核のごみ - 原水禁
2026年03月24日
原発の稼働によって生み出される高レベル放射性廃棄物、いわゆる『核のごみ』。その最終処分場の選定をめぐり、3月3日に経済産業省は、東京都小笠原村に対して南鳥島での『文献調査』の実施について申入れを行いました。
日本では処分地も選定基準もなお不透明なまま、政策だけが先行しているのが現状です。こうした課題を考えるうえで重要な手がかりとなるのが、海外の取り組みです。
本書『どうする?原発のごみ5』では、エネルギー事情や経済構造に共通点の多いドイツと、直接民主主義を特徴とするスイスの事例を中心に、最終処分場の選定プロセスや市民参加のあり方を詳しく検証しています。ドイツでは科学的基準の明確化と市民参加の制度化が進められ、スイスでも早い段階から地域や隣国を含めた合意形成の仕組みが整えられています。
海外の実践と比較することで、日本の制度の課題や限界が浮き彫りになります。『核のごみ』問題は、原子力政策そのものと切り離して考えることはできません。
原水禁は、高レベル放射性廃棄物誘致の動きに対し、反対世論をつくり出すために、『どうする?原発のごみ』シリーズを刊行してまいりました。
この度、岡村りらさん(専修大学)に『比較環境政策』の観点から、核のごみ問題について執筆していただき、パンフレットを作成いたしましたので、ご案内します。

