2025年世界・原水禁の動き

核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議開催にあたっての原水禁のとりくみ

2025年03月03日

「核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議」が3月3日から7日にかけて、アメリカ・ニューヨークで開催されます。原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は第1回(2022年6月・ウィーン)、第2回(2023年11月・ニューヨーク)に引き続き、秋葉忠利・原水禁顧問や谷雅志・原水禁事務局長、そして大学生・高校生などからなる代表団を派遣します。締約国会議に対する意見発信を追求するとともに、現地でのサイドイベント企画への参加などをつうじ、核廃絶を求め行動する人びととの交流を行う予定です。

当ページでは、現地でのとりくみの状況などについて、速報的な報告を掲載しますので、ぜひご確認をお願いします(日付は現地時間基準です)。

3月7日

核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議の最終日、原水禁顧問の秋葉忠利さんが発言に立ちました。

高校生などほかの代表団メンバーはフライトの都合で一足早く帰途に就いています。今回の代表団派遣の成果などについてはあらためて共有する機会を持ちたいと思います。

【参考】

「高校生平和大使」が帰国“今後も核兵器廃絶に向け活動を”
“核兵器禁止条約の締約国会議にあわせてニューヨークを訪れていた長崎の「高校生平和大使」が8日帰国し、今後も核兵器廃絶に向けて活動を続けていく決意を示しました。”

3月6日

秋葉忠利さんは「世界の軍縮に向けた地域でのとりくみ」をテーマにした会議に出席しました。非核地帯宣言についてのとりくみを報告したモンゴルのNGOの方(写真中央)、そしてアメリカ・ピースアクションの方(同左)と交流。

また、医師で原水禁専門委員でもある振津かつみさんに紹介していただき、フランス領ポリネシアの方とも意見交換しました。フランスの核実験による被爆の問題についてお伺いしました。

高校生たちは締約国会議の本会議を傍聴しました。発言の機会が来ることを心待ちにしていましたが、TPNW6条・7条に関するセッションでも、残念ながら高校生平和大使の名前が呼ばれることはなく、今回は本会議で発言することは叶いませんでした。

夕方にはニューヨーク州立大学でのTPNW関連イベントに参加し、高校生3人が発言しました。本会議でスピーチできなかった分も思いを込めて素晴らしい内容のスピーチを行い、会場からの拍手も鳴りやまないほどでした。

【参考】

ニューヨークの若者と交流 高校生平和大使・沖本晃朔さん【NEVER AGAIN・つなぐヒロシマ】
“「被爆者の経験・声・意思は不可欠です。これらは『核のタブー』を生み出し、核兵器に対する反対感情を喚起することにつながります。それが被爆4世である私ができること、やるべきことだと考えています。 人類の夢を実現するために、一緒に頑張りましょう。」”

オーストリア外務省軍縮局長のアレクサンダー・クメントさんのほか、コスタリカやキリバスの大使なども発言されていました。日本被団協からは事務局次長の和田征子さんも参加され、被爆の実相に次世代継承が重要課題の一つであることを述べられていました。

イベント終了後には、現地の大学生と交流を深め、最後には互いに別れを惜しむほどに親しくなっていました。

これまでの期間中、さまざまな方々と交流することができました。その一部をご紹介します。

コンゴの方:サイドイベントの発言後に声をかけていただきました。「原爆の原料にコンゴのウランが使われた」とお話ししてくださいました。あとでくわしく調べてみたいと思っています。夏の広島・長崎にぜひ行ってみたい、訪れるのが夢ですと言われたので、原水禁世界大会に参加してくれると嬉しいですと伝えたところ、今後連絡を取り合いましょうということになりました。

タヒチの方々:これまで核実験被害の運動をされてこられたリーダーが亡くなられた後に、新しい世代としてとりくみ始めたというお二人でした。ぜひ原水禁世界大会に来てくださいとお話しして、この方々とも今後連絡を取り合うことになりました。

このほかにもたくさんの方々にお声がけをしました。被爆80年を迎える今年の夏、原水禁世界大会に国際社会からもたくさんの参加があることを願っていますし、これからもこうした交流の機会を大切にしていきたいと感じました。

