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止めよう再処理!共同行動ニュース6/22号記事から
2011年06月22日
けしからん! 疑念、批判が噴出
海江田万里経産相が「原発再稼働要請」
福島原発事故から何を学んだのか?
海江田万里経済産業大臣は6月18日、記者会見を行い、原子力発電所を持つ電気事業者11社に対して指示した短期的な安全対策について「シビアアクシデント(過酷事故)対策が適切に取られている」として、これまで定期点検などで停止している原発の再稼働(再起動)を認める発言をし、菅直人首相も19日、それを容認しました。
その中で、「安全性が確認されたものは稼働していく」としていますが、しかし一体、何が確認されたというのでしょうか。福島原発の事故収束も調査もまだ終わっていない段階で、何をそこから学び、他の原発に活かしたというのでしょうか。地震や津波そのものが原発に与えた影響は、いまだ全容が解明されていないなかで、これで安全宣言を出してよいものでしょうか。
原子力安全・保安院の西山英彦審議官の「人類が経験した原発事故を全て考えて対応した。今回の対策をやっている原発は安全だ」との発言には、3.11の原発震災の現実を前に、薄っぺらな「安全」という言葉だけ浮いているようにも感じます。いまだ原子力の安全神話に取り憑かれているとしか思えない発言に、あらためて今回の事故から彼らは本当に何も学んではいないと言えるのではないでしょうか。
尚早な結論
全電源喪失を想定した緊急安全対策は、3月30日に指示されたものです。しかし、炉心損傷などのシビアアクシデントを想定した水素爆発防止策などは6月7日に指示され、14日に各電力会社から報告が提出され、これを踏まえて厳格に評価した結果とされています。しかし、日程から見て尚早な結論であるとしか受け取れません。
福島第一原発事故は、原因究明も進まず事故の収束への見通しも立っていません。放射性物質の濃度も高い建屋の開放を余儀なくされ、放射性物質の高濃度汚染水の除去装置も18日に稼働したものの19日には緊急停止したままとなっています。国際放射線防護委員会(IAEA)においても、事故の調査をすすめ、原発安全強化に向けて来年後半をめどに議論することとなっています。このような状況下で、中長期的対策を抜きにしたまま、原発を再起動することを前提にした経済産業省、原子力安全・保安院の態度は、国民の納得を得る物ではありません。
安全よりも経済優先を許すな
原発を推進する側に、国民の安全よりも経済を優先する考え方があり、原子力安全・保安院もその立場に立って安全対策をないがしろにし、福島第一原発事故によって福島県民の「命」を削る現状をつくったのだと考えます。
今回の大臣談話には、「電力需給の安定は、震災からの復興と日本経済の再生のために不可欠である」「わが国経済の今後の発展のためにも、原子力発電所の再稼働を是非お願いしたい」「電力供給への不安と火力発電で代替することによるコストの上昇は、国内投資の抑制や海外移転につながり、産業の空洞化を招きかねない」といった、これまでと同様に経済優先の姿勢が明確になっています。これでは、安全対策に何ら信頼性を持つことはできません。
福島原発事故の収束のめども立たず、避難生活を余儀なくされている福島県民の安全な帰還のめども立たない中で、経済優先の考えから原子力発電所の再起動へ言及した経済産業大臣の発言に対して、怒りをもって抗議し発言の撤回を求めます。