汚染水 - 原水禁

4月24日、「ALPS処理水」停止を求める署名、要請提出と関連質問を行いました

2024年04月30日

2024年4月24日(水)、衆議院第二議員会館会議室にて、「『ALPS処理水』の海洋放出を直ちに停止することを求める署名」提出と関連質問の質疑を行いました。

出席者:
福島県平和フォーラム
原子力資料情報室
原水爆禁止日本国民会議
経済産業省
外務省
原子力規制庁
山崎誠衆議院議員

冒頭に、第一次集約分署名184,712筆(うち  紙署名 176,426筆、オンライン署名 8,286筆)を経済産業省へ提出しました。原水禁・谷事務局長から署名の趣旨や全国の皆さんの声を報告、また要請事項「『ALPS処理水』の海洋放出を直ちに停止してください」を改めて強調し要請しました。続いて事前に提出した5項目の質問に対して関係省庁からの回答をいただきました。

①「燃料デブリの取り出しに敷地が必要」ということが海洋放出の理由としてありましたが、燃料デブリの取り出しの今後の見通しについて、教えてください。また、中長期ロードマップにおいて、30~40年後としている廃止措置終了後の福島第一原発跡地の姿について教えてください。
【経済産業省から回答】
・燃料デブリの取り出しについて、現在2号機デブリの試験的取り出しに向けて貫通孔内の堆積物除去作業を実施中。伸縮可能な試験的取り出し装置を活用し取り出しの着手は遅くとも今年10月頃の見込み。
・3号機は燃料デブリの大規模取り出しに向けて原子力損害賠償廃炉等支援機構の小委員会による検討、報告、提言を踏まえ、東京電力で設計の見当を進める。高度な技術の作業ゆえ安全かつ着実に行うべく注意を払ってゆく。
・福島第一原発の廃炉の最終的な姿について、地元の皆さまの思いを受け止めながら具体化をする必要があると考える。そのためにもまずは10月の試験的なデブリの取り出しを着実に進め、大規模取り出しに向けて具体的な検討を進めたい。

②現在の福島第一原発廃炉費用は8兆円と見積もられていますが、これは当時の東京電力改革・1F問題委員会が実施した有識者ヒアリングの結果をもとにしたもので、TMI事故から推計した金額に過ぎません。また、福島第一原発の廃炉で膨大に出る低レベル放射性廃棄物の処分費用は含まれていません。政府は福島第一原発廃炉に要する費用総額をどのように考えているのか、教えてください。
【経済産業省から回答】
・8兆円という数字は現場機構の有識者ヒアリングに基づき算出。廃棄物の処理費用は含んでいない。廃棄物の量、性状がまだわからず数字を出すことが難しい。

③この海洋放出は、ロンドン条約/議定書で禁止された「その他の人工海洋構築物からの故意の海洋処分」に該当すると私たちは考えますが、政府が「海底トンネル及び放出口は人工海洋構築物ではない」とする根拠について、教えてください。また、1km先の沖合を「国の内水」とし自国の裁量とした根拠について、教えてください。
【外務省(地球環境課)から回答】
・トンネルを用いて陸上から海上への放出は条約・議定書における海への投棄には該当しない。
・「1km先の沖合を『国の内水』とし自国の裁量」という件は、政府から述べたことはない。

④事故由来の放射性物質による被ばく線量については「ないもの」とし、「追加年間1mSv」を満たしていれば良いとしていますが、すでにあるものをないとみることに無理があると考えます。事故から13年が経過しましたが、いつまで「現存被ばく状況」が継続するのか、教えてください。
【原子力規制庁から回答】
・福島第一原発は事故時に放出し沈着した放射性物質がサイト内外に広域に広がっており施設の状況に応じた適切な方法により管理を行うことが必要であり労基法に基づき現存被ばく状況を前提として規制。
・事故由来の放射性物質による被ばく線量についてないものにするということではなくその施設からの追加的な放出等による実効線量を1mSv未満にすることを求めて管理をするという考え方。

