声明申し入れ

高市早苗自民党政調会長の発言に対する抗議声明

2013年06月18日

高市早苗自民党政調会長の発言に対する抗議声明

   福島第一原発事故の放射能被害によって、野菜の出荷停止に追い込まれ、そのことを悲観した自殺者に対して、東京電力は原子力損害賠償支援機構の調停によって損害賠償に応じましたが、謝罪は拒否しました。東京電力との交渉の席上、親族は、「『原発事故による死者はいない』と言わせないために、そして脱原発のために、私たちに謝罪させるために申し立てを行いました」と表明しています。  
 2012年3月末の段階で9人の自殺者が東日本大震災と福島第一原発に伴う震災関連死であると認定されています。復興庁の調べによるとこれまでの震災関連死は、福島県が1383人で全体の55%、そのうち原発事故による避難地域で暮らしていた人が8割を超すこととなっています。
 福島原発事故後、大熊町の医療法人博文会双葉病院では、避難を待つ中で、入院患者4人が亡くなり避難後も3月末までに50人が死亡したとされています。「避難してほっとしたのに、運ばれてきた患者が死んでいく、絶望的でこの世の終わりに思えた」とその場にいた医師は語っています。避難での疲労やストレス、持病の悪化など多様な要素が絡み合って亡くなられたと思いますが、しかし、その原因が福島原発事故にあったことは明らかです。
  このような中で、自民党高市早苗政調会長は、神戸市内での講演で「福島原発事故が起きたが、それによって死亡者が出ている状況ではない。原発を最大限の安全性を確保しながら活用するしかない」と発言しました。
 5月現在でも、福島県民16万人が、福島原発事故による放射性物質の汚染により、住む家を追われ避難生活を余儀なくされています。将来への見込みが立たず、先の見えない避難生活の中で、健康を害して亡くなる人が後を絶ちません。まさに「命」を削る生活が日々営まれています。高市早苗政調会長の発言は、福島県民の心情を傷つけ、きびしい生活の中で日々努力している県民を冒涜するもので許すことはできません。今、政治家がするべきことは、傷つきうちひしがれる人々の心に寄り添い、地域社会の復興のために出来うる最大の支援を行っていくことです。福島県民が置かれている現状をしっかりと理解しているならば、このような発言が出てくるわけはありません。政権政党の政調会長という要職にある者の発言として大きな問題です。  脱原発運動の先頭に立ってきた原水爆禁止日本国民会議は、高市早苗政調会長に対し、発言の撤回と福島県民への謝罪、国会議員を自ら辞職することを強く要求します。

2013年6月18日
  原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一

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