被爆77周年原水禁世界大会2022年

被爆の実相を原点に、次代へとつなげよう 「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」まとめ集会

2022年08月06日

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」3日目・最終日となる8月6日、まとめ集会を行い、3日間にわたる広島大会での成果や課題を参加者のみなさんとともに確認することができました。

まとめ集会では「ヒロシマ・アピール」を採択し、広島大会を閉じました。7日からの長崎大会に全力でとりくみんでいきますので、引き続きのご支援・ご協力をお願いします。

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」まとめ集会アーカイブ動画

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会」谷事務局長まとめ報告

原水禁世界大会広島大会にお集まりいただいたみなさん、ご参加ありがとうございました。本大会のまとめを、この3日間を振り返る形で行います。

今年の原水禁世界大会はTPNW第一回締約国会議の開催と、現在進行形のNPT再検討会議の開催という、国際的に核廃絶に向けた大きな動きがみられる中での大会となりました。

1日目の開会総会では、被爆者の切明さんに被爆の実相を語っていただきました。私たちはいつも被爆の実相を原点に運動を展開してきました。「時には原爆で亡くなった方々のことを思い出してくださいね」という言葉にこめられたおもいを受け止め、意味を理解する上で、今日8月6日をここ広島で迎えることは大きな意味があると感じます。

福島報告では、原発事故後の現状とALPS処理水の海洋放出について、県民をはじめ多くの国民の理解が得られない中での強行を決して許さないという決意を、福島県平和運動センターの角田さんが述べ、全体でそのおもいは共通であることを確認しました。

2日目は午前中に6分科会を開催しました。

第1分科会は「改憲と敵基地攻撃」をテーマに、名古屋学院大学の飯島さんにお話しいただきました。米国ペロシ下院議長の台湾訪問について、反発する中国という構図が、ロシアによるウクライナ侵攻へとつながった黒海付近での挑発行為と重なるという指摘から話が始まりました。その後、鹿児島と沖縄から現地報告を受け、「沖縄戦の教訓は、運隊は住民を守らないということだ」としたうえで、その支配的構造は原発政策にも共通するものがあるという話がありました。

第2分科会はピースデポの湯浅さん、ピースボートの松村さんを講師に、「核兵器廃絶と東北アジア情勢」をテーマに動き出したTPNWとNPTを柱に、東北アジア非核兵器地帯構想について学習を深めました。日本は核兵器保有国と非核兵器保有国の橋渡し役を担うとしながらも歴史的なTPNW第一回締約国会議には参加しませんでした。地方議会等の意見書提出といった取り組みによって、政府に署名・批准を求めていこうという話もありました。実際にウィーンに行って積極的に活動した高校生平和大使の大内さんからも自身の体験を交えた話をいただきました。

第3分科会は「気候危機とエネルギー問題」をテーマに、東北大学の長谷川さん、市民エネルギーとっとりの手塚さんに講師をお願いしました。2030年以降のエネルギーシナリオについて考え、持続可能な地域づくりとエネルギーシステムについて、原水禁が2021年に出したエネルギーシナリオにも触れながら学習を深めました。原発事故の教訓は「公論形成」でもあるとし、自由で開かれた議論ができないと、原発事故と同じようなことが起こり得る可能性が高いことを指摘されました。

第4分科会は原子力資料情報室の西尾さんと伴さんを講師として、「核燃料サイクルと高レベル放射性廃棄物」をテーマに、核燃料サイクルがいかに無謀な政策であるかについて学びました。六ケ所再処理工場立地の青森、核のゴミ最終処分場誘致問題に揺れる北海道からも現地報告をいただきました。

第5分科会は被爆の実相を次の世代へ継承していくことを大きなテーマとして掲げ、在外被爆者問題、被爆二世問題を含めたヒバクシャの残された問題を、高校生からの発言も交えながら考えました。講師は平和活動支援センターの平野さん、弁護士の在間さんにお願いしました。平野さんから、韓国の被爆者に「植民地支配により被爆した我々が、なぜ日本と一緒に声を挙げなければいけないのか」と言われた話を紹介していただきました。開会総会で切明さんも話されていたように、私たちは日本が加害者である面にも正しく向き合う必要があります。この分科会に参加されていた若い方々の真剣なまなざしは、次の世代への希望だと心強く感じました。

