8月, 2023 - 原水禁
2023年08月28日
8月24日、地元をはじめとした多くの反対の声を無視し、福島第一原発の放射能汚染水の海洋放出開始が強行されました。
また、北海道寿都・神恵内および長崎県対馬での高レベル放射性廃棄物最終処分場選定に向けた文献調査や、山口県上関での中間貯蔵施設建設の計画が、この間一方的に進められようとしています。
原水禁はこれら「汚染水」「核のごみ」に関わる諸問題を考えるため、緊急の連続講座を企画しています。ぜひご参加・ご視聴をお願いします。
本記事では、8月24日に行われた講座第1回目、木村真三さん(獨協医科大学国際疫学研究室准教授)による講演「原発事故から12年、いまの福島の現状」のアーカイブ動画をご紹介します。
今後、以下の講座が予定されています。参加ご希望の方は原水禁事務局までお問い合わせください(参加費500円)。
第2回講座「放射能汚染水と廃炉問題」(仮題)
日時:8月31日(木)18時30分~20時30分
場所:連合会館501会議室
講師:後藤政志さん(元原子炉設計者)
第3回講座「核のごみと環境倫理」(仮題)
日時:9月14日(木)18時30分~20時30分
場所:連合会館501会議室
講師:寺本剛さん(中央大学理工学部教授)
2023年08月23日
原水禁は、8月23日付で以下の声明を発表しました。
「ALPS処理水」の海洋放出決定に反対し、放出停止を求める
8月22日、政府は「ALPS処理水」の海洋放出を8月24日から行うことを決定した。私たちは、多核種除去装置(ALPS)で62の放射性物質を処理しても、すべてが取り除けるわけではないことから、あくまでも放射能汚染水であると認識している。福島第一原発事故によって、避難生活を強いられている多くの市民が、いまだ元の生活に戻ることも叶わない現状において、さらなる負担を強いるこの決定を、原水禁は決して許すことはできない。
全国漁業協同組合連合会は毎年海洋放出反対の決議をあげてきた。2015年8月、政府・東電は、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と、福島県漁業協同組合連合会へ文書で約束をしている。この約束は、地下水ドレン・サブドレンからの海洋放出を行うことが、廃炉を進めるうえで必要とする政府・東電の主張に対し、漁業関係者が苦渋の選択として、地下水の海洋放出を認めたものである。もし、そこに汚染水が混じった場合は、海洋放出をせずタンクに保管することとあわせて、この約束を文書で取り交わした。これは重大な意味を持っている。福島県漁連は現在も、「最後の一滴まで反対し続ける」としている。
7月4日、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、放射能汚染水の海洋放出計画について、「計画は国際的な安全基準に合致する」「人体や環境への影響は無視できる」とした報告書を、岸田首相に手交した。政府はその報告書をもって、「科学的な安全は立証できた」としている。福島第一原発事故で生じた放射能汚染水が、他の原発で生じた処理水とは異なる未知の部分があることから、政府が言うように「希釈して放出する」ことが「科学的に安全」と言い切れるだろうか。
韓国や中国をはじめ、太平洋諸国からも反対や重大な懸念が示されていることからも、国際社会における理解が得られたとは言い難い。国内でも、共同通信社が8月19・20日に実施した世論調査において、海洋放出をめぐる政府の説明が「不十分だ」は81.9%、「十分だ」は15.0%となっている。説明が尽くされているとは言い難い状況なのは明らかだ。
岸田首相は、「本格化する廃炉作業を着実に進めるためには、処理水を処分し、タンクを減らすことが必要だ」としているが、廃炉に向けて総量880トンあるとみられる溶融核燃料(デブリ)の取り出しは、今年10月以降に「耳かき1杯程度」の作業が始められる予定の段階にすぎない。今、拙速にタンクを減らすことが必要だとは到底考えられない。廃炉に向けた着実な行程を示し、その行程への信頼醸成につながる透明性の確保を図っていくことが必要だ。
