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長崎大会第2分科会「福島原発事故と脱原発社会の選択」

2015年08月08日

長崎第2分科会

ベーベル・ヘーン(ドイツ・みどりの党)
ドイツでは2002年に15年かけて原発の段階的廃止法を制定し、その後、保守党によって廃止か延期されたが、2011年の福島原発事故で再び段階的廃止を決定した。段階的に廃止して原発ゼロになる。ドイツでは、自然エネルギーが拡大し、コスト削減と雇用創出できた。ドイツより日本は日照時間も長く風も強く、日本でも必ず成功する。その為には、国民の声や市民運動は不可欠だ。

藤井石根(明治大学名誉教授)
講師の藤井石根さんから、福島第一原発事故が起こり普通ならば日本のエネルギー政策を見直すべきだが、経産省が示した2030年の電源構成案は、原発の発電比率は20~30%にしている。こうした方針を出す審議会メンバーを選出過程に問題があり、政府は、事故の責任を曖昧にし、時代の歯車を逆に回そうとしている。COP2の温室効果ガス排出削減目標でも原発再稼働ありきで、再生エネルギーはこれ以上要らないというメッセージだ。今後は、太陽や風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生エネルギーに立脚した社会を実現すべき。

澤井正子(原子力資料情報室)
澤井正子さんからは、福島原発事故の現状をお話ししていただきました。汚染水の対策も全くコントロール出来ておらず、今も事故は続いている。また、国は、帰還困難地区を解除しているが放射線量は今も高く、除染廃棄物の中間貯蔵施設と同様で人権侵害だ。事故の収束がいまだ困難な状況に置かれている。

質問として
福島の子どもたちの被曝状況は?-電力会社が電気料金値上げの理由として原発維持費を挙げた。
原発の耐震性の問題は?-被曝労働時間を、政府は拡大しようとしている。
意見として、原発使用するバブル作成する会社に勤務していたが反原発運動に参加し、再雇用を拒否された。平和で安心して生活できる社会の実現を求め運動している。

海外ゲスト、講師からの回答
ドイツでは、環境団体が原発企業への政府からの補助金リストを公開し、原発は低コストというウソを明らかにさせた。被曝労働も政府は、原発企業に寄り添い、労働者不足を解消させるためで無責任だ。耐震性についも、ドイツでは、試験的に原発を稼働させたが住民運動によって3年で停止させた、そういうリスクがあれば、辞めるべきだ。子どもの被曝調査は、県が実施、癌発症率は高いが原発事故が原因ではないと政府、東電は考えている。

福島からの報告
未だに放射能数値は高く、学校現場では帰還困難地区の子どもたちが、仮設住宅から通学しているが、年々減っている。18歳未満の甲状腺検査も年齢で区切られて、問題が多い、高速道路の全面開通は、原発から近距離で、除染廃棄物を積載したトラックが事故を起こす可能性もある。鹿児島からの報告
川内原発3号機増設は、県民運動で凍結させたが再稼働を強行しようとしている。課題は、避難計画や888tの使用済み核燃料を運搬する計画だ。経産省への働きかけ、署名活動、自治体決議、陳情などの運動を強めているが九電の杜撰な対応が続いている。再稼働予定の8月7~11日にかけて抗議行動を行う。

まとめ
ベーベルさんからは、脱原発に向けた議論は、市民運動からドイツでは始まっている。日本との違いは、政府も含めて脱原発を意思統一した。再生可能エネルギーを増やし、コスト削減によって原発の必要性を克服した。藤井さんからは、核と人は共存できない事が確認された。持続可能な社会を実現し将来子どもたちに安全な世界を。同時に、戦争法案を廃案にし、平和憲法を守る取り組みが提起された。澤井さんからは、原発事故による汚染水、放射能の拡散、汚染浄土の問題が提起された。2度とフクシマの状況を作ってはいけない事を、みなさんと確認したい。

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