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【ニュースペーパー2012年3月号】原水禁関連記事

2012年03月01日

●さようなら原発1000万人署名の成功へ 道を開く! 平和で再生可能な社会へ
平和フォーラム・原水禁 事務局長 藤本 泰成

●「原発いらない! 3.11福島県民大集会」にご協力を オール福島の実現をめざして
福島県平和フォーラム 事務局長 原 利正

●福島第一原発は今、どうなっているのか 依然として続く深刻な状況
原子力資料情報室 上澤 千尋

●最優先すべき脱原発の社会づくり 今こそシナリオと戦略を立てるとき
明治大学名誉教授 原水禁専門委員 藤井 石根

●福島原発事故と食の安全・安心 徹底した放射能測定と結果の表示を
食の安全・監視市民委員会 代表 神山 美智子

●「原発関連被ばく労働者支援局」設立へ
神奈川労災職業病センター 川本 浩之


さようなら原発1000万人署名の成功へ
道を開く! 平和で再生可能な社会へ

平和フォーラム・原水禁 事務局長 藤本 泰成

12,000人が参加した2月11日の東京集会
 2月11日に開催された「再稼働許すな!さようなら原発1000万人アクション全国一斉行動in東京」は約12,000人の市民が代々木公園の会場を埋め尽くしました。
呼びかけ人の大江健三郎さん、落合恵子さん、澤地久枝さんが、脱原発と再稼働の問題について発言しました。この間、本業をなげうって脱原発の運動を進めている俳優の山本太郎さんも駆けつけ、パレードの最後まで道行く人々に訴えました。タレントで中学生の藤波心さんは、自らの思いをしっかりと語り、原発事故で故郷を追われている福島県民に思いを馳せ、唱歌「故郷」を澄み切った声でじっくりと熱唱しました。参加者みんな感動の渦の中にいたと思います。福島県平和フォーラムや有機農業者、福島から避難している方、それぞれ熱い思いと怒りの声を上げました。

放射能との闘いに有効な手段はない
  福島は、未だ放射能の中にあります。県民の多くは故郷に帰ることができず、避難生活を余儀なくされています。県内の多くの場所が放射線管理区域と同じような放射線量を記録し、放射能による健康被害におびえて暮らしています。行き場のない怒りが渦巻いています。
放射能は目に見えませんし、除染してもどこかに移動させただけであって、消すことはできません。それが放射能です。火事は消すことができます。火は太古の時代から人とともにありました。しかし、放射能は人ともにあるべきものではありません。福島原発事故で生み出された放射能は、そもそも自然界に存在していたものではありません。人の手によって生み出されたもの、自然界に存在してはならないものなのです。大江さんは「原子力発電所の存在は、人のモラルと倫理に反する」と述べました。その言葉の意味を、私たちはしっかりと受け止めねばなりません。
原水禁は「核と人類は共存できない」と主張してきました。ウラン採掘の現場から使用済み核燃料を中心とした廃棄物の処分まで、私たちは放射能と闘い続けなくてはなりません。そして、その闘いに有効な手段を誰も持っていないのです。確立されない技術というものを、確立されないままに使い続けてきたということ、それが原発であり、それが福島第一原発事故の本質なのです。

許せない既存原発の再稼働
 2011年6月の「さようなら原発1000万人アクション」の立ち上げ、呼びかけ人の記者会見から10ヵ月を経過しようとしています。福島から沖縄までをつないだ「原水禁世界大会」、9月8日の「講演会・さようなら原発」、そして6万人を集めた9月19日の明治公園での「さようなら原発全国集会」、「がんばろう!さようなら原発1000万人署名」12.10集会、前述の2月11日集会と、私たちは声を上げ続けてきました。
この間54基の原発は次々と停止し、現在2基が稼働しているに過ぎません。電力不足を懸念された去年夏も、しっかりと乗り切ってきました。菅直人首相(当時)が提起した「原発に依存しない社会」に向けてしっかりと歩み出したかに思えました。枝野経産相も「再稼働は困難であり、今夏は原発なしで乗り切らなくてはならない」と発言しました。
しかし今、政府は既存原発の再稼働へ向けて舵を切っているように見えます。原子力安全・保安院の「大飯原発ストレステストへの妥当評価」、野田佳彦首相の「福島原発事故の収束」発言、そして細野豪志原子力行政担当相の「原発寿命実質60年の原子炉等規制法の改正」提起、そして健康問題を度外視するかのような避難地域の強引な放射性物質の除染作業と住民の帰還、全てが今夏に向けた「既存原発の再稼働」に向けた地ならしとしか見えません。原水禁は、再稼働を考える政府を許すことはできません。

