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止めよう再処理!共同行動ニュース12/28号記事から

2011年12月28日

ムリ、ムダ、キケンなプルトニウム利用
六ヶ所再処理工場の試験再開に異議あり

2012年1月、試験再開?
 これまで青森県は、東京電力福島第一原発事故を受け、県内の原子力事業者に対して緊急安全対策を求めていました。12月26日、三村申吾青森県知事は記者会見を開き、緊急安全対策を了承し、これまで3年間中断していた六ヶ所再処理工場の試験再開が、早ければ来月には再開されようとしています。

再処理をめぐる状況は変化した
 しかし、停止している3年の間に、原子力をめぐる情勢は大きく変わりました。今年3月11日の東日本大地震を受けて、福島第一原発は、水素爆発や大量の放射能を放出するなど、日本の原発事故史上の最悪の事故を引き起こしました。さらに地震により女川原発、東海原発、六ヶ所再処理工場なども緊急停止や電源喪失など「あわや」という事態を招いていました。各地の原発も津波や耐震の見直し、避難区域の拡大など、これまでにない情勢の変化がありました。
 さらに核燃料サイクルを巡っては、もんじゅの研究開発の見通しがさらに悪化し、頼みのプルサーマル計画も「2015年までに16基~18基の原発で実施」という計画が、もはや絶望的な状態となっています。プルトニウム利用計画そのものが破たんしています。その現実をしっかり認識する必要があります。
六ヶ所再処理工場を動かすことによって、これ以上プルトニウムを生産し続けることに何の意味があるのでしょうか。国際公約として余剰プルトニウムを持たないというこれまでの立場と矛盾が拡大するばかりです。使うあてのないプルトニウムを作り続ける大義が失われたいま、六ヶ所再処理工場の試験再開にどのような意味があるのでしょうか。国民に納得できる説明もないまま見切り発車することは、ますます日本の原子力政策に対する不信を高めるものです。そのことを認めた三村青森県知事も同じです。原子力推進派の傲慢さを表しています。
 さらに六ヶ所再処理工場を支えている最大のスポンサーは、福島第一原発事故を起こした東京電力です。全体の4割とも云われています。その最大スポンサーは、いま福島第一原発事故の賠償さえままならない状態で、「東電解体」までいわれています。今後も安定して六ヶ所再処理工場を支えていけるかどうかはまったくもって不透明です。不安定な状況を抱えて六ヶ所再処理工場が今後も「商業工場」としてやっていけるのか、答えは明らかです。

無謀な再開はやめろ!
 六ヶ所再処理工場をめぐる状況の変化を見れば、再処理再開の大義などありません。むしろ国民的合意なき再処理政策の推進に、傲慢さと無謀さを感じます。これ以上ムリ、ムダ、キケンな再処理工場の建設に、貴重な私たちの電力料金をつぎ込むことに断固抗議します。あらためて私たちは、六ヶ所再処理工場の建設中止を強く求めるものです。


福島原発事故の「収束宣言」に抗議する!
「収束」なんかしていない!政府は福島の真実を語れ!

 12月16日、政府は原子力災害対策本部を開き、東京電力福島第一原発の原子炉が「冷温停止状態」になったとして、「事故そのものは収束に至った」と宣言しました。今後は除染、健康管理、賠償に全力を挙げる考えを示しましたが、本当に事故は「収束」したのでしょうか。

 事故発生から9ヵ月あまり、今回の宣言は、冷温停止(状態)=事故収束とし、事故の矮小化を狙ったあまりにも幼稚な政治的なパフォーマンスです。事故の被害者を馬鹿にするもので、国内外の多くの専門家や地元福島の住民からも強く批判されています。これほどいいかげんな収束宣言は、かえって国民の不安を高め、政府への不信を強めるものです。私たちは、今回の「収束宣言」に強く抗議するものです。

 そもそも「冷温停止」と言う言葉は、正常にコントロールされている原子炉であってはじめて使うものであり、今回のように完全にコントロールを喪失し、放射性物質を閉じ込めることもできない状態の中にあって、冷温状態が継続していることをもって収束とすること自体に問題があります。現在も福島第一原発では、破壊された原子炉内部の状況がまったく把握できていません。溶融した核燃料がどこにあるのか、どのような状態にあるのかさえもわかっていません。内部の放射能が高く、いまでも容易に近づくことできない中で、何が収束なのか。誰も事故が収束したなどと思っていません。事故の本当の収束はこれからも長期に渡り、より困難な状況が待ち受けています。溶けた核燃料を取り出すまでに30年とも40年ともいわれていますが、それさえも希望的な「願望」であり、努力目標以上の意味を持ち得ていません。まさに本当の収束までこれから何年かかるのかだれも責任がもてません。それでも事故を過小に見せようとする原子力推進派の人々は収束と言い続けようとしていますが、それで現実が変わるわけではありません。事故の過少評価で、原発推進の復活を少しでも狙っているのでしょうか。

 放射性物質の放出も当初に比べ減ったとはいえ、いまだ放出は止まらず「通常」の状態ではありません。汚染水の海への流出も度々起こり、地下水が大量流入する中でその増加が懸念され、保管場所も来春には満杯になるといわれ、その対策の見通しが立たないのが現状です。原子炉冷却の循環注水冷却システムも度々故障し、その不安定性が危惧される中、廃炉まで長期間にわたって冷却し続ける必要があります。また、溶融した燃料を取り出すには、その技術開発も必要とされています。まだまだ際どい状況が続く中にあるのが福島第一原発の現実です。収束宣言はそのような状況を覆い隠すもので、国民に誤解をあたえるものでしかありません。今後予想される最大余震への対策も十分とは言えません。科学的根拠を示すことなく、あいまいな定義を持ち出し、国民を安心させようとするのは、あらたな「安全神話」をつくり出すことにつながります。

 私たちは、事故の本質を見失わせるこのような安易な事故の収束宣言に対して、強く抗議するとともに、あらためて、福島第一原発の現状に関する正確な情報公開を求めます。さらに、安易な収束宣言を発することなく、廃炉に向けた収束作業にさらなる努力を傾注するように関係機関に対し強く要請するものです。

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