4月, 2021 - 原水禁 - Page 2

4月13日「放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動」を開催しました

2021年04月21日

首相官邸前に320人!放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動

13日に汚染水の海洋放出が閣議決定されましたが、これに抗議する緊急集会が同日12時から官邸前で開かれ約320人が集まりました。

詳しくは、以下の「さようなら原発1000万人アクション」のホームページでご確認ください。

福島原発の放射能汚染水海洋放出に抗議 ―さようなら原発1000万人アクションが官邸前で集会―

 

「緊急行動決議文」(PDF) さようなら原発1000万人アクション

抗議行動プラカード(PDF) イラスト 高城章次

福島連帯メッセージ全文(PDF) 原発のない福島を!県民大集会 実行委員長 角田 政志

 

放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動について

3・27さようなら原発集会に1500人

2021年04月14日

福島原発事故を教訓として

                                     脱原発の誓い新たに   3・27さようなら原発集会に1500人

 

福島原発事故から10年を迎えた今年の集会は、日比谷野外音楽堂に1500人が集まり開催されました。

コロナ禍で客席の収容は半数の1300人に抑えられ、およそ200人が野外音楽堂周辺に集まりました。

詳細は、以下よりご覧ください。

福島原発事故を教訓として

また、当日の様子は、動画でもご覧になれます。

協力:ネットメディアグループ『なにぬねノンちゃんねる』 代表 野口 昌泰

「さよなら原発首都圏集会【日比谷】の動画に聴覚しょう害者にも内容が解る様に字幕入り動画を支局の協力で作りYou Tubeにアップロードいたしました。」

「3・27さようなら原発首都圏集会」の開催について

 

放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動について

2021年04月10日

放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動について

 

菅義偉首相は、東京電力福島第一原発のタンクにたまり続けている放射能汚染水の処分をめぐり、3月以降「近日中に判断する」と表明してきました。政府は、来週13日に関係閣僚会議を開催し「海洋放出」の方針を決定しようとしています。

 原水爆禁止日本国民会議は、緊急打電行動を提起し、声明を発出しました。

 今回、原水禁が事務局を担っている「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」が緊急抗議行動を開催しますので、ご案内致します。

 

 

1.放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動

(1)日 時 4月13日(火)12:00~13:00 

(2)場 所 首相官邸前

(3)主 催 さようなら原発1000万人アクション実行委員会

(4)内 容 主催者あいさつ:鎌田慧さん(さようなら原発呼びかけ人)

メッセージ紹介:原発のない福島を!県民大集会実行委員会から

ア ピ ー ル:参加者から

 

 

放射能汚染水の「海洋放出」方針決定に断固反対する 原水禁声明

2021年04月09日

東京電力福島第一原発のタンクにたまり続けている放射能汚染水の処分をめぐり、4月7日、菅首相は、全漁連の岸宏会長と会談し「海洋放出が確実な方法であるという専門家の提言をふまえ、政府の方針を決定していきたい」と伝えました。来週・13日には、関係閣僚会議を開催し「海洋放出」方針決定と、報道されています。
これを受け、原水禁声明を発出致しましたので、ご報告致します。

 

 

