TPNW - 原水禁

核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議開催にあたっての原水禁のとりくみ

2025年03月03日

「核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議」が3月3日から7日にかけて、アメリカ・ニューヨークで開催されます。原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は第1回(2022年6月・ウィーン)、第2回(2023年11月・ニューヨーク)に引き続き、秋葉忠利・原水禁顧問や谷雅志・原水禁事務局長、そして大学生・高校生などからなる代表団を派遣します。締約国会議に対する意見発信を追求するとともに、現地でのサイドイベント企画への参加などをつうじ、核廃絶を求め行動する人びととの交流を行う予定です。

当ページでは、現地でのとりくみの状況などについて、速報的な報告を掲載しますので、ぜひご確認をお願いします(日付は現地時間基準です)。

3月7日

核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議の最終日、原水禁顧問の秋葉忠利さんが発言に立ちました。

高校生などほかの代表団メンバーはフライトの都合で一足早く帰途に就いています。今回の代表団派遣の成果などについてはあらためて共有する機会を持ちたいと思います。

【参考】

「高校生平和大使」が帰国“今後も核兵器廃絶に向け活動を”
“核兵器禁止条約の締約国会議にあわせてニューヨークを訪れていた長崎の「高校生平和大使」が8日帰国し、今後も核兵器廃絶に向けて活動を続けていく決意を示しました。”

3月6日

秋葉忠利さんは「世界の軍縮に向けた地域でのとりくみ」をテーマにした会議に出席しました。非核地帯宣言についてのとりくみを報告したモンゴルのNGOの方(写真中央)、そしてアメリカ・ピースアクションの方(同左)と交流。

また、医師で原水禁専門委員でもある振津かつみさんに紹介していただき、フランス領ポリネシアの方とも意見交換しました。フランスの核実験による被爆の問題についてお伺いしました。

高校生たちは締約国会議の本会議を傍聴しました。発言の機会が来ることを心待ちにしていましたが、TPNW6条・7条に関するセッションでも、残念ながら高校生平和大使の名前が呼ばれることはなく、今回は本会議で発言することは叶いませんでした。

夕方にはニューヨーク州立大学でのTPNW関連イベントに参加し、高校生3人が発言しました。本会議でスピーチできなかった分も思いを込めて素晴らしい内容のスピーチを行い、会場からの拍手も鳴りやまないほどでした。

【参考】

ニューヨークの若者と交流 高校生平和大使・沖本晃朔さん【NEVER AGAIN・つなぐヒロシマ】
“「被爆者の経験・声・意思は不可欠です。これらは『核のタブー』を生み出し、核兵器に対する反対感情を喚起することにつながります。それが被爆4世である私ができること、やるべきことだと考えています。 人類の夢を実現するために、一緒に頑張りましょう。」”

オーストリア外務省軍縮局長のアレクサンダー・クメントさんのほか、コスタリカやキリバスの大使なども発言されていました。日本被団協からは事務局次長の和田征子さんも参加され、被爆の実相に次世代継承が重要課題の一つであることを述べられていました。

イベント終了後には、現地の大学生と交流を深め、最後には互いに別れを惜しむほどに親しくなっていました。

これまでの期間中、さまざまな方々と交流することができました。その一部をご紹介します。

コンゴの方:サイドイベントの発言後に声をかけていただきました。「原爆の原料にコンゴのウランが使われた」とお話ししてくださいました。あとでくわしく調べてみたいと思っています。夏の広島・長崎にぜひ行ってみたい、訪れるのが夢ですと言われたので、原水禁世界大会に参加してくれると嬉しいですと伝えたところ、今後連絡を取り合いましょうということになりました。

タヒチの方々:これまで核実験被害の運動をされてこられたリーダーが亡くなられた後に、新しい世代としてとりくみ始めたというお二人でした。ぜひ原水禁世界大会に来てくださいとお話しして、この方々とも今後連絡を取り合うことになりました。

このほかにもたくさんの方々にお声がけをしました。被爆80年を迎える今年の夏、原水禁世界大会に国際社会からもたくさんの参加があることを願っていますし、これからもこうした交流の機会を大切にしていきたいと感じました。

3月5日

今朝は国連本部前にある「イザヤの壁」での屋外市民集会からスタートしました。高校生平和大使によるスピーチには、参加者から大きな拍手が上がりました。

【参考】

日本の高校生らが核兵器廃絶を訴え 核兵器禁止条約の締約国会議が開かれているニューヨーク国連前
“ニューヨークの国連本部では、今月3日から7日の日程で、3回目となる核兵器禁止条約の締約国会議が行われています。これに合わせ、日本の高校生平和大使らが国連前で集会を行い、「私たちが想像する“平和”とは核兵器のない世界だ」などとアピールしました。”

核廃絶へ「一歩踏み出そう」 高校生平和大使が訴え―米
“核兵器禁止条約締約国会議が開かれている米ニューヨークの国連本部前で5日、核廃絶を求める集会が行われ、日本から参加した「高校生平和大使」らが「核兵器のない平和な世界の実現に向け、一緒に一歩を踏み出そう」と呼び掛けた。”

核兵器禁止条約締約国会議 被爆者や高校生が現地でデモ行進 米
“「広島と長崎に投下された原爆によって、21万人以上の命が一瞬にして奪われました。いまも世界には1万2000発以上の核兵器がありますが、私が想像する平和に核兵器はありません」”

高校生平和大使や被団協関係者、核廃絶を訴える 核禁条約会議を機に
“「被爆者は涙や怒り、悲しみとともに経験を共有し、聞かせてくれた。私はそこから学び、引き継いでいきたいと心に決めた」”

10時15分から原水禁と「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」、「核のない世界のためのマンハッタン・プロジェクト」が共催し、核被害者をテーマにしたサイドイベント「日本のヒバクシャ運動から学ぶこと」を行いました。