⑤海洋放出決定について、「関係者の理解は得られた」と判断した根拠について教えてください。
【経済産業省から回答】
・自治体や事業者等への意見交換においての説明を通じ、内容への理解は進んでいるとの声をいただいている。安全な廃炉の実現に向けて必要な対策を講じ続けて行く。

上記質問に関連して質疑を重ねました。
①に関して;
【質問】 デブリ取り出しはすでに3年遅れ。2011年作成のロードマップを早急に見直すべきではないか。被害者に犠牲が押し付けられている状態。海洋放出ありきか。
【経産省】 今すぐ改定するという考えはないが、地元の皆さんとのコミュニケーションを進める中で見直すべきものと考えている。現地視察、説明も定期的に開催。ALPS処理水に関しては6年間検討してきた。

【質問】 5回目の放出もトラブルで停止。デブリは取り出せるのか。難易度が高い作業ゆえに余裕のある検討を。東電では難しいので国がリードすべきこと。廃炉の後の姿も明確にされていない。
【経産省】 スケジュールありきではなく、住民や作業員にとっても安全に、着実に。現地の皆さんにおける情報の透明度を求めるべく東電を指導していく。廃炉後の姿を明らかにしてゆき、地域の将来像に関わることであるので、地元の皆さんの声を受け止めながら具体化していく。

【質問】 原発内にある廃棄物を含め法整備がされていない。現状認識に基づき早急に見直すべき。
【経産省】 作業の進捗に伴い廃炉途中の知見をもとに見直す。

【質問】 福島第一原発の廃炉は「JESCO法(中間貯蔵・環境安全事業株式会社法https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000044)」とリンクしているか。
【経産省】 「JESCO」に関して見識が浅く今答えられないが、ロードマップは別途作成されてきた。リンクされているかの関係性は分からない。

②に関して;
【質問】 廃棄物処理も含めて概算値くらいは出せるのではないか。原子力学会の推計も出ているが松久保の試算で15-16兆円。東電という企業が担えるのか、全体費用を見通して考えるべき。海洋放出は一番低コストとしてスタートしたが、現実はもっと費用が掛かること、もっと大変な事故だったということをオープンにすべき。事故処理費用が含まれていないということが分かりにくい記載であることもミスコミュニケーションにつながっている。原発単価が安い、という認識が一人歩きしないように。
【経産省】 8兆円で抑えるものではない。正確には全体でどのくらいかかるか、前人未到のことで、積み立て制度での資金確保が必要な規模。試算として承知するが現段階では分からない。地元の皆さんとのコミュニケーションという点ではこれからも継続し、いただいた意見を踏まえ検討をしていく。

③に関して;
【質問】 2年くらい前に「国の内水」といったと記憶している。福島第一原発の1km沖は国の内水ではない。
【外務省】 2021年7月に内水の論点でロンドン条約上の「内水」という定義で私が説明した。ALPS処理水は8月に計画を公表しているので、当時はオープンに回答していない。1キロ沖の件は地理的に内水ではない。条約については、条約と他の国の理解をみながら自分たちの国との関係で、条約の理解に反しないものという前提でやっていることは事実。

④に関して;
【質問】 建屋からでていく放射性物質を追加放出、雨水で流れたものを追加放出としないというのはなぜか。二重基準になっていることがおかしい。最近、放射性物質の数値が高い魚が見つかっていて数値が下がらなくなっている。排水路など基準の1mSvを超えていると思う。
【規制庁】 排水路にあるものは含まず、モニタリングし、フォールアウト(降下物)として管理している。事故後、東電がコントロール(管理)できるものは追加としている。

