被爆77周年原水禁世界大会2022年原水禁大会

原発も核も戦争もない平和な社会の実現を 「被爆77周年原水爆禁止世界大会・福島大会」を開催

2022年07月31日

7月30日、「被爆77周年原水爆禁止世界大会・福島大会」を福島市・パルセいいざかで開催しました。新型コロナ感染症の再度の拡大などのきびしい状況が続いていますが、検温や手指消毒、マスク着用の徹底、そして密集をさけるなどの対策を講じながら現地での集会を行い、約400人の参加がありました。また同時に、youtubeでのライブ配信を行いました。

実行委員会を代表し藤本泰成・共同実行委員長が開会のあいさつ。全体で黙祷を行い、現地福島から角田政志・現地実行委員長からあいさつしました。福島第一原発事故被害者からの訴えを「福島原発かながわ訴訟団」の村田弘さんから受けました。続いて谷雅志・事務局長が大会基調提起を行いました。

長沢啓行さん(大阪府立大学名誉教授)による基調講演を受けたのち、振津かつみさん(医師)をコーディネーターに、長沢さんにくわえ川島秀一さん(日本民俗学会会長)、後藤忍さん(福島大学教授)をパネリストにシンポジウム「止めよう!福島第一原発処理水の海洋放出」を行いました。

さらに、福島選出の高校生平和大使からこの間の活動について報告されました。「フクシマアピール」を現地実行委員会の後藤梨那さんが提起し、全体で確認しました。最後に現地実行委員会の瀬戸禎子さんが閉会のあいさつを行い、福島大会を閉じました。

31日にはフィールドワークを行いました。各地を訪問し、また被災地の住民の方にお話しを伺うなどし、災害後11年目を迎えた被災地の現状を学びました。

「被爆77周年原水爆禁止世界大会・福島大会」アーカイブ動画

「2022 フクシマアピール」

東電福島第一原発の過酷事故から11年が過ぎました。いまだに立ち入ることのできない帰還困難区域も広範囲に残り、放射能に汚染された森林、原野の除染は手つかずのままです。一方では、復興拠点の避難指示解除が次々と進められています。関係自治体は、住民の帰還を期待し、町の整備や企業誘致などを進めていますが、帰還を断念した住民も多く課題は山積しています。

国は今年4月、原発事故後から行ってきた、避難指示区域等の住民の医療・介護保険料や医療費の窓口自己負担分の免除等の措置を、2023年度から段階的に廃止することを決定しました。原発事故によって生活を奪われた人々の健康及び生活の保障は、事故を起こした国と東電の責務であり、被害者の当然の権利です。被災者の生活再建支援や健康への保障の打ち切りを許してはなりません。さらには、被ばくを強いられたすべての人々の健康保障をさせていかなければなりません。

7月22日、原子力規制委員会は、東電が認可申請していた福島第一原発の処理水を海洋放出するための実施計画を正式に認可しました。東電は、すでに認可前から、海底の地下トンネルからの海洋放出に向けての様々な環境整備工事や準備を着々と進めています。私たちは強い怒りをもって抗議します。

昨年4月に処理水の海洋放出方針が決定された以降も、反対及び慎重な対応を求める世論は依然として多く、国民の理解は得られていません。今年6月下旬には、全国漁業組合連合会も福島県漁業組合連合会も、改めて処理水の海洋放出への断固反対を表明しています。国も東電も「海洋放出による人や海産物等への影響は極めて軽微であり健康上の影響はない」としていますが、長期にわたる海洋放出の生態への影響も懸念され、国民の理解を得ることはできません。国と東電は、「ALPS処理水は、関係者の理解なしにはいかなる処分もしない」という、漁業者をはじめとする関係者と交わした約束をしっかり守るべきです。

国も東電も「海洋放出は待ったなしの状況」と言っていますが、まだ検討の余地はあります。東電の示している廃炉作業に伴う敷地利用計画は、将来的に使う使用済み核燃料の保管施設や燃料デブリの一時保管施設等に充てるというもので、まったく緊急性はありません。さらに汚染水発生の抑制も、水位を管理しながら地下水の建屋流入をなくし、雨水は屋根の設置とフェーシング等でさらなる抑制ができます。また、タンクの増設場所も、フランジタンク解体で確保でき、予備タンクの活用等で、数年はこのまま陸上保管は継続可能です。東電は、これらを真摯に検討し直し、海洋放出によらないより安全な汚染水対策を示すべきです。

国も東電も「廃炉と復興の両立」を掲げています。今行おうとしている処理水の海洋放出は、事故で被害を強いた人々の犠牲の上に廃炉を進めることに他なりません。私たちは、海洋放出の強行を許しません。海洋放出を止めましょう。

岸田政権は、電力不足を回避するために、原発の再稼働を進めることを公言しています。また、カーボンゼロに向けて原発は必要とし、老朽化原発の稼働期間の再延長や原発の新増設も提言しています。私たちは、原発の再稼働、新増設を許してはなりません。フクシマの悲劇を二度と繰り返させてはなりません。私たちは、改めて東電福島第一原発事故がもたらした深刻な被害の現実にしっかりと向き合い、世代を超えて共に考え、伝え、福島から全国、全世界に訴えます。

私たちは、全国、全世界の反核・脱原発運動と連帯します。国と東電の責任を厳しく問い、被害者支援の切り捨てを許さず、原発事故被害者の人権と補償の確立を求める運動を強めます。ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・チェルノブイリをはじめ、世界の核被害者と連帯します。「核と人類は共存できない」ことを原点に、原発も核も戦争もない平和な社会の実現に向け前進しましょう。

2022年7月30日
被爆77周年原水爆禁止世界大会・福島大会

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