ごまかされる地震と事故原因
 東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という日本の観測史上最大の地震でした。日本の地震研究は、世界の最先端を行っていると考えられますが、しかし、それでもなおこの大規模地震は予測できませんでした。そして、マグニチュード9.0という地震発生後は、さらにきびしい知見が発表され続けています。新しい知見は、これまでの原発の安全基準の更なる見直しを要請しています。
原発の基準値振動は、阪神淡路大震災、中越沖地震とその度にさらにきびしく見直されてきました。しかし、今回の事故を防ぐことはできませんでした。福島原発事故の政府調査委員会は、中間報告の中で「地震が原因とはわからない」としていますが、原子力安全基盤機構は、地震直後に圧力容器内の蒸気圧が低下していることから「地震によって配管等の破断があった」との見解をまとめています。500ガルを超える程度の地震動で福島原発が破壊されているとすれば、全ての原発を動かすことはできません。

信頼に足らない大飯原発の安全評価
 大飯原発の安全評価は、福井県におけるこれまでの地震研究の成果によって行われています。しかし、新しい地震に対する知見がどんどん出ている現状で、そのことが信頼に足るものとは考えられません。もし、再稼働後に事故が発生するならば、関西電力は東京電力と同様に「想定外」と発表するのでしょうか。
想定というハードルはどんどんと高くなっています。大飯原発の事故は、滋賀県の嘉田由紀子知事が言うように、必ず関西地方の飲料水を供給する琵琶湖を直撃し、放射性物質で汚染するに違いありません。そのとき、「想定外」ではもう遅いのです。
事故原因もわからず、地震の規模の評価も定まらないままに、電力不足という宣伝と電気料金高騰による経済的影響を喧伝し、再稼働へと進めようとする経済効率優先の姿勢は、世界に例を見ない公害病を出した水俣でも、そしてこの福島原発事故でも非難されてきたものであったはずです。二度目の原発事故が引き起こされたなら、日本経済は立ち上がることのできないほど打ちのめされることでしょう。

7月16日は代々木公園で大集会を開催
 「さようなら原発1000万人アクション」の呼びかけ人の皆さんは、2月11日に全国の原発立地県知事および立地市町村長にあてて、再稼働を許すことのないようメッセージを送りました。2月16日の新聞報道では、経団連など経済3団体の強い要請に基づいて、民主党のエネルギープロジェクトチームが「原発の稼働なしには今夏電力不足の可能性がある」として、定期点検で停止中の原発の再稼働を容認する方向で調整に入るとしました。
再稼働は地元合意が前提としているものの、その姿勢を容認することはできません。脱原発の方向を全く決定せずに、再稼働に走る行為は、人の命を金で売ることと同様の野蛮で愚かなものです。
原水禁は、地方自治体への働きかけと原発立地の地元での運動を強化し、全力を挙げて再稼働阻止に向けて取り組みを進めなくてはなりません。多くの市民と連帯し、脱原発で「命に寄り添う社会と政治」をスローガンに、「平和で再生可能な社会」をめざして、「さようなら原発1000万人署名」を全力でやりきって、7月16日の代々木公園での「さようなら原発全国集会」で脱原発実現の道を開こうと思います。
全国の皆さん! 懸命な努力で、道を開こうではありませんか。新しい社会をつくろうではありませんか。


「原発いらない! 3.11福島県民大集会」にご協力を
オール福島の実現をめざして

福島県平和フォーラム 事務局長 原 利正

 間もなく3月11日がやってきます。福島を、日本と世界を変えたあの日です。福島では、原発事故により県民の多くが生活の基盤を破壊され、大きな不安を抱えて暮らしています。今もなお多くの県民が県外に避難し、人口の流出が続いています。事故を契機に国の内外で原発に対する不安が高まり、海外では脱原発を決定した国もあります。
ところが当の日本自身が本当に変わったのかというと、そうではないようです。いまだに誰も責任を取らず、原子力ムラは温存されています。原発は再稼働に向かっており、海外輸出も目論んでいます。このままでは、日本は、過ちに何も学ばない、何も反省しない国になってしまいます。しかし、二度目のフクシマは日本の最後を意味します。二度とあってはならないのです。
今が正念場です。まさに日本の将来を分ける重大な分岐点にあります。原子力ムラとそれを推進している勢力との闘いに何としても勝たなければなりません。その闘いの一助とすべく、福島県平和フォーラムは、「原発いらない!3.11福島県民大集会」の成功に向けて今、組織の全力を傾注して準備を進めています。