『どうする?原発のごみ5 原子力政策と高レベル放射性廃棄物政策―ドイツとスイス、日本の事例を中心に―』
(1)発行者:原水爆禁止日本国民会議/原子力資料情報室/反原発運動全国連絡会
(2)版 型:A5判 64頁
(3)頒 価:1冊700円/送料実費(50冊以上は送料無料)
(4)発 行:2026年3月
(5)内 容:はじめに/ドイツにおける原子力発電の議論/高レベル放射性廃棄物政策/比較考察/まとめ
(6)注文方法:ご注文冊数・お名前・お送り先ご住所・お電話番号を明記のうえ、下記までお送りください。
FAX:03-5289-8223 mail:office@peace-forum.top
2026年03月12日
3月3日、高レベル放射性廃棄物(「核のごみ」)の最終処分地の選定をめぐり、経済産業省が、東京 小笠原村の南鳥島で調査の第1段階となる「文献調査」の実施について村に申し入れを行いました。これを受け、原水禁は、抗議の意思を示す声明を発出しましので、ここにお知らせいたします。
原子力政策推進と南鳥島への「核のごみ」処分地選定調査申し入れに断固反対し抗議する
3月3日、経済産業省は、東京都小笠原村に対して南鳥島での「文献調査」の実施について申入れを行った。「文献調査」とは、高レベル放射性廃棄物(「核のごみ」)の最終処分地を選定するための第一段階の調査である。
日本では2000年に成立した「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」にもとづき、原子力発電(原発)から出る「核のごみ」を地下300メートル以上に埋設し、数万年から10万年単位で隔離する地層処分を基本方針として、原子力発電環境整備機構(NUMO)が処分事業を担っている。
政府は各自治体から手が挙がるような仕組みによる「応募誘導政策」を進め、これまで北海道の寿都町や神恵内村、佐賀県玄海町でNUMOが処分地の選定調査を進めている。
「応募誘導政策」が行き詰まる中、政府は「地域任せにせず、国の責任で地域に協力をお願いしていく」として、小笠原村への要請となった。政府は調査有望地を表示した「科学的特性マップ」で「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域とされている」ことや「全島が国有地である」ことなどを理由にあげている。
しかし、島の面積はおよそ1.5平方キロメートルであり十分な処分場所の確保ができるとは言い難く、台風の常襲地域であること、気候変動による海面上昇など長期的な環境変化の危険性も高いと考えられる。また、近年南鳥島近海では、放射性物質を含まない良質のレアアース鉱床が発見され、その開発が期待されている。
原子力政策は、経済面でも環境面でも利点はなく、政策そのものが行き詰まっていること、原発再稼働によって「核のごみ」がより一層増えていく問題を、原水禁はこれまでも繰り返し指摘してきた。日本だけでなく、世界のどこにも放射性廃棄物処分に関して確実に安全だと言い切れる場所は存在していない、にもかかわらず、処分地をどこかに設定し埋めてしまえばよいという安易な発想で問題を処理しようとしていることは許されない。本来問われるべきなのは、原子力政策とその構造的矛盾ではないか。
原水禁は、現状においては、脱原発を実現してこれ以上「核のごみ」を出さないこと、そして核燃料サイクル計画を断念し、使用済み核燃料はドライキャスクなど比較的安全な方法で監視できる場所で保管することを提起している。
日本の原子力政策は、「原発を動かして核のごみを生む、しかし処分地は決まらない」という矛盾を抱えたまま続けられている。その結果として、「住む人が比較的少ない場所、すなわち過疎地に膨大な財政支援を付帯して押しつける」という、極めて差別的で不公正な方法で進められる。
原水禁は、原子力政策そのものが誤った政策であることを強く訴え、脱原発社会の実現をめざしていく。今回明らかになった南鳥島への処分地選定調査の申し入れというやり方には断固反対する。そのうえで、「核のごみ」の問題については、地層処分方針からの転換を求め、すでに生み出してしまった「核のごみ」の行き場については、開かれた場所での議論を丁寧に進めていくことを、政府に求めていく。
2026年3月12日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野浩一
金子哲夫
染 裕之
2025年12月05日
2025年11月23日、高レベル放射性廃棄物施設を幌延町が誘致表明してから41年を迎える日に、「北海道への核持ち込みは許さない!11.23幌延デー北海道集会」(主催:北海道平和運動フォーラム)が幌延町で開催され、全道から約400人が参加しました。
参加者は「核のゴミ」の地層処分に反対の意思を示し、研究の継続は最終処分場につながるものであるとして、寿都町・神恵内村で進む概要調査の中止と、幌延での地層研究の終了を訴えました。
集会後には「北海道を核のゴミ捨て場にさせない」と声をあげながら、幌延町内でデモ行進が行われました。
集会次第はこちら
集会決議はこちら
幌延における核のゴミ問題の経緯
1984年、幌延町が動力炉・核燃料事業団による高レベル放射性廃棄物施設「貯蔵工学センター」の誘致を表明すると、直ちに幌延町と周辺住民が反対を表明。当時の横路知事も反対姿勢を示し、全道で労働組合や市民団体を中心に運動が広がりました。
その結果、2000年には北海道議会が「核のゴミは受け入れ難い」とする条例を制定しました。しかし同時に、北海道は「深地層研究計画」を受け入れることとなり、この研究は当初の予定を超えて9年間延長され、2028年度末に期限を迎える見込みです。現在も埋め戻し方針が明確でないうえ、再延長を求める動きも見られています。
北海道の「核抜き条例」および北海道・幌延町・原子力機構による「三者協定」を遵守させ、深地層研究計画の早期終了と確実な埋め戻しを求める取り組みの強化が、改めて重要になっています。
若い世代への継承と情報発信の強化
当日午前には、幌延周辺自治体の議員や住民組織、自治労による合同会議も開催されました。会議では「40年が経過し、若い世代の間で幌延問題への意識が薄れている」「SNSを活用して関心を高める情報発信が必要だ」といった意見が出されました。また、高レベル放射性廃棄物の処分地選定問題を含む取り組み状況を、より広く周知していく必要性が共有されました。
2020年10月29日
10月26日、神恵内村・寿都町への「文献調査」応募抗議申入れを行いました
10月26日、原水禁、北海道平和フォーラム、NPO法人・原子力資料情報室の3団体で、高レベル放射性廃棄物処分についての「文献調査」に応募した神恵内村、寿都町への抗議申入れを行いました。
神恵内村では、副村長に申し入れを行い、高橋村長への要望書を預ける形となりました。

寿都町では、片岡町長本人に申し入れを行い、一時間以上にわたる話し合いとなりました。片岡町長からは、「核のゴミの問題について、国民的議論をするべく一石を投じたこと」、「推進賛成派と反対派、両方の意見を聞きながら、文献調査、ボーリング調査と進めてから処理施設の受け入れを判断をするべきである」と回答がありました。

両自治体ともに、泊原発からほど近い立地であり、それだけに原発立地地域対策交付金を受け取っています。
しかし、文献調査は、実質的に現地での広報活動であり各種資料自体は東京にあること、決して補助金によって地域経済がバラ色になるものではありません。
文献調査受け入れの白紙撤回を求めるとともに、しっかりと住民との対話を行い、北海道知事や周辺自治体と協議することを、両自治体に訴え、要望書のほか、「核のごみ処分調査応募検討の白紙撤回を強く求める」共同声明を手交しました。
申入れの要望内容の詳細は、以下の要望書をご覧ください。
神恵内村 高橋昌幸殿(PDF)
寿都町長 片岡春雄殿(PDF)
共同声明 核のごみ処分場調査応募検討の白紙撤回を強く求める
申入れの際の様子は、YouTube公式チャンネルでの動画を公開しています。
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