谷のスピーチと高校生のスピーチをあわせて15分、原水禁運動の歴史に学びながら、次世代を意識した運動へつなげていくというテーマでお話ししました。

【参考】

「ノーモア」訴え反核行進 高校生平和大使3人参加
“3人は原水禁国民会議と広島の市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」が主催する国連本部での集会にも出席。沖本さんは曽祖母の被爆体験に触れ「被爆者から学び、廃絶という人類の希望をかなえよう」と英語で語りかけた。集会後には、「広島と長崎だけでない、植民地主義と結びついた核被害について知ることができた」と話した。”

→谷事務局長のスピーチ内容はこちら( PDF )

午後からは本会議を傍聴しました。きょうの議論は「核兵器禁止条約の普遍性」がテーマでした。NGO団体がスピーチする姿を見ながら自分たちの出番が来ることを心待ちにしています。

夜(日本時間で6日の朝)には「核兵器をなくす日本キャンペーン」の皆さんによる「世界中継2025春ニューヨーク核兵器禁止条約速報」のゲストとして、これまでとりくんできたことの報告や感想などをそれぞれお話ししました。

秋葉忠利さんは午前、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメリッサ・パークさん、川崎哲さんと意見交換。核兵器の先制不使用宣言の意義や核抑止論の問題点、さらに被爆者による核兵器廃絶を求める運動との連携をめぐる課題について議論しました。

また、ニューヨーク平和基金代表の中垣顕実さんからインタビューを受けました。後日「仏教タイムス」に掲載されるそうです。


午後にはローザ・ルクセンブルク財団が開催した、各国のアクティビストとの意見交換会に出席。秋葉さんの具体的かつ実践的な目標を立てた構想は、参加者から非常に好意的に受け止められていました。

3月4日

高校生平和大使はきょう、ニューヨークのふたつの高校を訪問しました。

【参考】

高校生平和大使 NYの高校生に原爆の悲惨さ伝える
“核兵器禁止条約の締約国会議にあわせて、ニューヨークを訪れている「高校生平和大使」の3人が現地の高校生たちと交流し、原爆の被害の悲惨さや核兵器廃絶への思いを訴えました。”

高校生平和大使、米で学校訪問 「家族失った痛みを想像して」
“東京、広島、長崎の高校から派遣された大使3人が、同世代の生徒計約50人と意見交換した。原爆投下後の原爆ドームの写真や家族を亡くした被爆俳人の作品などを紹介した。”

午前中の学校では生徒会や模擬国連に参加している高校生に向けてプレゼンテーションを行い、ディスカッションしたほか、折り鶴をいっしょに折るなどして交流しました。

午後に訪れた学校では日本の中学3年生にあたるクラスの授業時間に、同じくプレゼンと折り鶴、質疑応答をしました。同じ内容をプレゼンしても、反応の違いが大きかったことがとても興味深かったです。

秋葉忠利さんは夜に開催された「今でなければいつ? 未来のために核戦争を防ぐ国際フォーラム」に出席しています。

原水禁として発言エントリーをしている秋葉さんが7日午後(現地時間)に発言できることになりそうです。高校生の発言時間についても何とか確保できないかと事務局と鋭意調整しています。

明日は朝から天候があまり良くないとの予報です。屋外集会もあることからすこし心配しています。

3月3日

今朝、国連入場パスを取得しました。第2回締約国会議のときはいろいろなことがあって入場に一日かかってしまったことを思うと、今回はスムーズでした。

国連本部ビル向かいの一室を会場にして行われたアイルランド国連常駐代表部主催の「インターナショナルユースオリエンテーション」に参加しました。高校生平和大使も発言し、自分たちのとりくみと主張をアピールしました。午後からはアメリカのピースアクションユースや他の団体の一緒に交流会を行いました。

本会議での発言をめざしてエントリーしていますが、発言枠の確保についてはなかなか厳しい状況も見られます。それでも原稿の修正を行いながら高校生たちは発言準備を整えています。原水禁としての発言エントリーも行い、その時が来ることを心待ちにしています。

ランチタイムでは食堂のテーブルの周りに座っている参加者と交流し、核兵器廃絶に向けた原水禁としての構想の説明を行っています。

秋葉忠利さんはこの日、世界各国から参加した国会議員の会合に出席、核兵器廃絶に向けた具体的なビジョンなどについて提案、その後参加した議員や報道陣の皆さんと意見交換を行っていました。

傍聴席がいっぱいになるほど参加者が集まっていますが、国としての参加については空席が目立つことが気になりました。第3回を迎え、TPNWに署名・批准する国の数がまだまだ伸びていない現状を目の当たりにした気がしています。もちろん、日本政府にも一刻も早い条約への署名・批准を求めていかなければなりません。

日本は季節外れの寒さだとニュースでくりかえし報道されています。ニューヨークも日差しに暖かみを感じますが、空気は冷たくまだ冷え込んでいます。明日以降も寒さや「時差ぼけ」などに負けることなく、がんばりたいと思います。

【参考】

核禁会議、長崎から研究者や高校生参加 被爆80年「重要なヤマ場」
“米ニューヨークの国連本部で開催の核兵器禁止条約の第3回締約国会議。被爆地の長崎からも、長崎大学の研究者や高校生平和大使が現地を訪れ、会議やサイドイベントなどに参加する予定だ。”

3月2日

広島・長崎、そして東京から羽田空港に集まり、全員揃ってニューヨークへ。同じ飛行機には日本被団協のみなさんや他の団体のみなさん、マスコミ関係者も多く、出発前から交流を図ることができました。

【参考】

核兵器禁止条約の締約国会議へ 日本被団協の被爆者などが出発
“小林さんたち高校生平和大使は日本時間の3日未明、ニューヨークに到着する予定で、核兵器禁止条約の締約国会議を傍聴するほか、現地の高校で英語でスピーチすることにしています。”

ニューヨークに到着してからは「911メモリアルパーク」などを見学しました。明日からの発言やプレゼンテーションの作りこみをしながら、高校生・大学生と一緒に現在の国際情勢や核兵器禁止条約についての議論を深めました。