福島が経験したことのない取り組み
 昨年、原発事故が起きたときに私たちが思ったのは、なぜ事故が起きる前に原発を止められなかったのかということでした。そしてこれまでの運動についても反省させられました。一つは、事故について私たち自身が「想定外」ではなかったかということです。確かに私たちも地震の危険性を訴えてきましたが、そこには甘さもありました。真に危機感をもった訴えをすることができませんでした。
また、運動を広げる努力も不足していました。本当に原発をなくすには多くの県民の賛同が必要ですが、それを最初からあきらめ、理解してもらえる人に理解してもらえればいいと、自ら萎縮していたように思います。
この反省の上に私たちが意思統一したのは、今後はオール福島を追求しようということです。主義主張に関係なく、「もう原発はいや」というのが全県民の率直な思いのはずだからです。そして、ようやく実現したのが、まず昨年7月31日に行った「原発のない福島を求める県民集会」でした。
その後、事故1周年となる今年の3月11日の取り組みについて議論した結果、さらに大規模な県民の大集会を開催しようということになりました。野球場を一杯にするくらいでないとインパクトがない、200万県民の1%で2万人を目標にという声があり、会場は郡山市の開成山野球場と決定し、準備を開始しました。
当然、私たちだけでは会場を埋められませんし、オール福島と言う意味からも、県内各地から、組織に関わらず各界各層の県民が結集するものにしなければなりません。そのため県内の著名人や主だった団体の代表者に呼びかけ人をお願いすることとしました。これは福島ではいまだかつて経験したことのない取り組みです。誰にどうやって要請するのかなどなど、全くの手探りで、紆余曲折を経ながら最初の呼びかけ人会議を開催できたのはようやく12月25日でした。しかし呼びかけ人を要請していたJA農協などについては、理事会やその他で決定する必要があるとのことで、この会議に間に合わず、最終的な呼びかけ人や集会名称は決定できませんでした。

JAや漁連、森林組合の協力を取り付ける
 名称が確定したのが1月29日、そしてさらに要請していたJA、漁連、森林組合などの生産者団体の会長が呼びかけ人として確定したのはようやく2月初旬でした。やむなく県平和フォーラムが事務局となって会場の手配やビラやポスターなど宣伝の準備などは先行して進めてきました。
集会のメインスローガン、主な訴えとして考えたのは、次の3点です。
・福島県では原子力発電は将来にわたり行わず、福島県を再生可能エネルギーの研究・開発拠点とすること。
・放射能によって奪われた福島県の安全・安心を国と東京電力の責任で実現すること。特に子どもたちを放射能から守ること。
・原発事故に伴うすべての賠償の実現と、県民の生活と雇用の保障を実現すること。
もちろん他にも様々な要求がありますが、挙げればきりがありませんし、ほとんどの県民が共感できるであろうもの、オール福島として集約できるのはこの3点だろうと考えたのです。これにより集会の企画書を作り県内の主な団体に呼びかけ人への就任等を要請したのですが、現実を言えば、残念ながらオール福島にはなり切れていないと言わなければなりません。
ネックは「脱原発」です。私たちの内部でも議論はありましたが、あえて「福島では」との限定を付けたにもかかわらず、一部の要請先に理解を得られなかったのです。まず県内の労働組合で対応がまとまっておらず、連合福島の協力を得ることはできませんでした。また商工団体も同様です。このように限界はありますが、一方で、生協連に仲介役を担っていただきJAや漁連、森林組合に協力が得られたことは大きな成果だと思っています。

脱原発、まずは福島での実現を
 この集会が「県民集会」であることについても議論があります。市民グループの方々からも様々な意見をいただきました。「1000万人アクションの一環として位置付け全国集会にすべき」「福島での脱原発と限定するのはおかしい」「これまで脱原発を中心に担ってきた人が呼びかけ人になっていない」などです。実はそうした思いは私たちも同じのなのです。私たちの立場も全国の原発の廃炉です。そのための集会であることは間違いありません。しかし、まず福島において脱原発を実現しようということです。
県議会が県内全原発の廃炉を決議し、県は復興計画の中で原発からの脱却を明確にしています。しかしそれに対して、県内でも異論がないわけではありません。また国や東電はいまだに全原発の廃炉を決定していません。一部週刊誌は、東電が福島第二の再稼働を狙って動いていると報道しています。おそらく国も、時が経過し事故が風化すれば再稼働を容認するでしょう。そうさせないためには、県民の明確な意思を示すことが必要です。
また、県民が直面している課題、放射能汚染対策や賠償の実現、生活と雇用の保障等々を何としても解決していかなければならないということです。これらは県民の切実な願いです。こうした問題を抱え、理不尽な犠牲を強いられているからこそ原発はこりごりと思うのです。福島においてこの3点は切り離すことはできません。そしてこの3点を主張するにはやはり県民集会でなければならないのです。
多くの広範な県民の結集をめざすために、県平和フォーラムは「黒子」になることとして、あえて呼びかけ人に名前は出していませんでしたが、実務の中核は県平和フォーラムが担う他、集会の実行委員会の実行委員長には、県平和フォーラムの竹中柳一代表が就任することとなりました。さらに、私たち以外の様々な団体や市民グループの皆さんにも協力をいただくこととなっています。
財政づくりも重要です。野球場が会場ですから特設ステージを設置するなど大変な経費がかかります。基本的に賛同金で賄うこととしており、参加者の確保とあわせて実行委員会全体で懸命に進めています。

