進」に出発。11時前に爆心地公園に到着し、原爆投下の時刻11時2分には参加者がいっしょに黙とうを捧げました。

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」閉会総会アーカイブ動画

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」谷事務局長まとめ報告

原水禁世界大会長崎大会にお集まりいただいたみなさん、ご参加ありがとうございました。本大会のまとめを、この3日間を振り返る形で行います。

1日目の開会総会では、「被爆体験者」とされているおもいを山内さんに語っていただきました。被爆体験者は被爆者である、という当然の話が認められない理不尽さを感じ、長崎市議会議員の池田さんのお話によって、これまでの経緯についても学ぶことができました。 私たちが原点にしている被爆の実相は、決して行政的線引きで、分けられるものではありません。一刻も早い被爆者援護の実現をはかる必要があります。

2日目は午前午後に分かれて6分科会を開催しました。

第1分科会は「改憲と敵基地攻撃」をテーマに、名古屋学院大学の飯島さんにお話しいただきました。万が一、アメリカと中国が戦争や武力衝突するようなことがあれば、日本には80発もの核兵器が落とされると推計しているデータがあることを紹介されました。
改憲については、子や孫の代にまで責任の持てる内容の改正ができうるのかと指摘されました。憲法改正には850億円もの費用が掛かると試算されています。日々の生活に苦しむ方々を救う方策に、そういった費用を使うべきなのではないかと語られました。現地報告として沖縄、鹿児島からも基地機能強化の現状について、話がありました。戦争に備えることが必要だ、他国から攻められたら大変だから軍備の増強だといった、軍事大国化に向けた議論を進めさせるわけにはいきません。

第2分科会はピースデポの梅林さん、ピースボートの松村さんを講師に、「核兵器廃絶と東北アジア情勢」をテーマにお話いただきました。TPNWの前段開かれたICAN主催の市民社会フォーラムや、オーストリア政府主催の核兵器の非人道性に関する国際会議の様子もお話しいただきました。締約国会議の中では、カザフスタンでロシアの核実験により、生まれた時から両腕がない方が、自分は生まれてくる時から両親は両腕がない状態で生まれてくることは分かっていたが、きっと生まれてくる子は核廃絶に向け、声を挙げ、活躍するだろうと期待して生んだ、というエピソードが語られたと伺いました。1年4か月後に開かれる第2回締約国会議までにどれだけこの条約の内容を進められるか、今後の各国の動きを促していくうえで、NGOなど市民の声が重要であることなどが語られました。

第3分科会は「フクシマの現状と課題」をテーマに、現地フクシマのALPS処理水、海洋放出の現状についての報告から始まりました。福島の高校生からの発言の後、弁護士の古川さんから、3・11子ども甲状腺がん裁判の解説を受けました。OurPlanetTVの白石さんからは、この裁判の第1回公判での、原告意見陳述の音声を紹介していただきました。その後、白石さんとやりとりをする形で、この裁判の原告の方からも、裁判をすることになったきっかけや、そのおもいなどについて語っていただきました。印象的だったのは、なぜこの時期になったかという話で、10年時効という時間的問題と、原発事故後すぐは、復興のマイナスになるのではないかという思い、周りから被爆したことへの差別を受けるという恐怖から言い出せなかったという話です。原爆が落とされた後と同じ状況が70年以上たった今でも変わっていないことを痛感しました。白石さんからは、この裁判を通して、ずっと言えないつらさを抱えてきた人たちが、裁判をきっかけに自分の言葉で語ることができる開かれた気持ちを感じることにも意味があるとまとめられました。

第4分科会は被爆の実相を次の世代へ継承していくことを大きなテーマとしてかかげ、被爆の実相について、会場からの高校生の発言も交えながら考えました。講師は高校生平和大使派遣委員会の平野さん、被爆者の川副さん、原水禁共同議長の川野さんにお願いしました。中国をはじめとしたアジア諸国に対する日本の加害の事実とその謝罪、そしてともに東アジアの平和を作ろうという働きかけに対する中国での反応の話などを聞き、高校生からも、政治と被爆者の思いが交わらない難しさについての発言がありました。

