原水禁大会、原水禁大会 2010年、被爆65周年原水禁世界大会
メッセージfromヒロシマ2010報告
2010年08月05日
~プログラム~
12:50 オープニング
広島初中高級学校の皆さんの朝鮮舞踊
13:02 第1セクション 全国のお友だちと仲良くなろう
実行委員の紹介
被爆地から-平和のメッセージを届けよう
踊りと歌を覚えよう!「LET’S GO! いいことあるさ」レッスン
13:06 第2セクション 考えよう、表現しよう、平和の思い
平和のメッセージを書こう! 表現しよう!
13:49 第3セクション 世界のお友だちと平和を語ろう
全国のお友だちからの一言メッセージ
海外のお友だちより(フィリピン、韓国のお友だちからのメッセージ)
14:12 第4セクション 広島を学んで、そしてお友だちをつくろう
広島のお友だちの平和への取り組みを紹介
全国のお友だちと「LET’S GO! いいことあるさ」を歌って踊ろう!
14:38 エンディング 平和はみんなの心から ―2010夏休み―
世界への平和メッセージを発信!
みんなで書いた平和のメッセージが???になって登場!
「メッセージfromヒロシマ2010」報告
メッセージ from ヒロシマ 2010核も戦争もない平和な21世紀へ !
もう10年目になりました。
原爆投下から65年目を迎えた広島。特に、今年は、平和祈念式典に参加した海外ゲストに注目が集まりましたが、「メッセージfromヒロシマ」にとっても特別な年だったといえます。「メッセージfromヒロシマ」は2001年に開催されてから、今年で記念すべき10回目となりました。10周年を迎え、更にパワーアップした「メッセージfromヒロシマ2010」、真夏の暑さにも負けないほどの熱気がありました。
リハーサルから真剣勝負です。
今年は、実行委員としての参加者も大幅に増え、前日のリハーサルからやる気あふれる姿が見られました。また、本番中に実行委員の目印として使っている紙の花飾りも、リハーサル終了後、工作の苦手な子、得意な子、それぞれが協力して作りました。これで、本番への準備もばっちりです。
そして、本番当日も朝早くから集合し、通しのリハーサルです。前日は、別の会場で練習を行っていたいため、会場となる武道場の広さに圧倒されている実行委員の姿もありました。昨年に続き、今年は15人という大人数で参加してくれた、三重県実行委員会も当初の予定より早い時間に、リハーサルに駆けつけてくれました。無事にリハーサルも終わり、お昼休憩をはさんで、もうすぐ本番というところ、実行委員用のTシャツに着替えると、ドキドキという期待感から、気持ちも引き締まります。
メッセージfromヒロシマ2010開幕
オープニングは、朝鮮初中高級学校、高級部舞踊部の華麗なダンスで開幕です。『喜び』という曲に合わせてのダンスは、普段なかなか目にすることの出来ない、鮮やかな魅力を持ち合わせたものでした。所定の場所に座ったものの、まだ少し落ち着きのなかった子も、引率として参加している大人も、会場全体が引き込まれてしまうダンスです。
第1セクション
総合司会、司会者が登場した後は、実行委員の紹介です。実行委員全体を代表して、広島県の高校三年生、佐々木綾さん、三重県の高校二年生、向井南穂さんが一言ずつやる気あふれるメッセージを発表してくれました。
踊りのレッスン
参加者全員で、ダンスの練習です。曲はポンキッキーズで使われていた「LET’S GO! いいことあるさ」で、馴染みのあるものだったのではないでしょうか。周りの子とハイタッチをする振り付けに対し、最初は恥ずかしさや戸惑いもあったようです。しかし、頭の柔らかさはさすがと言うべきか、すぐに振り付けを覚えて、踊ることが出来ました。
第2セクション
「考えよう、表現しよう、平和の思い」と題したこのセクションでは、新しいプログラムも加わり、更にパワーアップして、30分強の時間もあっという間に過ぎていきました。
被爆地から-平和のメッセージを届けよう
平和学習としても、参加価値のあるイベント「メッセージfromヒロシマ」ですが、10周年を迎える今年、更に一歩進んだプログラムとして、新コーナーが登場しました。広島の高校生の平和に対する生の声を聞く、貴重な時間です。広島在住の高校生が意見を出し合い、身近にいる被爆者のことや伝えたいことをまとめ、それを会場全体に話しかけるように発表してくれました。