3月11日を脱原発運動の節目の日に
 8月6日と9日が日本の核廃絶運動にとって大きな節目の日であるように、3月11日は脱原発運動の節目の日にしなければなりません。県平和フォーラムとしては、まず福島から脱原発を日本と世界に発信することにより全国の脱原発運動に貢献することを課題としています。
また県民は憲法の保障する生存権や労働権など基本的権利が侵害されており、その回復を図らなければなりません。その点では県民と連帯する取り組みでもあります。さらに集会を担うことを通して、組織の強化を図ることや、県内における私たちの影響力拡大にもつなげたいと考えています。
ぜひ全国の皆さんのご支援をお願いします。また、集会当日はまだ大変寒いと思われます。参加される方は寒さ対策もお願いします。
〈集会のHPはこちら〉http://fukushima-kenmin311.jp/


福島第一原発は今、どうなっているのか
依然として続く深刻な状況

原子力資料情報室 上澤 千尋

なぜ上昇した2号炉の温度
 2月2日から2号炉の原子炉圧力容器の温度が上がりだし、13日には摂氏90℃を超える値を示し、さらに急上昇を続け、公表されているグラフをみると400℃を超える指示値を示している温度計(熱電対)があることがわかります。東京電力は、圧力容器内への注水量を17.5tに増やし、さらに注入量を増やしたため再臨界防止措置として注入する水の中にホウ酸を添加しています。
高い温度を示しているのは、「底部ヘッド上部」の円周方向0°位置にある一つの温度計です。近くにある温度計が、40℃から30℃へと低下傾向を示しています。このため、東京電力は、実際に温度が上がっているのではなく、温度計が計器の断線などで故障しているのだとほぼ断定しています。
しかし、何らかの理由(操作、地震、崩壊)で核燃料の熔融物がこの温度計の近くに移動していき、その結果、実際に温度が上がっているのかもしれません。あるいは、何らかの核反応が局所的に活発になった結果かも知れません。たとえ、温度計が故障しているとしても、その理由を知る必要があります。なぜこの時期にこのようなことが起きたのでしょうか。他の温度計は大丈夫なのでしょうか。
今回、小さめに出来事を見積もっても、温度計を一つ失ってしまったわけですが、今後どうなっていくのかを考えると、かなり深刻です。原子炉内部を知る手がかりすらないという状態になりかねないからです。そうなると、熔融物の管理などまったく見通しが立たなくなってしまいます。

崩れ落ちている原子炉内の核燃料
 現段階では、たとえ原子炉内部にカメラを入れることができても、核燃料の状態まで見るのは相当困難でしょう。非常に高い放射線の環境下で、「見る」ための素子を開発するということと、遮へいをがっちり施した放射線に強い装置をつくることとは相反する要求だからです。格納容器の中をちゃんと見ることができるかどうかも疑わしいと思います。実際、1月19日に2号炉の格納容器の中に放射線の遮へいを施された工業用の内視鏡を入れて内部を見る作業を行いましたが、熔融物の様子に関しては重要な情報は得られませんでした。
1、2、3号炉とも、原子炉内の核燃料の大半は熔けて崩れ落ちているのは間違いありません。燃料は熔け崩れ、制御棒も燃料と一緒になって熔け落ちているものとみられます。その上に、炉心シュラウドやシュラウドヘッド、気水分離器、蒸気乾燥器などの原子炉内にある大型構造物が、熱のため大きく変形して重なり落ちているのでしょう。

圧力容器も大きく破損している
 炉心だけでなく原子炉圧力容器も大きく破損していることでしょう。原子炉の底や制御棒を通す管の回りなどに穴が空き、熔けた核燃料が原子炉の外に飛び出していることは確実です。圧力容器の上ぶたのフランジ部なども、ゆるんでしまっているかもしれません。格納容器の壁も貫通している部分があるはずです。格納容器の上ぶたフランジは完全に機能を失っているとみられます。
原子炉内にとどまっている核燃料の残骸もかなりあると見られます。2月13日現在の時点で、1、2、3号炉へは、炉心の冷却のためそれぞれの原子炉内に1日あたり146、424、216tの注水を続けているからです(注水の経路は給水系と炉心スプレイ系の配管)。しかし、圧力容器から抜け落ちた熔融燃料の方の挙動の把握は全くできていません(冷温停止を達成している5、6号炉への外部からの注水量はゼロであり、原子炉の水温はそれぞれ38℃、26℃です)。
また、「循環注水冷却」によって、注入された超高濃度の汚染水の放射能が、集中廃棄物管理施設内に設置された浄化装置によってこしとられ、貯まり続けています。使用しているフィルター類は、付着した放射能による発熱で300~500℃もの高温になっていることもあると言います。

疑わしい東電の事故分析
 原子炉圧力容器や格納容器の内部はおろか、原子炉建屋の中にも人間が自由に出入りできない現状では、公表されている原子炉回りの温度や圧力などのデータから推測するしかありません。事故がどのように進行していったのかについては、挙動が激しい割に残っているデータが少なく、もっと不確かです。
東京電力や原子力安全・保安院が行っている事故解析では、地震の揺れによる原発の重要な施設の破壊・損傷はなかったと強調していますが、その科学的根拠は乏しいと言わなければなりません。
東京電力は、2011年11月30日に開かれた「東京電力福島第一原子力発電所1-3号機の炉心損傷状況の推定に関する技術ワークショップ」において、事故解析プログラムによる炉心熔融に至る過程と格納容器の損傷状態に関する推定結果の概要を公表し説明しています。推定結果の再現性はあまり良いとは言えず、実測された原子炉(水位、圧力)や格納容器(圧力)のデータを模擬できていない箇所がいくつもあります。

