エネルギー基本計画
2021年07月27日
7月21日、経済産業省は、第6次エネルギー基本計画(素案)を発表しましたので、原水禁として、声明を発します。
第6次エネルギー基本計画(素案)に対する原水禁声明
7月21日、経済産業省は、第6次エネルギー基本計画の素案を発表した。温暖化ガスの排出量を、2030年度に、2013年度比で46%削減するとの国際公約を踏まえ、再生可能エネルギーの2030年度の発電比率目標を36~38%と引き上げた。計画では「2050年のカーボンニュートラル実現に向け、主力電源として最大限の導入にとりくむ」として、再生可能エネルギーの比率を、2019年度実績の約2倍、現在の目標値を14ポイントほど高くした。しかし、十分とは言えない。欧州委員会は、再エネ比率を2030年までに65%まで引き上げる目標を打ち出している。今後、さらなる比率のかさ上げをめざし、政府はさまざまな施策を打ち出すことが求められる。計画に記された、公共施設の活用、発電コスト低減、環境アセスや自然公園法などの課題克服などはもちろん、エネルギー問題が地域社会・個人生活の重要な課題であることから、地方自治体や地域社会全体で議論できるよう、システムの拡充が求められる。太陽光発電や風力発電の設置をめぐっては、地域住民とのトラブルも起きている。必要なエネルギーをどう確保するかを、地域社会の中で議論することも重要となってきている。
一方で、原子力は依然としてベースロード電源として位置づけられ、20~22%と前回のエネルギー基本計画同様の発電比率が求められている。原発をめぐる情勢や世論を無視し、脱炭素を理由にして原発の活用を再度打ち出してきたことは、福島第一原発事故の被災者を愚弄するもので決して許されない。
2011年3月11日の福島原発事故以降、エネルギーを巡る環境は、国際的にも国内的にも大きく変わった。今や、新規原発計画などありえない。安全対策によるコストの上昇やフクシマに象徴される原発事故の生活環境への壊滅的打撃などの現状を見据え、冷静に将来を見通す努力が求められている。計画では、原発の新規計画やリプレースを盛り込むことはできなかった。計画に記された原発の発電比率は、稼働中の10基、審査中の11基を含めて27基の原発を、稼働率80%で運転する必要がある。計画では「定期検査の効果的・効率的な実施や運転サイクルの長期化」を検討課題としているが、それはまさに安全対策の削減であり、無理な稼働率の引き上げは原発事故の可能性を高めるもので許されない。
地球温暖化対策が世界規模での喫緊の課題とされる今、多くの国々で、化石燃料を利用した火力や原子力から脱却し、風力や太陽光、太陽熱などの再生エネの利用拡大へと急ピッチで進んでいる。日本の旧態依然たる「原発温存」の政策は、政策の硬直性を示し、再エネ普及の阻害要因となっている。「可能な限り原発の依存度を低減する」との表現は維持したが、一方で「安全性の確保を大前提に必要な規模を持続的に活用していく」としている。このような二律背反の姿勢では、将来のエネルギー政策を誤ることは間違いない。
このような中途半端な政策は、目先の安易な利益に誘導され、原発の再稼働へ巨額の費用を投入させてきた。そのことは、再エネ普及に欠かせない送電網の拡充や蓄電池の普及とコスト削減など、さまざまな部分での阻害要因となってきた。
また、電源別では最も安いと言われてきた原発の発電コストも引き上げてきた。今回、経済産業省が発表した2030年時点での発電コストの新たな試算では、原発は1キロワット時あたり11円台後半以上となり、太陽光(8円台前半~)、風力(9円台後半~)、LNG(10円台後半~)に抜かれた。政府や電力会社が福島原発事故以降も原発のコスト面での優位性を強調してきたが、その前提が崩れ、原発の「安全神話」の崩壊とともに、原発推進の理由が失われた。今後、原発の安全対策やバックエンド対策など、多くの不透明な費用負担を考えれば、さらにこのコストは膨らみ続ける。
原水禁は、2021年3月、2030年までに原発・石炭火力ゼロを訴えた政策提言をまとめ、原水禁エネルギー・シナリオとして発表し、政府、経済産業省や国会議員へ提出してきた。 原水禁は、脱原発・脱炭素社会の実現は、気候危機に対する唯一の解決策であり、困難な道のりではあるが、達成可能と考えている。福島原発事故から10年。新たな状況を踏まえ、硬直化したエネルギー政策を見直し、脱原発・脱炭素社会へむけた行動を強く求める。環境に優しく、持続可能な社会は不可能ではない。
2021年7月27日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野 浩一
金子 哲夫
藤本 泰成
2021年06月03日
※報告記事は、ATO4NEN あと4年未来を守れるのは今キャンペーンのホームページをご覧ください。