放射能汚染水の「海洋放出」方針決定に断固反対する

2021年3月6日、菅義偉首相は、東京電力福島第一原発のタンクにたまり続けている処理水(放射能汚染水)の処分をめぐり「いつまでも決定をせずに先送りはすべきでない。政府が責任を持って適切な時期に方針を決定したい」と表明し、4月7日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長と会談した。菅首相は「海洋放出が確実な方法であるという専門家の提言をふまえ、政府の方針を決定していきたい」と伝えたが、岸会長は「絶対反対との考えはいささかも変わらない」と答えた。来週・13日には、関係閣僚会議を開催し「海洋放出」方針決定すると言われている。
2020年2月、有識者による政府の小委員会は「海洋放出」と水蒸気にして空気中に放出する「大気放出」を提示し、海洋放出を「より確実」とする報告書をまとめたが、放射能汚染水の扱いについては「現地や関係業界と丁寧に議論をして、国民的な合意ができたら政府が決定する」とした。しかしながら、その後、まともな議論も行われず、福島県民合意・国民合意もないまま、問答無用で処分について方針決定することは、再び放射能による被害を招くことになる。
何よりも、2015年1月7日に開催された「第6回廃炉・汚染水対策福島協議会」の場において、経済産業省の糟谷廃炉・汚染水対策チーム事務局長補佐は「(ALPS処理水について)関係者の方の理解を得ることなくしていかなる処分もとることは考えておりません」と答弁し、経済産業省は、福島県漁連へ「関係者の理解なしにはいかなる処分も行いません」(2015年8月24日付)と文書回答したことを忘れてはならない。「海洋放出」することは、政府が福島県民や国民に約束したことに違反することになる。
地元・福島県漁連の野崎哲会長も「『海洋放出』に反対の姿勢は変わらない」としており、県民も生産者の多くも反対の声をあげている。福島県内59市町村のうち約7割にあたる41市町村議会が、「海洋放出」に反対または慎重な対応を求める決議や国への意見書を採択している。経済産業省が公募したパブリックコメントでは、放射能汚染水の安全性に対する懸念、陸上保管などの処分方法の見直し、合意プロセスへの懸念などが寄せられ、「海洋放出」に対して否定的なものが占めていた。多くの問題を抱え、解決方法が見いだせないまま、関係閣僚会議において「海洋放出」を方針決定することは許せない。
東日本大震災後、福島沿岸の漁業は一時自粛を余儀なくされた。漁業者は、2012年6月から、漁の回数や漁獲量を大幅に抑える「試験操業」を行ってきた。水揚げのたびに、放射性物質検査を行って安全を確認し、水産物の市場価値を慎重に調査してきた。2021年3月「試験操業」は終了した。数年後の本格操業をめざして、水揚げを震災前の水準へ戻そうと、徐々に漁獲量を増やしていくために歩み始めたばかりだ。「海洋放出」方針決定により、風評被害が起きれば、水産業関係者がこれまで地道に積み重ねてきたさまざまな努力が水泡に帰することになる。再び水産業関係者の生活や希望を奪い去ることになる「海洋放出」方針決定は、絶対に許されるものではない。
また、放射能汚染水を「海洋放出」することは、将来的に地球規模での海洋汚染・環境破壊につながることを懸念し、「海洋放出」方針決定に反対・批判の声が海外からも原水禁に寄せられた。
原水禁は「海洋放出」方針決定することに断固反対する。貯蔵タンクの増設、新たな保管場所の確保など「海洋放出」ではなく、これまで同様陸上保管することを強く求める。

2021年4月9日
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一

 

緊急気候マーチ0422 マーチの緊急開催を決定!

2021年04月08日

<<原水禁も参加する「ATO4NEN未来を守れるのは今キャンペンーン」が、協力団体として緊急気候マーチ0422に参加します>>

 

緊急気候マーチ0422の決行と記者会見の開催の御案内

〜#温室効果ガス削減目標の大幅引き上げを求めます〜

緊急気候マーチ0422 有志

 

温室効果ガス削減目標(通称、NDC)についての日本政府の方針が今月に報告されるにあたり、NDCの大幅引き上げを求め4月22日に全国一斉でデモ行進、「緊急気候マーチ0422」を行います。また、それに際し記者会見を行います。

私たちは来る4月22日に、全国一斉で緊急気候マーチを行います。なぜ「今」なのか。それは、

  • 1.5度目標実現に大きく関わる2030年温室効果ガス削減目標(NDC)が6月、早ければ今月4月までに決まる。
  • NDCの策定と大きく関係している2030年エネルギー基本計画が夏までに決まる。
  • 4月22日の気候サミットにおいて菅首相が気候変動対策の方針を発表するにあたり、野心的な目標を求める声を可視化する。(※1)

ためです。

気候変動解決には再生可能エネルギーを中心とした公正な社会への移行が必要です。しかし、NDCの策定に関わる経済産業省資源エネルギー庁の基本政策分科会などの会議体では、野心的な議論は行われていません。未だに火力や原発、イノベーションへの依存が色濃く見受けられます。このままでは、近い未来、気候変動が取り返しのつかないことになってしまいます。