第6分科会では原水禁運動の入門編として、原水禁共同議長の金子さんから原水禁運動の歴史とTPNWについてのお話を、「ヒロシマを語り継ぐ」活動に取り組まれている高校生平和大使OPの井上さんのお話を、それぞれ伺いました。会場からは「若い世代の関心を高めることが難しい」と感じているという発言がありました。講師の返答にもあったように、私たちの運動の情報発信方法について、SNSの活用を検討し工夫していくことが有効だと考えられます。

分科会に加え、大久野島と安野発電所へのフィールドワークや、各種工夫を凝らした企画のひろばを実施し、参加者のみなさんとそれぞれのテーマについて理解を深めることができました。

国際シンポジウムでは、アメリカ・ピースアクションのカロさん、イギリス・CNDのデイブさん、原水禁顧問の秋葉さんをパネリストとして、「否定される『核抑止』への道程は」というテーマで、ロシアによるウクライナ侵攻で高まる核兵器使用の危険性について考えました。今後、核戦争にエスカレーションさせないよう止める手立てについては、まずは交渉のテーブルに着かせること、威嚇や武器提供から対話は生まれないこと、それらの実現に向けてアメリカのバイデン政権をテーブルにつける努力をしていることなどの話が、カロさんからありました。秋葉さんからは、TPNWへのハードルが高すぎるのであれば、核兵器保有国が、まずは「核の先制不使用」を宣言するということを実現させていく可能性について話があり、そのためには岸田首相が各国リーダーに対して、被爆の実相を語る必要があること、それを突き動かしていく市民の声が重要で大きな意味を持つことが語られました。

そして、大会3日目、8月6日を迎えました。
みなさんはどのような気持ちで今日を迎えられたでしょうか。

ロシアによる核兵器の威嚇によって、使用される危険性に対する世界の緊張状態が高まっています。決して、核兵器使用を許してはなりません。

原水禁大会は3年ぶりに新型コロナ感染症以前の大会規模をめざすとして本大会を開催しました。本大会の開会総会参加者が1,200人であったことを、みなさんと共有したいと思います。各会場にたくさん詰めかけていただいた分科会・ひろばを含め原水禁運動の熱を、再び高め合う大会であったと感じていただければ幸いです。

原水禁大会はこれまでも、みなさんのご意見を伺いながら、ともに作り上げる実行委員会形式で開催してきました。今後の大会の持ち方についても、反核・非核で一致するすべての人に開かれたものであり、さまざまな立場の人たちが共同できる大会であるために、開かれた議論を進めてまいります。

本大会で感じたこと・学んだことを、これからどのように私たちが生かしていくのか、日常の運動をこれからも確かに積み重ねていきましょう。

「核なき世界」は決して夢ではありません。具体的イメージを描くことができる、実現可能な未来です。核のない世界が実現したときに、私たちはどういう生活をしているのか、豊かな想像力をもって語っていきましょう。

そのおもいをみなさんと共有し、本広島大会のまとめとします。ありがとうございました。

被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会「ヒロシマ・アピール」

1945年8月6日午前8時15分、広島に投下された原子爆弾は、強烈な「熱線」、「爆風」、「放射線」のもと、その年の内に14万人もの生命を奪い去りました。あの日から77年、被爆者の高齢化は進み、限られた時間の中で、援護対策の充実と国家の責任を求めることが急務となっています。また、米国とロシア・中国の大国同士の対立などで混迷する世界情勢を受けて、核兵器をめぐる状況は危機感を深めています。改めて核兵器廃絶への歩みを確実なものにしていかなくてはなりません。