⑤に関して;
【質問】 地元の漁業関係者の苦しみをどれだけ分かっているか。本当に漁業をやっていけるのか大きな不安を抱えている。検査の手間や流通も問題。緊張感をもってやっているというけれどヒューマンエラーでは済まされないレベル。
【経産省】 福島県漁連の野崎会長からの抗議文のメッセージも受け止めている。アルプス処理水の放出に伴う風評被害や、身体汚染、水漏れなど、ヒューマンエラーだけではないという重大認識を持っている。地元の皆さんへの丁寧な説明と、安全確保をした廃炉作業に取り組んでいく。技術においては東電でも経産省でも公募を行っている。また文献調査を進めながら実用化できる技術がないかを注視していく。

上記は、「『ALPS処理水』の海洋放出を直ちに停止することを求める署名」の第一次提出にあわせた要請行動の報告となります。引き続き「ミライノウミプロジェクト」を通じて、汚染水の海洋放出反対に取り組んでまいります。

ミライノウミプロジェクトウェブサイト

オンライン署名ページ「ALPS処理水」の海洋放出を直ちに停止することを求める署名(change.org)

 

 

【ミライノウミプロジェクト】「ALPS処理水」の海洋放出を直ちに停止することを求める署名へのご協力をお願いします

2024年01月22日

多くの反対があるにも関わらず、日本政府・東京電力によって「ALPS処理水」の海洋放出が強行され続けています。これは、他の原発で流されているトリチウム水とは違い、「燃料デブリ」に触れた水であることを、ほとんどのメディアは報じていません。私たちは安易な「海洋放出」を、長期にわたって続けることを看過することはできません。

原水禁も参加する「ミライノウミプロジェクト」が中心となって呼びかけている、「『ALPS処理水』の海洋放出を直ちに停止することを求める署名」にご協力をお願いします。

「ALPS処理水」の海洋放出を直ちに停止することを求める署名

要請先:内閣総理大臣
要請事項:「ALPS処理水」の海洋放出を直ちに停止してください。
呼びかけ団体:福島県平和フォーラム/原子力資料情報室/原水爆禁止日本国民会議
締め切り:2024年3月末(一次集約)※一次集約後も受け付けます
集約先:原水爆禁止日本国民会議
〒101-0062東京都千代田区神田駿河台3-2-11連合会館1階(電話:03-5289-8224)

署名用紙:チラシ(表面・各種ご案内) チラシ(裏面・署名覧) ※ダウンロードしてご活用ください。

オンライン署名:紙署名と並行して、change.orgでオンライン署名も行っています。

『「ALPS処理水」の海洋放出を直ちに停止することを求める署名』
https://chng.it/88XXTXM4z9
※掲載内容は、随時更新していきます。

 

参考サイト:ミライノウミプロジェクト https://mirainoumi.info/

※問題をわかりやすく解説したアニメーション動画などが掲載されています。ぜひご覧ください。

 

【ご紹介】福島第一からの汚染水の海洋放出に反対する米国の環境・平和・反核団体(計70団体)からの共同声明

2021年06月07日

市民団体「核のない世界のためのマンハッタンプロジェクト」の活動紹介です。原水禁大会講師など、ご協力をいただいています。

【ご紹介】福島第一からの汚染水の海洋放出に反対する米国の環境・平和・反核団体(計70団体)からの共同声明

 

世界環境デー(6月5日)と世界海洋デー(6月8日)に合わせて、脱原発や核廃絶に取り組んでいる市民団体「核のない世界のためのマンハッタンプロジェクト」が呼びかけ、平和・反核団体含めて幅広く70団体が賛同して、ニューヨークの日本総領事館と日本の国連代表部の方へ英語の原文と日本語に訳した共同声明を提出しました。また、声明は、経済産業省と外務省への転送を依頼しています。

近日中にサンフランシスコの日本領事館へ提出することをはじめ、引き続き、各所へ共同声明を提出していく予定です。

声明は6月5日に発表され、「原発事故を起こした福島第一原子力発電所からの約125万トンの放射性汚染水を、太平洋に放出するという日本政府の最近の決定に断固反対」という立場を明らかにし、以下のような要請を行っています。

 

