2024年、声明申し入れ、当面の活動
原水禁第100回全国委員会を開催しました
2024年04月30日
4月26日、東京・連合会館において、「原水爆禁止日本国民会議第100回全国委員会」を開催し、2024年度の運動方針を討論・決定しました。その際、以下の全国委員会アピールを採択しましたので、ここに掲載します。
原水爆禁止日本国民会議 第100回全国委員会アピール
ヒロシマ・ナガサキでの原爆投下の後、占領下の日本ではアメリカのプレス・コードによって、その被害の実相を語ることが禁じられました。その間に被爆者に対する厳しい差別が生じ、被爆者は口を閉ざさざるを得なかったという歴史的経過があります。このことと向き合い、原水禁は、ヒロシマ・ナガサキの被爆の実相継承を原点としながら、また1954年のビキニ環礁での被災を契機に高まった原水爆禁止を願う市民の思いとともに、今日までこの運動を継続してきました。
原水禁は今日、100回目の全国委員会を開催しました。決して、長く続けることを目的としてきたわけではありません。100回を迎えてもなお、私たちが望んでいる社会が実現しないという現実に、向き合う必要があります。核の脅威が存在することのない、平和で安全な生活を送ることができる社会が、一日も早く実現することを願い、原水禁運動をよりいっそう盛り上げていかなくてはなりません。
ロシア・ウクライナ戦争の長期化、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃激化など、国際情勢の混迷度は深まり続けています。伴って、核兵器使用のリスクもかつてみないほど増大した状態にあります。ロシアはベラルーシに戦術核を配備し、「核威嚇」を行っています。アメリカでは、ガザ地区において「ヒロシマ・ナガサキのような」爆弾を投下すべきと発言する議員も出てきました。核のボタンを握る時の権力者が、核兵器使用という誤った判断で、核のボタンを押すことを、決して許してはなりません。
その一方で、核兵器を所持することや製造することはもちろんのこと、核兵器使用を威嚇の材料とすること等を禁止する核兵器禁止条約(TPNW)が発効して3年目を迎えました。核不拡散条約(NPT)によって、核兵器保有国として認められた5か国や、実質的に核兵器を保有しているとされている国が存在しています。「核抑止論」という幻想のもと、その国々が真摯に核軍縮に応じようとしない現状をこのまま許し続けるわけにはいかないとする他の多くの国が、その決意を具体化したのがTPNWだと言えます。TPNWは会議における成果文書において、現行のNPT体制を批判するのではなく、補完する役割を担うことを明確に打ち出しています。核兵器保有国を巻き込んだ核軍縮の実現には、対立を繰り返すばかりでは困難であると考えているからです。TPNWも今後、核被害者への救済について等、課題の残る部分について、さらに実効性を高めていく必要があります。
そういった国際状況において、日本が果たすべき役割は、核兵器廃絶を願う国々の先頭に立って、その実現に向け奔走することです。積極的にアメリカの核の傘に依存し、また維持しようとする日本政府の姿勢に、他国からの信頼が得られるとは思えません。核兵器保有や核の傘に守られる安全保障に依拠することなく、平和外交と対話を一歩ずつ積み重ねていくほかありません。
「核の平和利用」である原子力発電について、日本は3・11の福島第一原発事故を経験してもなお、再び原発推進政策に舵を切ってしまいました。一度事故を起こせば、住民の生活が奪われ、目に見えない放射線の恐怖にさらされ続けます。生活を再建することが困難であるにも関わらず、なぜ原発に依存し続けなければならないのでしょうか。原発依存からの脱却を実現させなければなりません。
原水禁は、これまで積み重ねられてきた運動の成果をもとに、今後も「核と人類は共存できない」とする原水禁運動の理念の実現に向け、着実に歩みを進めていきます。反核、非核で一致するすべてのみなさんと連帯を深め、何より命の尊厳を重んじる社会を創り上げていきましょう。
2024年4月26日
原水爆禁止日本国民会議
第100回全国委員会