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【67大会・報告】長崎第8分科会/見て、聞いて、学ぼう”ナガサキ”―入門編

2012年08月08日

見て、聞いて、学ぼう“ナガサキ”―入門編
証言と映像による被爆の実相と平和運動交流

会場 長崎市「ncc&スタジオ」
講師 西岡由香さん(漫画家)
被爆証言 山川剛さん(長崎県被爆教職員の会)

DVD「君たちは原爆をみたか」を見て、原爆投下から現在に至る原発を含む核開発と事故の歴史を学びました。
その後、被爆者証言として、当時の社会の様子、8月9日当日の様子、被爆者の願い、そしてその願いはかなえられるのかの4つの柱で講演されました。当時はぜいたくが敵であること、校庭で竹やり訓練をするなど、学校で人の殺し方を教えたこと、「人の命は鳥の羽より軽い、喜んで命を捨てろ」と戦争は人の命を粗末にし、軽く見ていたことなど、現在とは違う現実を実体験として語られ原爆が投下された日の行動など生々しく語られました。今被爆者としての願いは「二度とヒバクシャをつくらないこと」であり、人によっては核兵器廃絶など無理という人もいるが、スイス、スウェーデンのように200年近く戦争をしていない国もあり、そうした国の仕組みを学ぶことで可能になるのではないかと思うし、長崎では行動の一つとして高校生が「微力だが無力ではない」を合言葉に署名活動に取り組んでいる姿を見ると被爆者としての願いは必ずかなえられると信じている。皆さんにもできる行動として今日聞いたことを地元に戻って伝えてほしいと要望で締めくくりました。

この後、会場から、高校生は無力ではないという言葉に励まされた。この後、山形に戻って今日の話を伝えていきたいとの感想があり、また、島根からの参加者からは島根原発を抱えているが講師は原発をどう考えているのかという質問があり、講師からは、「原発(原子力発電)」よりは「核発電」のほうがふさわしいのではないか。今まで被爆者として核兵器廃絶に較べ原発に対しては取り組みが弱かったのは事実であり、今後は、核廃棄物など後始末を考えていないような後世に対して無責任であり、「犠牲のシステム」と言われている原発はなくすべきとの発言がありました。最後にこれまでは被爆の悲惨さを伝えて希望を語ってこなかったが、これからは希望も語っていきたいとの言葉で講演は終了しました。
引き続き運動交流として福島からの報告として、講師の今の話を聞いて今の福島はまさに戦争の中にいて非

常に息苦しい状態にあると感じたという感想の後、以下のメッセージが伝えられました。

福島避難者からのメッセージ
目を凝らしましょう。見えない放射能に。
事故発生5日間で放出された放射性物質は77万テラベクレル。チェルノブイリ事故の7分の1。広島原爆約470個分のセシウムが環境中に解き放たれてしまいました。そして毎日、空へ、海へ、大地へ大量の放射能が流れ出ています。それは生き物に入り込み蓄積しています。
目を凝らしましょう。今、生命を削りながら必死の作業を続けている人たちがいます。大量の被曝を強いられ、恐怖と疲労の中で私たち社会の命運を賭けて働く人たち。愛する息子が今日も原発復旧作業のために家を出て行くのをたまらない気持で見送る母親がいます。
目を凝らしましょう。今たくさんの人々が、被曝を強いられて生活しています。チェルノブイリ事故後、強制避難区域となった地域と同じレベルの汚染地域で人々が普通の暮らしをするようにと求められています。次々と見つかるホットスポット、除染しても戻ってしまう放射線量、不安を口に出せない重い空気、後からわかる様々な事実。いつしか人々は疲れ果て、放射能への警戒を手放していきます。大丈夫なのかもしれない・・・人々は村に帰り、田植えをします。子どもたちは復興の象徴。運動会で校庭を走り、鼓笛パレードで汚染された街へと繰り出します。
目を凝らしましょう。
今、子どもたちの未来を守りたいと、。必死に行動する大人たちがいます。たくさんの人々がいのちと最小限の荷物を持ち、避難しました。フクシマの子どもたちは、全国各地に迎えられ、夏の保養に出かけていきます。
市民放射能測定所を作り、危険の食べ物を避ける試みが行われています。安全なお米や野菜が各地から汚染地へと届けられています。内部被曝のリスクをきちんと認識し、人々の側に立った医療者や科学者のネットワークがつくられつつあります。診療所を作ろうと奔走している人々がいます。
原発事故被害者を支援する法律がつくられ、具体的な施策を実現させようと働き続ける議員や市民がいます。
過ちを繰り返さない願いを込めて、原発事故の責任を問う様々な裁判、そして福島原発告訴団が立ち上がっています。
これ以上事故の危険と被曝と核廃棄物を作ることは間違っていると原発再稼働に反対する、たくさんの、たくさん人々の熱い行動があります。
目を凝らしましょう。
ここ長崎で今も消えない67年前に投下された原爆がもたらした影。67年もの間、強いられてきた人々の苦しみ、人体実験、データの隠ぺい、捻じ曲げられる研究、被曝者との分離と差別。
戦後の復興の陰でたくさんの人々が被爆の後遺症と内部被曝による障害に苦しみながら声もなく亡くなっていきました。
耳を澄ましましょう。
ヒロシマ、ナガサキ、ビキニ、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマ核の惨禍の中から、勇気を持って声をあげ続ける被爆者たちがいます。犠牲を強いる力に渾身の力で抵抗し、人間の尊厳を叫んでいます。
耳を澄ましましょう。
自分の心の声に。
私たちは涙を止めることはありません。
こんなに悲しいことが起きたのですから。
心から泣き、嘆き、悔み、悼みます。
私たちは涙を恐れません。
私たちが恐れるのは嘘です。幻想の上に街を再建することです人々が被曝し続けることです。そして声なき無実の生命たちの未来が失われていくことです。
私たちは変化を恐れません。
恐れるのは悲劇を直視せず、悲劇を生み出した社会に固執し続けることです。
大きなもの、効率、競争、経済的利益、便利さ・・・そうしたものを私たちは問い直します。科学も数字も全て、私たちの生命のために奉仕するべきであって逆ではありません。
私たちは別のあり方を求めます。無数のいのちの網目の中で生きる。
私たち人間のいのちを守る、別の価値観と社会を求めます。
私たちの中の「原発」に私たちは気づいています。
私たちはそれを乗り越えていきます。
私たちは声をあげ続けます。
私たちは行動し続けます。
人間性への深い信頼を抱き限界なくつながり続けます。
再び目を凝らしましょう。
未来の世界に。
人々が放射能に怯えることなく、地球という自然に調和し、つつましく豊かに暮らす世界の姿に。
今日みなさんと歩む一歩一歩の先に、そうした未来があると信じています。

以上

この後、講師による学習会では講師の体験談をもとに核廃絶、脱原発運動を自分の分野である漫画を通して取り組んでいることが紹介され、それぞれの分野で取り組むことができることを学びました。時間の関係で質疑は行いませんでした。
最後に今日聞いたこと、学んだことを明日から伝えていくという行動をおこすことを確認し、分科会を終了しました。

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