核兵器 - 原水禁

「核兵器の先行不使用を米露首脳に求める公開書簡への署名」について

2021年06月11日

6月16日にスイスで米露首脳会談が開かれます。それを機会に両首脳に核兵器の先制不使用を求める公開書簡を、1995年核拡散防止条約(NPT)延長会議を契機に結成された、国際核廃絶NGOネットワークの「アボリション2000」等がインターネット上で署名を募り、送ることになりました。これに、原水禁も賛同しました。

 

以下は、原水禁が賛同に付記したコメント。

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は核保有国に核兵器の先制不使用を求めてきました。今回の米ロが先制不使用宣言をするよう求める公開状を支持します。他方日本政府は、唯一の戦争被爆国にもかかわらず、核抑止力を弱めるので、アメリカが先制不使用政策を取ることに、反対しています。日本政府の立場を変えるよう努力したいと思います。

 

公開書簡署名のリンク:
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScfK5sMqiCkHV4M0HJPWkMUlqQGJn5SHBxmaehVdzUUV04ctg/viewform

プーチン大統領とバイデン大統領への公開書簡   2021年6月16日の首脳会談に向けて

  
私たちは、核兵器の使用が人道的に壊滅的な結果をもたらすこと、そして核戦争が人類に与える壊滅的な影響、すなわち私たちの知る文明の終焉の可能性を十分に理解していると思われる世界の指導者であるあなた方に手紙を書きました。
 
私たちは、核保有国が核兵器の先行不使用を約束することを求める国際キャンペーンに参加しています。 アジア、アフリカ、ヨーロッパ、中東、南米、北米、太平洋地域から700人以上の参加者が集まり、このキャンペーンを開始するための2日間の会議を含む、数々の国際イベントを成功させたところです。これらのイベントの結果、先行不使用(NFU)に関する二国間のコミットメントを他の核保有国が採用し、すべての核兵器を廃絶するための第一歩として、今回のサミットを利用して、二国間で先行不使用を約束することを要請することとなりました。

私たちは、30年ほど前に皆さんの前任者が「核戦争は勝つことができず、決して戦ってはならない」と宣言したことを心に留めています。 数年前、バイデン氏は、核戦争の脅威について雄弁に語り、「核兵器のない世界を望むなら、米国が率先してそこに導くべきだ」と宣言しました。 同様に、プーチン氏も、「第三次世界大戦が文明の終焉をもたらす可能性があることを理解していれば、現代文明にとって非常に危険な国際舞台での極端な措置をとることを抑制することができるはずだ。」と述べています。国連は、全会一致で採択された最初の決議で核兵器廃絶の目標を設定し、2013年には9月26日を毎年恒例の「核兵器廃絶のための国際デー」と定めて、このことを再確認しました。
 
今こそ、いかなる状況下でも核兵器を先に使用しないという共同コミットメントを宣言し、地球上から核兵器を完全に廃絶するという国連の目標を達成するための重要な一歩としてください。 私たちは、議員、元政治家・軍人、そしてこの目標を支持する複数の市民運動の代表者として、皆さんの努力を市民的・政治的に支援することを約束します。
 
このような措置は、2010年に「核兵器の使用を防止し得る政策」と「核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立すること」を支持することに全会一致で合意した、他の189の核不拡散条約締約国のほとんどが支持するであろうし、2017年に「核兵器禁止条約」を承認した122カ国が強く支持するであろうことを知っておくべきです。
 
私たちは、この崇高な目標を達成することが、皆さんの心の中にあると信じています。私たちは、皆さんのサミットでこの重要なステップを開始し、私たち全員を核兵器のない惑星へと導くことを求めます。

 

以上


Invitation to endorse an Open Letter to Presidents Biden and Putin in advance of their June 16, 2021 Summit

 

On June 16, 2021, US President Joe Biden and Russian President Vladimir Putin will meet in Switzerland in their first Summit. This provides an important opportunity for the leaders to reduce tensions between the two countries, lower the risks of a nuclear exchange, and make commitments to additional concrete measures for nuclear risk-reduction and disarmament.