仮に「安全」が立証されたとしても、必ずしも人の心に届く「安心」につながるとは言えない。原発事故を引き起こす要因となった、「安全神話」とも呼ばれる原子力推進政策について、「安心」であることを喧伝したうえで、福島第一原発事故を結果として引き起こした。その教訓から私たちが学ぶべきことは、「安心」とは事業推進側(政府・原発関連企業)が決めることではなく、限りなく公開された正しい情報を基に、そこで生活する一人ひとりの個人が判断をすることであるということだ。
放射能汚染水の海洋放出を、今後2051年まで続けることなど決して許されない。原水禁はまず、海洋放出の即時停止を強く求める。そして、廃炉に向けた着実な行程を明らかにしていくことを求める。
2023年8月23日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野 浩一
金子 哲夫
藤本 泰成
2023年08月10日
「被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」は、台風接近により9日の日程をとりやめました。いっぽうで、8月9日の原爆投下による犠牲者・被害者の苦しみと悲しみの大きさと重さを、決して忘れることのできないものとする私たちの原点に立ち、すべての原爆犠牲者に対し哀悼の意を表するため、天候を注意深く見定めたうえ、藤本泰成・共同実行委員長、米村豊・副実行委員長、谷雅志・事務局長などの実行委員会役員が爆心地公園を訪れ、それぞれ追悼の思いを込めたあいさつを行ったのち、原爆投下時刻に合わせ黙とうしました。
(追悼のことばを述べる藤本泰成・共同実行委員長)
(黙とうを捧げる役員一同)
8月9日という大切な日に、多くの参加者の皆さんといっしょに犠牲となったすべての人びとを追悼し、あらためて原水禁運動の前進に向けがんばる決意を確認しあうことについて、本年は残念ながら断念せざるを得ませんでしたが、これからの一年間、職場・地域でのとりくみをいっそう強化しながら、来年は長崎現地でそれぞれの現場で積み上げた成果を持ち寄り共有することができるよう、原水禁大会実行委員会としてもしっかりと準備していきたいと思います。引き続き、核も戦争もない世界をめざして、全国・全世界の人びとと連帯し、がんばっていきましょう。
以下はほんらい「被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」閉会総会において、谷事務局長が提起する予定だったものです。ここに掲載し、長崎大会の意義と成果を確認したいと思います。
「被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」まとめ
被爆78周年原水爆禁止世界大会実行委員会
事務局長 谷雅志
長崎大会は、台風6号の影響により、8月9日の閉会総会ならびに平和行進を取りやめる苦渋の決断となりました。これまで原水禁は、8月9日を被爆地長崎で迎えることに重要な意味があることから、対面での開催にこだわって大会を実施してきました。一方で、大会参加者の安全を確保する責任があることから、ぎりぎりまで現地の長崎県実行委員会と協議を重ねてきました。さまざまな想定をしましたが、結論として、閉会総会と平和行進の実施は困難であるということに至りました。開会行事の中でそのことを確認するとともに、8月9日の11時02分に、個々の場所で黙とうにとりくむことを提起しました。
開会行事では、はじめにコロナ禍で活動を制限された高校生平和大使・1万人署名活動実行委員会が製作したピースブックリレーのDVD視聴からはじまり、川野浩一・大会共同実行委員長によるあいさつ、アメリカ・ピースアクションから大会にゲスト参加したジム・アンダーソンさんのスピーチを受けました。その後、「被爆体験者」問題について、当事者である山内武さん、長崎市議会議員の池田章子さんにお話しいただきました。
次に地元の長崎をはじめ全国各地から集まった高校生が壇上に上がり、核兵器廃絶にむけた日常の活動の紹介と、合唱を2曲披露しました。会場全体の温かなまなざしを受けた高校生たちの、今後のさらなる活躍を願うばかりです。基調報告とあわせて、急遽閉会総会が開催できなくなったことから「大会アピール」採択を行いました。開会行事は800人の参加を得て終了しました。