1. 福島第一原発からの放射性汚染水を太平洋に投棄する計画を取り下げること。

2. 福島県の農林水産業・消費者の協同組合や周辺地域、それから国際社会の憂慮する団体からの強い反対意見に耳を傾けること。

3. ALPSを通した後の放射性汚染水を示す際に、「処理水」や「ALPS処理水」といった誤解を招く表現を繰り返し使用することを辞めること。ALPSを通した水は大量の放射性トリチウムと炭素14が含まれる他、骨に蓄積し骨がんや白血病の原因になるストロンチウム90やその他の放射性同位体が残留する。

4. 市民社会や現地からの提案にあるように、現存する技術を使った大型タンクの建築などの代替案を、この重大な問題の解決策として模索し検討すること。

5. 福島第一原発からのトリチウムや炭素14といった放射性同位体は、ALPSや現存する技術力では汚染水から全く除去できないという事実を、国際社会へ伝える責務が日本政府にはあるということを理解すること。このような放射性物質は、日本が次の30年から40年間に太平洋に投棄しようとしている汚染水に残留する。

6. トリチウムは無害だとみなすことは、無謀であり科学に反していることだと認識すること。トリチウムは臨床上ガンマ線よりも生きている細胞を傷つけたり破壊する機能がある。トリチウムは放射線による典型的な被害と同様に、癌や遺伝子への影響、発達障害や妊娠への影響などを及ぼすことが数多くの研究で判明している。トリチウムは突然変異や腫瘍、更には細胞死の原因にもなりうるとされる。また、低線量のトリチウムは各線量につき、高線量の場合よりも細胞死、突然変異、遺伝子損傷の原因になるということが、複数の研究で判っている。

7. 事故を起こした福島第一原発で溜まり続ける汚染水についての諸問題に関連する全てのデータと情報を、日本語と英語で速やかに発表することで、情報の権利を保障し、透明性を確保すること。

8. これらの諸問題に関して定期的に公聴会を実施し、住民、母親、農水産業関係者、市民社会の代表、原子力産業から独立した専門家による決定プロセスへの参加を保障すること。

 

米国環境平和反核団体の福島汚染水海洋放出反対声明

Letter to METI and MOFA – June 5 (英語版)

 

4月13日「放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動」を開催しました

2021年04月21日

首相官邸前に320人!放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動

13日に汚染水の海洋放出が閣議決定されましたが、これに抗議する緊急集会が同日12時から官邸前で開かれ約320人が集まりました。

詳しくは、以下の「さようなら原発1000万人アクション」のホームページでご確認ください。

福島原発の放射能汚染水海洋放出に抗議 ―さようなら原発1000万人アクションが官邸前で集会―

 

「緊急行動決議文」(PDF) さようなら原発1000万人アクション

抗議行動プラカード(PDF) イラスト 高城章次

福島連帯メッセージ全文(PDF) 原発のない福島を!県民大集会 実行委員長 角田 政志

 

放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動について

放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動について

2021年04月10日

放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動について

 

菅義偉首相は、東京電力福島第一原発のタンクにたまり続けている放射能汚染水の処分をめぐり、3月以降「近日中に判断する」と表明してきました。政府は、来週13日に関係閣僚会議を開催し「海洋放出」の方針を決定しようとしています。

 原水爆禁止日本国民会議は、緊急打電行動を提起し、声明を発出しました。

 今回、原水禁が事務局を担っている「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」が緊急抗議行動を開催しますので、ご案内致します。

 

 

1.放射能汚染水を流すな!緊急抗議行動

(1)日 時 4月13日(火)12:00~13:00 

(2)場 所 首相官邸前

(3)主 催 さようなら原発1000万人アクション実行委員会

(4)内 容 主催者あいさつ:鎌田慧さん(さようなら原発呼びかけ人)

メッセージ紹介:原発のない福島を!県民大集会実行委員会から

ア ピ ー ル:参加者から

 

 