具体的に準備を進めなければなりませんが、それぞれの思いを出し合い、ぶつけ合う時間もまた大切だと感じます。明日からしっかりがんばりたいと思います。

原水禁声明「日本政府の核兵器禁止条約第3回締約国会議への不参加決定に抗議する」

2025年02月19日

日本政府が核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議への不参加を表明したことに対し、原水禁は以下の声明を発表しました。

日本政府の核兵器禁止条約第3回締約国会議への不参加決定に抗議する

2月18日、岩屋外務大臣は3月3日から7日にかけてニューヨークで開催される核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議(3MSP)に、日本政府としてオブザーバー参加を見送る方針を表明し、「大変難しい、厳しい判断をせざるを得なかった」と述べた。

TPNWが発効して4年。これまで日本政府はTPNWに対して、「核兵器のない世界の世界への重要な条約」としながらも、核保有国が参加していないことを理由に、批准に否定的な姿勢を崩そうとはしていない。一方で、核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を担うとしているが、非核保有国を中心に発効されたTPNWに消極的な態度を示しながら「橋渡し役」など務まるはずがない。

原水禁はTPNW発効につながった国際社会における「核の非人道性」の確立において、被爆者が果たしてきた役割は非常に大きなものであったことを認識し、被爆の実相を証言してきた被爆者のみなさんに心からの敬意を表する。

2024年にはそれまでの成果が認められ、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞した。こうしたなかで、日本政府が被爆80年にあたって核兵器廃絶に向けとりくむことに国内外の期待が集まっていたところだった。

いま国際社会では、ロシアやイスラエルなど、軍事力で問題を解決しようとする国々の姿勢によって、核兵器使用リスクが高まりつつある。同時に、そうした姿勢を許さず、核兵器廃絶を求める声も高まり続けている。

そのような状況にあって、日本政府がTPNWに前向きな姿勢を示さないばかりか、オブザーバー参加さえも見送るということは、日本政府が核兵器廃絶そのものに否定的だと国際社会に受け止められるだろう。それは戦争被爆国である日本政府のとるべき態度ではない。

今回の参加検討においては、日本政府は過去の締約国会議にオブザーバー参加した国の事例を検証するとしてきた。ドイツやノルウェー、オーストラリアなどの事例をどのように具体的に検証したのか、その実態が説明されることはなかった。そもそも検証を行うにあたり、当然あるべき「オブザーバー参加する」という方向性が確認されていたのかも疑わしい。

すでに日本からも多くの市民団体やNGO団体、個人が第3回締約国会議に参加するため準備を進めている。原水禁も核兵器廃絶を願う国際社会において、これまで積み重ねてきた市民の連帯を深めることが重要だと考え、「すべてのヒバクシャ救済」と「核廃絶」を両輪として進めてきた原水禁運動の具体化をはかるため、第3回締約国会議に向け代表団を派遣する予定だ。

これまでの締約国会議のなかで私たちに寄せられてきたのは、「なぜ原爆被害の凄惨さを一番経験している日本がTPNWに参加しないのか」という、至極当たり前の疑問の声だ。原水禁はこれまでも、日本政府に一刻も早いTPNWへの署名・批准を求めて運動を展開してきた。今回の参加見送りに、被爆者を中心に落胆の声が大きく拡がっているが、ここで運動の歩みを止めるわけにはいかない。

日本政府がTPNW第3回締約国会議への参加を見送ったことは、核兵器廃絶に向けた国際社会の流れに逆行している。日本政府が示す方針はアメリカの「核の傘」に守られることに拘泥し続けており、核兵器の存在を支えている核抑止論を自らのりこえようとする姿勢は見られない。被爆から80年経とうとする今日において、一日も早い核兵器廃絶の実現を願う被爆者のおもいに応えることとは程遠いと言えるだろう。

私たちは今後も粘り強く、日本政府にTPNWへの署名・批准を求めていく。それが被爆80年を迎えてもなお、苦しみ続ける被爆者のおもいを受け止めることにつながると考える。そして核も戦争もない社会の構築に向けて、今後も原水禁運動を積極的に展開していくことを改めて決意する。

2025年2月19日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野浩一
金子哲夫
染 裕之

原水禁声明「核兵器禁止条約(TPNW)発効から4年を迎えるにあたって」

2025年01月22日

1月22日、核兵器禁止条約(TPNW)発効から4年を迎えることから、原水禁として以下の声明を発表しました。

核兵器禁止条約(TPNW)発効から4年を迎えるにあたって

核兵器禁止条約(TPNW)は、2021年に発効してから本日1月22日で4周年を迎えました。TPNWは非人道的兵器である核兵器の開発、保有、実験、使用をはじめ使用の威嚇を含むあらゆる活動を全面的に禁止する条約です。

核拡散防止条約(NPT)再検討会議を軸とした核軍縮交渉の枠組みは停滞し、世界各地で戦火は絶えず核兵器使用が現実的な危機として存在しています。そうしたなかでTPNWは核兵器廃絶への道筋をつけるものとして期待を集めており、2025年1月現在、署名国94か国(地域)、批准国73か国(地域)と参加が拡がっています。

TPNWはすでに第1回締約国会議(2022年6月・ウィーン)、第2回締約国会議(2023年11月~12月・ニューヨーク)が開催され、核兵器の非人道性や世界の核被害の実相などの議論が重ねられてきています。また、第3回締約国会議(2025年3月・ニューヨーク)の開催に向け準備が進んでいます。

とくに、第2回締約国会議にはドイツ、ノルウェー、ベルギーといった北大西洋条約機構(NATO)加盟国で日本同様アメリカの「核の傘」の下にある国々もオブザーバー参加するなどのあらたな動きもみられました。