引き続き開催した国際シンポジウムは、「放射能汚染水の海洋放出に反対する」と題して、今夏に強行されようとしている、福島第一原発事故により生じた「ALPS処理水」の海洋放出に反対する各国の市民運動にかかわるみなさんをパネリストに迎え、議論を深めました。
福島県平和フォーラムの角田政志さんからは、「廃炉のために海洋放出はやむなし」とすることは、事故を起こした側の勝手な都合の押しつけであること、漁業関係者の「海をゴミで汚すのはダメなのに放射能がいいわけがない、当たり前のことだ」とする発言が紹介されました。
韓国環境運動連合から参加したキム・チュニさんは、韓国政府は私たちの活動をプロパカンダだ、科学的根拠がないと言うが、未知のものを安全だということは科学的であるとは言えない、と話されました。
オンラインで参加したアメリカ・核のない世界のためのマンハッタンプロジェクトの井上まりさんは、海洋放出は悪い前例を作ることになる、予防原則や人権に基づいた政策を求める、知る権利の保障という明確な観点からお話をいただきました。
同じくオンラインで参加したマーシャル諸島のREACH-MEのデスモンド・ドラチョムさんからは、核戦争・核実験・核事故の被害を受けた者の抱える不安、気候危機や環境の観点から、持続可能な太平洋には今回の海洋放出が強い懸念になることが紹介されました。
それぞれの反対運動を紹介しながら、最後は連帯することで大きな市民運動のうねりを作り出していけるよう、ともにとりくむことを確認し、シンポジウムを閉じました。
2日目は午前4つ・午後2つの分科会を開催しました。
第1分科会では川崎哲さんから核兵器廃絶に向けた世界の動きと国内運動の方向性についての講演を受け、アメリカ・ピースアクションのジム・アンダーソンさん、ミドリ・モローさんからそれぞれの考えやとりくみの報告があり、質疑応答や討論を通して、参加者の日常活動の紹介などがされました。ミドリさんは被爆3世であり、特にアメリカの「平和教育」が実質ほとんど行われていない状況を踏まえ、自身のルーツと合わせて、どう考えていけばよいかを模索している様子が語られました。
第2分科会では飯島滋明さんから、日本国憲法において最も重要なのは13条であり、「個人の命や権利を大切にする」ためには、戦争など起こすことはできないことが明確に指摘されました。佐賀からオスプレイに関わる現地報告、沖縄から基地をめぐる情勢についての現地報告をそれぞれ受けました。
第3分科会では、原子力推進政策と核のゴミ問題について、高野聡さんと末田一秀さんから現状認識と政府方針の誤りについて講演を受けました。寿都町民の会の三木さん・槌谷さんからは、寿都が文献調査を受け入れたことで、住民の分断が進んでいることのお話がありました。文献調査受け入れについて、議会に請願が出されるなどの動きがある対馬から、上原正行さんにこれまでの経緯と現状についてお話しいただきました。
第4分科会では、急きょ講師が山川剛さんから川野浩一さんに変わりましたが、西岡由香さんとお二人から被爆の実相とこれまでの原水禁運動の歴史、被爆者でなくても少しでも思いを寄せることで、被爆について語っていくことの重要性が話されました。
第5分科会では川野浩一さん、川副忠子さんから被爆の実相と原水禁運動の歴史、核兵器に関係する世界の流れなどの話を伺ったあと、被爆二世協の崎山昇さん、平野克博さんから核兵器廃絶に向けた二世三世の役割と、自身の健康にまつわる諸問題について、二世協としての裁判を通したとりくみについて、詳しく説明を受けました。
第6分科会では在間秀和さんから在外被爆者の問題、戦争責任について「平和に対する罪」「人道に対する罪」という観点から、「犯罪」となった第2次世界大戦後の経緯などの説明を伺いました。平野伸人さんからは「被爆体験者」問題とこれまでの在外被爆者支援、残された課題について話していただきました。