みんなで考えよう―表現しよう平和の思い
高校生のメッセージを聞いて、思い浮かんだことや、自分の中にある思いを、キラキラした花型のシートに書きこむ時間です。この時間は、イベントの中でも中核となるプログラムです。イラストで表す子や、漢字で書こうとする姿など、真摯な姿勢が会場中で見られました。まだこの時点では、何故花形シートがきらきらしているのか、また、完成したものを貼り付ける場所が決まっているのかなど、子どもたちは気にしていないようでしたが、それこそが「後のお楽しみ」なのでした。
第3セクション
日本全国から参加している県の代表者から、平和をテーマにメッセージが発表されました。
また、韓国、フィリピンから参加してくれたゲストによるメッセージ発表もありました。
北海道代表 Y.Tさん
昔広島でどのようなことが起きたか、どうして戦争をしたのか、原爆を受けてどのような苦しみをしているのか、どうしたら戦争がなくなるのか、私たちはどのような行動をしたらいいのかを学びに来ました。広島で学んだことを北海道に帰って友人に伝えていきたいと思います。
山形県代表 M.Oさん M.Iさん
広島に来て原爆ドームや原爆資料館などを見学して、原爆の悲惨さなどを目や耳でしっかりと感じることができました。また、被害者の方の話を聞いて、二度と戦争を繰り返してはいけないと強く感じました。このことを家族や友人に伝えたいと思います。
生活クラブ生協神奈川代表 K.Yさん
私たちの住む神奈川県はアメリカ軍の基地がたくさんあります。そして横須賀や厚木の基地から戦闘機や空母が出ていって、外国の人々に爆弾やミサイルを撃っています。難しいことは分かりませんが、人を殺しても問題が解決するとは思えません。家に帰っても平和が大切であることを同級生や友だちに伝えたいと思います。
神奈川代表 K.Yさん
戦後生まれ、戦争をまったく知らない僕たちにとって、65年前のあの日はすでに終わった過去の1日です。それでも、被爆者の方たちにとっては、あの日は65年間終わることなくずっと続いているのだと思います。65年前の8月6日は二度と繰り返してはいけない日ですが、あの日を繰り返し繰り返し思い出すことは必要なことだと思います。
東京三多摩代表 S.Oさん
今でも戦争で苦しんでいる人たちがいます。では、平和とは一体なんでしょうか。私は、平和を作るためには戦争を無くせばいいわけではなく、人間一人一人が大切にされている社会が必要だと思います。
埼玉県代表 S.Tさん
今日は僕の15歳の誕生日です。広島市長は、10年後の2020年に核兵器のない世界を作ろうと頑張っています。10年後、25歳になった僕は広島に立ち、核がなくなった世界の実現を、原爆で亡くなられた人に伝えていきたいと思います。
群馬県代表 H.Yさん
僕は、広島に来る際に千羽鶴を折ってきました。すると、何も言わずにおばあちゃんが千羽鶴を折ってくれました。おばあちゃんは、平和になってほしいという思いで作ったと言っていました。僕は、正直平和については何も出来ません。けれど、おばあちゃんの思いを千羽鶴とともに持ってくることができてよかったです。
長野県代表 Y.Nさん
広島に来て、戦争や原爆について見たり聞いたりしたら、ものすごく心が痛くなり、悲しい気持ちになりました。今の私の気持ちは、広島の皆さんと同じだと思います。だからもう、二度と同じ思いをしないように、私たち子どもが平和について一緒に考え、広島で起きたその悲劇を忘れないようにしましょう。
三重県代表 T.Mさん
私たちは今被爆者やそのことを詳しく知っている人から話を聞き、次の世代へちゃんとつなげていきたいと思いました。そのことをこれからも心がけて、友だち、家族、身近な人たちにちゃんと喋っていきたいと思います。
長崎県代表 N.Nさん
核兵器廃絶のために長崎で署名活動をしている、高校生1万人署名活動のメンバーです。私たちのスローガンに「微力であるが無力でない」という言葉があります。一人の力はとても小さいものですが、それは決して無力ではありません。私たちの力は、長崎から少ししかありませんが、でも、みんなで協力すれば絶対に核兵器廃絶という目標は達成できると思うので、これからもみんなで手を取り合って、平和の輪を広げていきましょう。
広島県代表 A.Aさん