原水禁は、TPNWを成立・発効させ、大きく拡げていったさまざまな国々の、さまざまな立場の人びとの絶え間ない奮闘に心から敬意を表します。TPNWには、広島・長崎の戦争被爆者、核実験などにより被爆した世界のヒバクシャの受けた大きな苦しみを直視し、かかる被害を生み出した核兵器を必ず廃絶していくという決意が込められているものと考えます。

私たちとしても被爆の実相の継承に向けたとりくみ、被爆者援護に向けたとりくみ、あるいは世界のヒバクシャとの連帯のとりくみといった原水禁運動の内容を世界の人びとと共有しながら、TPNWの前進をつくりだすべく力を尽くしていきます。とくにこの間指摘してきたウラン鉱山採掘をめぐる核被害の問題などについても発信し、議論を呼びかけていきたいと考えます。

そのいっぽう、日本政府が核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自称しながら、TPNWに対して背を向け、不参加の態度を変えていないことを、私たちは強く批判します。

石破首相は1月8日に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の役員と面会しました。日本被団協のノーベル平和賞受賞には祝意を述べたものの、その後は核抑止に関する持論を一方的に語るのみで、TPNW締約国会議へのオブザーバー参加を求める要請には答えませんでした。

被爆者自身が原爆被害の実相を証言することは、国際社会に対して核兵器の非人道性を明らかにし、今日に至るまで戦争による核兵器使用を阻む最も大きな力となってきました。そのことに込められた思いや努力にいっさい向き合うことなく核抑止へのいっそうの傾斜を是とする態度は、不誠実極まりありません。

戦争被爆国日本に求められているのは、日本政府自身の核抑止からの脱却を含め核兵器廃絶に向けた具体的な行動にとりくむことであり、また、核保有国に対しては先制不使用宣言を求めるなどの外交努力を果たすことです。そのためにも、まずは日本政府のTPNWに対する態度をあらためさせることが、世界の核軍縮、ひいては核兵器廃絶に向けた動きに大きな弾みをつけることになると確信します。

被爆80年である2025年、原水禁は日本の、そして世界の人びととの共同をとおして、核も戦争もない社会の実現に向けた大きなうねりをつくりだしていきたいと考えています。その一環として、TPNW第3回締約国会議にも原水禁代表団を派遣する予定です。参加する多くの人びととの議論や交流が大きな実りを生み出すことに心から期待します。

2025年1月22日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野浩一
金子哲夫
染 裕之

核兵器禁止条約(TPNW)第2回締約国会議開催にあたっての原水禁のとりくみ

2023年11月27日

「核兵器禁止条約(TPNW)第2回締約国会議」が11月27日から12月1日にかけて、アメリカ・ニューヨークで開催されます。核兵器をめぐっては厳しい情勢にあるいま、あらためてTPNWに対する期待も高まっています。オーストリア・ウィーンで開催された第1回締約国会議でも、核兵器の非人道性や世界の核被害の実相についての議論もされてきたところです。

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は前回同様、現地派遣を行います。今回は、谷雅志・原水禁事務局長のほか大学生・高校生という若い世代が意見を発信するとともに、現地に集う核廃絶を求めるさまざまな人びととの交流を行う予定です。

原水禁が締約国会議に提出した作業文書(ワーキングペーパー):英語日本語

当ページでは、現地でのとりくみの状況などについて、速報的な報告を掲載しますので、ぜひご確認をお願いします(日付は現地時間基準です)。

【参考】

核禁条約会議 被爆者への思い込めた 高校生平和大使・安野さん活動報告 /長崎
“安野さんは「高校生の活動を知ってもらえる機会になった。自分がこれまで聞いてきた被爆者の言葉や思いを演説に盛り込めたので、私が行けたことに意味があるのではないか」と語った。”

核禁条約の会議に参加した高校生が報告会
“安野さんは交流していた被爆者の一人が会議期間中に亡くなったことにも触れ、集まった高校生に活動を加速させていく必要性や経験を行動につなげていく決意を語りました。”

国連スピーチの高校生平和大使、核廃絶へ「世界に発信できた」…長崎市で帰国報告会
“報告会で安野さんは、「被爆者の声を直接聞いて、自分の声で世界に発信できたことに意義を感じた」と述べた。また、被爆体験を記した自叙伝などを通じて平和の尊さを訴え続け、11月25日に97歳で亡くなった井黒キヨミさんにも触れ、参加した高校生に対し、「被爆者には時間がない。今すぐ行動に移してほしい」と力を込めた。”

核禁条約・締約国会議でNY訪問の学生「被爆者の話を聞くことができる最後の世代としての責任を自覚」
“核兵器禁止条約第2回締約国会議に合わせてアメリカ・ニューヨークを訪れた広島の学生が帰国報告を行い、被爆者の話を聞くことができる最後の世代として、今後も世界に核兵器廃絶を訴えていく決意を示しました。”

核兵器禁止条約締約国会議へ派遣 元高校生平和大使らが活動報告 広島
“先月27日にニューヨークの国連本部を訪れ、日本政府がオブザーバー参加しなかったことについて「残念である」とスピーチし核兵器の非人道性についてなど訴えました。”

核兵器廃絶へ高校生ら決意 締約国会議から帰国
“尾崎さんは、長崎の高校生と共に市民団体から派遣され、国連本部での締約国会議でスピーチした。各国の政府代表たちを前に被爆10年後に白血病で亡くなった佐々木禎子さんの話を紹介したといい、「自分の言葉で訴え、多くの人の平和への関心を高められた」と手応えを語った。”

高校生平和大使ら帰国「今後も核兵器の非人道性訴えたい」
“「日本政府は会議に参加していないが、そういう国に被爆者支援の知見を生かした助言ができると思う。引き続き、日本政府に参加を求めたい」”
“「今回の訪問で、核廃絶には世界中の人々が団結して訴えかけることが大事だと感じた。被爆体験が聞ける最後の世代として被爆者の声を聞き、今後も世界に向けて核兵器の非人道性を訴えたい」”

