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止めよう再処理!共同行動ニュース10/26号記事から

2011年10月26日

原子力政策大綱策定会議が再開
政策の根本的な転換をめざそう!!

何を策定しようとしているのか?
 3月11日の福島第一原発事故により中断されていた、「原子力政策大綱策定会議(新大綱策定会議)」が、9月11日から再開されました。しかし事故の収束も見えず、事故原因の中間報告さえもまとまっていない中での新大綱策定会議の再開で、一体何を決めようというのでしょうか。
 来春には54基ある原発が、定期点検などによって全て停止するという状況にあります。その後の再稼働については、福島第一原発事故や推進側の「やらせメール」や発言などによって、周辺自治体の反発が強まり、さらに原発防災区域の拡大(10キロ圏から30キロ圏に拡大)によって、多くの自治体がそのエリアに含まれることになるなど、再稼働のハードルが高くなることが予想されます。

原子力村の建前に付き合う余裕はない!
 私たちがこれまで訴えてきた「核燃料サイクル路線の根本的転換」は、事実上「路線」そのものが破たんしている現実の下にあります。頼みの六ヶ所再処理工場の完成(完工)は、2012年10月と発表していますが、相次ぐトラブルや東日本大震災などによって完成の「予定」が見えていません。核燃料サイクル路線の鍵を握る高速増殖炉開発も、その原型炉である「もんじゅ」が相次ぐトラブルに見舞われて、その先行きがさらに不透明になっています。現在も炉内中継装置のトラブルによって、長期に渡る運転中止を余儀なくされ、その間一日あたり5,500万円にも上る維持管理費を浪費しています。政府の行政刷新会議が11月からスタートする「提言型政策仕分け」の中でも「もんじゅ」の方向性を含め原子力研究開発の是非があらためて議論されるという状況にあります.
 さらに、プルサーマル計画(ウランとプルトニウムを混ぜた核燃料を使って発電をする計画のこと。福島第一原発3号機で行っていた)も2015年には16基~18基の原発で実施する予定ですが、原発そのものが稼働できるかどうかが問われている中で、計画そのものがすでに破たんに瀕しています。核燃料を再利用する現行の路線はコスト高(「最近の新聞記事から」参照)とする原子力委員会の試算も出されています。それでもなお、核燃料サイクルを進めようとする具体的な「理由」と「ビジョン」を新大綱策定会議は示すことができるのでしょうか。
 「原子力安全神話」と同じように建前だけで原子力を進めることはもはや許されません。そのようなものに莫大な予算と人が投入されるよりも、福島第1原発事故の収束に全力をあげ、核被害の拡大を阻止することに当てるべきです。原子力村の建前につき合う余裕はないはずです。

脱原発に向けた国民的議論を!
 福島原発事故を受けて、これまでの原子力政策が根本から問われています。今回の新大綱策定会議の再開では、これまでの原発推進を前提とすることなく、脱原発の選択肢を真剣に議論するべきです。プルトニウム利用を前提とする「核燃料サイクル路線」はすでに破たんし、新規原発建設も不可能な状況を迎え、既存の原発でさえ再稼働できるのかどうかも厳しくなる中で、原発「ゼロ」へ向かっていかざるを得ない状況にあります。そのことを国民的議論につなげていかなければなりません。

核社会からの決別が必要
 「新大綱策定会議」と並行して、2010年6月に出された「エネルギー計画」の見直しも迫られています。原発14基の増設と原発設備利用率90%の達成で温暖化削減目標を達成しようとするものです。現在「基本問題委員会」を設けて議論が進められていますが、これも抜本的な見直しがなされることが必要です。また今回、官邸に「エネルギー・環境会議」が設けられました。ここでの議論でも、「原発に依存しないエネルギー戦略」がきっちり議論されなければなりません。その前提には、原発「ゼロ」に向けた脱原発への目標が示されなければなりません。
 私たちの子や孫など未来世代にこれ以上、核の「負の遺産」を残してはなりません。現世代の責任として、これ以上の放射能や核のゴミを増やすことは許されません。ヒロシマ、ナガサキ、ビキニ、JCOそしてフクシマと5度も核の被害を被った私たちは、核社会からの決別が必要です。

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