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メッセージfromヒロシマ2011報告

2011年08月05日

メッセージfromヒロシマ2011

~プログラム~

12:50 オープニング
広島初中高級学校の皆さんの朝鮮舞踊

13:07 第1セクション 全国のお友だちと仲良くなろう
実行委員の紹介
「被爆地から-平和のメッセージを届けよう」 踊りと歌を覚えよう!「マル・マル・モリ・モリ!」レッスン

13:21 第2セクション 考えよう、表現しよう、平和の思い
平和のメッセージを書こう! 表現しよう!

13:50 第3セクション 世界のお友だちと平和を語ろう
全国のお友だちからの一言メッセージ
海外のお友だちより(フィリピン、韓国のお友だちからのメッセージ)

14:13 第4セクション 広島を学んで、そしてお友だちをつくろう
広島のお友だちの平和への取り組みを紹介
全国のお友だちと「マル・マル・モリ・モリ!」を歌って踊ろう!

14:35 エンディング 平和はみんなの心から ―2011夏休み―
みんなで書いた平和のメッセージが???になって登場!
世界への平和メッセージを発信!

「メッセージfromヒロシマ2011」報告

メッセージ from ヒロシマ 2011核も戦争もない平和な21世紀へ !

《「メッセージfromヒロシマ」も11歳。》

原爆投下から66年目を迎えた広島。「メッセージfromヒロシマ」は2001年に開催されてから、今年で11回目の開催となりました。特に今年は、3月11日に発生した東日本大震災のこともあり、平和、安全に対する認識を新たにされた方が多いことと思います。「メッセージfromヒロシマ」は、今までの10年間で、「核」や「戦争」に対して、反対の思いを強くアピールしてきました。その中には、当然、原子力政策への批判も込められていました。イベントの開催地が広島、そして、原爆投下の一日前である8月5日に開催しているということもあり、参加者は、被爆、核といったフレーズには敏感です。特に、実行委員会の中心となっている広島の高校生たちは、毎年、平和に関してのすばらしい活動報告をしてくれます。また、イベントの総括として、原水禁大会の閉会総会でも発表している「メッセージfromヒロシマ・平和のメッセージ」は若い世代だから感じることを、素直に表現しています。そして、今年は、その中に、東日本大震災、とりわけ福島原発事故放射能被害に対する思いが強く打ち出されました。

《リハーサルさえも全力投球》

今年は、実行委員の顔ぶれも、初参加の人も多く、高校生が中心となっていた今までとは少し変わり、大学生の参加も半数近くに上りました。また、大学院生のボランティアの方が東京から駆けつけてくれたり、中学生も多くの仕事をこなしてくれました。高校生で参加し、その後、大学生として、再び参加してくれた子、高校生時代から参加し続け、社会人になった今も参加してくれた子。様々な人に支えてもらって、早くも11歳となった「メッセージfromヒロシマ」ですが、今年のリハーサルは、本番の会場として使うグリーンアリーナ武道場で行いました。本番さながらに、走ったり、踊ったりと、大汗をかきながら、翌日のイベントを成功させるため、練習に励みました。

《メッセージfrom ヒロシマ2011幕開け!》

「やはりこれがなくては、始まらない!」といった名物になっている「広島初中高級学校舞踊部」による朝鮮舞踊からのスタートです。鮮やかな衣装に、華やかなダンス。今年は、例年踊ってくれている高級部に加え、中級部の学生さんも参加して、ステージを所狭しと踊ってくれました。普段目にすることの出来ない民族舞踊に、驚く子や、夢中になる子、圧倒される子など、反応は様々でした。また、リ・ミョンソンさんが、代表して「反核兵器、反原発のために私たちに出来ることを考え、真の平和のためにともに歩んでいきましょう」とメッセージをくれました。
今年は、総合司会者の下岡三都穂さん、真柴公美子さん、司会者の三田雄哉くん、小川真奈さんともに初参加ながら、大役をやりきってくれました。また、午前中の「子どものひろば」の企画である「子ども慰霊祭」から、暑さに負けず、400人の子どもたちが元気に参加してくれました。

《第1セクション》

実行委員メンバーが壇上に元気に登場して始まった第一セクションですが、なんと、今年の広島県高校生実行委員会の橋本桂子さんは、スティッチの姿でやる気をアピールしてくれました。また、三重県高校生実行委員会の三葉二郎君は、一年生ながら、落ち着いてしっかり平和への思いを述べてくれました。

踊りのレッスン

毎年、最初は恥ずかしがる子も、最後にはノリノリに踊りだすダンスレッスンの時間になりました。今年は、芦田愛菜ちゃん、鈴木福くんのコンビで大人気となったドラマ『マルモのおきて』の主題歌「マル・マル・モリ・モリ!」を選曲しました。どの子にも親しみやすくなるようにと、踊りもドラマのときのものをそのままにしました。

