原水禁大会 2023年被爆78周年原水禁世界大会2023年原水禁大会

「被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」が開会しました

2023年08月08日

8月7日、長崎市・ブリックホールにおいて「被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会」開会行事が行われ、約800人が参加しました。

冒頭、原爆犠牲者への黙とうを行いました。そして、台風6号の接近により、大会日程を8月7日から8日とし、9日については閉会総会や関連行事を中止することを確認しました。続いて、コロナ禍の最中、高校生たちがオンラインでとりくんだメッセージ動画「高校生平和アクション2020」が上映されました。

その後、主催者を代表し川野浩一・共同実行委員長があいさつ。海外ゲストからはジム・アンダーソンさん(アメリカ・ピースアクション)がスピーチしました。

「被爆体験者」訴訟について、山内武さん(第二次原告団長)と池田章子さん(長崎市議会議員)から経緯や現状について報告されました。

全国から集まった第26代高校生平和大使・高校生1万人署名活動のメンバーのみなさんが登壇、活動報告を行いました。コロナ禍で中断していた海外派遣について、8月下旬に予定されていることも報告。あわせて合唱が披露されました。

谷雅志・事務局長から大会基調提起。大会日程短縮のため、閉会総会で採択予定だった大会アピールを読み上げ、全体の拍手によって確認しました(このページ下部に掲載)。

最後に「原爆許すまじ」のミュージックビデオを上映し、閉会しました。


いったん休憩をとってから、引き続いて開催した国際シンポジウム「放射能汚染水の海洋放出に反対する」には、約300人が参加しました。

谷事務局長をコーディネータとし、角田政志さん(福島県平和フォーラム共同代表)、キム・チュニさん(韓国・環境運動連合事務総長)が会場で、井上まりさん(アメリカ・核のない世界のためのマンハッタンプロジェクト共同創設者)、デズモンド・ドラチョムさん(マーシャル諸島・大学教員、REACH-ME創設者)がオンラインで、議論を行いました。8月下旬に放出開始が目論まれる状況を踏まえ、熱のこもった内容となりました。

最後に谷事務局長が「ミライノウミプロジェクト」を紹介し、支援と協力を呼びかけて終了しました。

【被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会】開会行事

【被爆78周年原水爆禁止世界大会・長崎大会】国際シンポジウム「放射能汚染水の海洋放出に反対する」

被爆78周年原水爆禁止世界大会・大会アピール

私たちは被爆から78年を迎えた今年の夏、コロナ禍以前の大会規模をめざしながら原水爆禁止世界大会を福島・広島・長崎で開催しました。毎年暑い夏を迎えるたびに、広島・長崎の被爆の実相を原点に、「核と人類は共存できない」という揺るぎない考えのもと、平和・核兵器廃絶・脱原発・ヒバクシャの援護連帯などをテーマに学び、理解を深め、とりくみの具体的な行動について議論してきました。この大会は、日常的な原水禁運動の礎となり、日本国内はもとより、世界の核廃絶を訴えるさまざまな運動とつながってきました。

核をめぐる国際情勢は、ロシアによる核兵器使用の威嚇発言やベラルーシへの戦術核配備等によって、これまでになく緊張状態が高まっています。5月に開催されたG7広島サミットにおいては、核兵器保有と核抑止力なるものを一定認める文書しか採択できず、核廃絶や核軍縮に向けた歩みを進めることはかないませんでした。NPT体制による核兵器保有国は、第6条で「核軍備縮小への誠実な交渉を行う」と定められているにもかかわらず、いまだ世界には12,000発を超える核兵器が存在しています。被爆者がこれまで世界で語ってきた被爆の実相は、これらの核兵器使用を決して許さず、核兵器禁止条約の発効へとつながってきました。被爆国である日本は、直ちに核兵器禁止条約に批准し、核兵器廃絶を願う世界各国の先頭に立ち、すべての核兵器廃絶を実現させていくリーダーシップをとるべきです。安保3文書の改訂によって、敵基地攻撃能力を保有することは、これまでの「専守防衛」の枠組みを逸脱するものです。これまで非核3原則の法制化を求めてきた私たちは、核抑止力や軍事力によって、真の平和な社会は実現できないと確信しています。

本大会の大きなテーマである「被爆の実相の次世代継承」は、今後も国際社会において日本が果たすべき役割を考えると、待ったなしの喫緊の課題です。本大会に参加した高校生・大学生をはじめとする若い世代の学ぶ姿に、この先の原水禁運動の光を見出していきたいと考えます。

長崎において、被爆者と認められず「被爆体験者」とされている問題が、78年経った今に至っても解決していません。「被爆体験者は被爆者だ」と、日本政府に一刻も早く認めさせなければなりません。また、被爆二世・三世課題の解決に向けてとりくみをすすめなければなりません。原水禁運動は、被爆者援護法を国家補償としていく運動を継続し、世界のウラン鉱石採掘や原発労働者を含めた、世界のすべてのヒバクシャと連帯して運動を進めていきます。

核の「平和利用」なる原子力発電等の危険性についても、これまで私たちは軍事であれ「平和利用」であれ、「核と人類は共存できない」として、反対の立場を貫いてきました。福島第一原発事故から12年。日本政府は再び原発推進政策に舵を切りました。福島の避難住民への医療・介護費の減免措置の段階的打ち切り等、福島第一原発事故はもう終わった、収束したと言わんばかりの切り捨て政策を、私たちは決して許すことはできません。政府はすべての原発事故被害者の健康・医療を保障すべきです。

福島で今夏にも強行されるおそれがある放射能汚染水の海洋放出については、決して福島だけの問題にしてはならず、私たちが大会を通して議論する大きな柱の一つとして位置づけてきました。漁業関係者をはじめとした地元の反対もある中、この海洋放出を許してしまうわけにはいきません。

私たちは原水禁世界大会を開催し、各地域で奮闘する仲間の存在を改めて感じ、ともにその方向性について確認する機会としてきました。これからも、今の国際社会全体が、そして日本が「いつか来た道」に再び戻ることがないよう、反戦・反核の運動を続けていくことを決意し、原水禁世界大会全体アピールとします。

2023年8月7日
被爆78周年原水爆禁止世界大会参加者一同

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