A key measure they could discuss would be the option of committing to never initiate a nuclear weapons attack, i.e. to adopt no-first-use policies.

Following a No First Use global campaign meeting on May 26-27, we have drafted an Open Letter to Presidents Biden and Putin calling on them ‘to declare a joint commitment that your nations will not use nuclear weapons first under any circumstances, and to make this a key step toward fulfilling the UN goal to totally eliminate nuclear weapons from the planet.’ (See below for text of the Open Letter).

We invite you to endorse the letter, as an individual, by June 6 in order for your name to be included when we send the letter to Presidents Biden and Putin on June 7Click here to submit your endorsement.

We also encourage supporting statements from civil society organizations to be circulated to media (mainstream and social media) from June 10 and sent to us by June 14 when we will be sending the Open Letter to the media. Click here to submit a supporting statement from a civil society organization.

We thank you for your time and your efforts for a more peaceful and secure world.

Yours sincerely

John Hallam (Australia)
People for Nuclear Disarmament
Peter Metz (USA)
Massachusetts Peace Action Nuclear Disarmament Working Group
Vanda Proskova (Czech Republic)
PragueVision Institute for Sustainable Security
Rob van Riet (Netherlands/UK)
World Future Council
Aaron Tovish (Mexico)
Zona Libre
Carlo Trezza (Italy)
Former Ambassador for Disarmament and Non Proliferation
Alyn Ware (New Zealand/Czech Republic)
World Future Council
Parliamentarians for Nuclear Non-proliferation and Disarmament


Open Letter to Presidents Putin and Biden In advance of their June 16, 2021 Summit
[Please do not circulate publicly until released on June 10]

We write to you, world leaders whom we know fully understand the catastrophic humanitarian consequences of any use of nuclear weapons, and the cataclysmic effects on humanity of a nuclear war: the possible end of civilization as we know it.

We are participants of a growing international campaign for a commitment by nuclear-armed states to a policy of no first use of nuclear weapons.  We have just completed a number of successful global events, including a two-day conference preparatory to launching this campaign, which have included over 700 participants from Asia, Africa, Europe, Middle East, South America, North America, and the Pacific. Arising from these events is an appeal to you to use your summit to make a mutual bilateral commitment on No First Use (NFU) as a first step to adoption of such a commitment by other nuclear weapon states and to the elimination of all nuclear weapons .

We are mindful that decades ago your predecessors declared “A nuclear war cannot be won and must never be fought”.  A few years ago, Mr. Biden, you declared in an eloquent speech about the threat of nuclear war, “If we want a world free of nuclear weapons, the United States must take the initiative to lead us there.”  Similarly, Mr. Putin, you have said “The understanding that a third world war could be the end of civilization should restrain us from taking extreme steps on the international arena that are highly dangerous for modern civilization.” The United Nations set the goal to eliminate nuclear weapons in its very first resolution which was adopted unanimously, and reaffirmed this in 2013 by establishing September 26th as the annual International Day for the Total Elimination of Nuclear Weapons.

Now is the perfect time for you to declare a joint commitment that your nations will not use nuclear weapons first under any circumstances, and to make this a key step toward fulfilling the UN goal to totally eliminate nuclear weapons from the planet.  We pledge to you – as legislators, former political/military leaders and representatives of multiple civil movements endorsing this goal – to mobilize civil and political support for your effort.

You should know that such a measure will be supported by most of the other 189 States Parties of the Non-Proliferation Treaty who unanimously agreed in 2010 to support ‘policies that could prevent the use of nuclear weapons’ and ‘to establish the necessary framework to achieve and maintain a world without nuclear weapons’, and will be strongly supported by the 122 nations that in 2017 approved the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons.

We believe it is in your hearts to achieve this noble goal. We call on you to initiate this vital step at your summit and to lead us all to a planet free of nuclear weapons.