台風の影響により実施が心配された佐世保フィールドワーク等の企画についても、地元の多大な協力を得て、予定通り開催できました。本大会と合わせて開催された「ピースブリッジ 2023 in ながさき」等に参加した多くの高校生が分科会にも参加し、真剣に学ぶ姿が見られました。
この間、原水禁世界大会の大きな柱の一つとして「次世代継承」を位置づけてきました。いつの時代であっても、どれだけ未来であっても、自分がどう生きるか、自分で選ぶことができる、当たり前のくらしを引き継いでいくことが重要です。そのために、今できることを考え、工夫してとりくんでいくことが必要なのは言うまでもありません。全国はもちろん世界のみなさんと連帯して、各地域での原水禁運動にとりくむことを確認し、原水禁世界大会を一つの契機ととらえ、また明日からともにとりくんでいきましょう。
2023年08月09日
8月8日、「被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」2日目は6つの「分科会」のほか、「ひろば」、「フィールドワーク」を行いました。
分科会では、それぞれの講師からの問題提起と各地からの報告を受け、活発な議論が交わされました。また、ここ3年実施できなかった佐世保をめぐるフィールドワークを再開することができました。それぞれの職場・地域に本大会で得た経験や知識を持ち帰り、これからの反核・平和の活動に活かしていきましょう。
なお、8月9日は台風接近のため閉会総会の開催をとりやめていますが、原水禁役員と現地実行委員による追悼行動の報告、また実行委員会事務局長による全体のまとめ報告を近日掲載する予定です(→報告記事)。
第1分科会「平和と核廃絶Ⅰー世界の核兵器廃絶にむけて」
第2分科会「平和と核廃絶Ⅱー日本の軍備拡大・改憲について」
第3分科会「脱原発ー政府の原子力推進政策と「核のゴミ」について」
第4分科会「見て・聞いて・学ぼうナガサキ」
第5分科会「ヒバクシャⅠー被爆の実相の次世代継承と二世課題」
第6分科会「ヒバクシャⅡ-ヒバクシャ問題の残された課題」
2023年08月08日
8月7日、長崎市・ブリックホールにおいて「被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」開会行事が行われ、約800人が参加しました。
冒頭、原爆犠牲者への黙とうを行いました。そして、台風6号の接近により、大会日程を8月7日から8日とし、9日については閉会総会や関連行事を中止することを確認しました。続いて、コロナ禍の最中、高校生たちがオンラインでとりくんだメッセージ動画「高校生平和アクション2020」が上映されました。
その後、主催者を代表し川野浩一・共同実行委員長があいさつ。海外ゲストからはジム・アンダーソンさん(アメリカ・ピースアクション)がスピーチしました。
「被爆体験者」訴訟について、山内武さん(第二次原告団長)と池田章子さん(長崎市議会議員)から経緯や現状について報告されました。
全国から集まった第26代高校生平和大使・高校生1万人署名活動のメンバーのみなさんが登壇、活動報告を行いました。コロナ禍で中断していた海外派遣について、8月下旬に予定されていることも報告。あわせて合唱が披露されました。
谷雅志・事務局長から大会基調提起。大会日程短縮のため、閉会総会で採択予定だった大会アピールを読み上げ、全体の拍手によって確認しました(このページ下部に掲載)。
最後に「原爆許すまじ」のミュージックビデオを上映し、閉会しました。
いったん休憩をとってから、引き続いて開催した国際シンポジウム「放射能汚染水の海洋放出に反対する」には、約300人が参加しました。
谷事務局長をコーディネータとし、角田政志さん(福島県平和フォーラム共同代表)、キム・チュニさん(韓国・環境運動連合事務総長)が会場で、井上まりさん(アメリカ・核のない世界のためのマンハッタンプロジェクト共同創設者)、デズモンド・ドラチョムさん(マーシャル諸島・大学教員、REACH-ME創設者)がオンラインで、議論を行いました。8月下旬に放出開始が目論まれる状況を踏まえ、熱のこもった内容となりました。
最後に谷事務局長が「ミライノウミプロジェクト」を紹介し、支援と協力を呼びかけて終了しました。
