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止めよう再処理!共同行動ニュース10/23号の記事から
2013年10月23日
いまさら技術開発?-ガラス固化技術開発施設
未完成な技術のガラス固化施設
六ヶ所再処理工場の新たなガラス固化技術を開発するための研究・開発拠点となる「ガラス固化技術開発施設」が10月15日に完成し、公開されました。これは、これまで度々トラブルを起こし満足に試験が進まなかったこれまでの「ガラス固化施設」に代わる、新たな技術開発を行うものと期待されています。しかし、この施設の存在は、これまでの技術が未完成なものであることを証明しているようなものです。今から「技術開発」をしようとするなど、これまでの設計・建設の段階では考えられなかったことです。「完成された技術」が商業用再処理工場の前提のはずなのに……。
六ヶ所再処理工場を動かすことによって、高レベルの放射性廃棄物がガラス固化されると同時に、プルトニウムが生み出されますが、そのプルトニウムの利用先であるMOX燃料を使うプルサーマル計画は、いまだはっきりしていません。利用計画が明示されてはじめて再処理されることが前提になっています。現在、原発稼働は「ゼロ」ですが、5電力7原発14基が原子力規制委員会に再稼働を申請しています。その中でも泊原発1、2号機が審査保留中、柏崎刈羽原発も審査保留が検討されるなど、厳しい状況にあります。他の原発も審査資料の提出に手間取るなど再稼働の審査そのものが大幅に遅れています。今後、自治体の了承や防災対策の問題などさらに課題が重なり、再稼働そのものはさらに先になりそうです。
無用の長物と化す可能性
8月28日に再処理とめたい!首都圏市民のつどいが経済産業省に申し入れた際には、「現在のプルサーマル計画の予定は2015年度に16~18基の原発で実施する予定になっている」と、若手の官僚は回答しました。あきらかに実現性がないにもかかわらずこれまでの方針をただオウム返しのように答えていました。
しかし、計画そのものが破綻していることは明らかです。例え幾つかの原発が再稼働してもたいしたプルトニウムの消費にはつながらず、余剰プルトニウムを大量にかかえることになります。ガラス固化施設そのものがまともに動くとは思えません。今頃「技術開発」などと言っていたら、現行の施設がダメになったとき、その開発が間に合わないという間抜けな施設になることも考えられます。
もんじゅの研究開発の中止を!
安全意識の欠如した原子力機構
日本原子力研究開発機構(原子力機構)の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、文部科学省で、1万数千点もの機器の点検漏れが発覚し、原子力規制委員会は、原子力機構の度重なる安全軽視の姿勢に対して、6月29日には、再発防止にむけた安全管理体制が確立されるまで運転再開の準備作業を行わないこととする使用停止命令を出しました。その後も機器の点検漏れが明らかになり、現時点でその数は14000点をこえるまでになっています。原子力機構が、これまでこのような状況を放置したまま「年度内再開」を求めていたことは大きな問題です。原子力機構の安全に対する認識の甘さが厳しく問われるものです。
さらに9月16日にもんじゅにつながる唯一の県道(避難路として唯一)と敷地内の道路で相次いで土砂崩れが発生し、9時間も孤立しました。さらに同日、今年6月に続き、原子炉の状況などを監視する国の緊急時対策支援システム(ERSS)へのデータ送信が止まりました。18日にはナトリウム漏れ検出器が人為ミスで監視不能になるなど問題が多発しています。
動燃時代から、もんじゅや東海再処理工場アスファルト固化施設等の事故・情報隠しで、安全文化の欠如が問われ、それから20年近く経った今でも事業者の安全意識が希薄なことに驚かされます。福島原発事故で原子力の「安全神話」が崩れ、さらなる安全・安心を追求しなければならないのが原子力事業者の立場であるにもかかわらず、様々なトラブルを起こし続けていることは、原子力を扱う資質そのものが根本から問われるものです。
巨額な資金投入に未来はあるか?
もんじゅは停止中にもかかわらず1日約5500万円とも言われる維持費がかかり、今回の停止命令で運転再開そのものがますます不透明になり、ムダな経費がさらにつぎ込まれようとしています。そのもんじゅに2014年度概算要求として、本年度当初予算174億円からさらに21億円上乗せした195億円を計上しています(しかし運転再開の経費は今回計上されておらず、運転再開は2015年度以降となる)。さらに原子力機構がもつ研究施設に対する新規制基準に対する対策費として74億円も計上しています。
もんじゅは、これまで2兆円もの巨費を投じながら実用化への目途もたっていないのが現実です。原型炉・もんじゅの後継となる実証炉は、もんじゅとはまったく違った設計概念で描かれており、もんじゅの存在意義すら否定されています。そのようなもんじゅにこれ以上研究開発に血税をこれ以上投入することの意義は見出せません。
さらにもんじゅには、原子炉施設直下の断層(破砕帯)の問題があります。原子炉建屋直下にある8断層のうち最大とされる「a破砕帯」(約70メートル)が炉心の西約500メートルをほぼ南北に走る活断層「白木(しらき)-丹生(にゅう)断層」(約15キロ)と連動して動くかが最大の焦点となっています。また敷地南東にある線状地形「L-2」も活断層の可能性が指摘されています。原子力機構は、活断層の追加調査(5月の時点では「活断層でない」との調査報告をあげた)の計画書を原子力規制委員会に提出し、来年3月までに結果をまとめ、規制委に報告するとしています。問題の断層が活断層かどうかの調査は長期化し、さらに運転再開は不透明感を増しています。
これ以上先の見通しのない高速増殖炉開発に貴重な税金を投入することは許されません。福島原発事故の収束に全力をあげ、英知と資金そして人材を投入すべきときに、このような「ムダ」に貴重な資源や資金を投入することは国際的にも許されるものではありません。さらに安全文化の欠如した原子力機構に、これ以上高速増殖炉開発を担う資格はないと考えます。もんじゅが止まれば、再処理の意義も失われます。