核兵器禁止条約 第2回締約国会議を終えて <上> 成否 核抑止論否定に挑戦
核兵器禁止条約 第2回締約国会議を終えて <下> 被爆国の溝 政府 際立つ消極姿勢
“被爆者の思いを継ぐ若い世代も育っている。元高校生平和大使で広島市立大1年の大内由紀子さん(19)は開幕前、オブザーバー参加を求める署名約4万3千筆を仲間と集め、政府へ提出した。カンパで旅費を捻出して渡米し、30日に在ニューヨーク日本総領事館の前であった抗議集会で、マイクを通して訴えた。「勇気を出してください。核兵器に頼る平和はありません」”

不参加の政府に歯がゆさ 核禁条約締約国会議、参加の被爆者・学生ら
“現地の日本総領事館前では、会議への日本政府のオブザーバー参加を求めるスピーチをした。大内さんは「日本政府が参加しないのは悔しい。政府に対してこの条約への向き合い方を催促するような活動もしたい」と話した。”

11月30日

30日午前、日本領事館前で行われた集会に参加し、大学生の大内由紀子さんが英語でスピーチをしました。大内さんを中心とした「 Connect Hiroshima 」は、日本政府が締約国会議にせめてオブザーバー参加するべきだとして呼びかけた署名を計43000筆余り集め、外務省に提出するなどの活動をすすめてきました。このとりくみには広島原水禁をはじめ原水禁としても協力してきたところです。

【参考】

「日本はオブザーバー参加を」総領事館前で広島の大学生が訴え
“「高校生平和大使」も経験した大内さんは、広島で被爆し白血病のため12歳で亡くなった佐々木禎子さんについて説明したうえで、「核兵器を用いてつくられる平穏は平和とはいえません。日本政府は、核兵器廃絶を先導する勇気を持ってください。核兵器がなくなる日まで団結し、継続して声を上げていきましょう」と訴えました。
大内さんは、「若者が発言することで条約参加への機運を高めることができるのではないかと思っています。これからも国内だけでなく海外にも核兵器の非人道性を訴えます」と話していました。”

「原爆は人間的な生死奪う」 新旧高校生平和大使、NYで発信
“米ニューヨークの国連本部で開かれている核兵器禁止条約の第2回締約国会議に合わせ、広島と長崎の高校生平和大使と平和大使経験者が渡米した。関連行事に参加し、若い世代との交流や核兵器の非人道性を訴えるスピーチをしている。”

その後、空港へ移動、長時間のフライトを経て、無事日本へと帰国しています。

これから先の世代を生きる当事者が「自分事」として核兵器の問題を捉え、その廃絶に向けて行動しようとしています。原水禁はそれを支え、応援しながら、核兵器廃絶と世界平和の実現に向けた歩みを、ともに確実にすすめていきたいと思います。

11月29日

昨日から発言機会が得られることを待ち望んでいたところでしたが、きょうの午後の一般討論でその時がやってきました。市民社会のみなさんの発言が続いたのち、「GENSUIKIN」が呼ばれました。

はじめに広島の尾崎さん、続いて長崎の安野さん、最後に大学生の牟田さんが締めくくる形でスピーチを行い、きっちり6分の発言時間いっぱいまで使って討論に参加しました。直前まで今回の派遣メンバーであれこれ考え、修正しながら仕上げたスピーチです(スピーチ英語全文はこちらをご覧ください)。国際会議での公式な発言機会に3人とも緊張した面持ちでしたが、やり終えた充実感は格別でした。

【参考】

核禁条約締約国会議 長崎市長・高校生平和大使が被爆地の思いをスピーチ
“討論ではNGOとして参加している長崎出身の大学生や高校生も発言、高校生平和大使の長崎東高校2年 安野美乃里さんは爆心地付近で撮影された黒こげの少年の写真を掲げ訴えました。”
“高校生平和大使・安野さん
「彼は未来を奪われ人間性を保つことさえできませんでした。核兵器廃絶のために行動することは私たちみんなの責任です」”

広島市の松井市長 ニューヨークでの締約国会議に出席 核兵器禁止条約の実効性高めるよう呼びかけ
“…広島と長崎から派遣された高校生平和大使も演説し、核兵器の非人道性を訴えました。”

「核兵器が再び使用されたらどうなるのか」鈴木長崎市長が演説 核兵器禁止条約締約国会議《長崎》
“会議では、高校生平和大使らもスピーチしました。”

「核兵器と共存できず」 被爆地の市長、高校生が訴え―締約国会議
“国内外で被爆の実相を伝える「高校生平和大使」も演説し「核兵器と人類は共存できない」と訴えた。”
“高校生平和大使として派遣された安野美乃里さん(17)=長崎東高校2年=、尾崎心泉さん(16)=広島市のAICJ高校1年=も出席し、長崎で撮影された黒く焼け焦げた少年の写真を示しながら核の非人道性を強調。「核廃絶のために行動し、平和を実現することは私たちの責任だ」と呼び掛けた。”

長崎市長、被爆三世らが訴え 核兵器禁止条約・締約国会議【長崎市】
“長崎と広島の高校生平和大使は写真を掲げながら、被爆の実相を伝えました。”

核廃絶「強固な包囲網を」 核禁条約会議で長崎市長 平和大使・安野さんも訴え 長崎東2年
“第25代高校生平和大使で県立長崎東高2年の安野美乃里さん(17)は、旧日本軍カメラマンの山端庸介氏が、爆心地近くで数千度もの熱線を浴びて地面に横たわる黒焦げの少年の写真を示しながら、「彼は未来を奪われ、人間性を保つことさえできなかった」と核兵器の非人道性を訴えた。その上で「核兵器廃絶のために行動し、武器のない平和を実現することが私たちの責任だ」と呼びかけた。”

[核兵器禁止条約 第2回締約国会議] 「安全保障の懸念」精査へ 決定事項草案 独は抑止の重要性主張
“元高校生平和大使で東京大2年の牟田悠一郎さん(21)=広島市東区出身=は「悲劇を繰り返さないために、核兵器の廃絶へ一緒に取り組みたい」と誓った。”

