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3月16日 原発のない福島を!県民集会報告
2019年03月16日
3月16日に「原発のない福島を!県民集会」が行われ、1700人が参加しました。
主催者あいさつに立った角田政志実行委員長から「これまで福島第二原発の廃炉を県民の総意として取り組み、東電は廃炉を表明したが、いまだ具体的な行動が示されていない」ことなどが訴えられました。また、これまで2千人を越える原発事故関連死の実態が報告され、帰還事業が進められる中、インフラの整備が遅れ、高い放射線が残る中で、子供たちが戻ってこない教育現場の現実が報告されました。事故から8年が経ったいまでも被災地は厳しい現実の中に置かれていることが報告されました。
主催者あいさつに立った角田政志実行委員長から「これまで福島第二原発の廃炉を県民の総意として取り組み、東電は廃炉を表明したが、いまだ具体的な行動が示されていない」ことなどが訴えられました。また、これまで2千人を越える原発事故関連死の実態が報告され、帰還事業が進められる中、インフラの整備が遅れ、高い放射線が残る中で、子供たちが戻ってこない教育現場の現実が報告されました。事故から8年が経ったいまでも被災地は厳しい現実の中に置かれていることが報告されました。
2019原発のない福島を!県民大集会 実行委員長挨拶
2019.3.16 福島県教育会館
実行委員長 角田政志
2019.3.16 福島県教育会館
実行委員長 角田政志
「2019原発のない福島を!県民大集会」に、県内各地からお集まりの皆さん、全国各地からご参加いただいた皆さん、こんにちは! 実行委員長の角田です。
福島は、原発事故から9度目の春を迎えています。
この集会も、8回目を迎えました。本日の要項にも記載していますように、この集会は3つの指標を掲げ、とりわけ、「東京電力福島第二原子力発電所の全基即時廃炉」を県民の総意として行ってきました。
昨年は、第二原発がある被災地楢葉町で行い、「東電福島第二原発の廃炉を実現しよう」とアピールしました。皆さんから多くの賛同をいただいた、「福島第二原発の廃炉を求める署名」は、2年間で44万筆を超え、東京電力及び経済産業省に提出し、即時全基廃炉を求めてきました。
そして、昨年6月、東電はやっと「第二原発を廃炉の方向で検討する」ことを明らかにしました。これは、私たちが8年間、この集会を継続し、訴えて続けてきた大きな成果です。さらに、この県民運動に賛同し結集していただいた多くの皆さんの総意の結実です。ここに、御礼を申し上げるとともに、運動の成果を皆さん共に共有したいと思います。
しかし、東京電力は、肝心の廃炉の時期も工程も示していません。改めて、この集会で、東京電力に「福島第二原発の廃炉」を早急に決定することを強く求めます。
被災地の復興は進んでいるとはいえ、まだまだ住民の帰還には多くの課題があります。故郷への帰還を待ち続けながらも、その思いが叶わず亡くなられた方も多くいます。原発事故関連死は増え続けています。ここにお集まりの皆さんとともに、冥福をお祈り申し上げたいと思います。
あの原発事故から8年という時間が経過しました。原発事故後の過酷な状況の記憶と意識の風化は徐々に進んでいます。さらに言えば、国の原子力政策の推進によって、意図的に人々の記憶と意識の風化が進められていることも事実です。
国の復興支援の打ち切り時期も迫っています。しかし、原発事故の被災者の生活再建の支援は、極めて不十分です。高齢者の要介護認定率も急増しています。原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)の和解案についても、東電側の拒否による打ち切りも増えています。県民運動として、多くの人に知っていただきたい現実と課題がたくさんあります。福島からの発信を続けていかなければならないことがたくさんあります。
私たちは、今年の県民大集会をどのような集会にするか。そして、今後の県民運動をどう進めていくのかを議論してきました。福島では、原発事故で失われた人々の生活も生業も信頼も回復していません。
農林水産業にかかわる団体や消費者団体との意見交換を行う中で、今も根強い風評被害に苦しめられている現状と、失われた生業、そして失われた信頼を回復しようと努力する人たちの現状を知りました。
少し紹介したいと思います。
県農業協同組合から、米の全袋検査の見直しについて話を聞きました。