そこで私たちは、NDCの大幅引き上げを求めるために4月22日、全国の有志の中学生や高校生、大学生が中心となり立ち上げた緊急気候マーチを行います。このマーチでは、気候変動に危機感をもっている人たち全世代が集まり、仙台、東京、京都や福岡でデモ行進を行います。(開催地域については、今後新たに特設ウェブサイトにて掲載の更新していく予定です。特設ウェブサイトについては後程メール、記者会見で発表させていただきます。)こうして気候危機の意識を社会に広げると同時に、政策立案者に政策を考え直す必要性と緊急性を訴え、NDCを大幅に引き上げるように圧力をかけます。マーチの概要については3ページ以降をご覧ください。

記者会見「NDC引き上げを求める緊急気候マーチ記者会見」の開催

上記のマーチを行うにあたり、記者会見を行います。気候変動への危機感を可視化し、政策立案者にNDCを引きあげるよう圧力をかけるためには、報道関係者の皆様のご協力が不可欠です。記者会見では、緊急気候マーチについての説明の他、企画する有志メンバーの思いを発表します。記者会見詳細については下記の通りです。また、登壇する有志の地域以外でも、マーチなどのアクションが行われる予定です。

出典(※1)日本経済新聞「脱炭素で30年目標策定 削減幅拡大、首相が米に説明へ」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE1234S0S1A310C2000000/?unlock=1 (2021年4月4日閲覧)

 

記者会見案内

開催日時:2021年4月15日 14:00~15:00

会  場:現地およびオンライン

【現地会場】公益社団法人日本外国特派員協会(FCCJ)〒100-0005東京都 千代田区 丸の内 3-2-3丸の内二重橋ビル5階
会場へのアクセスについてはこちらをご覧くださいhttps://www.fccj.or.jp/2015-02-02-04-29-17/2014-10-16-03-04-20.html

【オンライン会場】ウェビナーリンク:https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_HJ1T7YCPQ9SQSmJdDJ1W_g

※上記リンクから、事前登録が必要です。(ご登録後、ウェビナー参加に関する確認メールが届きます。)※登録の名前設定内で、所属を記載の上ご参加ください。※左のURLから直接参加可能です。

ウェビナーID:819 2701 8120

 

 

内  容:日本のエネルギー政策の現状今、私たちが行動する意味マーチの説明呼びかけ人の思い質疑応答

登 壇 者:<現地会場>山本大貴/都立西高校3年/17歳/ その他、数名調整中
      <オンライン>時任晴央/東北大学3年/22歳/ 中野一登/Yale-NUS College新1年/19歳/ 重冨文紀/長崎大学卒/23歳/

 

マーチの詳細は、以下のリンクよりご覧ください。

※新型コロナウィルス感染症の拡大状況により、マーチの実施内容が変更される場合があります。

緊急気候マーチ0422┃

<緊急気候マーチ0422 有志>緊急気候マーチ0422の決行と記者会見の開催

 

トリチウム汚染水の「海洋放出」を許さない緊急打電行動について

2021年04月08日

菅政権は「東京電力福島第一原発で生じている処理水の処分をめぐり、来週・4月13日にも関係閣僚会議を開く方向で検討に入った」との報道がありました。これに先立ち、7日、菅首相は、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長と会談し「海洋放出が確実な方法であるという専門家の提言をふまえ、政府の方針を決定していきたい」と伝えました。会談後、岸会長は「『絶対反対』との考えはいささかも変わらない」と述べました。

地元・福島県漁連の野崎哲会長も「海洋放出に反対の姿勢は変わらない」としています。県民も生産者の多くも反対の声をあげています。福島県59市町村のうち約7割にあたる41市町村議会が、海洋放出に反対または慎重な対応を求める決議や国への意見書を採択しています。経済産業省が公募したパブリックコメントの大半は、汚染水の安全性に対する懸念、陸上保管などの処分方法の見直し、合意プロセスへの懸念など、「海洋放出」に対して否定的なもので占められていました。多くの問題を抱えたまま、県民の理解も合意もないまま、関係閣僚会議で方針を決定することは許せません。

