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被爆72周年原水爆禁止世界大会・福島大会開かれる

2017年07月30日

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今年も原水爆禁止世界大会が福島から始まりました。2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発事故から6年が過ぎましたが、廃炉作業の目途も立たず、いまだ8万人近くの人々が避難生活を余儀なくされています。さらに補償や健康、地域社会の復興など様々な課題が山積しています。福島大会は、そうした現状を明らかにし、脱原発への課題を検討しました。
7月29日、福島市の「県教育会館」に、県内や東北各県をはじめ、全国から720人が参加。主催者挨拶に立った大会副実行委員長の西尾漠さん(原子力資料情報室共同代表)は「安倍政権は原発事故など無かったかのように再稼働を全国区で進めている。しかし、福島の現実はますます深刻になっている。今大会は初めて分科会を設け、徹底的に議論し、理解を深めよう」と呼びかけました。
福島県平和フォーラムの角田政志代表が地元を代表して挨拶し、「今年3月に一部で避難指示の解除がされたが、被災者の生活再建は大きな問題だ。国や県は責任を持って被災者に向き合うべきだ」と訴え、さらに、福島第二原発の廃炉に向けた運動も紹介しました。
大会の基調を藤本泰成・大会事務局長(原水禁事務局長)が行い、国連での「核兵器禁止条約」の採択など核を巡る情勢とともに、福島原発事故を受けて脱原発社会の実現に向けた課題を提起しました。膨らむ事故処理費用や、避難者の帰還の強要、子どもの甲状腺がんなど、被ばくが疑われる現実を直視し、国や東京電力の責任を明らかにして、エネルギー政策の転換に向けた運動の重要性を指摘。「被災者一人一人に寄り添った復興を求めていこう」と強調しました。
福島からの訴えを、原発建設当初から反対運動を続けてきた「双葉地方原発反対同盟」の石丸小四郎代表が行い、「今でも毎時1000万ベクレルの放射能が発生し、福島だけでなく近県にも大量の放射能が存在している。89万トンもの汚染水タンクが林立、凍土遮蔽壁は失敗し、海の汚染も広がっている」など、「事故は未だ終わっていない」現実をあげ、「二度とこうしたことのないようすべきだ」と語気を強めました。
一方、高校生平和大使からの訴えでは、今年の平和大使に選ばれた福島市の高橋伶奈さんと伊達市の高橋花音さんが「震災は止めることが出来ないが、核兵器は廃絶することは可能だ。平和大使としてしっかり訴えてきたい」と力強く語りました。
「福島原発事故の責任と原発再稼働をめぐる司法の現状と課題」と題して、弁護士で脱原発弁護団全国連絡会共同代表の海渡雄一さんが講演を行い、各地で行われている原発の稼働停止を求める運動などを説明し、「仮処分申し立てで勝てば、原発再稼働は止められる。事故を防ぐことは司法の責任になった。政府の司法への介入を許さない市民の決意が求められている」と訴えました。
全体集会の最後に「フクシマの悲劇を二度と繰り返さないためにも、『福島には原発はいらない!』の声を大きくし、全国の原発再稼働反対の運動につなげていきましょう」とのアピールを採択しました。

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その後、3つの課題で分科会を行い、福島県内の関係者が問題提起を行い、専門家の助言を交えて意見交換がされました。第1分科会の「健康と甲状腺がんの問題」では、「県民健康調査における小児甲状腺検査」が報告され、事故との因果関係が議論されました(上写真中)。第二分科会は「避難解除による帰還と生活再建の問題」が語られ、紙芝居を交えながら、避難者の現状が語られました(同上)。第三分科会は「放射性廃棄物の処理問題」をテーマに、除染による除去土壌の処理の実態や課題が述べられました(同下)。各分科会とも参加者から活発な質問や意見が出されました。

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翌30日にはフィールドワークが行われ、川俣町山木屋地区や飯舘村を訪れ、避難指示解除となった地区や、未だ帰還困難区域となっている周辺の被害の実態、除染廃棄物の仮置き場、仮設焼却炉施設などを視察しました。写真上は今も立ち入りが制限されている飯舘村長泥地区。今回初めてゲートの中にバスに乗車したままですが、入ることができました。ゲートから先は福島第一原発方面が大きく開け、地形の関係で非常に高く汚染されたことが推測されます。今なお、立ち入りは4時間以内と制限されています。ゲート前の側溝付近では毎時4~6ミリシーベルト数値が測定され、参加者から驚きの声が上がりました。写真下は川俣町山木屋地区。除染作業によって発生した汚染土壌や草木等の廃棄物が詰められたフレコンバッグの置き場は、フェンスによって囲われていました。
原水禁世界大会は、8月4日から広島大会、7日から長崎大会に引き継がれます。

福島大会「フクシマアピール」はこちら

7月31日に福島大会が東京電力に対して行った申し入れ文はこちら

 

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