僕は平和行進に参加しています。平和行進のときはいつも暑くてしんどいです。でも戦争で焼け死んだ人は、熱すぎて汗もかけない中で苦しんで死んでいったと思います。初めはこんなしんどい思いをして歩くことが本当に平和を訴えることになるのだろうかと思っていました。でも、今は、自分が戦争を忘れないために平和行進や集会に参加しています。
J.Aさん
僕は人を殺したり、多くの人が悲しむ基地より、世界中のみんなが来て楽しくなるものを作ったほうがいいと思います。
各県の参加者代表からメッセージをもらった後は、海外ゲストからのメッセージ発表です。韓国から来たジョ・ケンヒョンさんは、「正しい歴史の認識をもって、韓国と日本がお互いを理解し、世界の平和運動の先頭に立つべきだと思います」とし、続くパク・ミンヒョクさんは、「これから医学部に進学して、原爆被害者たちのために働きたいと思います」と、自身平和交流活動の具体的目標を挙げてくれました。また、ナム・ハンナさんは、「普段から日本文化と交流活動に対して関心が高く、今回の機会を通じて、核のない平和な世の中で生きることができるように、世界の多くの友だちと付き合って、一緒に頑張りたいと思います」と、日本語での自己紹介を交えて、メッセージを発表してくれました。第3セクション、最後の発表は、ジャミー・ニコル・アーティータさんです。「一生懸命勉強して大学へ行くという私の夢をかなえたいです。これは私から家族への贈り物です。特に父、それから私が学校へ行くための支援をしてくれる人たちへの贈り物でもあります」と、支援者への感謝を伝えてくれました。
表現の仕方は違えど、それぞれが広島に来て感じたこと、その上で何が出来るかを考えてくれたということが、鮮明に伝わるメッセージばかりでした。
第4セクション
広島からの活動紹介では、地元広島にいるからこそ気づくこと、思うことをDVDや写真で紹介してくれました。発表内容は、「原爆や戦争の傷跡を訪ねて」と題し、被爆樹木について、高校生が普段から取り組んでいることをまとめたものでした。この取り組みは、新聞にも取り上げられたことがあるそうです。平和祈念公園内の被爆樹木はメジャーになっていますが、広島市内の別の場所にある被爆樹木についても取り上げるなど、深みのある内容となっていました。
エンディング
全体で2時間という長い時間のイベントも、あっという間に、エンディングの時間です。参加者を代表して、実行委員によって読み上げられたメッセージは、会場全体の気持ちをまとめたもので、「反核」、「平和の大切さ」をしっかりと伝える内容となっています。そして、熱気にあふれた会場全体でカウントダウンを行い、参加者の気持ちを載せた「平和のメッセージ」は、全世界の核保有国にメールで送信されました。
イベントの締めは、インパクトのあるものとなりました。第2セクションで花形シートに書いたメッセージがつなぎ合わされて、完成した形での登場です。なんと!きらきら光る色がとてもきれいな「大きな鳩」へと形を変えました。毎年、何かしらの形にするのですが、「気持ちをアピールできる様な形」として検討していくと、新しいアイデアを探していくのは大変です。「鳩の形」というのは、今回で3回目となりました。しかし、「わぁ、きれいだった」と、ご覧になった方々からの評判も上々でした。勿論、会場の子どもたち、実行委員も目を見張るものであったのは、言うまでもありません。
メッセージfromヒロシマの存在
今年で10回目を迎える「メッセージfromヒロシマ」ですが、何よりも、進行のお手伝いをしている者として感じることは、「子ども達というのは正直だ」ということです。「戦争は怖いものだ」、「人殺しなんて良くない」、「核兵器は危険なもの」ということを、きちんと理解しています。戦争を体験していなくても、実際にその目で見ていなくても、子どもならではの感覚で理解することが出来ます。また、今も戦争で苦しんでいる人、原爆被害で苦しい思いをしている人のことを、心から心配し、思いやることが出来ます。世の中では、いじめや少年犯罪など、恐ろしい出来事が数多く起こっています。しかし、本来子どもとは、素直な存在です。子ども達の素直さを活かして、「平和の大切さ」を感じてもらうことが重要なのではないでしょうか。