《第2セクション》

ようやくリラックスをしてきたこの頃になると、冷静に「メッセージfromヒロシマ」のことを考え始めます。「あれ? 踊りに来たんだっけ?」なんて学年が高くなるほど、考えてしまうものです。そこで、このセクションでは、「考えよう、表現しよう平和の思い」と題して、高校生から会場の子どもたちへのメッセージを送り、そしてそれを受けて、子どもたちも自分のメッセージを表現する時間となっています。

■被爆地から-平和のメッセージを届けよう

昨年からこのセクションに加わったプログラムですが、メッセージを読む子も、聞いている会場も真剣そのものです。今回は、一部抜粋してご紹介します。

真っ黒にこげた弁当箱、ボロボロになった服、洋服の模様が背中に焼きついた人、死んだりケガをしたたくさんの人の写真や絵。原爆資料館を訪れるたびに、一瞬にして何もかも奪ってしまう核兵器の恐ろしさ、戦争の悲惨さを思い知らされます。しかし、原爆や戦争の恐ろしさは少しずつ忘れられようとしています。戦争は決して過去の出来事ではありません。戦争はまだ世界中で起こっています。貧困、いじめ・差別などの人権の問題も多くの国で抱えています。(中略)3月11日、「東日本大震災」をきっかけに福島第一原子力発電所で大変な事故が起こりました。たくさんの放射能がまきちらされ、いまも多くの人が避難生活を送っています。いつになったらこの事故が収まるのか、放射能がこれからどのような被害をもたらすのか、想像もつきません。

このメッセージから、参加している子どもたちに一つでも何か気持ちを伝えられたら、という思いから、話しかけるような、耳から聞いて、すぐに理解できるような分かりやすい表現となっています。

■みんなで考えよう―表現しよう平和の思い

花形のシートにマーカーペンを配布された子どもたちは、何を書いたらいいのか、戸惑い気味の子もちらほらと。昨年に比べると、少し短縮されて、制作時間は20分に。しかし、スタートの合図で、しっかり平和を表現するアーティストの姿になりました。まわりの高校生実行委員のみんなに手伝ってもらって、花形のシートを貼り込んでいきました。でも、何で貼り込んだのか、まだまだあとのお楽しみということでした。

《第3セクション》

全国各地から400人も集まれば、主張は様々。しかし、共通しているのは、「全国・世界のお友だちと平和を語ろう」という気持ちでした。

トップバッターは、少し緊張気味な北海道代表のK.Aさん。会場中央のお立ち台に上り、マイクを使ってのアピールです。「震災で苦しんでいる人が何万人もいます。その人たちを苦しめているものの一つは、放射能なので、放射能を使わない日本をつくれたらいいなと思います」と、放射能におびえながら生活している人々を心配する気持ちを伝えてくれました。

東北ブロックからは山形県代表のH.Rさん、W.Rさんが「ヒロシマで学んだことを山形に帰って、たくさんの人に伝え、核兵器や戦争のない世界を作って行きたい」と力強い発表でした。

関東ブロックの一番手は、神奈川県代表のK.Kさんです。会場に向けて元気なあいさつから始まったアピールは「何を食べ、何処に住んでいいのか、目に見えないので、とても心配です」と、福島原発事故のことに触れ、放射能に対する恐怖と「一日も早く解決して欲しい」という願いを込めたものでした。

生協クラブ神奈川の代表であるI.Yさんは、東日本大震災で犠牲になった人々への哀悼の意を表すとともに、原爆で実際に被災した人から話を聞いて、「現代を生きる戦争を知らない私たちは、原爆について語ってくださる人の話に耳を傾ける」ことが大事だと訴えました。

続いて、東京三多摩を代表して、二年連続で代表メッセージを読んでくれたのは、O.Sさんです。「戦争をして誰が幸せになったのでしょうか。原爆を落として誰が喜んだのでしょうか」今も悲しみ続けている人々のことを思う率直なフレーズには胸を打たれた人も多かったのではないでしょうか。

埼玉県からは、M.Sくんが、「過去に日本が被爆したヒロシマの街には、僕の知らない、想像の出来ない現実が数多くあったと思います。この機会に、もっと原爆、原発について知って、自分に出来ることは何か、伝えて行きたいです」と今後の活躍を期待させるアピールとなりました。

関東ブロックの最後は、群馬県です。O.Sさんは、横断幕を掲げたお友だちの応援を受けて、「原爆は豊かな自然、笑いが耐えない街、そして、温かい家族の輪までも破壊しました」と言いつつも、今の広島があるのは、復興へ向けて頑張ってきた人々の努力の結晶であるとして、今後戦争をなくすのも日本の人々、世界中の人々が協力することで達成できるだろうと強くアピールしました。

