ニュース

止めよう再処理!共同行動ニュース3/26号の記事から

2014年03月26日

すでにほころび始めた再処理施設の使用計画
 
絵にかいた餅の「使用計画」
 日本原燃は1月31日に、六ヶ所再処理工場の「再処理施設の使用計画」を原子力規制委員会に提出しました。2014~16年度の3年間でMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料用のプルトニウム製品16262kgとウラン製品843kgを作り出そうとしています。(表を参照)。
 今年10月には再処理工場を完成させ、運転を開始すると日本原燃の社長は明言してきました。それに合わせて、今年下期には製品が製造されるように計画されています。製品はMOX燃料加工工場に出荷される予定ですが、3年間の払出量はゼロになっています。
 現在、六ヶ所再処理工場の近くにMOX加工工場が建設されていますが、それが完成しなければ、「払出し」することもできません。MOX工場は、2016年に竣工する予定になっていますが、現時点で工事の進捗率は7.4%とほとんど進んでいません。使用計画がいかに絵にかいた餅であるかを示しています。

使い道のないウランとプルトニウム
 取り出されるウラン製品は、放射線量が高く扱いづらいといわれます。
 プルトニウム製品は、現状ではMOX燃料として使用されることが期待されていますが、まず海外から持ってきたMOX燃料を先に使うとされており、六ヶ所再処理工場のMOX燃料の出番はずっと先になってしまいます。
 電気事業連合会は、2015年以降に16基~18基の原発でプルサーマルを実施するとしていますが、廃炉や老朽化する原発が増えれば、16基もの原発が実施できるか疑問です。さらに現在ウラン価格は、国際的に下落傾向にあり、わざわざ高いMOX燃料を使う経済合理性そのものがあるのか、原発推進派からはまともな説明はなされていません。核燃料サイクルの失敗を隠ぺいするのではなく、再処理路線からの撤退が急務となっています。

ga1.jpg

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

アメリカで核燃料サイクル施設の衰退が始まった
 
米・大手ウラン濃縮会社の破産
 今月5日、ロイター電によると「ウラン濃縮会社の米ユーセック(USEC)が、連邦破産法11条の適用を申請した。原子力発電所への濃縮ウラン販売価格落ち込みや主要プロジェクト向け融資取り付けの遅れなどが響き、同社は資金繰り難に陥っていた。」と報じました。
 同社は世界4大濃縮プラント会社の一つで、米・オハイオ州で米国遠心分離プラント(ACP)を建設していました。2011年の福島原発事故以降、主要な販売先である日本の全原発の停止とドイツの8基の原発の閉鎖が引き金となり、核燃料の過剰供給による価格低下(3割以上低下)とACP建設のコストの高騰などにより資金繰りの悪化を招き、破産しました。この会社には、東芝をはじめバブコック&ウィルコックス社などが出資していました。
 同社は、エネルギー省(ODE)から受けているACP用の遠心分離機の研究開発などは継続するとしていますが、今後再建がうまくいくかどうかは、日本の原発次第かもしれません。しかし日本の原発の先行きが不透明な中では、同社の再建は多難なものとなるでしょう。なお、日本の濃縮ウランの輸入量約700トンのうち、約500トン(2010年)をユーセックから調達していました。

MOX燃料工場建設も凍結
 米エネルギー省(ODE)が3月4日に発表した2015年度(2014年10月~2015年9月)の予算要求の中で、サウスカロライナ州サバンナリバーに建設しているMOX燃料加工工場(MFFF)を凍結するための予算しか要求しなかったことが明らかになりました。このMFFFは現在6割ほど建設が進んでいると言われ、国家安全保障局(NNSA)が兵器級プルトニウム(プルトニウム239が93%以上)の余剰分を民生用原発で使うMOX燃料に転換するための工場として計画されたものです。当初の建設予算18億ドルが現在では3倍以上に膨れ上がり(六ヶ所再処理工場みたい)、「財政的危険性の高い政策プログラム」として指摘され、今回の凍結にいたりました。関係者の間では、「建設休止は計画の終了に等しいとの見方が広がっている」(日本原産業新聞)と報じられています。
 原子力先進国アメリカの中でも徐々に原子力産業の衰退が進んでいいます。それに福島原発事故が大きな影響を与えていることがわかります。一方で、そのおひざ元である日本では、斜陽産業となる原子力をいまだ積極的に活用しようとやっきになっている安倍政権の暴走はいまだとどまりません。原子力が経済的に見合わないことは、上記の二つの事例からもわかるはずです。
 

TOPに戻る