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長崎大会 第5分科会「ヒバクシャ1 核被害・ヒバクと補償問題を考える」

2017年08月08日

長崎大会 第5分科会「ヒバクシャ1 核被害・ヒバクと補償問題を考える」
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講師:豊﨑博光(フォトジャーナリスト)
参加者 21名
 講師の豊﨑さんから「世界の核被害者―核被害の現状と未来」と題して、被害補償という観点で、世界のヒバクシャがどう扱われているか、その実情を解説していただいた。
アメリカの核実験の被害を受けたマーシャル諸島では、2017年3月に「核の負の遺産会議」を開き、「ヒバクシャは十分な補償を得る権利(Justice)があるとして取り組みを始めた。また、「核兵器禁止条約」の前文では「核兵器の非人道性」に触れ、「核兵器の壊滅的な結果が国境を越え、人類の生存や環境、将来世代の健康に重大な被害を与え、妊婦と女性への不均衡な影響を認識し、核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)及び核実験の被害者の苦痛に留意する」としている。
被ばく兵士への補償については、アメリカの被ばく兵士(被ばく退役軍人)には、原爆投下後の広島・長崎に進駐した兵士と大気圏内核実験に参加した兵士に対し、27の疾病に平均75000ドル支払われる。
旧ソ連の被ばく兵士(原爆投下実験に参加した兵士)には補償法がない。実態も分か っていない。生存している被ばく兵士は10パーセント程度といわれる。
核実験の被ばく者への補償では、ネバダ核実験の風下の被爆者には「放射線被ばく者補償法」でがん発病者に5万ドル、マーシャル諸島の核実験被ばく者にはアメリカとマーシャル諸島政府の間の条約で「核賠償裁定委員会」がつくられた。金銭的補償、医療保障では不十分。離島を余儀なくされた人々(被ばく難民)の補償に資産の損害、土地への損害賠償も計上されたが、一部しか支払われていない。
旧ソ連のセミパラチンスクの核実験による被ばく者のうち、カザフスタン内の被ばく 者には特別な社会保障制度を適用しているが、ロシアのアルタイ地域やモンゴル内の  被ばく者は対象外となっている。
ウラン採掘、精錬労働者への補償法があるのはアメリカだけだ。
原爆被ばく者への補償では、「被爆者健康手帳」を持つ者を対象とし、他を「認定被爆者」「被爆体験者」として差別的扱いがある。
原発事故による被ばく者への補償は、裁判で、被害者に因果関係の立証を求められている。
これら以外の日本の被ばく者である、第五福竜丸乗組員やウラン採掘労働者、原発労働者は「被ばく者」としてではなく「労災」対象者とされている。
参加者からは、マーシャル諸島の被ばく者の補償および低線量被ばく者の補償について質問が出された。

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