ロシアのプーチン大統領は、2022年2月24日、ウクライナへの軍事侵攻に踏み切りました。度重なる警告を無視する形での侵攻により、多くの尊い命を犠牲にする状況が続いています。また、公然と核兵器使用をほのめかす発言をし、侵攻前には核兵器搭載可能な大陸間弾道ミサイルを使った軍事演習を実施するなど、核による威嚇を繰り返してきました。国家主権と領土を武力で侵すことは、国連憲章に反し国際秩序を揺るがす蛮行であり断じて許されません。これ以上の犠牲者を出さないため、即時停戦の実現と今後の国際社会の安定を求めていきます。

核兵器禁止条約が2021年2月22日に発効、2022年6月21日から第1回締約国会議が開催され、核兵器廃絶の実現へと世界は動き出しました。日本政府は「核なき世界への出口とも言える重要な条約」と評価する一方、オブザーバー参加すら行わず、「条約に賛成することは、米国による核抑止の正当性を損なう」という主張を崩していません。8月1日からニューヨークで核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開催され、岸田首相が参加していますが、核兵器の非人道性を訴え、国際人道法に従う重要性を語ることが、唯一の戦争被爆国としての日本の責任と考えます。

一方で国内では、ウクライナ情勢を利用して、「核シェアリングの導入の検討」「防衛費GDP比2%以上を目標とする増額」「敵基地攻撃能力」など、これまでの「専守防衛」のあり方を転換する危険な流れが生まれています。また、非核三原則を「国是」としながら、実質的にこれを破壊する動きを制御できない政府は、戦争被爆国として果たすべき役割と努力を放棄していると言わざるを得ません。被爆者の思いを踏みにじり、NPTにも反する議論は、 国際的信頼を裏切るものとして決して許すことはできません。私たちはこの間、日本政府に対し核兵器禁止条約の批准、NPT再検討会議の成功を求める「核兵器廃絶1000万署名」を取り組んできました。これからも、「核と人類は共存できない」ことを基本に、日本政府への「核兵器禁止条約署名・批准」を求める運動に総力をあげ、核兵器廃絶への動きを前進させましょう。

東日本大震災・福島第一原発事故から11年が経過しましたが、事故の収束は未だに見通せないなかで、原発事故の「風化」が懸念されます。日本政府が福島第一原子力発電所から排出されている放射性物質を含む汚染水を、福島県沖の太平洋に放出する計画を閣議決定し、原子力規制委員会は2022年7月22日、東京電力が海洋放出に向けて申請した設備計画を認可しました。地元の漁業団体に加え、近隣諸国からも計画に反対の声が上がっています。今行おうとしている処理水の海洋放出は、事故で被害を強いた人々の犠牲の上に廃炉を進めることに他なりません。私たちは、海洋放出の強行を決して許しません。
また、運転開始から40年を超え老朽化した美浜原発3号機の再開が、原発事故後全国で初めて行われましたが、政府はさらに「原発60年超の運転」の検討にも着手しています。運転開始から40年を超えた危険性の高い老朽原発の運転は、決して許されません。
私たちは、原発事故により、放射能汚染を強いられた人々の健康不安、とくに子どもの健康にしっかり向き合い、「被爆者援護法」に準じた法整備を国に求めるとともに、原発再稼働や新・増設を許さず、全ての原発の廃炉、再生可能エネルギーへの転換を求めます。

原水禁運動の原点は被爆の実相です。しかし、被爆77年が経過し原爆被害の実相が風化しつつあることも事実です。限られた時間の中で、核兵器廃絶とヒバクシャ課題の解決とともに、被爆の実相をどの様に語り伝えていくか、次世代につなげて行く取り組みを進めていきましょう。
一人ひとりの命をないがしろにする全ての政策に反対して、個人の尊厳を守り、未来ある子どもたちに「核も戦争もない平和な社会」を届ける取り組みを全力で進めましょう。

ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・フクシマ、ノーモア・ウオー、 ノーモア ヒバクシャ

2022年8月6日
被爆77周年原水爆禁止世界大会・広島大会

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