Sincerely,

[Open for endorsement by representatives of civil society organizations, legislators, religious/political leaders and other interested individuals. Click here to endorse]

 

4月20日、イギリスの核弾頭増強に関する外務省への要請行動

2021年04月22日

4月20日、原水爆禁止日本国民会議は、近藤昭一衆議院議員とともに、外務省へ「核兵器廃絶・核軍縮に向けた日本政府の取り組みに対する要請」を行いました。

3月16日、英国のジョンソン首相は、核弾頭の保有数を180発から260発へと引き上げるとした発表を行いました。世界の核戦力の増強に脅威をもち、その対抗手段として今回の発表がなされましたが、根拠が曖昧であり、核兵器廃絶の流れに逆行する誤った方針転換といえます。また、核兵器保有国は、NPT第6条において、軍縮義務を有しています。今回のイギリスの発表は、明らかにNPT6条違反といえます。

原水禁は、日本政府が主張する「核保有国と非保有国の橋渡し」との役割を踏まえ、核兵器競争に終止符を打つよう、以下の5点について、要請を行いました。

 


要請事項

 (1)核兵器保有国の理解を得る努力を続けながら、日本政府の核兵器禁止条約批准に向けてとりくみをすすめること。

 (2)当面、核兵器禁止条約の締約国会議には、唯一の戦争被爆国の政府としてオブザーバーとして参加すること。

 (3)日本政府が毎年国連総会に提出している「核兵器廃絶決議案」において、核兵器禁止条約が発効したことに言及すること。

 (4)核兵器廃絶・核軍縮の流れに逆行し、核兵器増強を企図している英国や中国に対して、NPT第6条に基づく核軍縮への義務履行を求めること。また、米露間などの核軍縮のとりくみを確固たるものにするよう国際社会での発言を強めること。

 (5)米国の核の傘に頼る安全保障から一歩進んで、アジア各国との「共通の安全保障」の実現に向けてとりくみを強化すること。そのためにも、核保有国との対話をすすめること。


 

外務省からの回答は、日本政府の立場を説明したうえで、以下のような回答となりました。

(要請に対し、回答するにあたって)

日本政府の立場をご理解いただく機会とするとともに、隣国との関係も含めて、説明をいたします。日本は被爆国として、核兵器廃絶に向けてリードしていくという使命を持っています。一方で、リードしていく中で、安全保障についても考えていかなくてはならない。日本の安全保障を損なわない形で、核兵器廃絶、核軍縮を進めていかなくてはならない。政府として、日本国民の生命・財産を守る必要があります。また、国際的な安全保障を考えていかなくてはならない。核兵器国を巻き込んでいく必要があるためです。

((1)~(3)について)

日本政府の立場に立つと、慎重に対応せざるを得ないと考える。これまで、核兵器廃絶に尽力していただいている皆様とは、共通のゴールを共有している。核軍縮、核兵器廃絶に向けて、しっかりと連携していきたいと考えている。

((4)~(5)について)

しっかりと今回の要請を受けとめて、努力していきたい。

「日本政府も、これまで、核兵器廃絶に向けて努力してきております。それについても、ご理解を賜りたい。」とまとめられた回答に対して、原水禁は、「日本政府が、引き続き軍縮へ向けて努力を続けること」を要請し、終了となりました。

原水禁は、今後も様々なアプローチで、核兵器廃絶に向けた取り組みを進めていきます。

核軍縮への政府要望書(2021.4.20 手交)

 

 

【ご紹介】【PRIME主催国際シンポジウム】❝The Prospect for Advances in Nuclear Disarmament: The New Posture of the U.S. Government and Its Limits.❞

2021年03月02日

原水禁が後援する国際シンポジウムが、明治学院大学平和研究所(PRIME)主催で、3月18日に開催されます。

詳細はこちら

❝The Prospect for Advances in Nuclear Disarmament: The New Posture of the U.S. Government and Its Limits.❞

開催概要

講師  : ローレンス・ウィットナーさん(ニューヨーク州立大学オルバニー校名誉教授)

コメント: 高橋博子さん(奈良大学教授)

言 語 :日本語、英語(逐次通訳あり)

参加申込 :参加費不要、事前申し込み要

※3月16日(火)までにGoogleフォームよりお申込みください。
https://forms.gle/BH3hgNTeTEKo3XzTA

※お申込みいただきました方に、当日の参加方法等の詳細を前日までにご案内させていただきます。

日時 : 2021.03.18[木] 11:00~12:30

場所 : ZOOMを利用したオンライン開催

主催 : 明治学院大学国際平和研究所(PRIME)

