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【メッセージ・音声】来内広幸さん/平和環境岩手県労組センター議長

2011年04月20日

 4月20日、藤岡一昭原水禁副事務局長は平和環境岩手県労組センターを訪問し、来内(らいない)広幸議長にお話をうかがいました。

●来内さんからのメッセージはこちらから

「脱原発で農林漁業を再興し、平和で緑豊かな岩手を再興したい」

藤岡一昭原水禁副事務局長……今日は平和環境岩手県労組センター・来内議長に、全国の平和運動センターの皆さんのお見舞いと支援の気持ちをお届けするとともに、被害状況や救援・復興に向けた取り組みなどお話しいただければとお伺いしました。

来内広幸岩手センター議長……岩手までお越しいただき、ありがとうございます。避難住民にとっては、皆さんの温かい気持ちが何よりもの支えとなっています。
 ところで震災から40日が過ぎ、被災地では復興に向けた動きが見え始めてきました。しかし、4千人を超える行方不明者がいる現実や失われた家屋、不自由な避難生活など、生き残った人々もたくさんの不安を抱えています。支援物資や仮設住宅も建ち始めていますが、何よりも全国の皆さんの温かい気持ちに励まされています。しかし、余震が続き、昨日の雪や寒さもこたえていますね。

藤岡……平和環境岩手県労組センターのもとには、県内各地に12の地区センターがある訳ですが、とくに沿岸部のセンターなどは相当な被害に遭われたのではないでしょうか。

来内……岩手の場合、地震よりも津波の犠牲者が多くを数えました。犠牲者は宮古、釜石、大船渡、陸前高田の4市と山田、大槌の2町に集中しています。地区センターは幸いにも犠牲者はありませんでしたが、宮古、釜石、一関などの事務所が大きな被害を受けました。機能を回復するまでには時間が必要です。これからいろいろな知恵を出して活動していかなければなりませんね。

藤岡……来内議長はセンターの議長であると同時に自治労岩手県本部の委員長ということで、自治体労働者の代表でもある訳ですが。

来内……自治体職員は避難住民の安全、健康、命を守るということが第一の仕事ですから、本当によく頑張っています。職員自身も被災者であったり、家族に犠牲者を抱えたりしながら、また自分自身も避難所で生活をしながら、昼夜を問わず働いています。自治労本部をつうじて、人的支援も要請し、やっとローテーションも組めるようになってきました。 しかし、山田町、大槌町、陸前高田市などは自治体職員も大勢犠牲となり、自治体機能が崩れてしまいました。住民にとっては最後のよりどころが奪われたことになります。すべての自治体職員を自治労の仲間として支えながら、自治体機能を回復させるために長期的な支援が必要です。

藤岡……今回の災害では、地震と津波に加え、福島第一原子力発電所の大災害が今も続いています。たまたま岩手県には原子力発電所はありませんが、東北地方沿岸部には多くの原子力施設がつくられてきました。

来内……福島原発について、(岩手の)被災した住民にほとんど情報が伝わらなかった問題があります。海流の汚染も心配です。今回の原発事故は明らかに人災です。しかし、脱原発の運動に取り組んできた立場から、原発を止められずこうした大災害を許してしまった責任も強く感じています。原発によるエネルギーを享受してきたこれまでの生活スタイルを見直して、原発によらないエネルギー政策を実現することが問われていると思います。岩手には原発はないにしても、東北あるいは日本全体の問題として考えていかなければならない、そうした運動を作り出さなければいけないと思います。

藤岡……脱原発と新エネルギー政策がこれからの最大課題ですね。

来内……そのとおりだと思います。 そのうえで、東京一極集中で東北地方は疲弊し、各自治体の財政危機は深刻化しました。東北にとって大切な第一次産業は高齢化しています。こうした中で、原子力発電所に頼ろうとする自治体もあるわけです。 脱原発と新エネルギー政策、そして東北の復興を繋げて考えていくべきですね。岩手の素晴らしい自然、農業、漁業そして林業は食糧や環境、そして歴史や文化、コミュニティにつながるものです。水力で発電を試みている自治体もあります。これは、福島も宮城も同じだと思います。そして今回の災害から第一次産業の担い手、雇用の拡大を実現するような政策さくが必要です。物資が流れて来なかった今回の震災に学ぶとすれば、自給自足的な力も必要ですね。

藤岡……今回の災害から復興に向けて、本来東北・岩手が持つ他にはない素晴らしい価値とエネルギー政策の転換を結び付けていきたいと思います。本日はありがとうございました。

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