夜には、原爆投下直後の広島を取材したルポ「ヒロシマ」で知られるジャーナリストのジョン・ハーシー( John Hersey )さんのお孫さんにあたるアーティスト、キャノン・ハーシー( Cannon Hersey )さんとお会いし、交流を深めました。

締約国会議は30日まで続きますが、原水禁派遣団は30日の朝、日本領事館前での集会に参加したあと、帰国の途につく予定です。長いようで短かった5日間も明日で終わります。核兵器廃絶に向けた国際的な連帯を強めるうえでも、大変重要な機会になりました。

11月28日

今朝は国連本部の向かい側にある「イザヤの壁」での市民集会からスタートしました。昨日より一段と冷えた朝にも怯むことなく、高校生平和大使の2人がスピーチを行いました。堂々とした英語のスピーチを聞いた参加者から大きな拍手を得ることができました。

【参考】

核頼らない安保体制を 湯崎広島知事、締約国会議で訴え
“国内外で被爆の実相を伝える「高校生平和大使」の安野美乃里さん(17)=長崎東高校2年、尾崎心泉さん(16)=広島市のAICJ高校1年=も参加。「憎み合い、核の威嚇が行われているのが今日の世界だ。人々の痛みを理解し、持続可能な平和のため行動することが大切だ」と英語で呼び掛けた。”

高校生平和大使「非核の道を」 被爆地の悲願、英語で発信
“核兵器廃絶を求める広島と長崎の「高校生平和大使」2人は28日、被爆者と共に国連本部前であった集会に参加した。「未来を生きる人の平和のために核廃絶の道を選択しよう」と被爆地の悲願を英語で語り、参加者から拍手が送られた。”

ニューヨークでデモ行進 核兵器廃絶や条約への批准を訴え
“デモ行進は、核兵器禁止条約の2回目の締約国会議に合わせて複数のNGOが企画し、スタート地点となった国連本部の前には、各国のNGOのメンバーに加え、被爆者や高校生平和大使など、あわせておよそ200人が集まりました。”

「生きている間に核廃絶を」「笑顔で暮らせる未来を」 被爆者や高校生が集会で訴え 核兵器禁止条約 締約国会議開催中の米ニューヨーク国連本部前で
“広島の高校生平和大使 尾崎心泉 さん
「この世から核兵器がなくなり、世界中の人々が笑顔で暮らせる未来を想像してください」”

核禁条約 第2回締約国会議 ニューヨークで被爆者や高校生が核兵器廃絶を訴える
“また、AICJ高校1年の尾崎 心泉さんも演説を行い核兵器の非人道性を伝えました。
【高校生平和大使・尾崎 心泉 さん】(英語でスピーチ)
「2発の原爆は被爆者が人間らしく生きること、あるいは人間らしく死ぬことすら許しませんでした。犠牲になった方々に罪があったのでしょうか?絶対に違います」”

[核兵器禁止条約 第2回締約国会議] 広島知事 パネル討議に登壇 抑止論からの脱却 強調
“ AICJ高1年尾崎心泉(こころ)さん(16)=広島市南区=は、被爆地で戦後も続いた放射線被害や差別について紹介。「言葉の力で核兵器の非人道性を訴え続ける」と宣言した。長崎東高2年安野美乃里さん(17)=長崎県諫早市=は「違いを否定せず、人の痛みを理解し、武器に頼らない持続可能な平和を目指そう」と呼びかけた。”

その後、締約国会議の中での発言に向けて、ギリギリまで原稿の修正と練習を重ねながら、その時がくるのを待ちました。13時の終了の時間が近づくに連れ、できるかできないかドキドキした展開が続き、ようやく司会の方から「GENSUIKIN」と呼ばれエントリーされるところまで行きました。しかし、いよいよという寸前で定刻の13時になり、残念ながら今日も発言の機会は得られませんでした。

午後からはユースのイベントに参加する組とサイドイベントに参加する組にわかれて行動しました。18時30分からは核兵器廃絶に向けたアワードのイベントに参加。音楽ありスピーチありの市民イベントに大いに刺激を受け、充実した1日を終えました。

世界各国からの発言登録もたくさんあることから、発言者に選ばれることはなかなか大変な現状との説明も受けています。それでも、寝る間を惜しんで発言内容の修正にとりくんだ大学生と高校生の思いが通じることを、心の底から願っています。

11月27日

今日から始まったTPNW第2回締約国会議。傍聴エントリーのパスを取得するのに並ぶこと3時間。並んでいる間にも前後の方々と交流をしながら待ちました。ちょっとしたハプニングもありましたが、アメリカ留学中の大学生の大活躍により無事入館し、会議を傍聴することができました。

「人道主義に関するテーマの議論・核兵器の影響」の会議の中で、議長国であるメキシコの方から市民社会の発言登録の案内がありましたので、原水禁として登録したところ、発言できることになりました。今日は残念ながら時間がなくなったため発言機会がなく、明日の午前中に持ち越しになりました。明日こそ、高校生平和大使2人と大学生がスピーチができることを願います。

夕方は Peace Action New York State が主催するユース交流会に参加しました。それぞれのグループの話が盛り上がり、英語・日本語を交えて交流を深めました。

11月26日

13時間の空の旅を経て、無事ニューヨークへと到着しました。

なお、今回、全国被爆二世団体連絡協議会・会長の崎山昇さんからビデオメッセージを託されていますので、ここに掲載し、ご紹介します(日本語訳・英語全文のテキストはこちらをご覧ください)。

「核兵器禁止条約第2回締約国会議へのオブザーバー参加を求めます #WishYouGoToNY 」、計43288筆を提出

2023年11月02日

元・高校生平和大使の大学生が中心となって活動している「Connect Hiroshima」が呼びかけた署名「核兵器禁止条約第2回締約国会議へのオブザーバー参加を求めます #WishYouGoToNY 」について、10月31日、外務省への提出が行われました。2か月余りのとりくみ期間で、紙での署名も含め約43288筆を集めました。

