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長崎大会第3分科会「2015年NPT再検討会議と核兵器禁止条約への動き」

2015年08月08日

長崎第3分科会

運営委員:石川俊二(自治労高知県本部)

   第3分科会は、出席者55人で開催され、そのうち約7割の方は初参加ということであった。
分科会では、司会の開会挨拶の後、米国最大の平和・軍縮団体である「ピースアクション」の組織化・政策ディレクターのポール・マーティン氏から「NPT再検討会議のさらなる失敗と核廃絶への課題」と題しての報告と提起があった。大きくは2点で、1点目は「今年のNPT再検討会議の結果について」、もう1点は「核兵器廃絶に向けた長い道のりにおいて私たちが直面する課題について」。まず第1点目については、「今年のNPT再検討会議では最終文書の採択はできなかった」が、その直接の原因は「1995年と2010年に約束された、中東非大量破壊兵器地帯に関する会議の手配をめぐり、エジプトとイスラエルが合意できなかったこと」を挙げるとともに、「核保有国と非保有国との間には元々の緊張があり、さらにロシアと米国との外交関係がここ数年で最悪の状態であること」も問題を複雑にしているが、ピースアクションとしては様々な英知と行動を組織して、情報発信と議員や政策立案者への訴えかけを強化していく決意が述べられた。
また、第2点目の課題では、現在世界中で9ヵ国が15,700発の核弾頭を保有している中で、オバマ政権はロシアとの交渉によって合意すれば戦略核弾頭の背部数を約1,000発にまで削減する考えを示しているが、近年の米ロ関係の悪化からうまく進むような状況ではない。とはいえ、米国の核政策に関しては確実に正しい方向にシフトしており、戦略核弾頭を1,000発以下に削減される可能性も高い。ただ、今日の世界中の若い指導者は、核戦争に関する教育やその影響に対する直感、核戦争を恐れる気持ちが欠けており、この問題の教育を続けることが必要、と述べました。
続いて、ピースボート共同代表の川崎 哲氏より、NPT(核不拡散条約)発効の経過と背景、この間のNPT再検討会議の議論の状況等について説明があり、核兵器廃絶が遅々として進まない中で「赤十字国際委員会(ICRC)」の動きが口火となって、「核兵器の使用=非人道的」ということが言われ始めたこと、今年のNPT再検討会議でも「非人道性」をめぐる攻防が議論の中心となったことにも触れ、今後はNPTの内と外での議論で「是非?」ではなく「どのように?」具体的削減を目指すかということに論点が移っていくのではないか、と締めくくった。
続いて、WEBサイト「核情報」主宰の田窪雅文氏から、日本が核兵器以外の兵器で攻撃されても、アメリカが核でその国に反撃するオプションを残しておいてほしいというのが日本政府の方針で、日本のプルトニウム保有量は増えていること、また、プルトニウムに関しては誤ったデタラメの知識が流通しており、日本の専門家の説明は信じない方が良いことなどが話された後、「高濃縮ウランとプルトニウムの最小化のために何ができるかを各国に検討するように奨励し、『プルトニウムの回収と利用のバランスを十分考慮します』と言った安倍を助けるために、六ヶ所再処理工場(日本にとって最大のNPT課題の一つ)を中止させてあげましょう」と締めくくった。
この後、フロアとの質疑応答も行われ、予定時刻をオーバーする盛会のうちに第3分科会を終了した。

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