2020年12月14日
六ケ所村MOX工場への「審査合格」に対する原水禁議長声明発出について
12月9日、原子力規制委員会は、青森県六ケ所村に建設しているプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料加工工場の安全対策が、新規制基準に適合するとして正式に「審査合格」としました。
これを受け、原水禁議長声明を発出致しましたので、ここに掲載致します。
六ヶ所村MOX工場の破綻は明らか ―核燃料サイクルの根本的転換を急げ―(原水禁声明)
12月9日、原子力規制委員会は、日本原燃(原燃)が青森県六ケ所村に建設しているプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料加工工場の安全対策が、新規制基準に適合するとして正式に審査合格とした。
MOX燃料加工工場は、六ヶ所再処理工場とともに核燃料サイクル政策の要の施設だが、しかし、高速増殖原型炉もんじゅ(もんじゅ)の廃炉や六ヶ所再処理工場の完工延期など、核燃料サイクル政策は行き詰り、先行きは不透明な中にある。国や電力会社は、MOX燃料を利用して「プルサーマル発電」を行うとしているが、福島原発事故以降これまで再稼働した原発9基のうち4基しか導入できていない。さらに実際に稼働しているのは現在2基にすぎない。
プルトニウム利用の中心であったもんじゅが廃炉となり、その後、連携を模索したフランスの高速炉開発も頓挫した。結局現在のところ、プルトニウム利用はプルサーマル発電だけが残るこ
ととなった。当初、16基~18基とした原発でのプルサーマル導入計画は、しかし、福島原発事故以降、原発の再稼働もきびしい中で進んでいない。日本は、使用済み核燃料の再処理にあたって
は、核兵器に転用可能な余剰プルトニウムを持たないことを国際公約としており、核燃料サイクル計画を続ける限りその公約の実現は不可能である。
原子力規制委員会の更田豊志委員長は、「安全性や核拡散の観点から再処理工場で抽出したプルトニウムは、速やかにMOX燃料に加工することが必要だ」と述べ、再処理とMOX燃料加工を一体的進めることを求めているが、出口にあたるプルサーマル発電が進まない現状では、MOX燃料は消費されず工場が計画通り操業できる見込みは立たない。
さらにMOX燃料加工工場の建設費も当初の約1,200億円から約3,900億円と3倍以上に跳ね上がっている。六ヶ所再処理工場も当初約7,600億円だった建設費が約2兆9,000億円と4倍近くに膨れ上がっている。今後も核燃料サイクル計画にかかる費用は、歯止めなく膨らんでいくに違いない。
六ケ所村の再処理工場は、1993年の着工以来、24回も完工延期が繰り返され四半世紀を経てもいまだ完成していない。原燃は2021年度上期の完工をめざしているが、今後も地元の合意、細かな審査や試験があり、本格稼働の時期は見通せていない。MOX工場は、2012年完成を目指していたが、これも延期が繰り返され、現在2022年上半期の完成となっているが、再処理工場との一体的稼働を考えれば、操業時期は不透明といえる。
MOX燃料の需要が不透明で、工場の計画的稼働も見込まれない中で、莫大な建設費はMOX燃料の価格を高騰させ、経済的合理性を失うこととなっている。巨額な投資は、電力料金に跳ね返ることは必死であり、高速炉開発に多額の税金が投入されたと同様、市民の負担増は避けられない。
特に福島原発事故以降、原子力発電や再処理事業を巡る環境は大きく変化した。米国や英国、ドイツなどは既に核燃料サイクルから撤退し、世界の流れは脱原発へと大きく舵を切っている。
国・電力会社は、核燃料サイクル政策の破綻を認め、原子力政策全体の根本的転換を図ることが必要だ。これ以上問題の先送りは許されない。
2020年12月14日
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野 浩一
2020年11月17日
「止めよう再処理!100万人署名」の取り組みの強化について
「止めよう再処理¡100万人署名」の取り組み強化についてのお願いです。
