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広島大会第1分科会 福島原発事故と脱原発社会の選択

2014年08月12日

広島大会第1分科会
脱原子力1─福島原発事故と脱原発社会の選択

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報告①~「原発事故と避難自治体について」斎藤英毅(いわき地方平和フォーラム議長)
沿岸部13自治体の現状と課題について報告。
① 地震発生後、津波対策も含めて災害対策本部が設置された。福島第1原発事故水素爆発という原子力災害が発生。双葉郡で14万人の避難者が生じ、避難所の設置・収容がされたが、情報共有の集団が個人の携帯のみになるなどの脆弱さを露呈した。各自治体では、役場機能として、名簿作成・救援物資・町外避難者からの苦情・病院施設入院患者の移送を対応した。防災計画は、これまでの有名無実の訓練により機能せず、オフサイトセンターも機能停止した。仮設住宅では、公営住宅と仮設のコミュニティーの分断も発生。避難者でもある自治体職員の状況は、メンタル面の問題が発生し、早期退職もある。
② 避難解除と住民の帰還
計画避難区域が基準ミリシーベルトにより困難区域と準備区域に線引きされた。住民意思の反映が把握できず、机上の避難計画策定を国より求められる。現在でも、帰宅について、分らない、戻らないが半数以上を占める。大熊・双葉地区の中間貯蔵施設の受入協議について、国は責任を放棄し、県と自治体に委ねることになった。
③ 自治体職員の課題
避難する家族ともども退職を選択する職員が多い。50代のベテラン職員不在の中での自治体業務をしている。全国からの行政支援も、必要な業務とのミスマッチも生じている。ある自治体では、臨時職員が正規の2倍に達する状況と時給の高騰がある。今後の課題として今も発生するメンタルヘルス対策も求められる。原発は、一度事故が発生すれば取り返しがつかず、福島原発事故は収束などしていない。

報告②「宮城からの報告」菅原晃悦(宮城平和運動推進会議事務局)
福島から隣接する宮城の地からも、現在の事態は「核と人類は共存できない」ということにつきる。県内で8000ベクレルを超える指定廃棄物は、3300tを超える。高濃度の稲わら、牧草、しいたけ原木等について、生産者の状態は2年期限での仮置き場を度重なる延長が繰り返されている。廃棄物を再燃処理する案も全ての自治体において未合意となる。中間貯蔵施設指定の候補地選定も、県と自治体協議に委ね国の責任を放置している。

報告③鹿児島より「川内原発の再稼働を許さない闘い」
川内原発は、5つ以上のカルデラが存在する危険を抱える原発だ。県の判断は、9月県議会で見送り、10月臨時議会での協議の見込みだ。県民の不安は増大する一方で、新たに定められた要援護者や福祉避難所の確保など策定が困難な避難計画となっている。避難計画について、自治体への公開質問状などを通して、スクリーング・移動計画などが有名無実となっていることがわかった。知事自らが30km圏内の避難計画の非現実性を言及し、撤回する事態にも至っている。薩摩川内市に対して、緊急要請署名1万5千筆を提出した。

講演「福島原発事故と脱原発社会の選択」伴英幸・原子力資料情報室共同代表
② 除染関連予算は、1兆7千億円を超える。
②福島事故の前後により、被曝基準を法的に変更した。事故前は年間1ミリシーベルト、事故後は100ミリシーベルト、現在は20ミリシーベルト。
④ ヨウ素被曝は、健康調査により、甲状腺ガンが23人、疑いが41人。
⑤ 規制委員会の変質、田中知氏(推進派)への交替。
⑥ 事故の根源的原因の1つとして透明性を高める文化が必要。
⑥新規制基準~未導入を導入・強化した以外は大部分は変更なし。問題として、立地指針が削除されたこと。新知見は新たに10年を要することから間に合わない。

海外ゲスト~ステフィ・レムケさんの講演
ドイツの脱原発の闘いと福島事故について報告。原発と核兵器を同一のレベルに論じることはできない。電力は、代替エネルギーが可能であること。核兵器は、大量殺戮兵器の使用という選択は、比較にならないほど質的に差がある。
福島事故は、ドイツをはじめ欧州各国の原発政策に大きな影響を与えた。先進経済大国の日本において、1号~3号機のメルトダウンの危機は、なすすべもなく経過し、汚染が拡大している。
欧州全体でも原発に対する転換となり、スイスをはじめ、日本でも国民の60%が反対しているにも関わらず、再稼働へ動き始めている。
原発・火力発電がなくても、エネルギー確保(シフト)が可能であることを証明することをドイツの地で求められている。
原発事故の深刻な事態を忘れさせようとしており、原子力産業からの抵抗がくり返している。

参加者からは次の様な質問・意見が出されました。
①推進派の論点として、ドイツはフランスからのエネルギー輸入国であり、自国のみの脱原発は空論ではないかとの声があるがどうか
(ステフィ・レムケさん)輸入は事実であるが、いずれにしても推進勢力との権力・資金の闘争である。
②政治・企業との闘いとの話があったが、切り崩すための具体的な策があれば教えていただきたい。
(ステフィ・レムケさん)再生エネルギーの拡大に目を開かせていくことが大切だ。再生エネルギーでも利益が生じる。再稼働を前提とする「ヨウ素剤の配布」の日本のニュースを聞いたが、ドイツでは考えられない。住民の抗議活動が展開されると思う。市民一人一人が自発的なとりくみをすることが大切だ。
③規制委員の変質がふれられたが、アメリカでも同様とあったが、どのように変質させられてきたのか。
(伴英幸さん)アメリカのスリーマイル事故後、規制委員会の変質が進み、議会からの介入などを通して進められた。しかし、解任署名運動による罷免要求から辞任となった。
④福島事故の東電・国の責任を果させることが追及課題だ。福島からの訴えとして、「収束もままならない」事態の中で、「人間らしく扱え」「元の生活に戻せ」3年間の苦悩や悔しさを共有化することを訴えたい。
⑤教育の現場でも、原発の再稼働を想定した「放射性副読本」が出されている。
⑦ 再生エネルギーでも電力料金への影響を宣伝している。これは問題だと思う。
(ステフィ・レムケさん)ドイツでは、消費者の電力料金は上がっており、企業は下がっている。「固定価格買取制度」があり、供給エネルギーの価格差を料金として賦課することになるが、大企業がロビー活動で反対の声を上げようとしていることは同じだ。

<分科会まとめ>
知らされないままにすまされようとしている。福島の収束はまだであることは明らかだ。 風化を許さず、再稼働を許さない闘いをさらに強めていこう。

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