後援 : 原水爆禁止日本国民会議

 

いよいよ核兵器禁止条約が発効しました。アメリカのバイデン大統領は、着任早々、気候変動に対処するパリ協定への復帰や、米ロの戦略兵器削減条約の延長を取り決めて、トランプ前政権が背を向けた国際協調の枠組みに復帰し、核戦争の危険を減じる方向へと、舵を切ったかのように見えます。しかし、アメリカをはじめとする核保有国にとって、戦後ながらく国家安全保障の柱としてきた核兵器への依存を減らすことは、簡単ではありません。
世界の核状況を形成する力のあるアメリカが、今どう動きだしているのか、戦後の核軍縮運動を追いつづけてきたウイットナー教授に伺います。コメンテーターは、やはりアメリカの核政策を手堅く史料に基づいて批判的に分析してきた高橋博子教授です。

チラシはこちらから(powerpoint)

チラシはこちらから(PDF)

明治学院大学平和研究所

 

1月23日「日米韓国際シンポジウム-核兵器禁止条約発効後の課題と展望-」を開催します

2021年01月19日

 

原水禁は、核兵器禁止条約発効を受け、課題を整理するとともに、世界がどのように変化していくかを展望し、これからの原水禁運動のあり方を提起します。

その様子は以下の通り、オンラインでご覧いただけます。

 

「日米韓国際シンポジウム-核兵器禁止条約発効後の課題と展望-」

(1)日時:2021年1月23日(土)10:00~12:00

(2)内容:

① 主催者あいさつ 川野浩一議長

② 日米韓国際シンポジウム

(3)パネリスト

日  本:秋葉忠利さん(原水禁・顧問)

アメリカ:ケビン・マーティンさん(ピースアクション)

韓  国:イ・ヨンアさん(参与連帯)

(4)コーディネーター:藤本泰成さん(原水禁・副議長)

(5)YouTube原水禁チャンネルにて、生配信いたします。

原水禁チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCE9kPbD9CrNxSe9eF54nz3Q

配信のULRを拡散いただく場合は、こちら https://youtu.be/9lJFxYBZVYM

また、シンポジウムに先駆けて、核兵器禁止条約の基本から学べる動画も公開しています。

 

核兵器廃絶に至るこれからの道 前広島市長・原水禁顧問 秋葉忠利「核兵器禁止条約」に関する動画を公開

「核兵器禁止条約」発効の意義と課題―今こそ、東北アジア非核兵器地帯を―湯浅一郎(ピースデポ代表)「核兵器禁止条約」に関する学習動画を公開

原水禁の核兵器禁止条約発効にあたっての議長声明はこちらをご覧ください。

核兵器禁止条約の発効にあたっての原水禁議長声明

 

核兵器廃絶に至るこれからの道 前広島市長・原水禁顧問 秋葉忠利「核兵器禁止条約」に関する動画を公開

2021年01月17日

核兵器廃絶に至るこれからの道 前広島市長・原水禁顧問 秋葉忠利「核兵器禁止条約」に関する動画を公開

 

 

バイデン政権が成立直後の1月22日、原水禁運動に関わる全ての人々が切望した「核兵器禁止条約」が成立します。

本来であれば、記念すべき「核兵器の終わり」の始まりとなる時を、皆様と対面する形で迎えていたはずです。

しかし、コロナ禍にあって、対面の形式でのイベントはかないませんので、オンラインで開催できるものを企画させていただきました。

 

第一弾として、1月12日にピースボート代表の湯浅一郎さんによる解説動画を公開いたしました。

第二弾として、「核兵器禁止条約」が発効する今、これから核兵器廃絶に至るまで、その目標を達成するまで何をすればいいのか、原水禁の顧問であり、前広島市長、数学者でもある秋葉忠利さんに解説していただきました。

学習会の教材・資料としての動画視聴も歓迎いたします。

ぜひ、ご視聴ください。

 

 