無理やりデータと合わせる操作
 たとえば、1号炉について東京電力は、原子炉水位については事故の早い段階から水位計が正しい値を示していないと判断して、全く無視しています。その他、3月12日の0時前後の様子として、減圧操作をしていないのに原子炉圧力が急激に低下していること、格納容器内の圧力が圧力容器の破損以前に大きく上昇していることが、解析では模擬できていません。東京電力は、実際には作動していない主蒸気逃し弁が動いていることを仮定して解析を実施して、無理やり実際のデータに近づけようとしているように見えます。
東京電力は、これらの不確かな結果をもとに熔融炉心による格納容器の損傷状態を導いており、1、2、3号炉それぞれで、床のコンクリートを65㎝・12㎝・20㎝侵食したと推定した結果を説明しています。熔融燃料がコンクリートと水蒸気爆発を起こすケースや、熔融燃料が流れ広がってペデスタル部(圧力容器を支えているコンクリートの土台)の壁を貫通してしまうケースを考慮していないなど、結果は当然疑わしいものにならざるを得ません。

配管や機器に破壊・損傷が起きた可能性
 元原子炉設計者で科学ジャーナリストの田中三彦さんは、事故後に早くから1号炉で原子炉につながる重要な配管、もしくは、機器で地震による破壊・損傷が起きている可能性が否定できない、と指摘しています。田中さんは、1号炉における原子炉圧力の挙動、原子炉水位の急激な低下、格納容器圧力の急激な上昇を示すデータ、および、非常用復水器の運転状況から、原子炉につながる配管のどこかに微少な漏えいが発生していると推定しています。
保安院に対して、原子炉につながる配管に漏えいが起きていた場合の解析をすべきではないかと求めたところ、原子力安全基盤機構(JNES)が、過渡解析用のコンピュータ・プログラムを用いて解析を行いました。これは東京電力が使っているプログラムや、JNESがこれ以前に使っていた汎用のプログラムに比べて精度が格段に高いとされています。ただし、それでも一次元的な解析しかできないのです。

否定できない配管からの漏えい
 解析の結果は、12月9日の東京電力福島第一原子力発電所事故の技術的知見に関する意見聴取会(第4回)及び建築物・構造に関する意見聴取会(第5回)の資料3-2「福島第一原子力発電所1号機非常用復水器(IC)作動時の原子炉挙動解析」として公表されています。保安院・JNESは、3c㎡程度の漏えいが起きた場合には原子炉水位が実測値より急激に下がるため、それ以上の破損は生じていないと説明しています。
しかし、よくみると再循環系配管に0.3c㎡以下の面積の漏えいが起きた場合の解析ケースが示されていて、漏えい面積が0.3 c㎡では、漏えいがない場合と区別ができないことが読み取れます。0.3c㎡での漏えい量は、1時間当たり7.2tにも達します。このように大きな規模の量の漏えいであっても、このプログラムで再現できず、その結果、1号炉での配管からの漏えいが否定できないことがはっきりしてきています。


最優先すべき脱原発の社会づくり
今こそシナリオと戦略を立てるとき

明治大学名誉教授 原水禁専門委員 藤井 石根

生存、生活を危うくする原発事故
 自然エネルギー資源量では日本より確実に少ないドイツが福島第一原発事故を契機に早々に脱原発を宣言しました。10年余りで全原発を廃炉にすると言います。翻って広島と長崎、そしてこのたびの原発事故と三度もの悲惨な被害を経験した日本、それでも今もってなお、原発に未練を残し、脱原発を語れないでいます。それどころか54基全ての原発がまもなく稼動停止状態になるのを受けて、「この夏は電力不足になる」などと人々の不安を煽る始末、原発の再起動に躍起になっている節すら見られます。
一体、このドイツとの差はどこから来るものなのでしょうか。ドイツと同様に日本には原発を廃炉にできる十分な技術を持ちあわせているし、ドイツ以上の十分な自然エネルギー資源にも恵まれています。その気にさえなれば危惧する電力不足など短期間のうちに払拭できる状況も整っています。足りないのはやる気になることと積極性でしょう。世界は今や確実に時代の節目に差し掛かっています。当然、エネルギー問題にしても同様でしょう。
脱原発に異を唱える表向きの理由には、既に見た電力の供給不足による経済的な影響と、このところのイラン問題で起こるであろう原油の値上がりがあります。確かにどれも一見、もっともらしく聞こえますが、将来性、持続性それに最も大切にすべきものは何かといった観点が欠落しています。今や一時しのぎの対応では事が済まない状況に至っています。経済性を重視する余り、日常生活を根底から覆されては元も子も無くなります。
このたびのような原発事故の再来は、経済的損失はおろか生存、生活をも危うくし、社会の崩壊につながる可能性があります。それに比べれば経済的な問題は取るに足らないものです。「今後はより原発の安全性を高めて」などと言うセリフも聞かれますが、安全神話の実態が公になり、人為の限界が再認識されたとき、安全な原発などできるとはほとんどの人は思わないでしょう。むしろ違和感や不信感を募らせるのがおちです。いまだに原発に固執し続けている人たちは概ね、原発の推進に深く関与してきた人たちであり、しかも、今日の事態を招いています。万物の共有財産である自然を広範に放射能で汚染し、多くの人たちの生活を台無しにした上に生存すら危うくしているのです。その罪の程は決して小さくありません。その責任の一端は彼らにもあります。しかしそのことに対して、反省どころかその責任すらあまり感じていません。原発にさらに依存し続けようとする論理の背景にはこうした人間性の欠落が存在しています。少しでも責任を感じれば、こうした主張が出てくるはずがありません。