北信越ブロックからは、長野県代表のM.Aさんがメッセージを発表してくれました。「ここに来る前に『人間を返せ』というビデオを見てきました。目を背けたくなるような映像で、とても怖くて、とても悲しくなりました」と発表しました。やはり広島に来たからこそ、平和学習の成果も上がったのではないでしょうか。「長野に帰ったら、クラスの友だちにこのことをしっかり話そうと思います」と締めくくったのが、何よりの証拠です。

近畿・東海ブロックからは三重県代表で二度目の参加というN.Nさんです。「色々な人とつながりを持つため」に参加してくれました。前回参加したときには、その後、学校で平和について発表をしてくれたということで、今年も「ここで学び、感じたこと、考えたことを学校でみんなに教えていきたい」と、真面目な姿勢を示してくれました。

四国、九州ブロックの長崎県からは、「高校生1万人署名」のS.Rさんが、日ごろの署名活動のときに鍛えられたアピールを披露してくれました。核兵器廃絶のための署名活動を行い、それを国連へ持っていく平和大使のためのカンパ活動も行っていて、「16日に、12人の平和大使が国連へいきます」と活動の活発さが伺えました。

そして、最後は、開催地である広島県代表の発表です。昨年に引き続き発表してくれたA.Nくん、昨年発表してくれたお兄さんからバトンタッチをしたH.Sさん、そしてS.Kくんの三人です。「毎年参加している平和行進で、今年は『ノーモアフクシマ』というコールがありました」と原田さん。また、A.NくんとS.Kくんは、福島の被災者が避難先で差別にあったことなどに触れ、「何もしていないのに、急に避難しなくちゃいけなくなって、避難したところで差別されたと思うと、とても腹が立ちます」と自分に置き換えて考えてくれました。また、原発や差別などの人間が作ったものは人間が止めることが出来るものだとして、「僕たちが止めます」と力強く宣言しました。

参加者代表からメッセージをもらった後は、海外ゲストからのメッセージ発表です。韓国ゲストはチャン・チュスンさん、チェ・ジェホさん、イ・ゴウンさんです。三人とも日本語での自己紹介だったことに会場は驚きました。代表して、チェ・テホさんが、3月に行われた釜山での原爆写真展、核兵器廃絶の署名活動、東日本大震災への募金運動に参加し、それらを通じて原爆被害について深く知ることが出来たこと、そして、「世界の若者たちが平和交流活動を通じて、戦争と核の危険がない平和な世の中を実現するために頑張ります」と力強いメッセージを発表してくれました。

第3セクション、最後の発表は、フィリピン代表のマイテ・イバルダローザさんです。小さい頃のつらい体験とその現実を受け入れて頑張っていること、そして今の生活の大変さを報告してくれました。また、「ブカス・パラドという自立支援施設でのボランティアの経験を通して、与えることで出てくる喜びが分かりました」と、何事にも一生懸命に取り組んでいることを伝えてくれました。ところで、マイテさんの通訳は、長崎「高校生1万人署名」のメンバーが担当してくれました。とても仲がよく、言葉を超えて通じ合っている姿を見ているようでした。
さて、第三セクションでは、表現の仕方は違えど、それぞれが広島に来て感じたこと、その上で何が出来るかを考えてくれたということが、鮮明に伝わるものばかりでした。緊張していたり、恥ずかしかったりというのもあったと思いますが、このことは今後、貴重な体験として残っていくことと思います。

《第4セクション》

雰囲気がガラッと変わって、広島の高校生の発表です。今年は、広島県可部高校の皆さんが多く参加してくれました。まず、一組目は、小泉優姫さん、桝田裕稀さん、福本美沙さんら率いるダンス部のオリジナルダンスと原爆詩人の栗原貞子さんの「生ましめんかな」をモチーフにした創作ダンスです。また、今回のダンスには、中学生の日上温大くんも参加してくれました。迫力のあるダンスに、会場全体が飲み込まれてしまいました。イベント最初から、「マル・マル・モリ・モリ!」のダンス振り付け練習をステージに上がって指導してくれていた四人にとっては、もうこの頃には、緊張よりも充実感のほうが大きかったのではないでしょうか。
続いて、紙芝居「トビウオのぼうやはびょうきです」を発表してくれたのは、総合司会の真柴さん、下岡さん、そして、田代遥佳さんです。高校では、放送部や演劇部に所属している彼女たちの演じる紙芝居は、圧巻の一言でした。せりふの一言一言に感情が込められ、みんな自然と夢中に聞き入っていました。