放射能汚染水の「海洋放出」方針決定に断固反対する 原水禁声明

2021年04月09日

東京電力福島第一原発のタンクにたまり続けている放射能汚染水の処分をめぐり、4月7日、菅首相は、全漁連の岸宏会長と会談し「海洋放出が確実な方法であるという専門家の提言をふまえ、政府の方針を決定していきたい」と伝えました。来週・13日には、関係閣僚会議を開催し「海洋放出」方針決定と、報道されています。
これを受け、原水禁声明を発出致しましたので、ご報告致します。

 

 

放射能汚染水の「海洋放出」方針決定に断固反対する

2021年3月6日、菅義偉首相は、東京電力福島第一原発のタンクにたまり続けている処理水(放射能汚染水)の処分をめぐり「いつまでも決定をせずに先送りはすべきでない。政府が責任を持って適切な時期に方針を決定したい」と表明し、4月7日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長と会談した。菅首相は「海洋放出が確実な方法であるという専門家の提言をふまえ、政府の方針を決定していきたい」と伝えたが、岸会長は「絶対反対との考えはいささかも変わらない」と答えた。来週・13日には、関係閣僚会議を開催し「海洋放出」方針決定すると言われている。
2020年2月、有識者による政府の小委員会は「海洋放出」と水蒸気にして空気中に放出する「大気放出」を提示し、海洋放出を「より確実」とする報告書をまとめたが、放射能汚染水の扱いについては「現地や関係業界と丁寧に議論をして、国民的な合意ができたら政府が決定する」とした。しかしながら、その後、まともな議論も行われず、福島県民合意・国民合意もないまま、問答無用で処分について方針決定することは、再び放射能による被害を招くことになる。
何よりも、2015年1月7日に開催された「第6回廃炉・汚染水対策福島協議会」の場において、経済産業省の糟谷廃炉・汚染水対策チーム事務局長補佐は「(ALPS処理水について)関係者の方の理解を得ることなくしていかなる処分もとることは考えておりません」と答弁し、経済産業省は、福島県漁連へ「関係者の理解なしにはいかなる処分も行いません」(2015年8月24日付)と文書回答したことを忘れてはならない。「海洋放出」することは、政府が福島県民や国民に約束したことに違反することになる。
地元・福島県漁連の野崎哲会長も「『海洋放出』に反対の姿勢は変わらない」としており、県民も生産者の多くも反対の声をあげている。福島県内59市町村のうち約7割にあたる41市町村議会が、「海洋放出」に反対または慎重な対応を求める決議や国への意見書を採択している。経済産業省が公募したパブリックコメントでは、放射能汚染水の安全性に対する懸念、陸上保管などの処分方法の見直し、合意プロセスへの懸念などが寄せられ、「海洋放出」に対して否定的なものが占めていた。多くの問題を抱え、解決方法が見いだせないまま、関係閣僚会議において「海洋放出」を方針決定することは許せない。
東日本大震災後、福島沿岸の漁業は一時自粛を余儀なくされた。漁業者は、2012年6月から、漁の回数や漁獲量を大幅に抑える「試験操業」を行ってきた。水揚げのたびに、放射性物質検査を行って安全を確認し、水産物の市場価値を慎重に調査してきた。2021年3月「試験操業」は終了した。数年後の本格操業をめざして、水揚げを震災前の水準へ戻そうと、徐々に漁獲量を増やしていくために歩み始めたばかりだ。「海洋放出」方針決定により、風評被害が起きれば、水産業関係者がこれまで地道に積み重ねてきたさまざまな努力が水泡に帰することになる。再び水産業関係者の生活や希望を奪い去ることになる「海洋放出」方針決定は、絶対に許されるものではない。
また、放射能汚染水を「海洋放出」することは、将来的に地球規模での海洋汚染・環境破壊につながることを懸念し、「海洋放出」方針決定に反対・批判の声が海外からも原水禁に寄せられた。
原水禁は「海洋放出」方針決定することに断固反対する。貯蔵タンクの増設、新たな保管場所の確保など「海洋放出」ではなく、これまで同様陸上保管することを強く求める。

