声明申し入れ

集会宣言/原発のない福島を!県民大集会

2014年03月08日

集会宣言

 福島原発事故から3年が経過しました。この3年の月日は、福島県民のこうむった深い深い傷を、癒してくれたでしょうか。
 事故の現場では、高濃度の放射能汚染水の漏洩が止まらず、汚染は地下に、そして一部は海へと、どんどん広がっています。事故はまさに現在も進行中なのです。この国家的非常事態は、東京電力任せではとうてい打開できません。政府が前面に出て、国の総力を挙げて対処することを求めます。
 いま、避難している人の数はなお14万人にのぼり、県外避難者が5万人います。自主避難している住民も4万人以上。物質的・精神的に追い詰められている人が多くなっています。災害関連死は1,600人以上になり、ついに津波の死亡者数を上回りました。原発事故は、ここ福島では津波を超える犠牲を生んでおり、しかもそれは今もなお増え続けているのです。この現実から目を背けて、福島の復興を語ることはできません。
 国は、双葉郡の一部を買収して国有地とし、除染廃棄物の中間貯蔵施設を造ろうとしています。最終処分場は県外に作ると政府は言っていますが、結局、そこが最終処分場になってしまうのではないかと、県民が不安を抱くのは当然と言わなければなりません。「ふるさとがどんどん遠くなっていく」思いを抱いている住民が、どれほど多いことでしょう。
 国も自治体も放射性物質の除染をしていますが、まったく予定通りには進んでいません。仮置き場が造れないまま、あちこちにバッグが積み上げられ、都市部では自宅の庭に埋めるしかないところもあります。山林の除染は計画すら立っていません。
 そして言うまでもなく、放射線被曝への不安は消え去りません。被曝の影響に関する見方の違いがもたらす、被害者同士のやりきれない対立や摩擦もなくなりません。農産物の売れ行きも完全には回復せず、漁業も本格操業できない状態が依然として続いています。
 これほど大規模に、しかも長期にわたって人々を苦しめ、地域社会を破壊する産業公害が、この国にかつてあったでしょうか。避難している人もしていない人も、故郷に戻りたい人も戻れない人も、すべての被災者が生活と生業を再建できるまで、国と東京電力が等しく支援することを私たちは求めます。
 政府は、国会が制定した「子ども・被災者生活支援法」の実施を先延ばしにする一方、避難基準をそのまま帰還基準にしようとする構えです。また東京電力は、被災者からの賠償請求に関して示された、紛争解決委員会の和解案すら拒否する挙に出ています。政府も東京電力も、被害者である住民の利益を考えるより、自らの損害を小さくすることに腐心するばかりで、当事者責任を果たそうとする姿勢があまりにも乏しいと言わねばなりません。東京電力を破綻処理し、経営陣や株主、メガバンクなどに当然の責任を取らせるべきだという声は、マスコミからも上がっています。
 責任の処理をおろそかにする一方で、政府は、いま全国で止まっている原発の再稼動への突破口を開こうとしています。東京電力は柏崎・刈羽原発の再稼動を含んだ事業計画を提出し、これが認められなければ電気料金を値上げすると、おどしをかけています。そして政府も東電も、福島第二原発の廃炉については言を左右にして、あくまでも明言することを拒否しています。いったいかれらは福島の悲惨な現実をどこまで真剣に受け止めているのでしょうか。
 一方福島県では、「県内原発の全基廃炉を!」の声がますます広く、高く上がっています。県議会や県知事ばかりでなく、立地4町を含めほとんどすべての市町村議会がその声を上げています。これはもう「県民の総意」と言ってよく、政府も東電も即座にこれを受け入れて第二原発の廃炉を決断し、原発依存からの脱却を目指す県民の息長い事業に、当事者として協力する義務があります。
「原発のない福島」を願う私たちの、この3年間の努力と苦労は、少なからぬ成果を挙げていますが、まだ目の前には厚い壁が立ちはだかっています。何より「忘却」という、あなどりがたい敵がいます。世界史に刻まれるこの大事故の犠牲を決して無駄にしないために、県民の意思を総結集し、全国、世界の人々とも手を携えて、さらなる一歩を踏み出しましょう。
 

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