第5分科会は「見て聞いて学ぼうナガサキ」として、長崎県原爆被爆教職員の会の山川さんと、漫画家の西岡さんに講師をお願いしました。お二人から二度と被爆者を作らないために、まずは「知る」ことの重要性についてお話しいただきました。西岡さんは被爆の体験がない自分が、その話をしていくことが良いのかと悩んだときに、被爆者の方から「何もしなければゼロになる。私たちの一万分の一でいいから取り組んでほしい」と語られたことが原動力になっているというお話も伺いました。

第6分科会では「被爆二世三世問題の解決に向けた運動の意義と展望ということで、二世協の平野さんを中心に、弁護士の中鋪さん、医師の振津さんに講師をお願いしました。被爆一世は被爆者援護法によって一定の補償を受けられますが、被爆二世についてはないことが憲法上の違反ではないかと裁判で争っている現状や、医学的にいつ起こるかわからない遺伝的影響について、話を伺いました。
他にも、広場として「はだしのゲン」の上映、「私の戦争を語り継ぐ(女性交流の広場)」、被爆者と語ろうという、それぞれ工夫を凝らした企画を実施しました。

そして、今日、大会3日目、8月9日になりました。この後、平和行進を行い、爆心地公園で原爆投下時刻の11時2分を迎えます。参加されるみなさんの心の中に、現地長崎で迎えるこの瞬間が意味のあるものとして位置づけられることを願います。

ロシアによる核兵器威嚇によって、世界的に核兵器使用の可能性が、これまでにない緊張状態にまで高まっています。決して核兵器使用を許してはなりません。

福島、広島、そしてここ長崎までつながってきた本原水禁世界大会が、これまでの原水禁運動の熱を、再び確かめ合う大会であったと感じていただければ幸いです。ここ長崎では特に、高校生のみなさんを中心に、若い世代の方々の平和に向けた熱意を感じる場面が多くありました。

原水禁大会はこれまでも、みなさんのご意見を伺いながら、ともに作り上げる実行委員会形式で開催してきました。今後の大会の持ち方についても、反核・非核で一致するすべての人に開かれたものであり、様々な立場の人たちが共同できる大会であるために、開かれた議論を進めてまいります。

受け入れ準備を丁寧に進めてくださった、現地実行委員会をはじめとした地元長崎のみなさん、分科会・広場の運営を一手に担っていただいた運営委員のみなさん、ご協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。

本大会で感じたこと、学んだことを、これからどのように私たちが生かしていくのか、それぞれがこれからも元気で、前向きに運動を展開していきましょう。

分科会の中で、緊張のあまり小刻みにマイクを持つ手を震わせながら発言してくださった方。あなたのその勇気ある一歩は、原水禁運動の確かな一歩として積み重なっていきます。

「心の中に平和のとりでを築くことが重要な意味を持つ」ユネスコの言葉を引用しながら第1分科会で飯島さんが語られました。一人一人が心の中に築いたその平和のとりでを、少しずつ人のつながりを広めていくことで実現させていきましょう。

「核なき世界」は、具体的な未来です。その世界で私たちはどのような生活をしているのか、豊かな想像力をもって、具体的な言葉で語っていきましょう。

そのおもいをみなさんと共有し、本長崎大会のまとめとします。ありがとうございました。

被爆77周年原水爆禁止世界大会・ナガサキアピール

1945年8月9日。ここ長崎の上空約500メートルで炸裂した原子爆弾による火球は数百万度に達し、一瞬にして長崎の街を焦熱地獄とし、罪もない15万もの人々を殺傷し、そこで営む人々の社会をまるごと破壊した。かろうじて生き延びた被爆者は、戦後の苦難に満ちた生活の中で、差別と偏見に苦しみながら、77年もの歳月を生き抜き、平均年齢はすでに84歳を超えている。また被爆者は、原爆後障害と闘いながら、被爆の実相を伝え、平和の尊さを訴え、そして原水禁運動を今日までけん引してきた。その声は、核保有国に核の使用を抑制させ、ついに「核兵器禁止条約(TPNW)」(2021年1月22日)を発効させる大きな原動力となってきた。

ところが、今年2月24日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻を強行し、核兵器の使用も辞さないという発言で世界中を震撼させた。これは「核抑止力」という概念が幻想にすぎなかったことを示すものである。またロシア軍は原子力発電所を占拠し、いつでも原子炉を破壊できる体制にある。これは核兵器での威嚇と同様の意味を持つ。