原水禁は、政府に対して、緊急打電行動のとりくみを提起させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。

 

1.トリチウム汚染水の「海洋放出」を許さない緊急打電行動

(1)提出先

  ① 首相官邸

(ア)「首相官邸ホームページ」⇒「ご意見、ご感想」⇒「首相官邸に対するご意見等」へアクセスしてください。

(イ)下記URLをご活用いただくと直接アクセスできます。

https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

  ② 菅義偉議員事務所

(ア)FAX:03―3597-2707

 

(2)内容参考例

① 県民合意もないまま、「海洋放出」を強引に推し進めないでください。

② 汚染水を海に流さないでください。これ以上、福島の海を放射能で汚さないでください。

③ 海で生きる人や生き物を苦しませないでください! これ以上福島の海を汚さないで!

④ 福島県内41市町村議会が汚染水放出に反対または慎重の意見書や決議をあげています。自治体の意見を尊重してください。

 

(3)とりくみ期間:4月12日(月)まで

 

 

特別寄稿「環境と人権」原水禁副議長/原子力資料情報室共同代表 西尾漠さん 

2021年04月08日

原発は、核技術がはらむ秘密主義とそれに伴う人権抑圧が常に根底に存在するものでした。日本でも原子力利用の推進をうたった原子力基本法以来の「国策」として力づくで進められた人権抑圧の歴史でもあり、それに付随して反対運動へ露骨な嫌がらせなどが行われてきました。

原水禁の副議長で原子力資料情報室共同代表の西尾漠さんから原発と人権に関して書いていただきました。

ニュースペーパー News Paper 2021.3記載の「原発のある社会から抜け出し、人びとの人権が生かされる社会を築いていこう」の全文が以下となります。

原発のある社会から抜け出し、人びとの人権が生かされる社会を築いていこう

 

特別寄稿「環境と人権」

◎原発の歴史

 原発は、国(日本政府)などから「原子力の平和利用」と呼ばれます。ことさらに「平和利用」と強調されるのは、もともと軍事利用から歴史が始まっているからです。アンリ・ベクレルが放射能を発見したのは1896年、オットー・ハーンやリーゼ・マイトナーらによる核分裂の発見・理論づけが1938、39年と、そこまでは時間がかかりましたが、それから原爆の製造・実験・投下までは、あっという間でした。42年9月にアメリカで軍部主導により原爆製造のマンハッタン計画が発足、45年7月16日にニューメキシコ州アラモゴードで実験、8月6日広島、9日長崎に原爆が投下されるのです。

 すぐにソ連(当時)の核開発も追いつき、核の独占は不可能と考えたアメリカが、「友好国」を抱え囲み、核物質量産によるコストの抑制にも利用して核開発競争を有利に進めるために考え出したのが「平和利用」でした。アイゼンハワー大統領が「アトムズ・フォア・ピース」の国連演説を行なうのが1953年12月8日のこと。原子力発電所は、プルトニウム生産用原子炉や原子力潜水艦の原子炉を元にして誕生しました。

 日本初の原子炉予算が成立したのが1954年4月1日。アメリカのビキニ環礁水爆実験で、マーシャル諸島の住人らと共に第五福竜丸など多くの日本漁船が被災した3月1日の翌2日に、まだ被災のことは知らずにですが、中曽根康弘議員らが提案したものです。55年12月19日に原子力基本法公布、56年1月1日に原子力委員会発足、57年6月10日に 原子炉等規制法公布と体制整備が進み、日本初の原子炉JRR-1(アメリカから輸入)が臨界を迎えたのが同年7月29日、東海原発を建設する主体の日本原子力発電(株)が設立されたのが11月1日です。

