2010年、分科会報告、原水禁大会、原水禁大会 2010年
【報告】長崎第5分科会/ヒバクシャ3-交流・討論編-被爆二世・三世問題の現状と課題
2010年08月08日
会場:長崎県勤労福祉会館
第5分科会は3人のパネリストから報告をいただき、それを受けて会場からの質疑・討論を行った。全体では46人が参加し、うち被爆者が6人、被爆2世が12人参加した。
長崎県被爆者手帳友の会・副会長の中村キクヨさんは、ご自身の息子さんが白血病という病で他界された際、「この病気はお母さんからもらったものだ」と言われたことがいつまでも心に残っているということをお話されていた。また、以来、自身の被爆者としての経験だけでなく、2世の問題についてもご発言をされているとのこと。同じように白血病で子どもを亡くした被爆者から莫大な医療費の問題について聞いて、これは個人の問題ではない、国に援護を求めることが重要だと訴えた。
長崎県被爆2世の会・会長の丸尾育朗さんは、「2世は大半の人は元気だが、病気で苦しんでいる人たちや、なくなった人もいる。それを私たちが訴えていく。影響が全員に出るわけではないが、出た場合は国に補償してほしい。また、2世の健康診断にがん健診を加えるべき」と政府の被爆2世問題への対応の不備を訴えた。
全国被爆2世団体連絡協議会・会長の山崎幸治さんは、「被爆2世の健診は1978年から国が予算をつけて行われているが、何の法的根拠もない。国は、2世、3世の問題を正式に認めているわけではない。このため、被爆2世の正確な数も分からない。平均年齢も50歳代ということで、がん世代になってくる。がん健診を加えることが必要」と現状を説明するとともに、今後の運動の方向性としては、「今までは2世の活動は労組の活動を通してやってきた。地域の2世団体との連絡・連携が課題になっている」と、2世がこれからの運動の先頭に立つことと、親の被爆体験の継承を挙げた。
お3方とも、親の被爆と2世の健康問題への影響が科学的に明らかになっていないため、2世が病気になったときに「親の被爆のせいではないのか」という気持ちを持ってしまうという点を指摘していた。今後の取り組みの方向性として、放影研の今後の継続調査で真に科学的結果が出されるために働きかけを進めることも挙げられていた。
会場からは、被爆2世の教員から、「2世健診があることを知らない2世の教員が多い。また、職場の健診があるから良い、と受けない人もいる。2世が健診を受けることで問題を継承していく必要があるのでは」という指摘があり、山崎幸治さんからは「2世健診でピーク時は19万人が受けていたが、微減が続き17万人台になっている。内容があまりに貧弱で、もう一度受けよう、と思える内容でないからではないか。私自身も、職場の健診があるなかで、2世健診には行かない年もある」と、健診内容の充実が課題であることが再度強調されていた。
このように、分科会では2世に関連する国の施策の充実を求めていくことが重要課題として出されていた。そのなかでも、親からの体験の継承や、3世、4世への継承の問題も出されていた。この部分は、来年以降の原水禁大会に向けた重要な課題となると思われる。