声明申し入れ

【茨城】3.11東日本大地震と「原発震災」に伴う申入れ

2011年04月14日

日本原子力発電東海事業所 御中
日本原子力研究開発機構 御中
茨城県 御中

3.11東日本大地震と「原発震災」に伴う申入れ

 3月11日に起きた東日本大地震によって各地で甚大な被害が発生するとともに、原子力施設についてもきわめて深刻な事態が生じ、地震から1カ月余り経った今もなお、まったく予断を許さない状況が続いている。
東京電力の福島第一原発では、電源喪失によって冷却機能が失われて炉心の大規模溶融や爆発、圧力容器や格納容器の損傷、使用済み燃料プールの冷却機能喪失、大規模漏水による施設の浸水等が次々と起き、大気や海洋に大量の放射能が放出されてきた。放射能汚染によって多数の住民や作業員が被曝を受け続けており、飲料水や農産物・水産物等からも放射能が検出されて、農林漁業者と消費者の双方が窮地に立たされている。事故は最悪のレベル7とされたばかりか、今後もさらなる汚染や被害の拡大も懸念されるなか、事態収束の見通しすら立たない有様である。
私たちは、原子力発電がはかり知れない危険性をもち、存在を許すことのできないものであるとしてかねてから強く批判してきたが、事実によってそれが立証されたのである。4月7日の余震では、女川原発・東通原発・六ヶ所再処理工場で外部電源の喪失やディーゼル発電の稼動不能が軒並み生じ、11日も余震で福島第一原発が再び電源喪失に陥って、炉心への注水が不能になるという、大きな「おまけ」までついた。
本県に立地している東海第二原発においても、原子炉はいちおう停止したものの、外部電源の長期喪失、津波の襲来によるディーゼル電源の部分停止という、あわやの事態が続いた。津波があと40cm高かったならば、浸水によって福島第一原発と同様の事態になっていたかもしれない。事業者から詳細な情報が住民に公開されていないことや、マグニチュード8クラスも含めた巨大余震発生の危険が半年から1年は続くともいわれるなかで、今後においても住民の安全確保ができるのかどうか、私たちは大きな不安を禁じえない。
さらに、茨城県には日本原子力研究開発機構の再処理施設や高速増殖炉をはじめとする、さまざまな原子力施設が集中しているが、同機構でも外部電源の停止、断水、建屋や施設の一部損傷、ホームページ機能のダウンなどが生じた。具体的にどのような事態が生じたのかといった詳細は住民に説明されていないし、今回のような事態をふまえて、今後の安全確保が十分に可能なのかどうかといった問題も、明らかにされていない。
私たちは、これらの原子力事業者や茨城県に対して、根本的な路線転換を繰り返し求めてきたが、それに耳を貸そうとしてこなかったことに対して、徹底的な反省を求めるとともに、以下の諸点を強く要求するものである。

1. 日本原子力発電と日本原子力研究開発機構は、今回の地震によってそれぞれの施設で発生したトラブルやそれに対する対応等についての情報を、迅速かつ詳細に公開すること。その一環として、さしあたり別紙の質問に回答すること。県もまた、これまでの対応やそこで生じた問題等についての情報を詳細にとりまとめたうえで、それを公開すること。

2. 同じく、両原子力事業者と県は、今後においても迅速かつ詳細な情報の公開に努めるとともに、住民の安全確保を最優先して、今後の災害防止に最大限努めること。万一の事態等が生じた場合には、住民の被曝を防止するための最大限の措置を迅速に講じること。

3. 日本原子力発電は、今回起きている事態を直視して、プルサーマルの導入計画を放棄するとともに、老朽化に加えて地震の影響を受けた東海第二原発の再開を断念すること。日本原子力研究開発機構は、既存原発よりもさらに危険度の高いプルトニウム利用路線は社会的に到底容認されないことを自覚し、再処理や高速増殖炉の開発事業をとりやめること。

4. 両原子力事業者は、このたびの巨大な原発震災を目の当たりにして、原子力事業のリスクの大きさから逃れるために、組織を解散したいという誘惑に駆られるかもしれないが、そうした「逃げ得」は許されない。両事業者は、自らがこれまでに生み出した大量の放射性物質から、住民を守り続ける責務を有する。巨大な地震・津波・噴火等のさまざまな災害が今後も襲ってくる危険があるとの前提に立って、未来永劫にわたって放射性物質の厳重管理の措置を講ずること。

5. 県は、東京電力と国に対して、大気や海洋などへの放射能の流出・排出の防止、事故の一刻も早い収束、農林漁業者など被害者への十分な補償を強く求めること。また、県自らも原子力施設や環境放射能の状況把握を徹底して行い、収集した情報を迅速かつ詳細に公開するとともに、これまで原子力事業者が強弁を繰り返してきた「原子力の安全確保」が全くの空文であったことを直視して、東海第二原発の再開や日本原子力研究開発機構の再処理施設・高速増殖炉の運転を認めないこと。そして、原子力発電の縮小・廃止とエネルギー消費の削減、原子力によらないエネルギー源の確保に政策を転換することを国に求め、県自らもこれらの取り組みに直ちに着手すること。

2011年4月14日

反原子力茨城共同行動(世話人・茨城大学教授 河野直践)
脱原発とうかい塾  (代表・東海村議会議員 相沢一正)
茨城平和擁護県民会議(会長・土浦市議会議員 川口玉留)
原子力行政を問い直す宗教者の会  (世話人 藤井学昭)
原水爆禁止日本国民会議     (事務局長 藤本泰成)
原子力資料情報室        (共同代表 西尾 漠)
東海第二原発のプルサーマルに反対する連絡会議     


東日本大地震による東海第二原発の状況についての質問

1.地震発生時以降、東海第二原発が冷温停止するまでの間の、原子炉水位の変化を時間刻みで示すとどうなるか(資料添付のこと)。なお、貴社の使う「原子炉水位」とは、何処を基準にいうのか。

2.同じく、この間の原子炉圧力と水温の変化を、時間刻みで示すとどうなるか(資料添付のこと)。

3.同じく、この間の原子炉格納容器(ドライウェル)の圧力の変化を、時間刻みで示すとどうなるか。

4.同じく、この間のサプレッションプールの温度と水位の変化を、時間刻みで示すとどうなるか。また、サプレッションプールの水は通常何トン入っているのか。

5.同じく、この間の原子炉格納容器(ドライウェル)内の核種とその濃度、および変化はどうであったか。

6.主蒸気逃し安全弁を最初に操作したのは何時何分か。その後の開閉は何回あり、最後に開いたのは何時何分か。

7.非常用ディーゼル発電機1機はどのような過程で停止したのか。また、その発電機の馬力数はどれだけか。

8.稼動を続けた非常用ディーゼル発電機(残留熱除去系)は、少しでも海水を被っていなかったか。

9.津波の波高は実際に何m何cmであったか。また、その高さの波が来たことでどのようなことが起こったか。

10.使用済み燃料プールの冷却系は、通常どのような系とポンプによってなされているのか。外部電源喪失のあと冷却はなされていたのか。温度はどのように変化したのか。

11.地震で施設、機器、配管にどのようなダメージを受けたか。主なものを上げるとともに、その内容を示されたい。

12.東海第二原発の状況についての通報は、いつ、どこに、どのような内容で行ったか。時系列で説明されたい。
 

以上
 

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