すでに各地、各団体において取り組みをすすめていることと存じますが、新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、署名運動の展開が厳しく、街頭などでの取り組みも困難な中にあると思いますが、今回あらためて取り組みの強化をお願い致します。
核燃料サイクルについては、菅新政権は先の衆議院予算委員会(11月4日)で、「核燃料サイクル政策を推進する」ことを基本的方針と述べた上で、再処理工場の完工、プルサーマル発電の推進、使用済みMOX燃料の再処理の研究開発などの政策を進めると言明しています。
しかし、原発や核燃料サイクルをめぐる環境は大きく変わり、原発の新増設は進まず、むしろ原発の廃炉が相次いでいます。まさに原発は「廃炉の時代」を迎えています。核燃料サイクルも、中心となるべき高速増殖炉は、原型炉「もんじゅ」の開発が廃炉となり、フランスなどとの高速炉開発もとん挫しました。プルトニウム消費のためのプルサーマル計画も低調なまま先行きが不透明となっています。核燃料サイクルは、実現性もなく政策的にも破綻しているのが現状です。
安倍政権を引く継いだ菅政管も、原発・核燃料サイクル路線を進め、国際的にも問題となっている温暖化対策に原発を活用しようとしています。破綻が明らかな核燃料サイクル路線からの撤退を求め、脱原発に向けた政策転換をはかるためにこの署名に引き続きご協力をお願い致します。なお、署名展開に役立つ冊子「STOP!再処理―六ヶ所再処理工場を動かしてはいけない10の理由」も併せてご活用ください。
記
止めよう再処理!100万人署名
1.要請先
内閣総理大臣/経済産業大臣/原子力委員会/原子力規制委員会
2.要請項目
- 原子力政策、核燃料サイクル政策の根本的転換を求めます。
- 六ヶ所再処理工場、MOX加工工場、むつ使用済み核燃料中間貯蔵施設、世界初の大間フルMOX原発の建設中止を求めます。
- プルトニウム利用政策の放棄を求めます。
- プルサーマル計画の中止と第二再処理工場計画の放棄を求めます。
- 下北半島を核のごみ捨て場にしないことを求めます。
- 原子力政策、核燃料サイクル政策について公開討論会を求めます。
3.呼びかけ団体
止めよう再処理!100万人署名実行委員会
原水爆禁止日本国民会議・原子力資料情報室・核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団
核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会・反原発運動全国連絡会・青森県反核実行委員会
4.目標数 100万筆
5.締め切り 2021年3月31日
6.送付先 青森県反核実行委員会
〒030-0811 青森県青森市青柳1-3-14
℡ 017-776-5665
7.教宣資材 学習小冊子(A5判・24頁)を作成しました。ご活用ください。
「STOP!再処理―六ヶ所再処理工場を動かしてはいけない10の理由」
はんげんぱつ新聞編集部・著
頒価 1冊200円・送料別
*申込書はこちら
8.その他
①青森県反核実行委員会からの呼びかけ PDFはこちら
②署名用紙は、PDFデータを印刷してください。 PDFはこちら
なお、大量に必要な場合は、原水禁事務局へご相談ください。
2020年06月04日
「六ヶ所核燃サイクル・再処理工場新規制基準に関するパブリック・コメントのとりくみ」参考意見について

原子力規制庁が5月14日より開始したパブリック・コメントの締め切りが、6月12日と迫っています。
※原水禁ホームページでも、5月21日にご案内しています。
締め切り直前のご案内ではありますが、「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」の山田清彦さんからパブリック・コメントを提出するための参考意見が提示されていますので、ご案内いたします。
◆「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」HPはこちら
◆日本原燃(株)六ヶ所再処理事業の変更許可申請書に関する 審査書(案)についてのパブリックコメント文例集 PDFはこちら
◆ パブコメの箇所とそれに対する意見の例 その1
◆ パブコメの箇所とそれに対する意見の例 その2
◆ パブコメの箇所とそれに対する意見の例 その3