 その間の9月29日にソ連で「ウラルの核惨事」と呼ばれる高レベル放射性廃液の爆発事故、10月10日にイギリスでウインズケール炉の燃料溶融事故が起きました。原子力の歴史は、事故の歴史と言って過言ではないでしょう。あらゆる体制の国で、あらゆる種類の施設で、あらゆるタイプの事故が、すさまじい数で起きてきました。老朽化した施設でも、動き出したばかりの施設でも、事故は起こります。それが、原子力事故なのです1)

 その後も事故は後を絶たず、1979年3月28日の米スリーマイル島原発2号機の炉心溶融事故は、設計での想定を超えた初のシビアアクシデント(苛酷事故)でした。1986年4月26日には、ソ連のチェルノブイリ原発4号機で、核反応が暴走するシビアアクシデントが起きました。3つ目のシビアアクシデントが、2011年3月11日の東日本大震災にともなって起きた福島第一原発の1~3号機炉心溶融・1、3、4号機水素爆発・2号機格納容器破損事故です。

 そのほかに日本では、1989年1月6日の福島第二原発3号機再循環ポンプ部品破損事故、91年2月9日の美浜原発2号機蒸気発生器伝熱管破断事故、95年12月8日の高速増殖炉「もんじゅ」ナトリウム漏洩・火災事故、97年3月11日の東海再処理工場アスファルト固化施設火災・爆発事故、99年9月30日のJCO核燃料加工工場臨界事故、2004年8月9日の美浜原発3号機配管破断事故などが起きています。

 原発の歴史はまた、「原発マネー」2)という言葉に象徴されるように、札束に蹂躙された歴史でもあります。先に述べた日本初の原子力予算の提案に際して名高いのは、「学者がグズグズしているから札束で頬をひっぱたいてやった」との中曽根発言でしょう。中曽根議員は「自分ではなく、稲葉修議員が言ったのだ」と否定していますが、『日本原子力学会誌』2003年1月号の巻頭言で、「学術の壁は時には政治の力を必要とする」と同じことをやや上品に書いていました。

 原発立地に関わる汚職の例は、表沙汰になったものだけでも枚挙に暇がありません。「放射能汚染の前に札束汚染があった」と言われる地域の姿は、札束なしでは原発を受け入れさせることができない現実を示しています。立地地域への交付金(1974年6月6日、発電用施設周辺地域整備法など公布)という形で、国が主要な一翼を担ってもいました。しかし、それにしても2019年9月26日の共同通信配信記事で露見した関西電力役員らへの「原発マネー」還流は驚くべき事態でした。なお闇が隠されているかもしれません。

 さらに原発の歴史は、原子力利用の推進をうたった原子力基本法以来の「国策」として力ずくで進められた人権抑圧の歴史でもあり、それに付随して反対運動への露骨な嫌がらせなどが行なわれました。

 そうしたもろもろに抗して立地地域の住民らは、都市住民の支援も受け、果敢に闘ってきました。時には観光など別の名目で土地が買われたりして建設された原発が動き出して、その正体が明らかになった1971年以降、増設に次ぐ増設で規模を拡大してきた日本の原発ですが、他方、新規に浮上した計画は1基も運転に入らせていません。珠洲、窪川、熊野、久美浜など、10指に余る数です。70年以前に浮上した計画でも、芦浜、日高、巻、田万川など、いくつもの計画を食い止めてきました3)

 原発の歴史は、原発計画が止められてきた歴史でもあるのです。

 

◎原発を巡る問題と人権

 原発を巡る問題としては、核燃料サイクルと呼ばれる関連施設も含めて、事故の危険性、労働者や周辺住民の被曝、放射性廃棄物という負の遺産、核拡散、コスト負担など、あるいは原発があることで、再生可能エネルギーの利用にブレーキをかけたり、省エネルギーに逆行して気候危機の対応を誤らせたりといったことが挙げられます。

 事故が起これば、身体の安全、健康、好ましい環境を享受する権利、居住、移転、職業選択の権利、財産権、あるいは思想及び良心の自由等の人権が侵害されます。いわゆる「風評被害」という形をとって現われることもあります。具体的には、次節に詳しく述べられています。それらは、大きな事故がなくても、事故を心配することによっても起こりうることです。