2021年4月9日
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一

 

トリチウム汚染水の「海洋放出」を許さない緊急打電行動について

2021年04月08日

菅政権は「東京電力福島第一原発で生じている処理水の処分をめぐり、来週・4月13日にも関係閣僚会議を開く方向で検討に入った」との報道がありました。これに先立ち、7日、菅首相は、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長と会談し「海洋放出が確実な方法であるという専門家の提言をふまえ、政府の方針を決定していきたい」と伝えました。会談後、岸会長は「『絶対反対』との考えはいささかも変わらない」と述べました。

地元・福島県漁連の野崎哲会長も「海洋放出に反対の姿勢は変わらない」としています。県民も生産者の多くも反対の声をあげています。福島県59市町村のうち約7割にあたる41市町村議会が、海洋放出に反対または慎重な対応を求める決議や国への意見書を採択しています。経済産業省が公募したパブリックコメントの大半は、汚染水の安全性に対する懸念、陸上保管などの処分方法の見直し、合意プロセスへの懸念など、「海洋放出」に対して否定的なもので占められていました。多くの問題を抱えたまま、県民の理解も合意もないまま、関係閣僚会議で方針を決定することは許せません。

原水禁は、政府に対して、緊急打電行動のとりくみを提起させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。

 

1.トリチウム汚染水の「海洋放出」を許さない緊急打電行動

(1)提出先

  ① 首相官邸

(ア)「首相官邸ホームページ」⇒「ご意見、ご感想」⇒「首相官邸に対するご意見等」へアクセスしてください。

(イ)下記URLをご活用いただくと直接アクセスできます。

https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

  ② 菅義偉議員事務所

(ア)FAX:03―3597-2707

 

(2)内容参考例

① 県民合意もないまま、「海洋放出」を強引に推し進めないでください。

② 汚染水を海に流さないでください。これ以上、福島の海を放射能で汚さないでください。

③ 海で生きる人や生き物を苦しませないでください! これ以上福島の海を汚さないで!

④ 福島県内41市町村議会が汚染水放出に反対または慎重の意見書や決議をあげています。自治体の意見を尊重してください。

 

(3)とりくみ期間:4月12日(月)まで

 

 

3月9日、「放射能汚染水に対する海外からの要請」書を経産省に提出

2021年03月10日

2020年10月以降、原水禁は、世界の「トリチウム汚染水の海洋放出に反対する声」を集めるべく、”Urgent Action”(緊急行動)として呼びかけてきました。

2021年3月9日現在、呼びかけに応えて7カ国から、合計135通が届き、これらの海外からの意見を集約し、原水禁は廃棄断念を要求する経済産業省と交渉を行いました。

団体:4

個人:131

 

交渉には、福島からも参加者が駆けつけ、海洋投棄反対の意見を表明しました。

福島県平和フォーラムの角田共同代表からは、「何がどのように検討されているのか全く分からない。理解が得られないことはやってはいけない」と政府が方針を決めるプロセスに対し、納得のできないことを伝えました。

脱原発福島県民会議の佐藤龍彦さんからは、「30年、40年で終わる問題ではない」と安易な政治判断をしないように意見するとともに、希望のもてる漁業がおこなえるように、海洋投棄はすべきでないと述べました。

経済産業省側からは、関係省庁で話合い、市民との意見交換も積極的にやっていくことが回答されるとともに、「しかるべき時に…」という歯切れの悪い説明がなされました。

引き続き、トリチウム汚染水の海洋投棄に反対する取り組みを進めていきます。

原水禁から提出した要請書は、以下の通りです。

2021.03.09. 経済産業省への要請書(PDF)

 

 

 

“Urgent Action”(緊急行動)経過報告12/14現在

[Please share this widely] “Say NO to the dumping of Fukushima’s radioactive water to the Pacific Ocean!”