提出した大学生は二人とも、核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議への参加経験をもとに、世界各国から日本政府の姿勢が問われている・注目されていることを訴えました。そして、被爆国日本が果たすべき国際的な役割にむけ、核兵器禁止条約の署名・批准を求めつつも、まずは第一歩となる会議へのオブザーバー参加を強く求めました。

外務省からは従来の日本政府としての考え方が述べられました。いっぽう、若い世代が主体的にとりくむ活動への敬意が示され、意見の違いはあったとしても継続して意見交換に応じる旨のお話がされました。

この署名活動には広島をはじめ、原水禁としても協力を行ってきました。今後も被爆の実相の次世代への継承を重要な課題として位置付けるとともに、「核と人類は共存できない」という原水禁運動の原点に立って、引き続き若い世代のとりくみを支援していきます。

【参照】
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20231101/4000024057.html
https://www.47news.jp/10067241.html

オンライン署名「核兵器禁止条約第2回締約国会議へのオブザーバー参加を求めます #WishYouGoToNY 」のご紹介

2023年10月10日

11月27日から12月1日にかけて、アメリカ・ニューヨークにある国連本部で、核兵器禁止条約(TPNW)の第2回締約国会議が開催されます。

日本はこの間も核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自称しながら、一貫してTPNWへの不参加の態度を変えることがありませんでした。しかしすでに発効し締結国会議も開催されているいま、早急に方針転換することが必須です。

今回、広島の元・高校生平和大使が中心となって結成した「Connect Hiroshima」が、オンライン署名「核兵器禁止条約第2回締約国会議へのオブザーバー参加を求めます #WishYouGoToNY 」への協力を呼びかけていますので、ご紹介します。

核廃絶に向け日本政府が具体的なステップを踏み出すことを、被爆者をはじめ世界の人びとが期待しています。日本政府を後押しするためにも、このオンライン署名へのご協力をお願いします。

核兵器禁止条約第2回締約国会議へのオブザーバー参加を求めます #WishYouGoToNY
https://chng.it/5PRWCQKsJn

【原水禁声明】核兵器禁止条約発効2周年にあたり、改めて日本政府へ1日も早い署名・批准を求める

2023年01月23日

原水禁は、1月22日付で以下の声明を発表しました。

核兵器禁止条約発効2周年にあたり、改めて日本政府へ1日も早い署名・批准を求める

核兵器禁止条約(TPNW)が2021年1月22日に発効して2年が経過した。世界中で92か国・地域が署名し、68か国・地域が批准しているこの条約に、日本政府はいまだ署名・批准をしようとしない。唯一の戦争被爆国であり、被爆の惨劇を経験した国として、核兵器を禁止する世界の潮流を生み出す立場であるはずが、核兵器使用による惨劇を二度と繰り返させないとする被爆者の強い願いと、世界中の核兵器廃絶を願う市民の声に耳を傾けず、とどまり続けることは決して許されない。日本政府には改めて、1日も早い署名・批准を求める。

TPNWは1996年に起草され、2007年にはその改訂版をコスタリカおよびマレーシアが国際連合(国連)に共同提案した。その内容は、核の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用、威嚇としての使用のすべてについて、取扱いを禁止するものとなっている。2020年10月24日、条約発効に必要な批准国が50か国に達したことから、その90日後の2021年1月22日にTPNWは発効した。

TPNW第1回締約国会議では、TPNWと核不拡散条約(NPT)は対立するものではなく、現在のNPT体制を補完する役割としてのTPNWであることを明確に打ち出し、相互対立を招くことがないよう配慮した宣言も出された。NPTでは、核兵器保有を5か国(米露英仏中)の「大国」に認める一方で、誠実に核軍縮交渉を行う義務があることを規定している。しかし、米ソ冷戦時代から引き続く「核の抑止」なる考え方を乗り越えることができず、世界では13000発以上の核兵器がいまだに存在している。TPNWは、遅々として進まない核軍縮に憤りと不満を抱える非核兵器保有国である「小国」が中心となって進めてきた。より多くの国が一刻も早くTPNWへ締約し、世界中のどこにいても、平和が担保される暮らしが保障されるべきだ。その実現のために、日本政府が1日も早くTPNWに署名・批准をすることは当然のことだと考える。

日本政府は1994年以来、毎年国連に「核兵器のない世界」の実現に向けた「現実的な道筋」を示すとした核兵器廃絶決議案を提出してきた。2022年は賛成139か国で、昨年より13か国も減った。国際状況がより混沌とする中、日本が果たすべき役割について、今のままでは十分ではないという世界各国からの失望が示されたと捉えることもできるだろう。岸田首相は「核兵器廃絶はライフワーク」とまで発言している。被爆の実相を知る被爆者の平均年齢は85歳に迫っている。日本政府は一刻も早い決断をするべきだ。

TPNWに強い反対を示しているアメリカとの関係を重視するあまり、条約への前向きな姿勢さえ示せないのであれば、日本政府が毎年国連に提出している核兵器廃絶決議案は何の意味を持つのか。本末転倒だと言わざるを得ない。

私たちは日本政府に核兵器廃絶を実現する国際的役割の先頭に立つこと、そしてただちにTPNWへの署名・批准を行うよう強く求める。

2023年1月22日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野 浩一
金子 哲夫
藤本 泰成

核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議開催にあたって

2022年06月13日

コロナ禍によって延期を重ねてきた「核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議」が開催されます。原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は今回、開催地オーストリア・ウィーンに現地派遣を行い、核廃絶を求める意見発信を行う予定です。