福島産米は、水田の除染など関係者の努力で生産量が徐々に回復しています。しかし、今もなお、福島産米は、弁当やおにぎりなどの業務用米に多く使われる一方で、店頭から一般消費者に行き渡っていない現状にあります。JAからは、「消費者に安心してもらうためには、全袋検査を行い、放射線が検出されないことを明確にすることで、理解してもらうしかない」と言われています。
このことは、現在各自治体に提起されているモニタリングポストの撤去についても同様で、「数値が見えるから、安心が得られる」という住民の意見と重なります。
県漁業協同組合からは、トリチウム汚染水の海洋放出について話を聞きました。「トリチウム水の海洋放出は、絶対反対。福島県だけの問題ではなく、全国の問題だ。全漁業者が大変になる。譲れない。」と、強く話されました。また、「沖合、遠洋漁業の水揚げが福島の港だと『福島県産』となり、流通価格が下がりコストがかさむ。従って、積極的に寄港を進められないなどの問題も残っている。今は、試験操業を続けるしかない」と、大変厳しい現状もお聞きしました。
県旅館ホテル生活衛生同業組合からは、「観光客・旅行客の誘致をずっと行っているが、教育旅行も戻っていない。外国人顧客の誘致も厳しい現状にある。利用客が回復しているのは、資金力のある大型施設のみ。原発事故以降、廃業するところもたくさん出た。風評被害も収まっていないし、風評被害としての損害賠償も認めてもらえない。解決しなければならない課題がたくさん残っている。」と話されました。
県森林組合からは、「『森林の除染は行わない。』この方針は現在も変わっていない。原発事故で影響があった森林は、およそ18万?。森林除染が行われない中では、作業員の不安は大きい。山がどうなっていくのか、その不安を取り除くことができない。山菜やキノコの生産・販売もできない。椎茸の原木の出荷もできない。山は整備し、管理を続けて行かないと大変なことになる。個人でやろうとしても、広大な森林を整備し管理することはできない。もっと国の補助が必要だ。」と大きな不安と課題をお聞きしました。
私たちは、原発事故によって引き起こされたこのような現状・現実を受け止め、県民運動として向き合わなければならないと話をしてきました。こういった現状と課題を多くの人と共有することで訴える力は大きくなると考えています。
今年行うこの県民大集会は、福島で行う集会だからこそ取り上げられる「福島の現実と課題」を発信し、「原発のない福島」を目指していくことを共有する集会にしようと確認してきました。
そして、これからも、「福島の現状を知ってもらうことに重点を置いて集会を続けたい。」いうことを、呼びかけ人会そして実行委員会で共有しています。
本日の集会では、県民の訴えとして、「被災地の教育現場」からの訴え、「避難を強いられた被災者」からの訴え、「若者」からの訴え、「消費者団体」の取り組みについて話をしていただきます。
参加者の皆さん、ぜひ「福島の現状」「福島の思い」「福島の努力」を受け止めていただき、広めていただきたいと思います。
再びこのような原発事故・過酷災害を起こさせないために、力を合わせて「原発のない福島」「原発のない社会」をつくっていきましょう。
よろしくお願いします。
福島は、原発事故から9度目の春を迎えています。
この集会も、8回目を迎えました。本日の要項にも記載していますように、この集会は3つの指標を掲げ、とりわけ、「東京電力福島第二原子力発電所の全基即時廃炉」を県民の総意として行ってきました。
昨年は、第二原発がある被災地楢葉町で行い、「東電福島第二原発の廃炉を実現しよう」とアピールしました。皆さんから多くの賛同をいただいた、「福島第二原発の廃炉を求める署名」は、2年間で44万筆を超え、東京電力及び経済産業省に提出し、即時全基廃炉を求めてきました。
そして、昨年6月、東電はやっと「第二原発を廃炉の方向で検討する」ことを明らかにしました。これは、私たちが8年間、この集会を継続し、訴えて続けてきた大きな成果です。さらに、この県民運動に賛同し結集していただいた多くの皆さんの総意の結実です。ここに、御礼を申し上げるとともに、運動の成果を皆さん共に共有したいと思います。
しかし、東京電力は、肝心の廃炉の時期も工程も示していません。改めて、この集会で、東京電力に「福島第二原発の廃炉」を早急に決定することを強く求めます。
被災地の復興は進んでいるとはいえ、まだまだ住民の帰還には多くの課題があります。故郷への帰還を待ち続けながらも、その思いが叶わず亡くなられた方も多くいます。原発事故関連死は増え続けています。ここにお集まりの皆さんとともに、冥福をお祈り申し上げたいと思います。