【被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会】開会行事
【被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会】国際シンポジウム「放射能汚染水の海洋放出に反対する」
被爆78周年原水爆禁止世界大会・大会アピール
私たちは被爆から78年を迎えた今年の夏、コロナ禍以前の大会規模をめざしながら原水爆禁止世界大会を福島・広島・長崎で開催しました。毎年暑い夏を迎えるたびに、広島・長崎の被爆の実相を原点に、「核と人類は共存できない」という揺るぎない考えのもと、平和・核兵器廃絶・脱原発・ヒバクシャの援護連帯などをテーマに学び、理解を深め、とりくみの具体的な行動について議論してきました。この大会は、日常的な原水禁運動の礎となり、日本国内はもとより、世界の核廃絶を訴えるさまざまな運動とつながってきました。
核をめぐる国際情勢は、ロシアによる核兵器使用の威嚇発言やベラルーシへの戦術核配備等によって、これまでになく緊張状態が高まっています。5月に開催されたG7広島サミットにおいては、核兵器保有と核抑止力なるものを一定認める文書しか採択できず、核廃絶や核軍縮に向けた歩みを進めることはかないませんでした。NPT体制による核兵器保有国は、第6条で「核軍備縮小への誠実な交渉を行う」と定められているにもかかわらず、いまだ世界には12,000発を超える核兵器が存在しています。被爆者がこれまで世界で語ってきた被爆の実相は、これらの核兵器使用を決して許さず、核兵器禁止条約の発効へとつながってきました。被爆国である日本は、直ちに核兵器禁止条約に批准し、核兵器廃絶を願う世界各国の先頭に立ち、すべての核兵器廃絶を実現させていくリーダーシップをとるべきです。安保3文書の改訂によって、敵基地攻撃能力を保有することは、これまでの「専守防衛」の枠組みを逸脱するものです。これまで非核3原則の法制化を求めてきた私たちは、核抑止力や軍事力によって、真の平和な社会は実現できないと確信しています。
本大会の大きなテーマである「被爆の実相の次世代継承」は、今後も国際社会において日本が果たすべき役割を考えると、待ったなしの喫緊の課題です。本大会に参加した高校生・大学生をはじめとする若い世代の学ぶ姿に、この先の原水禁運動の光を見出していきたいと考えます。
長崎において、被爆者と認められず「被爆体験者」とされている問題が、78年経った今に至っても解決していません。「被爆体験者は被爆者だ」と、日本政府に一刻も早く認めさせなければなりません。また、被爆二世・三世課題の解決に向けてとりくみをすすめなければなりません。原水禁運動は、被爆者援護法を国家補償としていく運動を継続し、世界のウラン鉱石採掘や原発労働者を含めた、世界のすべてのヒバクシャと連帯して運動を進めていきます。
核の「平和利用」なる原子力発電等の危険性についても、これまで私たちは軍事であれ「平和利用」であれ、「核と人類は共存できない」として、反対の立場を貫いてきました。福島第一原発事故から12年。日本政府は再び原発推進政策に舵を切りました。福島の避難住民への医療・介護費の減免措置の段階的打ち切り等、福島第一原発事故はもう終わった、収束したと言わんばかりの切り捨て政策を、私たちは決して許すことはできません。政府はすべての原発事故被害者の健康・医療を保障すべきです。
福島で今夏にも強行されるおそれがある放射能汚染水の海洋放出については、決して福島だけの問題にしてはならず、私たちが大会を通して議論する大きな柱の一つとして位置づけてきました。漁業関係者をはじめとした地元の反対もある中、この海洋放出を許してしまうわけにはいきません。
私たちは原水禁世界大会を開催し、各地域で奮闘する仲間の存在を改めて感じ、ともにその方向性について確認する機会としてきました。これからも、今の国際社会全体が、そして日本が「いつか来た道」に再び戻ることがないよう、反戦・反核の運動を続けていくことを決意し、原水禁世界大会全体アピールとします。
2023年8月7日
被爆78周年原水爆禁止世界大会参加者一同
2023年08月07日