「メッセージfromヒロシマ」は、核も戦争もない平和な世界の実現をめざして開催される子どもによる、子どものためのイベントです。このイベントの主催や参加を通して、平和を願う全国の若者たち、子どもたちが、出会い、同じ想いを感じ、分かち合い、その関係や動きを継続的に発展していくことは、イベントの大切な目的のひとつです。だからこそ、参加してくれた子どもたちが「平和の大切さ」について感じ、協力してくれた実行委員にとっては「平和の大切さ」の再認識してもらう機会となることを願っています。「楽しみ」ながら、「平和を考える」、そんな素敵なイベントへの皆様の参加をお待ちするとともに、来年のイベントは更なる充実を図っていきたいと思います。
~海外のお友だち紹介~
≪韓国からのお友だち≫
ジョ・ケンヒョンさん(趙勤衡)(16歳)
パク・ミンヒョクさん(朴旻赫)(16歳)
ナム・ハンナさん(南翰娜)(16歳)
《フィリピンからのお友だち》
ジャミー・ニコル・アーティータさん(15歳)
平和アピール メッセージ from ヒロシマ 2010
真っ黒にこげた弁当箱、ボロボロになった服、洋服の模様が背中に焼きついている人、死んだりケガをしたたくさんの人の写真や絵。原爆資料館を訪れるたびに、一瞬にして何もかも奪ってしまう核兵器の恐ろしさ、戦争の悲惨さを思い知らされます。そして、二度と戦争を起こしてはいけない、平和を大切にしなければいけないという思いを強くします。
戦争で一番の犠牲となるのは、一般市民であり子どもたちです。家を失い、家族を失い、生きる気力を失った人たち。友だちを失った悲しみ、食べる物も着る物もない生活、子どもたちにはじっと耐えることしかできません。そのようにすべてが破壊された広島の街ですが、生き残った人々は生きるために力を合わせ、子どもたちにも笑顔が戻ってきました。各地で、校庭の木陰にゴザを敷いた「青空教室」ができ、授業が再開されたからです。
原子爆弾の被害を受けたのは人間だけではありません。すべての動物や植物も、爆風と熱線、そして放射能によって焼きつくされたのです。「75年間は草木も生えないだろう」と言われていた広島。しかし驚いたことに、黒く焼け焦げた樹木は、ボロボロの姿から再び新しい芽を出したのです。その傷つきながらも力強く生きる姿は、被爆者を励まし勇気づけました。高熱のために真ん中に大きな穴の空いた樹、少し傾き棒で支えられている樹、ぐにゃりと大きく曲がって変形した樹、私たちはその樹木の生命力の強さにとても驚きました。広島市内の小学校や中学校にはたくさんの被爆樹木があり、子どもたちに原爆の悲惨さを今も伝えています。
しかし、原爆や戦争の恐ろしさは少しずつ忘れられようとしています。戦争は決して過去の出来事ではありません。戦争はまだ世界中で起こっていますし、貧困、いじめ・差別などの人権の問題も多くの国で抱えています。そして、たくさんの小さな命が毎日奪われ、子どもの権利は守られていません。「戦争はダメ! 原子爆弾もダメ! 人が死ぬのはイヤ! だいじな家族や友だちがいなくなるのはイヤ! 世界中の人が友だちになれば、戦争はなくなるはず。私も世界中に友だちをつくって、戦争をなくしていきたい」
私たちは平和のための小さいとりくみでも、一人ひとりが思いを込めてとりくめば、大きな力になると思って活動しています。平和を願うばかりでなく、その考えを広げていくなど、行動を起こすことが大切だと思います。自分から動くことで何かが変わるし、それに協力していっしょに動いてくれる友だちもできます。平和についての思いを多くの人に伝え、国と国が認め合い・助け合えば、みんなが「相手を思いやるこころ」をもてば、世界から戦争をなくすることがきっとできます。そして、世界中に笑顔を増やしましょう!
「もう戦争はいらない! 核兵器もいらない!」
2010年8月5日
子どものひろば「メッセージ from ヒロシマ 2010」参加者一同
※このメッセージは、イベントのエンディングにおいて、首相官邸や核保有国の代表宛にメールにて送信しています。
子どもの広場全体のスケジュール 2010年8月5日(水)
8:00~8:30 子どもの慰霊祭【平和公園内 原爆供養塔前】
8:40~10:20 フィールドワーク
10:25~10:40 ダイイン
10:40~11:40 被爆電車
10:40~11:40 被爆のお話を聞こう
12:50~14:50 『メッセ-ジ from ヒロシマ2010』
15:05~16:40 海外のお友だちとの交流会
15:00~16:00 マイ灯ろう作り