あの原発事故から8年という時間が経過しました。原発事故後の過酷な状況の記憶と意識の風化は徐々に進んでいます。さらに言えば、国の原子力政策の推進によって、意図的に人々の記憶と意識の風化が進められていることも事実です。
国の復興支援の打ち切り時期も迫っています。しかし、原発事故の被災者の生活再建の支援は、極めて不十分です。高齢者の要介護認定率も急増しています。原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)の和解案についても、東電側の拒否による打ち切りも増えています。県民運動として、多くの人に知っていただきたい現実と課題がたくさんあります。福島からの発信を続けていかなければならないことがたくさんあります。
私たちは、今年の県民大集会をどのような集会にするか。そして、今後の県民運動をどう進めていくのかを議論してきました。福島では、原発事故で失われた人々の生活も生業も信頼も回復していません。
農林水産業にかかわる団体や消費者団体との意見交換を行う中で、今も根強い風評被害に苦しめられている現状と、失われた生業、そして失われた信頼を回復しようと努力する人たちの現状を知りました。
少し紹介したいと思います。
県農業協同組合から、米の全袋検査の見直しについて話を聞きました。
福島産米は、水田の除染など関係者の努力で生産量が徐々に回復しています。しかし、今もなお、福島産米は、弁当やおにぎりなどの業務用米に多く使われる一方で、店頭から一般消費者に行き渡っていない現状にあります。JAからは、「消費者に安心してもらうためには、全袋検査を行い、放射線が検出されないことを明確にすることで、理解してもらうしかない」と言われています。
このことは、現在各自治体に提起されているモニタリングポストの撤去についても同様で、「数値が見えるから、安心が得られる」という住民の意見と重なります。
県漁業協同組合からは、トリチウム汚染水の海洋放出について話を聞きました。「トリチウム水の海洋放出は、絶対反対。福島県だけの問題ではなく、全国の問題だ。全漁業者が大変になる。譲れない。」と、強く話されました。また、「沖合、遠洋漁業の水揚げが福島の港だと『福島県産』となり、流通価格が下がりコストがかさむ。従って、積極的に寄港を進められないなどの問題も残っている。今は、試験操業を続けるしかない」と、大変厳しい現状もお聞きしました。
県旅館ホテル生活衛生同業組合からは、「観光客・旅行客の誘致をずっと行っているが、教育旅行も戻っていない。外国人顧客の誘致も厳しい現状にある。利用客が回復しているのは、資金力のある大型施設のみ。原発事故以降、廃業するところもたくさん出た。風評被害も収まっていないし、風評被害としての損害賠償も認めてもらえない。解決しなければならない課題がたくさん残っている。」と話されました。
県森林組合からは、「『森林の除染は行わない。』この方針は現在も変わっていない。原発事故で影響があった森林は、およそ18万?。森林除染が行われない中では、作業員の不安は大きい。山がどうなっていくのか、その不安を取り除くことができない。山菜やキノコの生産・販売もできない。椎茸の原木の出荷もできない。山は整備し、管理を続けて行かないと大変なことになる。個人でやろうとしても、広大な森林を整備し管理することはできない。もっと国の補助が必要だ。」と大きな不安と課題をお聞きしました。
私たちは、原発事故によって引き起こされたこのような現状・現実を受け止め、県民運動として向き合わなければならないと話をしてきました。こういった現状と課題を多くの人と共有することで訴える力は大きくなると考えています。
今年行うこの県民大集会は、福島で行う集会だからこそ取り上げられる「福島の現実と課題」を発信し、「原発のない福島」を目指していくことを共有する集会にしようと確認してきました。
そして、これからも、「福島の現状を知ってもらうことに重点を置いて集会を続けたい。」いうことを、呼びかけ人会そして実行委員会で共有しています。
本日の集会では、県民の訴えとして、「被災地の教育現場」からの訴え、「避難を強いられた被災者」からの訴え、「若者」からの訴え、「消費者団体」の取り組みについて話をしていただきます。
参加者の皆さん、ぜひ「福島の現状」「福島の思い」「福島の努力」を受け止めていただき、広めていただきたいと思います。
再びこのような原発事故・過酷災害を起こさせないために、力を合わせて「原発のない福島」「原発のない社会」をつくっていきましょう。
よろしくお願いします。