 核燃料サイクル政策の破綻により蓄積される使用済み燃料や放射性廃棄物は、事故への恐怖、廃炉になってもまだ廃棄物が残りつづけることによる閉塞感、ふるさとを汚されることへの忌避感、後世代に負担を残している罪悪感などで住民を苦しめます。平穏な生活という基本的人権の損害であることは明らかです。

 核拡散の防止や核セキュリティ4)は、人権を守ることと真っ向から矛盾します。核兵器やダーティ・ボム(放射性物質散布装置)につながる放射性物質や技術についての情報は、安全を脅かすものとして秘匿されます(現実には、公開拒否の言い訳に使われることのほうが多いのですが)。その情報が施設の安全性=危険性とも密接に関わるものであっても、公開されることはなく、情報を受け取る権利・情報を求める権利は、当然のように無視されます

さらに、特定の原子力施設に立ち入る者については下請け労働者も含め、2016年9月21日に原子力規制委員会が定めた「原子力施設における個人の信頼性確認の実施に係る運用ガイド」の対象者とされ、「対象者の履歴、外国との関係及びテロリズムその他の犯罪行為を行うおそれがある団体(暴力団を含む。)との関係、事理を弁識する能力並びに特定核燃料物質の防護に関連する犯罪及び懲戒の経歴を調査し、確認」されることになります。それ以上の調査・確認が行なわれていることは想像に難くなく、思想及び良心の自由が侵されることもあるでしょう。

その点では、もちろん、原子力に批判的な表現者、反原発・脱原発の運動の参加者に対してより顕著です。発言や行動を監視し、身辺を調査し、圧力をかけます。一例を、斉間満著『原発の来た町』5から、愛媛県伊方町の町見漁協の組合員を調査した四国電力のマル秘文書についての記述を引用します。「漁協組合員一人一人の原発に対する賛否の意思はもちろん、家族構成から、姻戚関係、影響力のある知人や友人まで、プライバシーを細部にわたって調べ上げ、そして『どうすれば、その組合員を原発賛成派として説得出来るか』まで結論付ける激しいものであった。この中に、10月の臨時総会で反対派の中心的な活躍を見せた、Bさんに関する記述を見つけた。『▽△の弟、□◎といとこ、反対共闘委との結び付きが強く最後まで反対すると思われる。自分の存在を認めてもらいたい性格で、簡単には後には引かない。最終的には金と考えられる』。摘要欄の小さなエンピツ文字は、そう書かれていた」。

圧力は、本人にではなく姻戚関係、影響力のある知人や友人に、表現者なら意見を発表したメディアに、あるいは所属する大学や会社などにかけられます。そのほうが効果的だからです。

事故は地域社会を破壊し、被害者を分断したりしますが、そうした人権侵害は、原発立地の話が持ち上がったときから起こっています。「普通、人を見る時は男だとか女だとか、子どもだとか年配の人というように見るのが一般的だが、上関では原発に反対か推進かという区分けしかできなくなった。これまで、豊かな自然の中で、助け合い支え合うという友好的な人間関係が、原発問題で一変した」と、「原発はごめんだヒロシマ市民の会」の木原省治は、山口県上関町の状況について『原発スキャンダル』6)で書いています。事情はどこでも変わりません。

札束に蹂躙された歴史が、その一面を露わにしています。土地を電力会社に騙し取られ、あるいは土地を売ったことで自責の念に駆られ、自死した人も一人ではないのです。

さらに、そうした分断を進めるためにさまざまな嫌がらせが行なわれてきました7)。注文をしてもいないベッドや金塊を代金引き換えで送りつけたり、誹謗中傷の文書を実在の人の名前を騙って郵送したり。近年では、SNSを使った人格攻撃なども起きています。海外ではカレン・シルクウッドの怪死8)のような事件もあり、日本でも、著名な脱原発論者が、生命の危険を感じたことがあると語っていました。

原発立地に見る地域差別、何層にもなる下請け構造、ウラン採掘を始めとする海外への犠牲の押しつけにも、人権にかかわる問題が顔をのぞかせています。

 

