2015年分科会報告原水禁大会原水禁大会 2015年

長崎大会第8分科会「見て・聞いて・学ぼう ナガサキ」

2015年08月08日

長崎第8分科会

報告 菅原  参加者220人、内初参加半分

   「君たちはゲンバクを見たか」のビデオ上映の後、山川剛さん(長崎県原爆被爆教職員の会)から被爆証言、続いて西岡由香さん(漫画家)から講演を頂きました。
山川さんは、「日本人ならゼイタクは敵だ」の看板の写真などを紹介しながら、①原爆投下にいたる当時の状況が話されました。
奢侈品等製造販売制限法で、贅沢品が制限されパーマなどのおしゃれは国が禁止した。
思ったことを口に出したら殺されるような息苦しい世の中だった。
戦争への疑問を口にしようものなら、『貴様はそれでも日本人か。この非国民め』と殺されかねなかった。
戦争の最初の犠牲者は、「真実」だった。イラク戦争も、大統領のうそから始まった。
また、学校の様子も変わった。学校のグランドで竹やり訓練を行う国防婦人会の映像を写真を示しながら、学校が「人殺しを教える場所」に変わってしまったことが紹介されました。
子どもたちに対しても、「アメリカ人やイギリス人は、見かけは人間だが、一皮向けばけだものだ」と鬼畜米英が教えられ、子どもたちはそれを信じた。それが自決という悲劇にもつながった。
山川さんが小学区一年生のときに書いた、「ノボルアサヒ」「ツヨイカラダ」「クニヲマモレ」などの映像も紹介され、「貴様らのいのちは、鳥の羽よりも軽いから、天皇のために捨てろ」と いう教育だった。
戦争というのはどんなことがあってもやってはならない。いのちが大事だ。
ナガサキの子どもたちも、原爆が投下された8月9日は、行事を通して知っているが、1945年だということは2割程度しか知らない。原爆投下を歴史として知らないということ。
私は小学校三年生、8歳のときに被爆した。B29の爆音を聞いて、子どもなのに「今で死ぬのか」と思ったことを今でも覚えている。光がすさまじく、周りが見えなくなった。左から熱波で飛ばされた。そのあとに、爆風が来た。
山川さんは最後に、被爆者の願いは、二度と被爆者を作らないこと。アメリカは、リメンバーパールハーバーだから今なお憎しみの連鎖を起こしている。私たちが主張してきたのは 、ノーモア被爆者であり、その中には「負の連鎖を断ち切る」という願いがこめられている。
一発の核兵器も残してはならない。それは可能だとし、戦争を行っていたから、広島・長崎に原爆が投下された。戦争をなくせばいい。国を守るのは、軍事力ではない。日本の憲法は、「口で守れ」といっている。
何ができるのか。暴力以外は、すべて平和につながる。外国の方と友達になろうと訴えられました。 西岡さんは、平和活動にかかわるようになったのは、「戦争」に対する「勇ましいもの」「かっこいい」などのイメージを、「人を傷つけたり殺したりする恐ろしいもの」というイメージに変えて行きたいと思ったから。
漫画家なので漫画を通して伝える活動をしている。といっても、被爆者の皆さんにお話を聞きながらの共同作業。被爆者の皆さんから「あなたに託したい」といわれるが、想像の範疇を超えていることにも気づかされる。それでも「一万分の一でもいいから伝えてくれ。そうでないとゼロになってしまう」といわれ、何とか伝えたいという思いで活動している。
平和とは何か?モザンピークの地雷の写真を紹介しながら、「地雷は一個でも百個でも怖いのは同じ。戦闘が終わっても戦争は終わっていない。」「平和とは、安心できる場所で安心できる生活をすることだ」と、ひとたび戦争が起きればその傷跡はいつまでも続くものだということを話されました。
若い方に、「長崎は原爆によって、21万市民の内、7万4千人が亡くなり、7万5千人が負傷した。」と話すと、6万人は無事だったんですねと返ってくるがそうではない。幸いにも生き残った兄弟や両親が、一人ずつ亡くなり最後に一人だけ生き残った池田早苗さんの被爆体験の紙芝居を通して、生き残っても多くのものを失ってしまうのが戦争だと強調されました。
続いて、南京を攻め落としたことを祝う提灯行列の写真を紹介しながら、日本が南京で何をしたのかは国民に知らされなかった。戦争の最大の犠牲者は、山川さんと同じく「真実が隠されたこと」だと思うとし、2番目の犠牲者は、「文化」だと話されました。
防空壕に入る様子を漫画を紹介しながら、最初に入るのは校長先生。次に6年生。続けて5・4・3年生。防空壕が一杯になると、1・2年生に「家に帰りなさい」と命令する先生。戦争の役に立たない低学年は防空壕に入れる価値がないとされた当時の状況をお話されながら、いのちの重さに差をつける戦争を許してはならないと強調されました。
西岡さんは最後に、国民を権力から守るのが日本国憲法。憲法は、国家権力を縛るものであり、国民を縛るものではないこと。憲法は国民の権利を守るためにあり、9条だけが大切なのではなく、憲法全体が日本を守る。
今日の聞き手は、明日の語り手。皆さんも今日聞いたお話を、誰かに伝えてくださいと、真実を伝えることの大切さや運動を広げることが私たち一人ひとりだと訴えられました。

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