台風6号の進路は日々変化を続け、7日現在の予報によれば、長崎市内では9日に暴風雨となることが濃厚です。長崎県市においては式典を規模縮小のうえ屋内会場開催に変更しています。
こうした状況を踏まえ、長崎現地実行委員会とも協議した結果、7日・8日については予定通り開催しますが、9日の閉会総会・平和行進・爆心地公園での黙とうなどの行事はとりやめることとしました。
すでに長崎にお入りの皆さまも多いかと存じますが、どうかご理解を賜りたく存じます。ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。
- 長崎大会は7日・8日は予定通りの開催とし、9日については閉会総会および関連行事を中止します。
- 9日11時2分の原爆投下時刻においては、それぞれの場所で、黙とうを行っていただくことを呼びかけます。なお、現地実行委員および原水禁役員に限定したかたちで小規模な追悼行事を開催することで、原水禁としての原爆犠牲者に対する追悼とさせていただく予定です。
2023年08月07日
「被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会」最終日の8月6日、広島市・県民文化センターでまとめ集会を行い、広島大会で議論し、確認した内容を参加者のみなさんと共有しました。
まとめ集会では「ヒロシマ・アピール」に加え、山口・上関への使用済核燃料中間貯蔵施設建設の動きに対する「特別決議」を採択しました。このあと7日から長崎大会が開催予定です。現在、台風が接近していますが、その動向に注視しています。今後の開催スケジュールについては適宜このウェブサイトにてお知らせいたしますので、引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。
【被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会】まとめ集会
被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会「ヒロシマ・アピール」
1945年8月6日午前8時15分、広島に投下された原子爆弾は、強烈な「熱線」、「爆風」、「放射線」のもと、その年の内に14万人もの生命を奪い去りました。あの日から78年、被爆者の高齢化は進み、限られた時間の中で、被爆2世・3世も含めた援護対策の充実と国家の責任を明確にすることが急務となっています。
ロシアによるウクライナ侵攻から1年5ヵ月以上が経過し、今なお多くの生命が奪われています。この侵攻では核施設が標的となり、核兵器の使用や威嚇発言も繰り返されるなど、核被害の危険性がかつてなく高まっています。平和の実現のために、外交努力による即時停戦をさらに強く希求していきます。
2023年5月19日から5月21日にかけてG7広島サミットが開催されました。岸田首相がこだわった被爆地広島での開催でしたが、サミットで出された「核軍縮に関する広島ビジョン」は核廃絶どころか、核兵器禁止条約や核兵器の先制不使用宣言にも全く言及されておらず、核による抑止力と北大西洋条約機構の核共有を正当化しただけの許しがたいものでした。
核兵器を所持することが核抑止になることは絶対にありません。被爆の実相こそが、核兵器使用を思いとどまらせてきた最大で唯一の核抑止力であるということを、改めて強く社会に発信していく必要があります。
そして、これからも「核と人類は共存できない」ことを基本に核兵器廃絶への動きを前進させなければいけません。
2022年12月16日に政府は安全保障関連3文書を改定しました。これは沖縄を中心とした南西諸島を戦場にする恐れがあるものであり、これまでの日本の専守防衛を逸脱した軍拡と改憲をさらに助長する危険な状況となっています。
外交努力による国際社会の平和の構築こそが日本国憲法のめざす理念であり、軍備拡大政策を進める岸田政権に反対の声を上げ続けていきます。