今年6月、オーストリアのウィーンで「TPNW第1回締約国会議」が開かれた。核兵器廃絶を目指す多くの国や地域の代表が一堂に会し、様々な論点から議論されたことは、人類にとって大きな一歩である。また5年に一度行われる「核拡散防止条約(NPT)再検討会議」が、8月1日から26日までニューヨークで開かれている。核保有国、「核の傘国」、核に反対する国など、さまざまな国が参加し、核兵器の今後について議論しているが、世界情勢が目まぐるしく変化しているときだけに、最終合意文書の採択ができるかどうか危ぶまれている。

被爆地広島県選出の岸田首相は、核兵器廃絶をあきらめないと言いながら、6月のTPNW締約国会議にはオブザーバー参加すら行わず、NPT再検討会議でもTPNWに関し一言も言及していない。今やるべきことは、核の傘から脱却し、核の先制不使用に賛同し、そしてTPNWに署名・批准し、その立場で「橋渡し」を論じるべきだ。また、故安倍元首相が進めてきた「核共有」や「敵基地攻撃能力」、「憲法改正」などについては言語同断であり、緊迫した国際情勢を口実に、国民を煽ること自体が極めて危険な行為である。

2011年、3.11福島第一原発事故では、新たな核被害や被曝者を生み出し、今なお4万人近い人々が避難生活を強いられている。その上2023年には、福島第一原発の汚染処理水の海洋放出が予定されているが断じて許してはならない。核は放射能という目に見えない形で人間を脅かす。ウラン採掘現場や原発労働者の命を蝕んでいる。これらを一人ひとりの命の問題としてとらえ、核問題を解決していかなければならない。

広島では「黒い雨」訴訟に勝利し、すでに被爆者健康手帳の交付が始まっている。長崎でも同趣旨で「被爆体験者訴訟」が続いているが、国は内部被曝との関連を避けるため、「黒い雨」地域に限定し、被爆地域の拡大に否定的である。そのため原水禁運動として、一刻も早いヒバクシャの救済を政府に対し求めていく必要がある。

ここ長崎では、高校生や多くの若い世代が、核廃絶を願い立ち上がっている。
核のない世界は、被爆地ナガサキ・ヒロシマをはじめ人類の悲願である。
これからも核廃絶への道は続く。共に歩き、共に闘おう。

「核はいらない!」「核と人類は共存できない!」「核も戦争もない平和な21世紀をつくろう!」
ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・フクシマ、ノーモア・ヒバクシャ、ノーモア・ウォー

2022年8月9日
被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」2日目 分科会・ひろばを開催しました

2022年08月09日

8月8日、「被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」2日目は長崎市内の各会場に分散し、「分科会」や「ひろば」の企画が行われ、それぞれ学習を深め、またさまざま議論を交わしました。ここでは分科会のアーカイブ動画をご紹介します。

第1分科会「平和と核廃絶Ⅰ-改憲と敵基地攻撃能力」

講師:飯島滋明(名古屋学院大学教授)
報告:鹿児島、沖縄

第2分科会「平和と核廃絶Ⅱ-核兵器廃絶と東北アジア情勢」

講師:梅林宏道(ピースデポ特別顧問)
/松村真澄(ピースボート)
発言:カロ・アクニャ・オルベラ(アメリカ・ピースアクション共同議長)
報告:神浦はる(ウィーン派遣高校生平和大使、長崎)

第3分科会「脱原発-フクシマの現状と課題」

講師:古川健三(弁護士)
/3.11子ども甲状腺がん裁判原告
/白石草(OurPlanet-TV代表理事)
報告:角田政志(福島県平和フォーラム共同代表)
/福島県選出高校生平和大使

第4分科会「ヒバクシャ―ヒバクシャから若い世代へ」

講師:平野伸人(高校生平和大使派遣委員会)
/川副忠子(被爆者)
/川野浩一(原水禁共同議長)

第5分科会「見て・聞いて・学ぼう“ナガサキ”」

講師:山川剛(長崎県原爆被爆教職員の会副会長)
/西岡由香(漫画家)

第6分科会「被爆二世・三世問題の解決に向けた運動の意義と展望」

講師:振津かつみ(医師)
/中鋪美香(弁護士)
/平野克博(全国被爆二世協議会)