物質的追求より持続可能な社会づくりを
 今の社会システムや生活のありようは潤沢なエネルギー消費で支えられています。しかしその一方で、供給の確実性や持続性に不安を残し、かつ無視し得ない程の環境負荷を醸し出しています。そうした中、この度の事変はこうした生き方の限界を啓示、有りようの変革を求めています。
もしエネルギー消費の程を家庭での収入にたとえるならば、現況は収入減に伴うこれからの生活の有りようを求めています。当然、その対応あり方には①収入に似合うライフスタイルの再構築②確実にして持続性のある新たな収入源の確保③これまでの生活の継続をなおも第一に考え、高リスクを覚悟で借金する方法があります。このうちどの策を選択するかはわれわれの英知次第ですが、将来性や後世の人たちにも思いを馳せるとき、③の選択肢はあり得ません。
今、精力的に行うべきは、未だ余裕があるうちに最初の二つの策の実行です。具体的にはエネルギーの有効利用、すなわち省エネルギーを基調としたエコ・エコノミー社会へのつくり替えとソフトエネルギー活用の促進です。目標は豊かな生活の実現で、これまでのような物質的な豊かさの追求ではありません。この変革は容易ではありません。綿密にして周到な戦略が当然、必要になってきます。

ないがしろにされてきた自然エネルギー資源
 自然エネルギーによる世界の発電設備容量は2010年の時点で3億8,100万kWと、原発の容量の3億7,500万kWと拮抗しています。一方、日本では活用可能な自然エネルギー量は20億3,349万kWと見込まれていますが、現在の導入量はたったの1,490万kWに過ぎません。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の見積りによると、もし本気になったら導入できる設備容量は、太陽光で原発や火力発電の30基分に当る2万9,550MW、風力は782基分の78万2,220MW、地熱で20基分の2万540MW、中小水力で28基分の2万7,600MWと、その供給ポテンシャル量は相当なものです。これにバイオマスなどを加えれば、その量たるや莫大で日本は自然エネルギー面では資源大国です。
日本の原発を含む現在の総発電設備容量は2億kW余りと言われているので、日本が抱えている活用可能な自然エネルギーの量はそれの約10倍で、しかもほとんどを無駄にしています。この状況はもったいないという程度を通り越しています。
事故を引き起こした当事国に住む私たちは、この状況をどのように見て、今後を考えるのか極めて重要な岐路に立たされています。

可能性が大きい自然エネルギー
 東京や大阪で一部の市民グループは、原発の是非を問う住民投票条例制定を直接請求するための署名活動を展開し、必要数以上の署名を集めています。これにちなんで為政者はもとより、一部学者の意見やコメントなどが新聞紙上、その他で散見されるようになっています。当然、脱原発に否定的なものも少なくなく、そこには自然エネルギーの弱点をあげつらうものも含まれています。
これらの内容は概ねよく聞かされてきたものですが、そんな中で少し目新しいものとしては、一つに「パワー不足の自然エネルギーは主役になれない」とする意見もあります。ここで言っているパワーとは単位時間当たりの仕事をする能力、すなわち平たく言えば一基当たりの発電設備容量や出力密度の程を指しており、この点で自然エネルギーによるものはその程が小さいので問題だと主張しています。
しかし、この点の対応は技術的に可能で、たとえば複数個の系の出力を合わせれば、いくらでも出力密度も容量も増やすことができます。電気自動車(EV)の普及・拡大の風潮を背に蓄エネルギー技術も向上しています。今のエネルギーシステムは集中型で発電系もそれに対応してできています。そのシステムをほとんど変えずに、分散型の自然エネルギーの系を持ち込めば馴染みにくく、不都合が生じるのは当然で、それを理由にマイナスの評価をする論は傾聴に値しません。
また「自然エネルギーは必ずしもエコではない」とする論もあります。だからと言って他がエコということにはなりませんし、エコ度を上げる方策は少なくありません。これらに限らず他の論や意見も現況の系や制度を固定的に考えて自然エネルギー導入の弱点を挙げ連ねています。これでは、環境負荷がより大きな持続不可能なエネルギー資源に、なおも多く依存し続けることになり、将来性は細るばかりか今後の負担もますます大きくなります。
また、石原慎太郎東京都知事は原発反対の動きに関し、代案が出ていないと最初から無視する態度を示しています。これまで多く提示されてきた自然エネルギー活用案やその実を無視、ドイツやイタリアの動きも軽視しています。失敗や事故、それに挫折を体験しながらも、それらを克服することで文明は進歩するとして原発の維持を暗ににおわせています。このことから、彼には原発の本質を理解しているとは思えないし、チェルノブイリや福島原発事故を飛行機事故等と同一視し、事故の影響の程の差異を全く考えていない節があります。文明の進歩など目的にするものでもなければ主役になるものでもありません。私たちは今なお、こうした為政者を頂いている状況にあることを決して忘れてはなりません。
いま一番重要なことは、目前の課題への対応もさることながら、将来を見越した社会づくりです。それ故にそこに至るシナリオづくりや戦略を早急に立てることも必要であり、先見性や理念も要求されています。将来像がしっかりと決められなければ意味のある策が立てられるはずもありません。昨今の政治からはこの辺がはっきりと見えてきません。政治の質は国民の質を映し出していると言われますが、われわれ一人一人にしても反省すべき点を多々抱えています。かのインドの偉大な政治指導者ガンジーは、あってはならない「七つの大罪」の一つに「理念なき政治」を掲げています。この言葉からも考えさせられるところも決して少なくありません。