《エンディング》

イベント全体で二時間、ここまでですでに一時間45分程度過ぎていますが、本当にあっという間でした。このセクションでは、子どもたちの意見をまとめ上げて作った「平和のメッセージ」を読み上げ、世界に発信する時間です。実行委員会を代表してメッセージを発表してくれたのは、三重県の三谷くん、広島県の佐々木璃彩さん、日上くんの三人です。会場全体が、本当に静かになり、しっかりと耳をかたむけていました。そして、そのメッセージはステージ上に用意されたパソコンを使って、核兵器保有国に同時送信されました。
続いて、カウントダウンとともに、完成した花形シートが登場すると、会場は大盛り上がりです。大きな鳩の形になって登場した花形シートは、会場の子どもたちのメッセージで出来上がっています。一人ひとりの思いが集まれば、大きな力になる、そのことが感じ取れた瞬間でした。
最後の最後は、もう一度「マル・マル・モリ・モリ!」を元気よく踊って、終了となりました。この日のために準備をしてきた実行委員や関係者、そして参加した子どもたち全員が、しっかりと有意義な時間を共有した2011年の「メッセージfromヒロシマ」となりました。

~海外のお友だち紹介~

≪韓国からのお友だち≫
チャン・スチュンさん(16歳)
チェ・ジェホさん(16歳)
イ・ゴウンさん(16歳)

《フィリピンからのお友だち》
マイテ・イバルダローザさん(15歳)

メッセージ from ヒロシマ 2011

いま、この瞬間にも、どこかの国で戦争やテロが起きて、多くの命が失われています。私たちの暮らしている日本も、かつてはいろいろな国と戦争をして、多くの人の命を奪い、そして多くの人の命を亡くしました。日本が戦争によって失ったものは数えきれないほどありますが、何より自分にとって大切な人を失うことはとっても辛いことです。私は自分の大切な人を戦争なんかで失いたくありませんし、誰もがみんな、誰かにとって大切な存在です。

世界には、戦争によって安心して暮らせなかったり、くすりが無いために病気で死んでしまったり、食べるものが無く苦しんだりしている人がたくさんあります。同じ人間なのに、生まれた国や地域によって生活が大きく違ったり、差別したり、されることがあってはなりません。世界の人々が助け合いったり、学びあって、みんなで仲良くしていけたらいいと思います。いまも、困っている子どもたちを支援する活動がたくさんありますが、これからもどんどん増やしていって、世界の子どもたちが平和に暮らせるようにしたいです。

私たちは原爆資料館で見て学んだことを忘れることができません。服の模様が肌に焼きついた女性の写真や、皮膚が垂れ下がった被爆者の人形、家の下敷きになって動けない人々など、それがたった一つの爆弾によって引き起こされたということに驚きました。
被爆から66年。被爆者から直接話を聞く機会もだんだん少なくなり、原爆についてよく知らない人も増えてきています。世界の人々はどうなのでしょうか。原爆が引き起こした悲惨な状態を見て感じる恐ろしさは、世界で共通です。だからこそ、世界のすべての人がヒロシマやナガサキを学び、原爆による被害や影響を知ってほしいと思います。それが核なき世界につながると、私は強く考えています。

3月11日、東日本大震災をきっかけに福島原子力発電所でたいへんな事故が起こりました。たくさんの放射能がまき散らされ、今も多くの人が避難生活を送っています。日本は原爆によって被災した国として、原爆がどれほど恐いものかはよく知っていたはずなのに、電気をつくるために必要だからと言って、たくさんの原子力発電所をつくりました。私たちは「核と人類は共存できない」という被爆者のことばをもう一度しっかり考えなければいけません。

一人ひとりが平和について考え、平和への気持ちや思いを世界に伝えていきましょう。被爆者の体験した苦しみ、悲しみ、原爆の悲惨さを伝えていきましょう。自分にできることから活動していくことで、少しずつでも戦争をする国、核兵器を所有する国を減らしていくことができるはずです。戦争を知る努力をしましょう。いじめや差別をなくしましょう。そして、戦争や核兵器をなくしましょう。
「もう戦争はいらない! 核兵器もいらない!」

2011年8月5日

子どものひろば 「メッセージ from ヒロシマ 2011」 参加者一同

※ このメッセージは、イベントのエンディングにおいて、首相官邸や核保有国の代表宛にメールにて送信しています。

子どもの広場全体のスケジュール 2011年8月5日(金)

8:00~8:30 子どもの慰霊祭
8:40~10:20 フィールドワーク
10:25~10:40 ダイイン
10:40~11:40 被爆電車
10:40~11:40 被爆のお話を聞こう
12:50~14:50 『メッセ-ジ from ヒロシマ2011』
15:05~16:40 海外のお友だちとの交流会
15:00~16:00 マイ灯ろう作り

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