G7直前全国アクション
G7直前、パリ協定1.5℃目標に整合した気候・エネルギー政策を求め約27万筆の署名提出と全国122ヶ所でスタンディング・アクションを展開

菅首相は、2030年の温室効果ガス目標 2013年度比46%削減と発表しました。
一方、エネルギー基本計画では、原発の新増設やリプレースに踏み込むべきという意見が多く、石炭火力さえも維持・推進する方向です。
このままでは、今はおろか、将来世代の安全な未来を守ることはできません。洪水、森林火災といった気象災害の増加や生物多様性の崩壊などの気候危機を回避できないばかりか、脱炭素社会に向けた世界の大きな潮流から、日本は取り残されてしまいます。
G7サミット開催前日の6月10日、署名提出 (原水禁が参加しているATO4NENキャンペーンと生活クラブの共同署名提出)と、全国一斉スタンディング・アクション(経産省や自治体庁舎の前で、市民がプラカードなどを手に持って立って訴えるアクション)を行いますので、ご紹介致します。
記
1.G7直前 全国一斉スタンディング・アクション
※ 6/2時点で、キャンペーン参加団体が全国7県12ヶ所での実施を予定しています。※ 随時情報追加中
呼びかけ案内HPをご確認いただき、実施予定地点のスタンディングに合流していただくほか、各地でスタンディング実施の企画をお願いします。
※ 実施企画の際には、HP内の「アクションを企画する」より企画内容の入力をお願い致します。以下のアドレスからの入力も可能です。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd1ZDWikK45filmsCiMpd4UZxiCNHw2NNXzg0LrqYPP-5PalA/viewform
2.署名共同提出・記者会見のオンライン配信
「化石燃料も原発も使わない、持続可能な再エネ100%の気候・エネルギー政策」を求める署名の提出を行い、各団体からのメッセージを発信します。
(1) |
日 時: |
6月10日(木)14:00~16:00 |
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開催場所: |
YouTubeオンライン配信 |
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共催団体: |
ATO4NEN あと4年未来を守れるのは今キャンペーン、生活クラブ |
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配信内容: |
これまでに集まったATO4NENの署名と、生活クラブが再エネ60%などを要求している署名を共同で提出し、
記者会見を行います。合計署名数は20万筆を超える予定です。 |
(6) |
配信アドレス: |
https://youtu.be/e6hZfH2wT4M |
(5) |
問い合わせ: |
ato4nen.info@gmail.com |
2021年04月21日
4月20日、「あと4年、未来を守れるのは今」約17万筆の署名を提出
~政府の決定を前に、より野心的な温室効果ガス削減目標を求めた署名を緊急提出~

原水禁も運営団体として参加する「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンでは、日本政府が改定を検討しているエネルギー基本計画と気候変動政策に対し、「化石燃料も原発も使わない、持続可能な再エネ100%の気候・エネルギー政策」を求める署名を12月から展開しています。
この度、会場となった衆議院議員会館に12の呼びかけ団体が集まり、菅内閣総理大臣、梶山経産大臣、小泉環境大臣、河野行革担当大臣あてに、168,157筆(オンライン署名28,533筆、紙署名と呼びかけ団体内別フォーム139,538筆)をの署名を提出しました。
署名提出に引き続き、記者会見を行い、各団体から発言をつなぎました。
原水禁からは、署名に取り組むとともに、「原水禁エネルギープロジェクト」において、エネルギー政策へ「提言書」を出したことを伝えました。署名の趣旨である再エネ100%の社会の実現に向けた「提言」が完成し、全国会議員への配布も予定しています。
<提出の様子は、インスタライブ「【あと4年未来を守れるのは今】署名の中間提出してきました」 をご視聴ください。登壇者氏名を含む、タイムコードはこちらです。>
インスタライブのほか、以下のYouTubeでもご覧いただけます。
「化石燃料も原発も使わない、持続可能な再エネ100%の気候・エネルギー政策」を求める署名の最終集約は5月末日となります。引き続き、ご協力をお願いいたします。