被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」始まる

2022年08月08日

8月7日、長崎市・ブリックホールで被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」の開会行事が行われ、約800人が参加しました。今後、8月8日は分科会・ひろば、9日には閉会総会と非核平和行進が予定されています。

開会行事では実行委員会を代表して川野浩一・共同実行委員長があいさつしました。また、広島から継続し参加のアメリカ・ピースアクション共同議長のカロ・アクニャ・オルベラさんがスピーチしたほか、マーシャル諸島・REACH-MEの調査研究担当ディレクターのデズモン・ナライン・ドラチョムさんからのメッセージビデオが上映されました。

被爆体験者で被爆体験訴訟第二次原告団団長の山内武さんが被爆者認定をかちとるためがんばる決意を述べるとともに、引き続きの支援・協力を呼びかけました。また、支援活動にとりくんできた長崎市議会議員の池田章子さんが訴訟をめぐる状況を説明しました。

高校生平和大使・高校生1万人署名活動実行委員会が登壇、活動報告と核廃絶に向けての決意を表明。谷雅志・事務局長からの大会基調提起ののち、閉会あいさつを現地実行委員会の内野昌幸さんが行い、集会を終了しました。

アーカイブの動画を「原水禁チャンネル」で配信していますので、ご覧ください。

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」開会行事アーカイブ動画

被爆の実相を原点に、次代へとつなげよう 「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」まとめ集会

2022年08月06日

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」3日目・最終日となる8月6日、まとめ集会を行い、3日間にわたる広島大会での成果や課題を参加者のみなさんとともに確認することができました。

まとめ集会では「ヒロシマ・アピール」を採択し、広島大会を閉じました。7日からの長崎大会に全力でとりくみんでいきますので、引き続きのご支援・ご協力をお願いします。

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」まとめ集会アーカイブ動画

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」谷事務局長まとめ報告

原水禁世界大会広島大会にお集まりいただいたみなさん、ご参加ありがとうございました。本大会のまとめを、この3日間を振り返る形で行います。

今年の原水禁世界大会はTPNW第一回締約国会議の開催と、現在進行形のNPT再検討会議の開催という、国際的に核廃絶に向けた大きな動きがみられる中での大会となりました。

1日目の開会総会では、被爆者の切明さんに被爆の実相を語っていただきました。私たちはいつも被爆の実相を原点に運動を展開してきました。「時には原爆で亡くなった方々のことを思い出してくださいね」という言葉にこめられたおもいを受け止め、意味を理解する上で、今日8月6日をここ広島で迎えることは大きな意味があると感じます。

福島報告では、原発事故後の現状とALPS処理水の海洋放出について、県民をはじめ多くの国民の理解が得られない中での強行を決して許さないという決意を、福島県平和運動センターの角田さんが述べ、全体でそのおもいは共通であることを確認しました。

2日目は午前中に6分科会を開催しました。

第1分科会は「改憲と敵基地攻撃」をテーマに、名古屋学院大学の飯島さんにお話しいただきました。米国ペロシ下院議長の台湾訪問について、反発する中国という構図が、ロシアによるウクライナ侵攻へとつながった黒海付近での挑発行為と重なるという指摘から話が始まりました。その後、鹿児島と沖縄から現地報告を受け、「沖縄戦の教訓は、運隊は住民を守らないということだ」としたうえで、その支配的構造は原発政策にも共通するものがあるという話がありました。

第2分科会はピースデポの湯浅さん、ピースボートの松村さんを講師に、「核兵器廃絶と東北アジア情勢」をテーマに動き出したTPNWとNPTを柱に、東北アジア非核兵器地帯構想について学習を深めました。日本は核兵器保有国と非核兵器保有国の橋渡し役を担うとしながらも歴史的なTPNW第一回締約国会議には参加しませんでした。地方議会等の意見書提出といった取り組みによって、政府に署名・批准を求めていこうという話もありました。実際にウィーンに行って積極的に活動した高校生平和大使の大内さんからも自身の体験を交えた話をいただきました。

第3分科会は「気候危機とエネルギー問題」をテーマに、東北大学の長谷川さん、市民エネルギーとっとりの手塚さんに講師をお願いしました。2030年以降のエネルギーシナリオについて考え、持続可能な地域づくりとエネルギーシステムについて、原水禁が2021年に出したエネルギーシナリオにも触れながら学習を深めました。原発事故の教訓は「公論形成」でもあるとし、自由で開かれた議論ができないと、原発事故と同じようなことが起こり得る可能性が高いことを指摘されました。