◎脱原発社会へ向けて

 脱原発とは、その名の通り原発のある社会から脱け出すことです。原発が抱えるさまざまな問題に向き合って、人の権利が生かされる社会を築きあげようというのが脱原発です。『はんげんぱつ新聞』1990年11月号で、原子力発電に反対する福井県民会議の故・小木曽美和子事務局長(当時)は「脱原発とは、核のゴミを生み出す私たちの生き方を問い直すこと」と言っています。同じ1990年に刊行された『原発をとめる女たち』9に収められた、「九電消費者株主の会」代表などで活躍する木村京子さんの一文は、端的に「脱原発とは人権と自由の総和」と題されていました。「『原発』こそは私たちの『生き方』が映し出される鏡のようなものであり、『脱原発』とは、一人ひとりのかけがえのない命と人権と自由について、ラディカルに行動していくことの総和である」と。

 さらに1年前の1989年に刊行された『わいわいがやがや女たちの反原発』10)で、町田ヒューマンネットワーク理事長の堤愛子さんが書いている「『ありのままの生命』を否定する原発に反対」の結びの言葉は、原発を止めるだけが脱原発ではないことを明確に示していました。「『放射能の影響で障害児が生まれる』という不安」の声から考察を進めた堤さんは言います。「『ありのままの生命を認め合い、多様な人々が共に生き合える社会を』という、私たち多くの障害者の願いと、『生命がだいじ』という反原発運動の思いとは、ほんらい根は同じであり、矛盾するはずがないと信じている」。

 いま改めて脱原発社会の姿を多様な人々と共に考え、実現に向けて歩を進めていきたいと思います。エネルギーの本当の意味での安定供給、気候危機の回避のために、エネルギー産業にとっても利益のあるエネルギー消費の縮減、再生可能エネルギーへの転換が求められていますが、再生可能エネルギーにしても、もちろん自然破壊があり、地域破壊がありえます。健康被害や倒壊などの事故、景観や農漁業への悪影響をもたらす可能性がありえます。

『はんげんぱつ新聞』2008年10月号で「原発を拒否した町 和歌山県日高町はいま」と題して、一松輝夫さん(日高町議会議長)と浜一巳さん(比井崎漁協理事)にお話を伺った時、一松さんが言われました。「いま問題になっているのは風力発電所です。20基くらいの計画があって、2、3日前にも愛媛の伊方町へ行って健康被害の状況を聞いてきたんですよ。伊方町では人が住んでいるすぐ近くに建っていて、こんなことがよく許可されたと不思議な気がしましたね。うちの場合はだいぶ離れているからだいじょうぶとは思うけれど、原発を拒否した町だからこそ、十分に検討をして間違いのないようにしたい」。

 そうした考えこそが、原発を止めることにとどまらない脱原発の意味だと言えるでしょう。

 

1)西尾漠著『原子力・核・放射線事故の世界史』(七つ森書館、2015年))

2)原子力施設の立地自治体や地域団体に落ちる交付金(電源三法交付金)や寄付金、核燃料税など。他にも原発マネーは、住民の視察旅行、大学の寄付講座、影響力をもつ学者らへの研究費、原稿料、接待など多岐にわたっている。(『現代用語の基礎知識2019』自由国民社、西尾執筆)

3)西尾漠著『反原発運動四十五年史』(緑風出版、2019年)

4)核兵器や放射性物質を用いたテロ、核・原子力施設への攻撃などを防止すること。そのためには秘密管理が強まり、施設従業員や周辺住民の身元調査などの人権侵害が進む。それでも有効に防止できる保証はない。(『現代用語の基礎知識2019』自由国民社、西尾執筆)

5)副題は「原発はこうして建てられた 伊方原発の30年」。南海日日新聞社、2002年。

6)七つ森書館、2010年。

7)海渡雄一編『反原発への嫌がらせ全記録 原子力ムラの品性を嗤う』(明石書店、2014年)

8)プルトニウム燃料工場の女性技師カレン・シルクウッドが、工場のずさんな品質管理を内部告発しようとして謎の「交通事故」で死亡した事件。上記7)に簡単な紹介コラムがある。

