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【鹿児島の取り組み】「鹿児島県護憲平和フォーラム情報No.22」から

2011年06月07日

脱原発への決意を固く
-福島原発事故の教訓を生かそう、非核平和行進に、原水禁世界大会長崎に-

 確かに3.11の地震も津波も巨大ではあったが、それにしても福島第一の4基の原発設備の脆弱さは目を覆うばかりである。安全性を担保する「多重防護」が機能しなかった原因は今後の検証にまたねばならないが、システムの破損個所もその程度も確認する術がないとなれば原発という巨大システムの設計コンセプトそのものの欠陥を問わねばなるまい。放射能を制御する技術はまだまだ未熟・未完成なのだと言わざるを得ない。いや恐らく、原子力は人智の及ばない、本質的に制御不可能なものなのだろう。核分裂のエネルギーを兵器の破壊力として解放できても、それをコントロールするには巨大すぎて不可能なのである。それが「核は人類と共存できない」との言葉が意味するところである。この認識を一人でも多くの人々と共有したいものだ。

 鹿児島は原発立地県であり、川内原発2基に加えて159万KWの巨大な3号機増設計画があり、増設反対を闘っている私たちは脱原発の運動を更に強力に推進する使命を担っている。しかしこれまで増設反対は多数派を形成できたとはいえない。福島原発事故を契機に原発の「安全神話」、廃棄物処理を棚上げにしたコスト安や「環境負荷の少なさ」などの虚妄性を暴き、原発を中心に置くエネルギー政策の危険性を社会の共通認識にする運動を強化したい。

 ところで南日本新聞の原発等についての県民意識調査(4月23日紙面)によれば、川内3号機増設については反対(「どちらかといえば反対」を含む 以下同様)が70%弱、そのうち福島原発事故以前からの反対は43%、以前は賛成と保留だった人の合計が、56%とのこと、今後は再生可能エネルギーを中心に置くとする意見が78%であったことと併せて福島事故の影響が電力問題の意見形成に強く働いており、この限りでは脱原発を推進するのに有利な環境が生まれたといえる。しかし、3号機増設は「産業構造やライフスタイルを支えるのに必要」との意見が男性、とくに20歳代男性に多いことや、1・2号機は安全性見直しの条件付きで稼働を容認する意見も66%あることは電力需給への不安感が根強いことをうかがわせる。これについての説得力ある理論構築が必要である。脱原発の運動強化は今夏の被爆66周年原水禁世界大会で重要なテーマに位置付けられているので、非核平和行進にとっても被爆者援護、核兵器廃絶とともに重点事項の一つである。5月19日から行った県内の行進でも各自治体にこれを要請した。すでに増設の凍結を表明している自治体には白紙撤回を要請することを申し入れ、それ以外の自治体には早急に対応を検討するよう要請した。現在とりくんでいる「増設計画白紙撤回」を求める意見書採択の陳情運動に有利に反映することを期待している。                 

(鹿児島県護憲平和フォーラム代表 荒川 譲)
 

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