第4分科会は原子力資料情報室の西尾さんと伴さんを講師として、「核燃料サイクルと高レベル放射性廃棄物」をテーマに、核燃料サイクルがいかに無謀な政策であるかについて学びました。六ケ所再処理工場立地の青森、核のゴミ最終処分場誘致問題に揺れる北海道からも現地報告をいただきました。

第5分科会は被爆の実相を次の世代へ継承していくことを大きなテーマとして掲げ、在外被爆者問題、被爆二世問題を含めたヒバクシャの残された問題を、高校生からの発言も交えながら考えました。講師は平和活動支援センターの平野さん、弁護士の在間さんにお願いしました。平野さんから、韓国の被爆者に「植民地支配により被爆した我々が、なぜ日本と一緒に声を挙げなければいけないのか」と言われた話を紹介していただきました。開会総会で切明さんも話されていたように、私たちは日本が加害者である面にも正しく向き合う必要があります。この分科会に参加されていた若い方々の真剣なまなざしは、次の世代への希望だと心強く感じました。

第6分科会では原水禁運動の入門編として、原水禁共同議長の金子さんから原水禁運動の歴史とTPNWについてのお話を、「ヒロシマを語り継ぐ」活動に取り組まれている高校生平和大使OPの井上さんのお話を、それぞれ伺いました。会場からは「若い世代の関心を高めることが難しい」と感じているという発言がありました。講師の返答にもあったように、私たちの運動の情報発信方法について、SNSの活用を検討し工夫していくことが有効だと考えられます。

分科会に加え、大久野島と安野発電所へのフィールドワークや、各種工夫を凝らした企画のひろばを実施し、参加者のみなさんとそれぞれのテーマについて理解を深めることができました。

国際シンポジウムでは、アメリカ・ピースアクションのカロさん、イギリス・CNDのデイブさん、原水禁顧問の秋葉さんをパネリストとして、「否定される『核抑止』への道程は」というテーマで、ロシアによるウクライナ侵攻で高まる核兵器使用の危険性について考えました。今後、核戦争にエスカレーションさせないよう止める手立てについては、まずは交渉のテーブルに着かせること、威嚇や武器提供から対話は生まれないこと、それらの実現に向けてアメリカのバイデン政権をテーブルにつける努力をしていることなどの話が、カロさんからありました。秋葉さんからは、TPNWへのハードルが高すぎるのであれば、核兵器保有国が、まずは「核の先制不使用」を宣言するということを実現させていく可能性について話があり、そのためには岸田首相が各国リーダーに対して、被爆の実相を語る必要があること、それを突き動かしていく市民の声が重要で大きな意味を持つことが語られました。

そして、大会3日目、8月6日を迎えました。
みなさんはどのような気持ちで今日を迎えられたでしょうか。

ロシアによる核兵器の威嚇によって、使用される危険性に対する世界の緊張状態が高まっています。決して、核兵器使用を許してはなりません。

原水禁大会は3年ぶりに新型コロナ感染症以前の大会規模をめざすとして本大会を開催しました。本大会の開会総会参加者が1,200人であったことを、みなさんと共有したいと思います。各会場にたくさん詰めかけていただいた分科会・ひろばを含め原水禁運動の熱を、再び高め合う大会であったと感じていただければ幸いです。

原水禁大会はこれまでも、みなさんのご意見を伺いながら、ともに作り上げる実行委員会形式で開催してきました。今後の大会の持ち方についても、反核・非核で一致するすべての人に開かれたものであり、さまざまな立場の人たちが共同できる大会であるために、開かれた議論を進めてまいります。

本大会で感じたこと・学んだことを、これからどのように私たちが生かしていくのか、日常の運動をこれからも確かに積み重ねていきましょう。

「核なき世界」は決して夢ではありません。具体的イメージを描くことができる、実現可能な未来です。核のない世界が実現したときに、私たちはどういう生活をしているのか、豊かな想像力をもって語っていきましょう。