◆ 原水禁では、条約発効に際し「日米韓国際シンポジウム-核兵器禁止条約発効後の課題と展望-」を以下の通りオンラインで開催致します。

「日米韓国際シンポジウム-核兵器禁止条約発効後の課題と展望-」

(1)日時:2021年1月23日(土)10:00~12:00

(2)内容:

① 主催者あいさつ 川野浩一議長

② 日米韓国際シンポジウム

(3)パネリスト

日  本:秋葉忠利さん(原水禁・顧問)

アメリカ:ケビン・マーティンさん(ピースアクション)

韓  国:イ・ヨンアさん(参与連帯)

コーディネーター:藤本泰成さん(原水禁・副議長)

(4)YouTube原水禁チャンネルにて、生配信いたします。

原水禁チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCE9kPbD9CrNxSe9eF54nz3Q

 

「核兵器禁止条約」発効の意義と課題―今こそ、東北アジア非核兵器地帯を―湯浅一郎(ピースデポ代表)「核兵器禁止条約」に関する学習動画を公開

2021年01月12日

「核兵器禁止条約」発効の意義と課題―今こそ、東北アジア非核兵器地帯を―湯浅一郎(ピースデポ代表)

 

緊急事態宣言が発出されるなど、コロナ禍にあって、学習会などの開催が難しくなっています。

しかし、新STARTの延長交渉の難航、NPT再検討会議の延期など、核兵器をめぐる情勢は混乱を極めています。

その中で、原水禁運動に関わる全てのものが切望した「核兵器禁止条約」が2020年10月に批准50か国を達成し、本年1月22日に発効することとなりました。

国際法で「核兵器」が違法なものとされ、その存在の意義が問われます。また、「核兵器」という存在を、「核抑止」という理論で日本は安全保障の軸に据えています。

世界が核兵器廃絶へ向けて動き出した今、核保有国はどうするべきであるか、日本はどうあるべきであるかをピースデポ代表の湯浅一郎さんに解説していただきました。

学習会の教材・資料としての動画視聴も歓迎いたします。

ぜひ、ご視聴ください。

 

◆ 原水禁では、条約発効に際し「日米韓国際シンポジウム-核兵器禁止条約発効後の課題と展望-」を以下の通りオンラインで開催致します。

「日米韓国際シンポジウム-核兵器禁止条約発効後の課題と展望-」

(1)日時:2021年1月23日(土)10:00~12:00

(2)内容:

① 主催者あいさつ 川野浩一議長

② 日米韓国際シンポジウム

(3)パネリスト

日  本:秋葉忠利さん(原水禁・顧問)

アメリカ:ケビン・マーティンさん(ピースアクション)

韓  国:イ・ヨンアさん(参与連帯)

コーディネーター:藤本泰成さん(原水禁・副議長)

(4)YouTube原水禁チャンネルにて、生配信いたします。

原水禁チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCE9kPbD9CrNxSe9eF54nz3Q

 

核兵器禁止条約の発効にあたっての原水禁議長声明

2020年10月25日

核兵器禁止条約発効確定にあたっての原水禁議長声明発出について

 昨日10月24日、中米ホンジュラス共和国が核兵器禁止条約に批准し、よって来年1月22日には発効することが確定しました。発効することが確定したことを受けて原水禁は、別紙声明を発出しました。核禁条約発効後も「核と人類は共存できない」ことを基本として、核兵器廃絶のみならず、すべての国の、すべての核に反対しとりくみを強化していくことを確認したいと思います。

 

 

核兵器禁止条約発効確定にあたっての原水禁議長声明

原水爆禁止日本国民会議(原水禁)

議長 川野浩一

 10月24日、核兵器禁止条約(TPNW)を中米のホンジュラス共和国(Republic of Honduras)が批准しました。これにより批准した国・地域が50に達して、2021年1月22日に発効することが確定しました。これにより核兵器を非人道的兵器・絶対悪と定める国際規範が成立し、世界は核兵器廃絶という希望へ大きく前進することとなりました。原爆投下の惨劇の中から生きることを選択した被爆者の強い思いと、日本の原水禁運動やICANなどの核兵器廃絶にとりくむNGOの様々な努力、そして核兵器に頼ることなく自国の安全と世界の平和を願う各国政府のとりくみの大きな成果です。原水禁は、条約発効の意味をしっかりと受け止め、様々な組織・人々とともに核兵器廃絶へのとりくみを進めることを改めて確認します。

