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広島大会 第2分科会「平和と核軍縮2-核兵器禁止条約と東北アジア非核地帯化の展望と課題」

2017年08月05日

広島大会 第2分科会「平和と核軍縮2-核兵器禁止条約と東北アジア非核地帯化の展望と課題」
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講師:秋葉忠利(元広島市長)、
湯浅一郎(ピースデポ副代表)
海外ゲスト:リュ・ギョンワン(韓国・コリア国際平和フォーラム実行委員長)
参加者:79人
 秋葉さんは「核兵器禁止条約」について次のように述べた。
核兵器禁止条約の成立は、被爆者を中心とした国際的な反核運動の成果であり画期的なものであるが、この条約成立で核兵器廃絶の道筋ができたわけではない。 1986年のレイキャビック会談で合意された核兵器の削減が実現しなかったのは、軍産複合体や官僚組織、テクノクラート的聖職者の存在があった。オバマ大統領のプラハ演説以降、結果としてアメリカでは核兵器を維持する予算は増えてきた。
それに対抗するために「世論」と核兵器禁止条約がある。NPT条約で謳われた軍縮会議が40年間も開かれないのは、議題そのものを設定する段階で「拒否権」が発動されているためだ。その「拒否権」に対抗する多数派の力で、核兵器禁止条約は作られた。国連の限界があっても、多数決が使える国連のメカニズムを積極的に活用し、市民運動と「志を同じくする国々」と連携し、核保有国や戦争の好きな国々の中の核廃絶派・戦争反対派との連携を密に行動することで、「拒否権」を超える世界の動きを創っている。核兵器禁止条約成立により、核兵器廃絶は「道徳」から「法律」となった。
6カ国協議が9年間開催できない状態になり、その間に北朝鮮は自分たちの国がイラクのように一方的に潰されることがないように、経済は大変な状況ではあるが相当なエネルギーと予算の大部分を核兵器とミサイル発射技術へ投入してきた。7月21日の停戦協定の日を意識して、次の日の28日の夜にアメリカまで届くと考えられるようなICBMの発射実験をして見せるところまで来ている。

 次にリュさんから、米国の対北敵対政策がこれ以上維持するのが難しく、破綻する一歩手前にまで来ていること。停戦状態を解消し恒久的なコリア平和体制を構築するための米朝および南北交渉が直ちに始められなければならないこと。関係国がこれからどのように行動するかが、朝鮮半島情勢を左右する要因になることが報告、提起された。

さらに湯浅さんは、核弾頭の数は、米ソ冷戦をやめ、相互に冷戦時代とは全く異なる関係性をつくってきた歴史のなかで、1万4千発まで減らすことができている。軍事力による安全保障ジレンマの愚かさと、そこから逃れていく筋道を外交的に作っていけば、軍事力の強化をむしろしなくて済んでいる現実が示されている。
このことを東北アジアに適用するために「北東アジア非核兵器地帯」を具体化していくことが求められているおり、米国の核の傘に安全保障を依存する日本の政治姿勢を変えねばならない。核兵器禁止条約という国際的な規範を活かし、市民社会がこれを変えていく力を持つことが求められていると訴えた。

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