東日本大震災・福島第一原発事故から12年が経過しましたが、いまだに「原子力緊急事態宣言」も解除できず、原発事故の「風化」も懸念されています。この中で、政府は放射能汚染水の海洋放出を強行しようとしています。関係者や近隣周辺国からも反対の意思が示されており、海洋放出を断じて許してはなりません。政府が「原発60年超の運転」を可能とするなど、原発回帰を鮮明にするなか、山口県上関町では中国電力と関西電力が使用済燃料の中間貯蔵施設を建設する方針を示しました。私たちはこれからも全ての原発の廃炉と再生可能エネルギーへの転換を強く求めていきます。
原水禁運動の原点は被爆の実相です。しかし、子どもたちに核のない未来を実現するためには、若い世代の積極的な平和運動と、被爆の実相をつなげて、次世代へと継承していかなければなりません。
未来ある子どもたちに、「核も戦争もない平和な社会」を届ける取り組みと、次世代への継承を全力で進めていきましょう。
ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・フクシマ、
ノーモア・ウオー、 ノーモア ヒバクシャ
2023年8月6日
被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会
上関町「中間貯蔵施設」建設中止を求める特別決議
中国電力は、8月2日、原子力発電所の使用済み核燃料を一時的に保管する中間貯蔵施設について、山口県上関町に建設を検討していることを明らかにした。
上関町では今から41年前の1982年、原発建設計画が表面化した。計画は、地元住民の合意がない中で強引におし進められようとしたため、原発予定地の対岸わずか3.5kmにある祝島島民や地元住民をはじめとした広範な人たちが、先祖から受け継いできた命や生活、ふるさとを守るために根強い反対行動、抵抗闘争を今も続けている。
原発建設計画を巡っては、2009年に敷地造成の準備工事が始まったものの、2011年に起きた福島第1原発事故を受けて、上関現地での埋め立て工事は中断したままとなっている。
原発事故後、上関町では、高齢化と過疎化が進む町の将来に不安を抱える中、原発建設に賛成・反対の立場の垣根を越えて、町おこしにとりくんできた。しかし、今回の中国電力による中間貯蔵施設建設計画の表明により、再び町内に争いや対立が生まれようとしている。
中国電力が建設検討を表明した中間貯蔵施設は、使用済み核燃料を「一時的に」保管する施設であり、その場しのぎの対策である。これは、国が進める核燃料サイクル政策において、最も重要な六ケ所再処理工場が現在も完成していないため、増え続ける使用済み核燃料の新たな貯蔵施設が必要となったからに過ぎない。既に核燃料サイクル政策は破綻しており、今回の中間貯蔵施設の建設は、問題の先送りとしかならず、極めて無責任と言わざるを得ない。
こうした状況にあるにも関わらず、国は原発の再稼働を進め、次世代に「負の遺産」となる使用済み核燃料を、将来にわたって作り続けようとしている。
今、必要な政策は中間貯蔵施設の建設ではない。直ちに原発を停止し、これ以上使用済み核燃料を作り出さない政策が必要である。そして上関町では、そもそも原発建設の中止が望まれる。
未来の社会を生きる今の子どもたちが、これからも安全で安心に、ごく普通に暮らすことができる社会を残すことが、今の私たちの責務である。そのために、一刻も早い脱原発社会の実現と、上関町の中間貯蔵施設建設中止に向けて全力でとりくむ。
以上決議する。
2023年8月6日
被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会
2023年08月06日
8月5日、「被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会」2日目は広島市内・各会場に分散し、6つの「分科会」のほか「ひろば」や「フィールドワーク」、国際シンポジウムなどが行われました。
分科会では講師からの提起や各地からの報告を受けるとともに活発な議論が行われました。また、フィールドワークでは戦争史跡をめぐり、学習を深めました。