福島原発事故と食の安全・安心
徹底した放射能測定と結果の表示を

食の安全・監視市民委員会 代表 神山 美智子

広範な食品汚染、安心だと宣伝した政府の嘘
 昨年3月11日の大地震と津波により破壊され爆発した福島第一原発から、大量の放射性物質が飛散降下して、いわゆるホットスポットと呼ばれる高濃度汚染地域をつくり出しました。そのため農産物、畜産物、水産物などに、広範な食品汚染をもたらしたのです。
政府の対応が後手に回ったため、いまだに新たな汚染源が見つかる有様です。稲わらの汚染が牛肉のセシウム汚染を招いただけでなく、2月になってからも、福島の材木を燃やした灰でろ過した水を使った沖縄のそばから、1㎏当たり258ベクレルのセシウムが検出され、福島産の大根を使った切干大根から同じく3,000ベクレルが検出されています。また福島のビニールハウスをリサイクルするため洗浄して落ちた土から、58,000ベクレルものセシウムが検出されたと言います。
こうした放射性物質の汚染に対し、厚生労働省が昨年3月に暫定規制値を設定し、原子力災害対策本部が、原子力災害対策特別措置法による必要な措置として、出荷制限や摂取制限などを指示してきました。そもそも、原発の重大事故自体、想定されていなかったので、放射性物質に関する食品の規格基準が設定されていなかったことに問題があります。チェルノブイリ事故後、輸入食品を規制するため、セシウムについて370ベクレルという規制値が設けられていましたが、福島事故後の暫定規制値はこれより緩いもので、一般食品については500ベクレルでした。
政府はこの暫定規制値に基づき、各地に検査を指示しましたが、検査態勢は非常に不備がありました。食の安全・監視市民委員会は、検査体制の充実と結果公表を政府に求め続けてきましたが、検査機器やスタッフが間に合わず、場当たり的な対応しかなされてきませんでした。それにもかかわらず政府は、「市場に出回っている食品は規制値以下だから安心して食べろ」と宣伝しました。しかし、稲わら牛肉の汚染が発覚し、その嘘が白日のもとにさらされることになったのです。

4月から新基準、子どもの健康への配慮は不十分
  厚労省は新しい放射性物質の規制値を設定し、4月から適用されますが、一般食品について100ベクレル、水10ベクレル、乳児用食品50ベクレル、牛乳50ベクレルとされています。暫定規制値はセシウムについて、年間5ミリシーベルトを超えないようにと定められていましたが、新規制値は、これを年間1ミリシーベルトに引き下げた結果です。ところが、本来子どもの健康を守ることが使命であるはずの文部科学省の放射線審議会が、この規制値は厳しすぎるとの意見を述べました。乳児などに特別の規格基準を設けなくても、子どもへの配慮は十分というのです。
その背景には、陰膳方式で測定した結果、検出される放射性物質の濃度は十分低いという認識があると思われます。陰膳方式は、1食分の食材をミキサーにかけて測定するので、実際の食事のデータを取ることができます。検査された食材そのものを食べる学校給食などでは、摂取実態に合っているとも考えられます。
しかし、これを普通の家庭の食生活にあてはめることはできません。それは、食生活は多様であり、平均で食べているわけではないからです。魚介類を多食する人もいれば、同じ生産地の食材を食べ続ける人もいます。牛乳の場合、集荷されたクーラーボックスで測定することになっており、高濃度汚染牛乳が混じっていても薄められるので検査結果は低くなります。その牛乳を飲むのだから支障ないとされていますが、ホットスポットの汚染を見落とすことになり、対策につながりません。
一部の専門家の中には、100ミリシーベルト以下では健康に有意な影響は見られず、むしろ気にしすぎることのほうが有害であると言う人もいます。しかし、小さい子を持つ親にしてみれば、将来何が起こるかわからない低線量長期曝露は、できるだけ避けたいのは当然です。化学物質の世界では子どもの基準は大人の10分の1にすることが通常ですが、新基準の乳児用食品と牛乳は一般食品の半分にしかなっていません。これは10ベクレルに設定するべきでしょう。また徹底した測定と測定結果(ベクレル)の表示を求めたいと思います。それにより、消費者は何を食べ、何を子どもに食べさせないかを自ら決定することができるのです。