「避難指示地域の医療費無料化措置の継続」を求める政府交渉および「トリチウム汚染水の海洋放出の問題点」に関する政府交渉

2020年12月11日

「避難指示地域の医療費無料化措置の継続」を求める政府交渉および「トリチウム汚染水の海洋放出の問題点」に関する政府交渉


12月11日、原水禁を含む8団体は、「避難指示地域の医療費無料化措置の継続」を求める政府交渉、および「トリチウム汚染水の海洋放出の問題点」に関する政府交渉を参議院会館B104会議室で行いました。今回は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮し、各団体1名程度の参加とし計13名が参加しました(Web配信視聴者18名)。
7月3日と10月5日に行われた同交渉に引きつづき、前回までに残された課題についての再質問、新たな要請等を、政府(厚生労働省・復興庁・経済産業省・農林水産省・原子力規制委員会
)と行いました。

第一部:「避難指示地域の医療費無料化措置の継続」を求める政府交渉冒頭、「東電福島第一原発事故避難指示地域住民の医療費無料化措置の長期継続を求める緊急申し入れ(再)」を手交し、厚生労働省・復興庁からは「原子力災害地域については、現時点で支援を縮小・終了するような段階ではなく、中・長期的な支援を今後も継続していく。」との回答がありました。交渉では、「復興・創生期間後における復興の基本方針」に「減免措置見直し」と記載されたことについて議論されましたが、自治体・福島県民・住民の心配・不安を完全に払拭するような回答は、残念ながら得られませんでした。

第二部:「トリチウム汚染水の海洋放出の問題点」に関する政府交渉経済産業省からは、2015年1月7日に開催された「第6回廃炉・汚染水対策福島協議会」における、糟谷廃炉・汚染水対策チーム事務局長補佐による「(ALPS処理水について)関係者の方の理解を得ることなくしていかなる処分もとることは考えておりません」との答弁、および経済産業省から福島県漁連への「関係者の理解なしにはいかなる処分も行いません」との文書回答(同年8月24日付)をめぐり、「当時、その通り『約束』したが、『海洋放出しない』ことまで『約束』したわけではない」と、まさに官僚答弁が繰り返され、これまで同様に、福島県民・住民の立場に寄り添っているとは思えない発言・回答が多くあり、やりとりは平行線のままでした。

農林水産省からは、「政府・農林水産省として、ALPS処理水の処分方法について、今決まっていることはない。今後も、復興に向けた農林水産業に携わる方々の努力を妨げないことを最優先にして、処分方法や風評被害対策を検討していくべきと、経済産業省には伝えていく。」との答弁がありました。

原子力規制委員会とは、「線量告示(周辺監視区域外で最大1mSv/年)」について議論しましたが、見解の相違があり、議論は深まりませんでした。

原水禁は、7ヶ国(アメリカ・カナダ・オーストラリア・イギリス・ドイツ・マーシャル諸島・韓国)から「トリチウム汚染水海洋放出反対」への賛同メッセージが団体・個人合わせて100件以上届いていることを紹介したうえで、「トリチウムの半減期*と今後の技術開発への期待を考慮すれば、長期保管(最低でも200年程度は『陸上保管』)し、『海洋放出』以外の検討を進めるべき」と改めて主張しました。

【*:トリチウムの半減期は12年。仮に120年保管すれば1,024分の1に、240年保管すれば約100万分の1(104万8,576分の1)に減衰します。】

☆政府交渉の時程は以下の通りです。

第一部:「避難指示地域の医療費無料化措置の継続」を求める政府交渉
11:00~12:00 厚生労働省・復興庁
第二部:「トリチウム汚染水海洋放出の問題点」に関する政府交渉
13:00~14:15 経済産業省
14:20~15:05 農林水産省
15:10~16:00 原子力規制委員会

☆主催8団体:

脱原発福島県民会議
双葉地方原発反対同盟
原水爆禁止日本国民会議
原子力資料情報室
全国被爆2世団体連絡協議会
原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会
チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西
ヒバク反対キャンペーン

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