被爆80周年原水爆禁止世界大会、2025年、未分類
国際シンポジウムとまとめ集会を開催 「被爆80周年原水爆禁止世界大会・広島大会」3日目
2025年08月07日
8月6日、広島市・県民文化センターで「被爆80周年原水爆禁止世界大会・広島大会」国際シンポジウムとまとめ集会を開催し、約550人が参加しました。
本年の国際シンポジウムは「被爆80年 核兵器廃絶に向けた歩み」をテーマに、 リリー・ドラグネフさん(アメリカ・ピースアクション)、イ・ヨンアさん(韓国・参与連帯)、秋葉忠利さん(原水禁顧問、元広島市長)がパネリストとして参加〔コーディネーター:染裕之(共同議長)〕。なお、参加予定で残念ながら出席できなかったイギリス・核軍縮キャンペーン(CND)からはビデオメッセージが寄せられました。被爆80年にあたり、ここまで積み重ねてきた運動の歴史的意義を確認しつつ、核使用の危機が高まる現下の世界情勢を踏まえた議論が交わされ、先制不使用宣言などをステップとした核兵器廃絶に向けた具体的な展望なども語られました。
また、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメリッサ・パーク事務局長が来場し、連帯のあいさつを述べました。
まとめ集会では、広島大会を総括しつつ、「ヒロシマ・アピール」を採択しました(全文は記事下部に掲載しています)。被爆80年、多くの課題が残されており、またいっそう厳しい世界情勢が立ち現れていることはたしかですが、いっぽうで私たちは核廃絶という希望の道筋を見失ってはいません。「核と人類は共存できない」の理念をいまいちど確認し、「核も戦争もない社会の実現」へとすすんでいきましょう。
以後、8月7・8・9日の日程で長崎大会を開催します。引き続きのご参加・ご協力・ご注目をお願いします。
被爆80周年原水爆禁止世界大会・広島大会まとめ報告(谷雅志・事務局長)
原水禁世界大会広島大会に全国各地はもとより、世界各国からも多くの方のご参加いただきました。暑さの厳しい中でのご参加、ありがとうございました。
開会総会・各分科会にお集まりいただいた2200人のみなさんの熱量を、今後の原水禁運動に生かしていきたいと思っています。この大会がその一つの契機となれば何より幸いです。
今日8月6日。80年前のこの時間のヒロシマは、原爆投下後の凄惨を極める状況にありました。被爆者の語りを聞くたびに、貴重な資料を見聞きするたびに、私は当時の惨状に思いをはせ、身が震える恐怖を覚えます。80年経ってもその被害の大きさ、むごたらしさは、まさしく恐怖でしかありません。戦争が行きついた先に、原爆投下という事実があったことを、私たちは決して忘れません。原爆を二度と使ってはならない、核兵器を使うことなど許されない、そのおもいを強くするために、恐怖を覚えるというこの気持ちは、これから引き継いでいかなくてはならない、継承されるべきものの一つです。
昨年、日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。その授賞理由として、被爆者がこれまで世界各国で語ってきた被爆の実相が、国際社会における「核の非人道性」「核のタブー」を確立してきたこと、そしてそれが今、危機的状況にあることが語られました。ロシアによる核兵器使用の威嚇発言や、核弾頭数の増加、戦争や紛争が絶えることなく起こり続けている現状は、核兵器が使われてしまう可能性があることを示しています。
核兵器が存在することを一定認める「核抑止」の考え方は、核兵器使用リスクが常に存在し続けることになります。ここ広島の、そして長崎の被爆の実相から何を学ぶのか、それが問われています。先ほども核兵器廃絶への具体的な道筋として、「2035/2045プラン」を秋葉忠利さんからお話しいただきました。被爆者のおもいを受け止めたいと願う私たちは、被爆者のみなさんが一人でも多くいらっしゃるうちに、核抑止という考え方を乗り越え、核廃絶を実現する社会をめざしていきます。
国内においては、核武装や核共有を声高に主張する人たちがいます。万が一、日本が攻められたときに、それに対抗する軍事力を備えておかなくてはならないとする考え方の先に、核兵器を持つことを想定していると思われますが、軍事力に対抗することで、私たちの安全な暮らしが守られるとは到底思えません。軍事的エスカレーションを招き、防衛費という名の軍事費を増強し続ける軍備拡張路線を歩む先が、再び戦争という道につながるのではないかと思わずにはいられません。いつか来た道を再び歩むことなく、過去の歴史から学ぶことが必要です。
日本政府には、私たちの生命と財産を守ることが課せられています。そうであるならば、ミサイルを撃たれたらどうすると喧伝するよりも、ミサイルを撃たせないための平和外交にこそ力を尽くすべきです。そのことが現実的な私たちの安全を確保する道だと考えます。
日本被団協の授賞理由には、国内における被爆の実相の継承が確実に進んでいることも述べられました。毎年こうして大会を開催してきたこと、高校生平和大使をはじめとした若い世代への期待の表れ、そして、現世代の私たちの責任が問われているのだと受け止めています。