国際シンポジウムでは「核兵器廃絶に向けた道筋をえがく」をテーマに、ジム・アンダーソンさん(アメリカ・ピースアクションニューヨーク州代表)、トム・アンターライナーさん(イギリス・CND(核軍縮キャンペーン)議長)、イ・テホさん(韓国・参与連帯平和と軍縮センターディレクター)、秋葉忠利さん(元広島市長、原水爆禁止日本国民会議顧問)が議論を交わしました(コーディネータ:藤本泰成・原水禁共同議長)。
また、コロナ禍でこの間中止していた子ども参加企画をこのたび再開しました。午前は平和記念公園・原爆供養塔前での慰霊祭、フィールドワーク、「被爆電車」乗車や被爆証言を聞く会などが行われました。午後は大学生や高校生が企画したワークショップに参加し、広島で見て聞いて学んだことを振り返りつつ、平和の大切さについて考える機会となりました。
国際シンポジウム「核兵器廃絶に向けた道筋をえがく」
第1分科会「平和と核廃絶Ⅰー世界の核兵器廃絶にむけて」
第2分科会「平和と核廃絶Ⅱー日本の軍備拡大・改憲について」
第3分科会「脱原発ー政府の原子力推進政策とフクシマ」
第4分科会「ヒバクシャⅠー被爆の実相の次世代継承と二世課題」
第5分科会「ヒバクシャⅡ-ヒバクシャ問題の残された課題」
第6分科会「見て・聞いて・学ぼうヒロシマ」
2023年08月05日
8月4日、「被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会」開会総会が広島市・グリーンアリーナで行われ、約2100人が参加しました。
開会総会の前段の行動として、平和記念公園から開会総会会場に向けた「折鶴平和行進」が行われました。全国各地からの参加者は炎天下の広島市街を行進したのち、現地実行委員会からの拍手に出迎えられ、それぞれグリーンアリーナへと入場していきました。
第24代高校生平和大使の大内由紀子さんが司会を務めました。はじめに原爆被害者への黙とうを参加者一同で行いました。
金子哲夫・共同実行委員長が主催者あいさつ。広島でのG7がなんら核廃絶に向けたビジョンを示そうとしなかったことを批判。また、原水禁大会の過去の経過も振り返りつつ、原水禁運動の意義をあらためて確認しました。続いて引地力男・福島県平和フォーラム事務局長が今夏にも強行が目論まれている放射能汚染水の海洋放出について報告。原発事故被害を受けてきた福島の人びとに更なる負担を押し付ける海洋放出を止めるため、とりくむ決意を語りました。
広島県被団協の桑本勝子さんが被爆証言を行いました。6歳当時に被爆された桑本さんは原爆によってもたらされた悲惨な状況やその後の困難をお話しになりました。
また、広島・長崎選出の高校生平和大使と高校生1万人署名活動実行委員会のみなさんが登壇し、活動報告と決意表明。コロナ禍のなかで中止せざるを得なかった海外派遣が8月下旬、4年ぶりの実施に向け準備されていることも報告されました。
開会総会に出席した海外ゲストを紹介し、中国人民平和軍縮協会の周力・副会長が代表してスピーチ、またドイツ緑の党のハーアルド・イブナー・連邦議会議員のビデオメッセージが上映されました。
谷雅志・事務局長が大会基調を提起(→大会基調全文はこちら)。ロシア・ウクライナ戦争がいまなお継続し、そのなかで核による威嚇や原発など核施設が攻撃の標的にされ、核使用の危機が高まっていること。被爆地・広島で開催されたG7が核抑止論を正当化し、核廃絶に向けたものとならなかったこと。岸田政権が軍拡と改憲を推し進めようとしていること。そして、福島第一原発事故による放射能汚染水の海洋放出が今夏にも強行が目論まれていること。こうした状況を踏まえつつ、「核と人類は共存できない」という理念に立つ原水禁運動が果たすべき役割を再確認しました。
その後、広島音楽サークル協議会のみなさんのリードで「原爆許すまじ」を合唱しました。さいごに、秋葉忠利・代表委員が閉会あいさつに立ち、核廃絶を求める世界の人びとが実際に交流する大切さを語り、集会を終了しました。
広島大会としては5日に分科会・ひろば・フィールドワークと国際シンポジウム、6日にまとめ集会が行われます。
「被爆78周年原水爆禁止世界大会・広島大会」開会総会アーカイブ動画
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