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【68大会・報告】長崎第1分科会/脱原子力1―学習・交流・討論編―フクシマを忘れない~被災者支援と連帯の課題

2013年08月08日

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長崎第1分科会
脱原子力1―学習・交流・討論編―フクシマを忘れない~被災者支援と連帯の課題

講師 山口幸夫さん
フクシマを忘れないために、4点の提起があった。①いまだ事故の検証がなされていない東京電力・福島第一原発事故、4つの事故調査報告書があるが、本当の事故原因はわからない②収束とは程遠い福島原発。汚染水処理のめどが立たず、再稼働、原発輸出できる状態ではない③被災地と被災者の深刻な問題。除染に展望がない。不十分な健康調査。被曝の全容調査が不可欠④規制する側が規則の虜になっている。フクシマを引き起こした構造的な問題。「原子力ムラ」を解体できるかは、住民、市民の運動しかない。

講師 振津かつみさん
福島原発事故から2年5ヵ月。大量の放射能が放出され、多くの住民が被曝させられた。福島事故被災地で、問題は多岐にわたる。放射線被曝の健康調査に「しきい値」はない。低レベルでもリスクはある。広島、長崎の被爆者の長年にわたる苦しみと犠牲の下に得られた、被爆健康被害の調査結果が示している放射線被曝の健康リスクのデータをフクシマでも活かすことが重要である。
福島の被災者―被曝労働者の連帯と支援の運動を脱原発と結んで、全国から巻き起こそう。

各地報告―國分俊樹さん(福島)
福島は物理的、意識的にもバラバラになった。まとまらないし、まとまれない。現段階での支援は難しいが、なんとかしたいという一念で今日ここに来た。この間、ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリ等の核放射能被害が、フクシマにはまったく活かされていない。要因は2つ。1つは原発推進派による安全キャンペーン、もう一つは福島の人たちが「被爆者」と同列に置かれたくない。ヒバクシャと言われることを嫌がっている。まさに、国や東京電力の利害と一致する。福島の東半分に本当の復興があるのか。核や放射線のことを訴えると「気にしすぎ」「不安をあおる」と冷たい視線にさらされる。脱原発のTシャツすら着られる雰囲気ではない。今後の被害や差別のことを考えると復興は見えないが、人権擁護や名誉回復で本当の復興ができる。フクシマに国民的運動で支援を。ヒロシマ、ナガサキレベルの健康支援をお願いしたい。

質疑討論
1.福島第一原発を視察したが、汚染タンクが錆びていた。現地を見たが、除染廃棄物が山積みされていた。どう処理するのか。今後、個人除染になると聞いたが、どのようにしようとしているのか。

2.南相馬の学校へ行った。4校合同の仮校舎で、子どもたちが戻ってこない。子どもの学習環境、健康、学習権の保障など、子どもの人権が大事。

3.福島の現地報告にショックがあり、残念だ。日本の社会には、生活が苦しい人が、少しでも自分よりマシな人の足を引っ張る、妬む意識がある。みんなで考えていく必要があるだろう。

4.福島だけの問題ではなく、東北ブロックで考える必要がある。「地震、津波」の被災者と「原発、放射能汚染」の被災者の感情がすれ違ったり、対立したりする傾向がある。復興予算は3兆円あるが、復旧、復興が進まない。以前より格差が拡大している。複合災害は本当に難しい。被曝の健康不安は一生つきまとう。そういう悩みや不安にどう寄り添っていくかが大事。

5.1年前から県庁前で座り込みを続けている。福島の支援は自分に出来ることをやり続けるのが大事。この分科会で「連帯」ということの大切さはわかったが、現地報告を聞いて、支援は難しいと思った。しかし、教員をやっていて学校で平和劇を行った。福島や日本全体のこと、将来のことを解決できる人づくりをしていきたい。

6.フクシマは事故ではなく事件。現地報告は心に響いた。活断層の上にある原発の図をみて、自分たちに関わっていることだと実感した。

山口さん
命の尊厳に関わることを人任せにしていてはいけない。原子爆弾、戦争はいけないという教育を引き継ぐことが重要である。

振津さん
国の責任を問う全国運動を、放射能被害に関する正しい知識を。

國分さん
福島はバラバラだが、県民集会を開催することができた。しかし、高齢者が多い。若い世代が次世代を担えるよう、人材を育てることが大事。

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