2021年09月29日
9月27日、核兵器廃絶日本NGO連絡会に結集する原水禁を含む20団体は、今年2月に行った政府との意見交換会に続き、10月に開催予定の国連総会第一委員会を前に、核軍縮政策をめぐり、外務省との意見交換会をオンライン形式(参加者24名)で行いました。
2010年のNPT再検討会議の最終文書では、核兵器の完全廃棄の達成という「核兵器国の明確な約束」が再確認され、核兵器国には「具体的な軍縮努力」の実行が求められ、すべての締約国には「必要な枠組み」を確立する「特別な努力」が強調されました。とりわけ、NPTを「国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石」とし、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶に向けた取り組みの先頭に立つことを期待される日本が、どのような政策でのぞむのかは国民の大きな関心事だと言えます。禁止から廃絶へ―条約の発効により、核兵器の廃絶を求める国際社会の取り組みは新たな段階に入りました。そうした時代の大きな転機にあたり、日本政府の役割を求めました。
主な質問事項は、以下の通りです。
1.核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加に関する検討状況について、説明をお願いします。
2.米国の元政府高官等からの「日本は核兵器の先制不使用に反対すべきでない」との要請に対し政府としてどう対応するかについて、説明をお願いします。
3.NPT再検討会議に向けて、核兵器国による第6条履行を確保するためにどのような準備をしているかについて、説明をお願いします。
政府(外務省)は、海部篤軍縮不拡散・科学部長と石井良実軍備管理軍縮課長が対応し、「核兵器廃絶実現という究極的な目的=ゴールは共有している。核兵器国も入っているNPTで、核軍縮を進めていく必要があると考えるので、核兵器国が入っていない中発効した核兵器禁止条約の内容には同意できない。日本周辺国を見れば、北朝鮮をはじめ、現実は危険な状況である。厳しい状況の中、国民の生命・財産を守るため、アメリカの核抑止力は必要と考え、これによって、国民の生命・財産を守るのが政府の立場である。したがって、質問事項の1に関し、核兵器禁止条約に署名する考えはない。また、締約国会議については、慎重に見極めていかなければならない。質問事項の2に関し、アメリカの安全保障議論の中で行われ、出てきた意見だと認識している。一つ一つの意見について、評価すべきではないので、コメントは控えたい。その上で、『先制不使用宣言』は、全ての核兵器保有国が、同時に、かつ検証可能な形で行わなければ意味がないと考えるので、アメリカだけが行うことは意味がない、質問事項の3に関し、核軍縮を進める方策について、さらに機運を高め、廃絶に向かうような決議を提出する準備をしている。」との回答がありました。
※参加団体(順不同):NPO法人原子力資料情報室
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)
日本パグウォッシュ会議
日本反核法律家協会
反核医師の会
世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会
ANT-Hiroshima
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)
9条地球憲章の会
ヒューマンライツ・ナウ
創価学会
原水爆禁止日本協議会(原水協)
世界連邦運動協会
ピースデポ
KNOW NUKES TOKYO
ピースボート
地球市民集会ナガサキ
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
日本YWCA
核兵器廃絶日本NGO連絡会
2021年09月21日
2021年9月17日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野浩一
金子哲夫
藤本泰成
9月15日、原子力規制委員会は、新規制基準を満たすとして、中国電力島根原発2号機の安全審査合格を正式に決めた。しかし、私たちは、島根原発がさまざまな問題点を抱えていると考え、このまま再稼働を許すことはできない。
島根原発は、全国にある原発の中で、唯一県庁所在地にあり、避難計画策定が必要となる30km圏内には、全原発の中で3番目に多い約46万人が住んでいる。このことは、かねてから住民を安全に計画通りに避難させることができるのかが問題視されてきた。また、敷地の南側約2kmの所に東西に走る宍道断層があり、危険性が指摘されてきた。基準地震動が当初の600ガルから820ガルに引き上げられたが、果たしてそれで済むとは思えない。過去には、他の原発ではあるが、基準地震動をはるかに上回る地震動を受けた原発がいくつもあった。津波対策についても高さ15mの防波壁を約1.5kmに渡り建設したが、果たして十分と言えるのだろうか。今回の安全審査合格は、このような不安を払拭できたとは言えない。審査を合格したからと言って、安全・安心が担保されたわけではないことは言うまでもない。
