2010年分科会報告原水禁大会原水禁大会 2010年

【報告】長崎第1分科会/平和と核軍縮―学習編―「核兵器なき世界」への課題と展望

2010年08月08日

会場:長崎ブリックホール3F国際会議場
講師:田巻一彦ピースデポ副代表、平岡秀夫民主党衆議院議員
海外ゲスト:ポール・マーティン米国・ピースアクション政策担当

●具体的な内容
田巻一彦さん
「日本から核兵器の廃絶を発信すること。そのための北東非核兵器地帯化を当面の重要な課題と位置付ける」。という内容の提起。
2万3000発の核兵器庫をゼロにすることを心に刻み、核兵器の悲惨さ、非人道性、国際法に照らして違法であるとの判断が、国際的には敗戦50年後だった。(1996年、核兵器の威嚇、または使用の合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見)。
日本では、63年(55年提訴)の「下田裁判」東京地裁判決の中で、本訴は棄却されたものの、「…当時の国際法から見て、違法な戦闘行為であると解するのが相当である」との見解が示されている。残念ながら、核兵器そのものを禁止する条約はない。
核拡散防止条約(NPT)再検討会議では、全会一致で「核保有国による核兵器廃絶の明確な約束」を盛り込んだ最終文書が採択されたことと、核兵器禁止条約の検討がなされることになったのは成果である。このことにかかわり、岡田克也外相は「核兵器保有の目的を核兵器抑止のみに限定すること。現在の核兵器保有国以外の保有を認めない」旨の書簡を出したこと。これは旧政権ではあり得なかったことであり、政権交代の成果である。
これらの状況やオバマ米大統領のプラハ演説など、世界的潮流の中で私たちの当面の課題を北東アジアの非核兵器地帯構想の具体化を進める必要がある。
核兵器のない世界に向かって、地域から新しい「非核兵器宣言」「再宣言」を実現する、「日本非核兵器宣言自治体協議会」や平和市長会議への加入促進、市民と議員の「非核平和委員会」をつくるなど提起された。

平岡秀夫さん
北東アジアの非核兵器地帯化の条約の成立のための活動を軍縮促進議員連盟として、開始しているとの報告があった。韓国の国会議員との連携を進めており、今年2月には共同声明を日本で発表した。NPT再検討会議における市民フォーラムでは、北朝鮮の非核化までは一致したが、北東アジアの非核兵器地帯化のための条約を結ぶべき、というところまでは至らなかった。

ポール・マーティンさん
「NPT再検討会議・米国の核戦略、朝鮮半島の非核化」をテーマとする提起がなされた。マーティンさんの大きな特徴は、「米国政府がこの国に不道徳な核爆弾を落としたことについて謝罪したい。ピースアクションの10万人の会員と、核兵器を廃絶すべきだと考える80%以上の米国人(NHKのアンケートでは、60%が核の傘はいらない、将来を含めると80%以上がいらないと答えている)を代表し、広島、長崎、そして日本の人々に対し、恐怖を与えたことを謝罪いたします」との立場をくり返し明確にしているところにある。
NPT再検討会議では、2012年の中東非核地帯構想会議を含む、64項目の行動計画を盛り込んだ最終文書が採択され、2015年の再検討会議では、「第6条の完全な実施のための次のステップを考慮」し、そして核保有国は、保有する核兵器を完全に廃絶をするという約束を無条件で実行することを確約している。またカットオフ条約の促進についても具体化されることになる。
これを受けて、米国の核戦略も新START条約が最終的に採択される可能性が高まっている。少なくとも、オバマ大統領は歴代大統領の中で、初めて私たちと同じ目標(核兵器のない世界の平和と安全保障を追求する)を示している。
米国政府に圧力をかけるため、新START条約を批准すること、核兵器削減をさらに進めるため、ロシアと追加合意について交渉すること、核兵器開発施設への予算を削減し、核兵器廃棄のペースを進めること、CTBT条約を批准し、カットオフ条約に関する交渉の開始を追求していかなければならない。
朝鮮半島の非核化については、北朝鮮に対する「制裁ありき」の政策を転換し、北朝鮮との外交関係を樹立するため、北朝鮮の人々の人間性を回復し、人道援助を行うよう日本政府に働きかけてもらいたい。そして日本政府として米国、国連に対して、積極的に働きかけるべきである。
核兵器廃絶のためには、朝鮮半島の非核化が不可欠である。

フロアから、ロバート・グリーンさん(ニュージーランド軍縮安全センター共同所長)の発言について

「核抑止は、甚大な信用詐欺だ」(nuclear deterrence is a huge confidence trick)と結論づけている。
(1)核兵器は、究極的な恐怖の兵器である。
(2)核抑止は、国家が支援する核テロリズムである。
(3)核兵器ではテロを抑止できない。
(4)核抑止に信頼性はない。
(5)拡大核抑止は効果がないばかりか、逆効果である。
(6)核抑止は合法的ではない。
(7)核抑止は安全保障を蝕む。
日本政府は、米国の拡大核抑止(核の傘)を拒否し、代わりに北東アジア非核兵器地帯の創設に向けた、緊急の交渉を開始すべきであり、皆さんも働きかけてください。
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