4月20日、「あと4年、未来を守れるのは今」約17万筆の署名を提出
ATO4NENキャンペーンでは、4月22日実施予定の緊急気候マーチ2021「経産省前スタンディング」にも協力します。
2021年03月31日
※4月22日に第一次署名提出を行います
「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーン中間報告
〜呼びかけ・賛同団体は当初の67団体から183に増加 署名も3月17日現在、14万筆を超える〜
今すぐ大胆な気候危機対策を実行しなければ、パリ協定の1.5℃目標を達成できず、気候崩壊を招いてしまう、という危機感から「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンは始まりました。キャンペーンでは、政府がエネルギー基本計画の改定を進めている中で、パリ協定と整合的な温室効果ガスの削減目標の設定と、エネルギー政策の脱炭素・脱原発に向けた大きな見直しを求めています。
署名数はキャンペーン開始以来、オンラインと紙を合わせて142,357筆(3月17日現在)に達し、賛同団体数はこの間、67から183と3倍近くまで増加しています。賛同団体には環境、反原発、再エネ関連団体だけでなく、生協や企業など日々の生活に密着した団体も多く加わり、広範な広がりを見せています。(公社)アムネスティ・インターナショナル日本のほぼ同内容の署名にも、1,813筆が集まっています。
このキャンペーンでは2月4日、「みんなの気候エネルギー会議」をオンラインで開催し、参加した資源エネルギー庁の職員に私たちの声を伝えました。今月17日には、賛同団体を集めオンラインでキャンペーンの報告会を開き、今後さらに連携してキャンペーンを展開することを確認しています。また、4月23日には、フライデーズ・フォー・フュチャー・ジャパンと協働したアクションを予定しており、エネルギー基本計画への市民の声を可視化します。
東京オリ・パラでは組織のメンバー構成が話題になりましたが、政府の資源エネルギー調査会基本政策分科会の構成は多くが産業界に関係する比較的高齢のメンバーであり、気候変動の影響を最も被る若者は委員に入っていません。東日本大震災後に須田女川町長が、「20年後も生きている若い人がやりなさい。還暦以上は口を出すな」と言って若手住民主体で復興をリードしたと同様に、将来の環境を大きく左右するエネルギー問題では、若者の意見を取り入れるべきです。
また、分科会は私たちも試聴できますが、そこでは意見の発表はあるものの異なる意見の間の議論はありません。その意見をどのように解釈して反映させるかは事務局内部のプロセスのため公開されず、透明性のある議論とは言えません。
私たちは、これからも政府に対し、透明性のある民主的な議論に基づいて持続可能なエネルギー政策へ転換していくことを強く求めていきます。
【本キャンペーンのHP】
http://ato4nen.com
【本件に関するお問い合わせ】
ato4nen.info@gmail.com
キャンペーン中間報告(第2回:3/19)
2021年01月27日

日本政府は、これからの日本のエネルギーのあり方を決める「エネルギー基本計画」の見直し議論を10月から始めています。見直しのプロセスを行っている、経済産業省の審議会(総合資源エネルギー調査会基本政策分科会)では、市民の声を届ける機会が非常に限られています。今、必要なのはエネルギーの生産・消費構造の変革とエネルギーシフトです。
「市民のくらしや未来に大きくかかわるエネルギー政策の見直しに、若者や女性、気候変動や原発事故の当事者の声を届けたい」
そんな思いから「市民の声を届ける場」として市民のエネルギー気候会議を企画いたしました。
記
市民のエネルギー気候会議 エネルギー基本計画自主的意見聴取会
日時:2月4日(木)14:00~16:00
場所:オンライン(本ページで閲覧できます)
主催:「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーン
協力:阿部知子事務所、原発ゼロの会
事前質問の受付期間は終了となりましたが、当日オンラインでも質問をすることが可能です。
チャットでの質問をご希望の方は、以下の参加登録をお願いします。
zoom参加登録:https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_vB5s_LSkRby0gQvTnmuwCg
スケジュールは、以下の通り
登壇者は、以下の通り(予定・追加出演者調整中)
白馬高校
金子菜緒さん・宮坂雛乃さん・手塚慧介さん(順不同)
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