島根原発2号機は、東京電力福島第一原発と同じ「沸騰水型」で、これまでに合格した同型の4基は、地元同意が得られていないなどの理由で、未だ再稼働には至っていない。島根県と松江市をはじめとする周辺自治体の同意や動向が今後の焦点となる。自治体は、住民の安全・安心を最優先すべきであり、再稼働ありきの判断は許されない。中国電力が地元と結んでいる安全協定により、再稼働には立地自治体である島根県と松江市の事前了解が条件となっているが、さらに住民避難計画の策定が必要な原発から30km圏内にある周辺自治体との対応も焦点になっている。現に、島根県の出雲・雲南・安来の各市と、鳥取県、同県米子・境港の両市には、事前了解権(同意権)が与えられておらず、立地自治体並みの「事前了解権」のある安全協定の締結を中国電力に求めている。住民の生命と財産を守るのは自治体の責務であり、当然のことだ。中国電力は、自治体や住民の声を真摯に受け止めるべきである。
国は、福島原発事故後、原発から30km圏内にある自治体に避難計画の策定を義務付けている。一度事故が起きれば、深刻な影響を被る恐れがあり、実際、福島原発事故では、30km以上離れた飯舘村にも放射性物質が飛散し、全村が避難区域になったことを忘れてはならない。事故の教訓を踏まえ、中国電力は事前了解権を拡大するべきである。
大規模な事故を想定して策定する広域避難計画にも懸念は残る。島根原発は、30km圏内に約46万人が生活している。自力避難が困難な高齢者や障がい者など「避難行動要支援者」が5万人超で、サポートにあたる人員を確保できるかも課題だ。当然、避難のための交通手段・避難場所の確保、また今は、新型コロナウイルス対策も必要となる。当該自治体の判断と指示に従って住民は避難することになるが、実際に事故が起きた時に、計画通り対応できるかどうか、その実効性に大きな疑問が残る。これらを放置したままの再稼働は絶対にあり得ない。
島根原発をめぐっては、低レベル放射性廃棄物処理の虚偽記録問題や、廃棄物保管などに使う建物の法定に関する虚偽報告など、不祥事が相次いでいる。テロ対策施設に関する機密文書の廃棄も明らかになった。組織と安全意識の劣化というべき状況が起きていて、地域と住民の信頼は取り戻せないと考える。それ以前に、原発を運転する資格そのものが問われている。
2021年09月11日
エネルギー基本計画は、経済産業省の資源エネルギーに関する調査会で2020年より議論され、2021年7月21日、素案が示され、8月4日、経済産業省審議会で「エネルギー基本計画」の原案が了承されました。原案には、エネルギー構成比のうち、再生可能エネルギーの割合をこれまでの2倍の水準となる36~38%とすること、火力発電所を41%へと下げて二酸化炭素の削減を狙っています。しかし、原子力発電については、20~22%とこれまでの構成比から変えておらず、大きな問題です。
前回の第5次エネルギー政策で主力電源と位置付けられ、さらに電源構成要素の割合を2倍にすることが示された再生可能エネルギーですが、欧州の水準から比べれば、その割合は遠く及びません。これまで政府は、エネルギーのベストミックスを主張し、原子力政策を温存してきており、それこそが日本に再生可能エネルギーが普及しない要因です。一方、目に見える大きな被害が出る形で気候危機が迫っています。過酷事故を起こした原子力政策に頼るのではなく、省エネや再生可能エネルギー技術の進展を見据えたエネルギー戦略に舵を切り、一刻も早く再生可能エネルギー100%の電源構成を実現すべきです。
エネルギー基本計画原案は、一般からの意見公募を経て、COP26(11月1日~12日開催)の前までに閣議決定される見通しです。現在、経済産業省・資源エネルギー庁が、意見公募(パブリックコメント)を行っていますので、エネルギー政策転換を求める意見をそれぞれ提出していただくことを呼びかけます。
①「e-Gov パブリック・コメント エネルギー基本計画(案)に対する意見の募集について」の画面を開きます。
②右下にある「意見入力へ」をクリックする前に、画面中段にある「意見公募要領 PDF」「意見様式 PDF」の両方をクリックして開きます。
③その後、「e-Gov パブリック・コメント エネルギー基本計画(案)に対する意見の募集について」の画面に戻り、「意見募集要項(提出先を含む)を確認しました」をチェックします(レ点を入れる)。
④最後に、右下にある「意見入力へ」をクリックすれば、意見入力画面にたどり着きます。
参考:原水禁がキャンペーンに加わっている「ATO4NEN」ウェブサイトで、エネルギー基本計画の問題点やパブリックコメントの書き方などを解説していますので、ぜひご覧ください。
パブコメに参加しよう!