3月5日

今朝は国連本部前にある「イザヤの壁」での屋外市民集会からスタートしました。高校生平和大使によるスピーチには、参加者から大きな拍手が上がりました。

【参考】

日本の高校生らが核兵器廃絶を訴え 核兵器禁止条約の締約国会議が開かれているニューヨーク国連前
“ニューヨークの国連本部では、今月3日から7日の日程で、3回目となる核兵器禁止条約の締約国会議が行われています。これに合わせ、日本の高校生平和大使らが国連前で集会を行い、「私たちが想像する“平和”とは核兵器のない世界だ」などとアピールしました。”

核廃絶へ「一歩踏み出そう」 高校生平和大使が訴え―米
“核兵器禁止条約締約国会議が開かれている米ニューヨークの国連本部前で5日、核廃絶を求める集会が行われ、日本から参加した「高校生平和大使」らが「核兵器のない平和な世界の実現に向け、一緒に一歩を踏み出そう」と呼び掛けた。”

核兵器禁止条約締約国会議 被爆者や高校生が現地でデモ行進 米
“「広島と長崎に投下された原爆によって、21万人以上の命が一瞬にして奪われました。いまも世界には1万2000発以上の核兵器がありますが、私が想像する平和に核兵器はありません」”

高校生平和大使や被団協関係者、核廃絶を訴える 核禁条約会議を機に
“「被爆者は涙や怒り、悲しみとともに経験を共有し、聞かせてくれた。私はそこから学び、引き継いでいきたいと心に決めた」”

10時15分から原水禁と「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」、「核のない世界のためのマンハッタン・プロジェクト」が共催し、核被害者をテーマにしたサイドイベント「日本のヒバクシャ運動から学ぶこと」を行いました。

谷のスピーチと高校生のスピーチをあわせて15分、原水禁運動の歴史に学びながら、次世代を意識した運動へつなげていくというテーマでお話ししました。

【参考】

「ノーモア」訴え反核行進 高校生平和大使3人参加
“3人は原水禁国民会議と広島の市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」が主催する国連本部での集会にも出席。沖本さんは曽祖母の被爆体験に触れ「被爆者から学び、廃絶という人類の希望をかなえよう」と英語で語りかけた。集会後には、「広島と長崎だけでない、植民地主義と結びついた核被害について知ることができた」と話した。”

→谷事務局長のスピーチ内容はこちら( PDF )

午後からは本会議を傍聴しました。きょうの議論は「核兵器禁止条約の普遍性」がテーマでした。NGO団体がスピーチする姿を見ながら自分たちの出番が来ることを心待ちにしています。

夜(日本時間で6日の朝)には「核兵器をなくす日本キャンペーン」の皆さんによる「世界中継2025春ニューヨーク核兵器禁止条約速報」のゲストとして、これまでとりくんできたことの報告や感想などをそれぞれお話ししました。

秋葉忠利さんは午前、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメリッサ・パークさん、川崎哲さんと意見交換。核兵器の先制不使用宣言の意義や核抑止論の問題点、さらに被爆者による核兵器廃絶を求める運動との連携をめぐる課題について議論しました。

また、ニューヨーク平和基金代表の中垣顕実さんからインタビューを受けました。後日「仏教タイムス」に掲載されるそうです。


午後にはローザ・ルクセンブルク財団が開催した、各国のアクティビストとの意見交換会に出席。秋葉さんの具体的かつ実践的な目標を立てた構想は、参加者から非常に好意的に受け止められていました。

3月4日

高校生平和大使はきょう、ニューヨークのふたつの高校を訪問しました。

【参考】

高校生平和大使 NYの高校生に原爆の悲惨さ伝える
“核兵器禁止条約の締約国会議にあわせて、ニューヨークを訪れている「高校生平和大使」の3人が現地の高校生たちと交流し、原爆の被害の悲惨さや核兵器廃絶への思いを訴えました。”