原水禁世界大会は、ここ広島に集うことに重要な価値があることを確認しながら、対面での開催を続けてきました。今年の大会でも、初めて原水禁大会に参加したという参加者が多くいらっしゃるのではないかと思います。そういった意味では、この大会を原水禁運動の入口としていただき、各地域や各組織へ、その成果を持ち帰っていただくことで、運動の具体的な進展を図っていただくことをお願いします。
この3日間、開会総会から各分科会、ひろばやフィールドワーク、そうして今日の国際シンポジウム・まとめの集会と現地広島の実行委員会のみなさんには大変お世話になりました。各分科会を運営していただいた運営委員のみなさんを含めて、大会を支えていただいたみなさんに、心よりお礼を申し上げます。
運動の具体的な進展とは、どこかで誰かがやってくれることではなく、今、私が何をするか、ということの積み重ねを続けていくことが最も重要だと考えます。私自身もこの場をみなさんと共有することで、その責任を改めて感じています。このあと戻られましたら、ぜひお隣のどなたかに、今日感じたことを伝えていただければ、それが運動の第一歩になると思います。大きなうねりをつくり出していく一歩を、ともに踏み出していただきますようお願いし、広島大会のまとめとします。
ご参加いただきありがとうございました。
被爆80周年原水爆禁止世界大会・広島大会「ヒロシマ・アピール」
1945年8月6日午前8時15分、広島に投下された原子爆単は、強烈な「熱線」、「爆風」、「放射線」のもと、その年の内に14万人もの生命を奪い去りました。そして、生き残った被爆者も、放射線後障害に悩まされてきました。
あの日から80年、被爆者は、「核戦争を起こすな、核兵器をなくせ」「ふたたび被爆者をつくるな」と、力のかぎりに訴え続けてきました。
そうした中、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が2024年のノーベル平和賞を受賞されました。被爆者のみなさんが凄惨な体験を具体的な言葉で語ってこられたことが、「核のタブー」を確立させる大きな原動力となってきたことが評価されたものです。
しかし、被爆者の平均年齢は86歳を超え、残された時間は決して多くはありません。核兵器廃絶はまさに待ったなしの課題です。高校生や大学生をはじめ、核兵器や原発の存在に疑問を持ち、活動を主体的に担おうとする若者や、原水禁運動を支えてきた労働運動や市民運動がいっそう手を携え「核も戦争もない社会の実現」へと歩んでいかなければなりません。
世界では、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの「ジェノサイド」とも言われる攻撃により、多くの市民の命が奪われ続けています。核保有国の軍事行動は、核兵器使用の危機を高めています。
さらには、イスラエルやアメリカ・トランプ政権により、イラン核施設等への攻撃が行われたことは、核拡散防止条約違反であり、許すことができません。
こうした中で、2026年には、核拡散防止条約(NPT)と、核兵器禁止条約(TPNW)について、再検討会議が予定されており、具体的な前進が図られるのか、極めて重要な局面を迎えます。今年の3月に開催された核兵器禁止条約第3回締約国会議において、政府は今回もオブザーバー参加を見送りました。戦争被爆国である日本政府には、早期に核兵器禁止条約を批准し、核兵器廃絶をめざす国との連携を図ることを求めます。
東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から14年が経過しました。
政府は事故の教訓と被害の現状を全く顧みず、「脱炭素」を理由に第7次エネルギー基本計画において、「原発の最大限活用」へと重大な方針変更を行いました。
福島では、いまだに事故収束が見通せず「原子力緊急事態言」が出されたまま、2万4千人が福島県内外への避難生活を強いられています。「核のごみ」は、いまだ最終処分方法さえ決まっていません。政府はこうした現実を直視し、脱原発・脱再処理へと、エネルギー政策を抜本的に転換すべきです。
今年、ヒロシマは被爆80周年を迎えました。私たちはこの地に集い、原子爆弾がもたらした被害の実相を再度心に刻み、人類がはじめて受けた衝撃を決して忘れることなく語り継ぎ、行動する決意を新たにしました。
「核と人類は共存できない」の理念のもと、原水禁運動を大きく拡げていきましょう。
ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・フクシマ、ノーモア・ウォー、ノーモア・ヒバクシャ
2025年8月6日
被爆80周年原水爆禁止世界大会・広島大会
【被爆80周年原水爆禁止世界大会・広島大会】国際シンポジウム「被爆80年 核兵器廃絶に向けた歩み」
【被爆80周年原水爆禁止世界大会・広島大会】まとめ集会