9)副題は「ネットワークの現場から」。三輪妙子・大沢統子編、社会思想社。

10)三輪妙子編著、労働教育センター。

 

原子力資料オフィシャルサイトはこちら

 

緊急署名「頼りにならない避難計画の中では、老朽原発をうごかさないでください。」へのとりくみ

2021年04月01日

老朽原発である高浜1・2号機と美浜3号機を再稼働させようとする動きについて、2月1日に高浜町長が、同月15日に美浜町長が、それぞれの原発の再稼働について同意し、杉本福井県知事に要請しました。そして同月16日、杉本知事は、県議会に老朽原発再稼働についての議論を要請しました。しかし、多くの議員から異論が相次ぎ、2月議会で結論は出されませんでした。今後は、6月議会を待たず、4月中にも議論が行われる状況となっています。

このような状況を受け、福井県平和環境人権センターが加盟している「オール福井反原発連絡会」から、原水禁に緊急署名行動への協力要請がありましたので、ご案内致します。なお、提出締め切りが4月13日(火)と短い期間でのとりくみとなりますが、情勢を鑑みてのご理解の程、よろしくお願い致します。

 

1. 緊急署名「頼りにならない避難計画の中では、老朽原発をうごかさないでください。」へのとりくみ

(1)呼びかけ概要・署名用紙は、PDFデータをご活用ください。

(2)提出締め切り:4月13日(火)

(3)提出方法:FAXまたは郵送緊急署名のお願い

(4)提出先:県知事および県議会議長

 

 

緊急署名行動

老朽原発の再稼働は、福井県民の暮らしを不安定にし、もしも大事故が起きた時に県民の健康や命に重大な危機を招くことから絶対に反対です。

とりわけ、この間の国による説明会などで明らかになった「原発災害避難」について福井県知事に署名にて要請します。

これらの事は、決して福井県民だけでなく日本国民全体に関わることです。

その為、福井県内はもちろん日本全体に呼びかける行動とします。

なお、時間が限定されますので、できる限りの取組みとします。

 

宛先・・・福井県議会議長と福井県知事あて

提出方法・・・この署名は時間がないことから、皆さんが直接福井県知事や県議会議長に封書やFAXにて送って頂くことをお願いします。なお、2カ所に送って頂ければ幸いですが、どちらか一カ所の場合は、県議会議長にお願いします。

送って頂く期日は、4月13日迄であれば、何時でもかまいません。

署名用紙(PDF)

署名用紙(Word)

・・・署名用紙は、必要な数だけコピーしてお使いください。

 

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福井県知事    杉本 達治  様

福井県議会議長  畑  孝幸  様

 

頼りにならない避難計画の中では、    老朽原発をうごかさないでください。

 

美浜町や高浜町で40年を超えた原発を再稼働するために福井県議会で議論されているようですが、子供たちの未来を奪うことにもなるかもしれない老朽原発を動かさないでください。

原子力発電所は、絶対大事故を起こしてはいけません。福島原発と同レベルの事故が発生すると福島県と違って原発から放出された放射能が風に乗って福井県を中心として関西・東海一帯に降り注ぎます。国や福井県で考えられている「原発災害時の避難計画」は、避難するためのバスの台数も確保されていません。避難する場所も全然足りません。それにたった3日間だけ避難することになっているのです。福島県などでは10年経っても故郷に戻れない方が3万人を超えています。こんな避難計画しかない中で老朽原発(美浜3号機、高浜1・2号機)は絶対動かさないでください。

電気は現代生活ではとても大切なものであることは間違いありませんが、今や電気は原発でなくても大量に作ることが出来るのです。わざわざ、危険極まりもない原発の電気でなくても良いのです。原発(事故)によって故郷を捨て、家族がバラバラになって放射能に苦しめられることを私たちは絶対に望みません。

 

私たちや子供たちの健康を奪わないでください。

命も危険にさらさないでください。

故郷を奪わないでください。

子供たちの未来を大切にしてください。

心から訴えます。

 

2021年4月

 

 

 

 

 

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