高校生平和大使、米で学校訪問 「家族失った痛みを想像して」
“東京、広島、長崎の高校から派遣された大使3人が、同世代の生徒計約50人と意見交換した。原爆投下後の原爆ドームの写真や家族を亡くした被爆俳人の作品などを紹介した。”

午前中の学校では生徒会や模擬国連に参加している高校生に向けてプレゼンテーションを行い、ディスカッションしたほか、折り鶴をいっしょに折るなどして交流しました。

午後に訪れた学校では日本の中学3年生にあたるクラスの授業時間に、同じくプレゼンと折り鶴、質疑応答をしました。同じ内容をプレゼンしても、反応の違いが大きかったことがとても興味深かったです。

秋葉忠利さんは夜に開催された「今でなければいつ? 未来のために核戦争を防ぐ国際フォーラム」に出席しています。

原水禁として発言エントリーをしている秋葉さんが7日午後(現地時間)に発言できることになりそうです。高校生の発言時間についても何とか確保できないかと事務局と鋭意調整しています。

明日は朝から天候があまり良くないとの予報です。屋外集会もあることからすこし心配しています。

3月3日

今朝、国連入場パスを取得しました。第2回締約国会議のときはいろいろなことがあって入場に一日かかってしまったことを思うと、今回はスムーズでした。

国連本部ビル向かいの一室を会場にして行われたアイルランド国連常駐代表部主催の「インターナショナルユースオリエンテーション」に参加しました。高校生平和大使も発言し、自分たちのとりくみと主張をアピールしました。午後からはアメリカのピースアクションユースや他の団体の一緒に交流会を行いました。

本会議での発言をめざしてエントリーしていますが、発言枠の確保についてはなかなか厳しい状況も見られます。それでも原稿の修正を行いながら高校生たちは発言準備を整えています。原水禁としての発言エントリーも行い、その時が来ることを心待ちにしています。

ランチタイムでは食堂のテーブルの周りに座っている参加者と交流し、核兵器廃絶に向けた原水禁としての構想の説明を行っています。

秋葉忠利さんはこの日、世界各国から参加した国会議員の会合に出席、核兵器廃絶に向けた具体的なビジョンなどについて提案、その後参加した議員や報道陣の皆さんと意見交換を行っていました。

傍聴席がいっぱいになるほど参加者が集まっていますが、国としての参加については空席が目立つことが気になりました。第3回を迎え、TPNWに署名・批准する国の数がまだまだ伸びていない現状を目の当たりにした気がしています。もちろん、日本政府にも一刻も早い条約への署名・批准を求めていかなければなりません。

日本は季節外れの寒さだとニュースでくりかえし報道されています。ニューヨークも日差しに暖かみを感じますが、空気は冷たくまだ冷え込んでいます。明日以降も寒さや「時差ぼけ」などに負けることなく、がんばりたいと思います。

【参考】

核禁会議、長崎から研究者や高校生参加 被爆80年「重要なヤマ場」
“米ニューヨークの国連本部で開催の核兵器禁止条約の第3回締約国会議。被爆地の長崎からも、長崎大学の研究者や高校生平和大使が現地を訪れ、会議やサイドイベントなどに参加する予定だ。”

3月2日

広島・長崎、そして東京から羽田空港に集まり、全員揃ってニューヨークへ。同じ飛行機には日本被団協のみなさんや他の団体のみなさん、マスコミ関係者も多く、出発前から交流を図ることができました。

【参考】

核兵器禁止条約の締約国会議へ 日本被団協の被爆者などが出発
“小林さんたち高校生平和大使は日本時間の3日未明、ニューヨークに到着する予定で、核兵器禁止条約の締約国会議を傍聴するほか、現地の高校で英語でスピーチすることにしています。”

ニューヨークに到着してからは「911メモリアルパーク」などを見学しました。明日からの発言やプレゼンテーションの作りこみをしながら、高校生・大学生と一緒に現在の国際情勢や核兵器禁止条約についての議論を深めました。

具体的に準備を進めなければなりませんが、それぞれの思いを出し合い、ぶつけ合う時間もまた大切だと感じます。明日からしっかりがんばりたいと思います。

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