「原発関連被ばく労働者支援局」設立へ

神奈川労災職業病センター 川本 浩之

被ばく労働の規制を緩和する国
 全国労働者安全衛生センター連絡会議は、福島第一原発事故以来、被ばく労働に関して、国と交渉を続けてきました。国は、緊急作業という名目で、実は他の原発を動かすために技術者が足りなくなるというメーカーなどの要請を受けて、被ばく労働の規制緩和を行いました。また、被ばく労働者の補償問題については、積極的に情報提供したり、基準を明確にしようとしたりしていません。一方でその効果が疑問視されている「除染作業」の被ばく労働対策として、新たな規則をつくりました。
原発内に限らず、被ばく労働を余儀なくされている実態に対して、制度だけではなく、現場での取り組みが求められています。そうした中で現在、連絡会議では「全国安全センター原発関連被ばく労働者支援局」(仮称)の設立に向けた動きを進めています。

東電に情報開示、補償問題で団交要求
 関西労働者安全センターは、原子力資料情報室や、よこはまシティユニオン、原水禁などの協力を得て、福島第一原発で働き、「多発性骨髄腫」になった故・長尾光明さんの労災認定、そして東京電力を相手取る損害賠償裁判に取り組んでいました。厚生労働省は労災認定しました。しかしながら、東京電力は団体交渉を拒否し、裁判では長尾さんが「多発性骨髄腫」であることすら否定してきました。2010年2月、最高裁判所は、請求を棄却。国の労災認定にもかかわらず、司法として、原発内被ばく労働と病気の因果関係をあくまでも否定するという姿勢を取りました。
2011年4月、福島第一原発事故を受けて、よこはまシティユニオンは、東京電力に対して、情報開示、被ばく労働を低減化すること、万一の補償問題などについて、団体交渉を要求しました。交渉は拒否されていますが、ある意味では「不誠実な団体交渉」以上の明確な文書回答を得ています。現在12回目の要求書を提出中です。

アスベスト補償の教訓を生かそう
 原発被ばく労働についても、アスベスト問題と共通の構造があります。そもそも原発では放射能も問題ですが、配管には大量のアスベストが使われています。わずかな曝露、被ばくによって、何年も経ってから病気になるという意味においても非常に似ています。
残念ながらアスベストは被害が明るみに出てから、本格的な対策が講じられたため、多くの被災者を生み出すことになりました。被災者や遺族は一人でも入れる労働組合に加入し、労災認定、そして企業に対する損害賠償請求、情報開示、健康管理を要求してきました。2011年秋には、退職者は労働者ではないとして団体交渉を拒否してきた件について、最高裁判所が不当労働行為であると言う決定を出しました。
被ばく労働者も、アスベストに優るとも劣らぬリスクを抱えています。裁判所は遺族には団体交渉権を認めていないことにも注意しなければなりません。病気になる前にこそ、団結することが非常に重要です。
その他にも、教員、JR、港湾、水道、清掃などの労働組合が、職場や地域での取り組みを様々な形で展開しています。そうした心ある労組とも協力しながら、被ばく労働問題に積極的に取り組むことが今こそ必要です。

労働者、市民の共同の取り組みを
 支援局がめざしている具体的活動は以下の通り。
1.相談活動
 放射線被ばくはもちろんのこと、メンタルヘルス、熱中症など、原発関連作業における安全衛生問題は非常に重要です。雇用問題も発生しています。会社や国以外に相談できる受け皿をつくりましょう。
何よりも地域における健康相談や労働相談活動が信頼関係づくりの柱となるでしょう。
2.教育宣伝活動
 必要な情報が必要な人にわかりやすく届いているとは言い難い状況が続いています。被ばく労働問題に関する政策、法律、医学、その他の関連情報をまとめて発信しましょう。連絡会議が現在設置している「情報公開推進局」並みにがんばりたいと思います。
3.国や会社との交渉
 東京電力や国の姿勢を変えるのは、労働者、市民の共同の取り組みです。交渉、行動、必要に応じて訴訟などを通じて、適切な健康管理、補償制度などを実現していきましょう。
4.労働組合の結成や加入推奨
 具体的な労働相談で会社との交渉が必要な場合には、直ちに労働組合を結成、もしくは既存のユニオンなどに加入してもらい、団体交渉で解決を図ります。

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