そのおもいをみなさんと共有し、本広島大会のまとめとします。ありがとうございました。

被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会「ヒロシマ・アピール」

1945年8月6日午前8時15分、広島に投下された原子爆弾は、強烈な「熱線」、「爆風」、「放射線」のもと、その年の内に14万人もの生命を奪い去りました。あの日から77年、被爆者の高齢化は進み、限られた時間の中で、援護対策の充実と国家の責任を求めることが急務となっています。また、米国とロシア・中国の大国同士の対立などで混迷する世界情勢を受けて、核兵器をめぐる状況は危機感を深めています。改めて核兵器廃絶への歩みを確実なものにしていかなくてはなりません。

ロシアのプーチン大統領は、2022年2月24日、ウクライナへの軍事侵攻に踏み切りました。度重なる警告を無視する形での侵攻により、多くの尊い命を犠牲にする状況が続いています。また、公然と核兵器使用をほのめかす発言をし、侵攻前には核兵器搭載可能な大陸間弾道ミサイルを使った軍事演習を実施するなど、核による威嚇を繰り返してきました。国家主権と領土を武力で侵すことは、国連憲章に反し国際秩序を揺るがす蛮行であり断じて許されません。これ以上の犠牲者を出さないため、即時停戦の実現と今後の国際社会の安定を求めていきます。

核兵器禁止条約が2021年2月22日に発効、2022年6月21日から第1回締約国会議が開催され、核兵器廃絶の実現へと世界は動き出しました。日本政府は「核なき世界への出口とも言える重要な条約」と評価する一方、オブザーバー参加すら行わず、「条約に賛成することは、米国による核抑止の正当性を損なう」という主張を崩していません。8月1日からニューヨークで核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開催され、岸田首相が参加していますが、核兵器の非人道性を訴え、国際人道法に従う重要性を語ることが、唯一の戦争被爆国としての日本の責任と考えます。

一方で国内では、ウクライナ情勢を利用して、「核シェアリングの導入の検討」「防衛費GDP比2%以上を目標とする増額」「敵基地攻撃能力」など、これまでの「専守防衛」のあり方を転換する危険な流れが生まれています。また、非核三原則を「国是」としながら、実質的にこれを破壊する動きを制御できない政府は、戦争被爆国として果たすべき役割と努力を放棄していると言わざるを得ません。被爆者の思いを踏みにじり、NPTにも反する議論は、 国際的信頼を裏切るものとして決して許すことはできません。私たちはこの間、日本政府に対し核兵器禁止条約の批准、NPT再検討会議の成功を求める「核兵器廃絶1000万署名」を取り組んできました。これからも、「核と人類は共存できない」ことを基本に、日本政府への「核兵器禁止条約署名・批准」を求める運動に総力をあげ、核兵器廃絶への動きを前進させましょう。

東日本大震災・福島第一原発事故から11年が経過しましたが、事故の収束は未だに見通せないなかで、原発事故の「風化」が懸念されます。日本政府が福島第一原子力発電所から排出されている放射性物質を含む汚染水を、福島県沖の太平洋に放出する計画を閣議決定し、原子力規制委員会は2022年7月22日、東京電力が海洋放出に向けて申請した設備計画を認可しました。地元の漁業団体に加え、近隣諸国からも計画に反対の声が上がっています。今行おうとしている処理水の海洋放出は、事故で被害を強いた人々の犠牲の上に廃炉を進めることに他なりません。私たちは、海洋放出の強行を決して許しません。
また、運転開始から40年を超え老朽化した美浜原発3号機の再開が、原発事故後全国で初めて行われましたが、政府はさらに「原発60年超の運転」の検討にも着手しています。運転開始から40年を超えた危険性の高い老朽原発の運転は、決して許されません。
私たちは、原発事故により、放射能汚染を強いられた人々の健康不安、とくに子どもの健康にしっかり向き合い、「被爆者援護法」に準じた法整備を国に求めるとともに、原発再稼働や新・増設を許さず、全ての原発の廃炉、再生可能エネルギーへの転換を求めます。

原水禁運動の原点は被爆の実相です。しかし、被爆77年が経過し原爆被害の実相が風化しつつあることも事実です。限られた時間の中で、核兵器廃絶とヒバクシャ課題の解決とともに、被爆の実相をどの様に語り伝えていくか、次世代につなげて行く取り組みを進めていきましょう。
一人ひとりの命をないがしろにする全ての政策に反対して、個人の尊厳を守り、未来ある子どもたちに「核も戦争もない平和な社会」を届ける取り組みを全力で進めましょう。

ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・フクシマ、ノーモア・ウオー、 ノーモア ヒバクシャ

2022年8月6日
被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会

分科会・ひろば・フィールドワークを開催 「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」2日目

2022年08月06日

8月5日、「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」2日目は広島市内・各会場に分散し、6つの「分科会」のほか「ひろば」や「フィールドワーク」などの企画が行われました。ここでは分科会のアーカイブ動画をご紹介します。

第1分科会「平和と核廃絶Ⅰ-改憲と敵基地攻撃能力 」

講師:飯島滋明(名古屋学院大学教授)
報告:鹿児島、沖縄

第2分科会「平和と核廃絶Ⅱ-核兵器廃絶と東北アジア情勢」

講師:湯浅一郎(ピースデポ代表)
/松村真澄(ピースボート)
報告:大内由紀子(ウィーン派遣高校生平和大使)

第3分科会「気候危機とエネルギー問題」

講師:長谷川公一(東北大学名誉教授)
/手塚智子(市民エネルギーとっとり)

第4分科会「核燃料サイクルと高レベル放射性廃棄物」

講師:伴英幸(原子力資料情報室共同代表)
/西尾漠(原子力資料情報室共同代表)
報告:北海道、青森

第5分科会「ヒバクシャから若い世代へ」

講師:在間秀和(弁護士)
/平野伸人(平和活動支援センター所長)
報告:高校生平和大使

第6分科会「見て・聞いて・学ぼうヒロシマ」

講師:金子哲夫(原水禁共同議長)
/井上つぐみ(高校生平和大使OP)

否定される「核抑止」廃絶への道程は? 「被爆77周年原水爆禁止世界大会・国際シンポジウム」を開催

2022年08月05日

8月5日、「被爆77周年原水爆禁止世界大会・国際シンポジウム」を開催しました。約50人の参加があったほか、youtubeでライブ配信を行いました。アーカイブ動画を公開していますので、ぜひご覧ください。

否定される「核抑止」  廃絶への道程は?
“Nuclear Deterrence”  Declined How to Get to Nuclear Abolish?

パネリスト:秋葉忠利(原水爆禁止日本国民会議顧問)(写真左)
/カロ・アクニャ・オルベラ(アメリカ・ピースアクション共同議長)(写真右)

/デイブ・ウエブ(イギリス・核軍縮キャンペーン前議長)※オンライン参加

コーディネータ:藤本泰成(原水禁共同議長)(写真左)

→国際シンポジウム・キーノート( pdf )

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」が開会

2022年08月05日

8月4日、「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」の開会総会が広島市・グリーンアリーナで行われ、1200人が参加しました。コロナ禍以降、原水禁大会もオンライン開催や大幅な規模縮小のもと実施してきました。今回、いまなお厳しい状況下ではありますが検温や手指消毒の実施、マスク着用の徹底、密集回避など対策を行いつつ広島現地での開催を実現しました。

はじめに原爆被害者への黙とうをささげたのち、金子哲夫・共同実行委員長による主催者あいさつ。続いて角田政志・福島平和フォーラム代表が汚染水の海洋放出問題をはじめ福島をとりまく現状について報告しました。

広島県原爆被害者団体協議会の切明千枝子さんが被爆証言を行いました。15歳で被爆、現在92歳になられますが、約30分にわたり自らの被爆体験を語り、そして核兵器廃絶・平和実現に向けた思いを訴えました。

続いて地元広島の高校生平和大使と高校生1万人署名活動実行委員会のみなさんが登壇し、活動報告と決意表明を行いました。その後、広島県被団協の活動や高校生への支援が呼びかけられ、会場からは多くのカンパが寄せられました。

海外ゲストのカロ・アクニャ・オルベラさん(アメリカ・ピースアクション共同議長)がスピーチし、日本の反戦・反核運動への連帯を表明しました。また、ドイツ・緑の党からのビデオメッセージが上映されました。

続いて谷雅志・事務局長から大会基調を提起しました。そして佐古正明・現地実行委員会代表委員からの閉会あいさつをもって開会総会を閉じました。なお、5日には分科会・ひろば・フィールドワークと国際シンポジウム、6日にはまとめ集会が予定されています。

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」開会総会アーカイブ動画

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