原水禁が締約国会議に提出した作業文書(ワーキングペーパー):英語(国連サイトへのリンク)日本語

その一環として日本時間6月20日(月)午前2時30分~3時30分に現地報告をオンライン配信しました。下記よりアーカイブ動画をご覧になれます。

核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議開催にあたって 原水禁ウィーン現地報告

発言:
秋葉忠利(元広島市長、原水禁顧問)
川副忠子(被爆者、長崎)
大内由紀子(第24代高校生平和大使、広島)
神浦はる(第24代高校生平和大使、長崎)
崎山昇(被爆二世、長崎)
藤本泰成(原水禁共同議長)
谷雅志(原水禁事務局長)

2022TPNWウィーン派遣高校生平和大使動画報告

youtubeチャンネル「高校生平和大使・高校生1万人署名活動」では現地に訪問した高校生平和大使のおふたりの目線からの活動報告動画が配信されていますので、こちらもあわせてご覧ください。

核兵器禁止条約の発効にあたっての原水禁議長声明

2020年10月25日

核兵器禁止条約発効確定にあたっての原水禁議長声明発出について

 昨日10月24日、中米ホンジュラス共和国が核兵器禁止条約に批准し、よって来年1月22日には発効することが確定しました。発効することが確定したことを受けて原水禁は、別紙声明を発出しました。核禁条約発効後も「核と人類は共存できない」ことを基本として、核兵器廃絶のみならず、すべての国の、すべての核に反対しとりくみを強化していくことを確認したいと思います。

 

 

核兵器禁止条約発効確定にあたっての原水禁議長声明

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)

議長 川野浩一

 10月24日、核兵器禁止条約(TPNW)を中米のホンジュラス共和国(Republic of Honduras)が批准しました。これにより批准した国・地域が50に達して、2021年1月22日に発効することが確定しました。これにより核兵器を非人道的兵器・絶対悪と定める国際規範が成立し、世界は核兵器廃絶という希望へ大きく前進することとなりました。原爆投下の惨劇の中から生きることを選択した被爆者の強い思いと、日本の原水禁運動やICANなどの核兵器廃絶にとりくむNGOの様々な努力、そして核兵器に頼ることなく自国の安全と世界の平和を願う各国政府のとりくみの大きな成果です。原水禁は、条約発効の意味をしっかりと受け止め、様々な組織・人々とともに核兵器廃絶へのとりくみを進めることを改めて確認します。

 しかし、核兵器保有国、日本やドイツなど他国の核の傘の下にある国は、核抑止力を自国の安全保障の基本に据えて、条約に反対しています。本年10月2日に開かれた国連の「核兵器廃絶国際デー」で演説に立った、オーストリア代表の「核抑止力は安全をもたらすものではない。いいかげんにこの神話を葬ろう」との呼びかけに、核兵器保有国や保有国の核の傘の下にある国は真摯に応えるべきです。

 今年8月9日、長崎平和祈念式典後の記者会見で安倍首相は、核兵器禁止条約に触れ「わが国の考え方とアプローチを異にしている」として、改めて条約に参加しないことを表明しています。また、安倍政権を継承するとした菅首相は、9月26日の国連総会でビデオ演説し「積極的平和主義」に基づき世界平和に貢献するとしましたが、「現実の安全保障の観点を踏まえていない」として、これまでの政府の姿勢を基本に核兵器禁止条約には触れませんでした。安倍政権は、この間朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の核実験・ミサイル発射実験を脅威とし、また中国の南シナ海進出も含めて日本をめぐる安全保障の脅威を主張してきました。その上で、核抑止力をことさらに評価し条約批准が日米安保条約体制に矛盾するとの立場をとり、旧来の安全保障観を抜けることができません。朝鮮は、2002年のアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領の「悪の枢軸国」とされて以来、米国の圧力の下で核兵器保有を強行してきました。中国は、核の先制不使用宣言しており、両国の核兵器や戦力が日本へ向けられているとは考えられません。米国とともに、中国や朝鮮を仮想敵国として、ミサイル防衛の強化や敵基地攻撃に言及する日本政府の姿勢こそが、日本の安全を脅かすものと考えられます。

 原水禁は、連合、核兵器廃絶・平和建設国民会議とともに、「核兵器廃絶1000万署名」にとりくみ、日本政府に核兵器禁止条約の批准を求めるとともに、核兵器廃絶を訴えてきました。8月9日には、長崎において中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表に、823万を超える署名を手交しました。中満泉事務次長は、核兵器廃絶という目標は「日本も共有しているはず」として条約に反対する各国に対して「ドアを完全に閉めずオープンマインドで」と苦言を呈しています。

 米国は、イラン核合意を破棄し、そしてINF条約も破棄しました。来年2月には期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)の交渉も、米露両大国の思惑が交錯し、先行きが不透明となっています。これまでの米露を中心とした核兵器削減の流れが止まろうとしています。中距離核戦力をめぐる米国とロシア・中国の対立は、日本への米軍中距離ミサイル配備や核弾頭配備の可能性も引き出しています。唯一の戦争被爆国としての国是である、核兵器をもたず、つくらず、持ち込ませずとする非核三原則に抵触する事態もおきかねない状況です。核兵器廃絶を、日本政府が主張するのであれば、核兵器保有国と非保有国の間に立って、核兵器廃絶への対話をつくりだす役割を果たさなくてはなりません。核兵器をめぐる状況がきびしい中にあって、日本に与えられた役割は大きいと考えます。今年の長崎平和祈念式典の平和宣言において、田上富久長崎市長は「核兵器の恐ろしさを経験した国として、1日も早く核兵器禁止条約の署名・批准を実現するとともに、北東アジア非核地帯の構築を検討してください。『戦争をしない』という決意を込めた日本国憲法の平和の理念を永久に堅持してください」と訴えました。戦後日本が、日本国憲法前文で誓った「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」のであれば、日本と世界の将来を見据えた議論を開始し、そのための努力を開始すべきです。

 原水禁は、核兵器禁止条約が発効したこの記念すべき出発点にあたって、平和を愛するすべての人々と、核兵器廃絶・平和構築にむけて、全力でとりくんでいくことを改めて確認します。

 

 

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