 しかし、核兵器保有国、日本やドイツなど他国の核の傘の下にある国は、核抑止力を自国の安全保障の基本に据えて、条約に反対しています。本年10月2日に開かれた国連の「核兵器廃絶国際デー」で演説に立った、オーストリア代表の「核抑止力は安全をもたらすものではない。いいかげんにこの神話を葬ろう」との呼びかけに、核兵器保有国や保有国の核の傘の下にある国は真摯に応えるべきです。

 今年8月9日、長崎平和祈念式典後の記者会見で安倍首相は、核兵器禁止条約に触れ「わが国の考え方とアプローチを異にしている」として、改めて条約に参加しないことを表明しています。また、安倍政権を継承するとした菅首相は、9月26日の国連総会でビデオ演説し「積極的平和主義」に基づき世界平和に貢献するとしましたが、「現実の安全保障の観点を踏まえていない」として、これまでの政府の姿勢を基本に核兵器禁止条約には触れませんでした。安倍政権は、この間朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の核実験・ミサイル発射実験を脅威とし、また中国の南シナ海進出も含めて日本をめぐる安全保障の脅威を主張してきました。その上で、核抑止力をことさらに評価し条約批准が日米安保条約体制に矛盾するとの立場をとり、旧来の安全保障観を抜けることができません。朝鮮は、2002年のアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領の「悪の枢軸国」とされて以来、米国の圧力の下で核兵器保有を強行してきました。中国は、核の先制不使用宣言しており、両国の核兵器や戦力が日本へ向けられているとは考えられません。米国とともに、中国や朝鮮を仮想敵国として、ミサイル防衛の強化や敵基地攻撃に言及する日本政府の姿勢こそが、日本の安全を脅かすものと考えられます。

 原水禁は、連合、核兵器廃絶・平和建設国民会議とともに、「核兵器廃絶1000万署名」にとりくみ、日本政府に核兵器禁止条約の批准を求めるとともに、核兵器廃絶を訴えてきました。8月9日には、長崎において中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表に、823万を超える署名を手交しました。中満泉事務次長は、核兵器廃絶という目標は「日本も共有しているはず」として条約に反対する各国に対して「ドアを完全に閉めずオープンマインドで」と苦言を呈しています。

 米国は、イラン核合意を破棄し、そしてINF条約も破棄しました。来年2月には期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)の交渉も、米露両大国の思惑が交錯し、先行きが不透明となっています。これまでの米露を中心とした核兵器削減の流れが止まろうとしています。中距離核戦力をめぐる米国とロシア・中国の対立は、日本への米軍中距離ミサイル配備や核弾頭配備の可能性も引き出しています。唯一の戦争被爆国としての国是である、核兵器をもたず、つくらず、持ち込ませずとする非核三原則に抵触する事態もおきかねない状況です。核兵器廃絶を、日本政府が主張するのであれば、核兵器保有国と非保有国の間に立って、核兵器廃絶への対話をつくりだす役割を果たさなくてはなりません。核兵器をめぐる状況がきびしい中にあって、日本に与えられた役割は大きいと考えます。今年の長崎平和祈念式典の平和宣言において、田上富久長崎市長は「核兵器の恐ろしさを経験した国として、1日も早く核兵器禁止条約の署名・批准を実現するとともに、北東アジア非核地帯の構築を検討してください。『戦争をしない』という決意を込めた日本国憲法の平和の理念を永久に堅持してください」と訴えました。戦後日本が、日本国憲法前文で誓った「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」のであれば、日本と世界の将来を見据えた議論を開始し、そのための努力を開始すべきです。

 原水禁は、核兵器禁止条約が発効したこの記念すべき出発点にあたって、平和を愛するすべての人々と、核兵器廃絶・平和構築にむけて、全力でとりくんでいくことを改めて確認します。

 

 

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