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【67大会・報告】長崎第4分科会/平和と核軍縮―交流・討論編「東北アジアの非核化と日本の安全保障政策」
2012年08月08日
会場 長崎市「県教育文化会館」
講師 前田哲男さん(軍事評論家)
田巻一彦さん(ピースデポ副代表)
海外ゲスト ポール・マーティンさん(米国/ピースアクション組織化・政策担当ディレクター)
スヨルさん(韓国/社会進歩連帯)
第4分科会は、核密約・核の傘・非核三原則、沖縄米軍基地のありかたなどについて学習・討論を行った。
4人の報告者からは三つの主な論点について語られた。一つ目は核兵器廃絶に向けた米を中心とする国際情勢については、「核兵器のない世界をめざす」としたオバマ米大統領は、緊縮財政の中で国防予算の削減にも実施したが、核関連予算は保守勢力(国防省等)の抵抗により、依然聖域化されている。また、米ロでの核兵器削減交渉では、その他の核保有国を巻き込むまでの削減目標とはなっていない。そうした中で米国の核の傘にある日本を含めた諸外国が核の傘は不要であるとの意思を明確にしなければ、核兵器ゼロの世界は待っていても来ない、そのために具体的な行動をすることが、東北アジアの不安・緊張を解き、ひいては核兵器廃絶向けたシナリオとなると訴えた。
2点目の北東アジアにおける非核地帯化構想については、日米韓の軍事的連携が軍事演習のみならず、軍事情報でも共有化が図られようとしている状況となっている。こうした状況は北朝鮮の好戦的行為が日韓の防衛体制増強に走る口実を与えるとともに、中国・ロシアにも軍備増強する口実ともなっており、北東アジアにおける軍事的緊張が高まる結果となっている。緊張緩和に向けてどのような取り組みが求められているか提言があった。
3点目のMV22―オスプレイについては、設計構造上からも問題があり、実戦配備については米国内からも非難の声が相次いでいるなかで、米国内ではできない低空飛行訓練を日本に押し付ける背景などの報告があった。
報告に対しては、限られた時間の中で、5人の参加者から計9点の質問があった。主な質問としては、日本の原子力基本法と安全保障に対する韓国の反応やオスプレイの飛行訓練頻度。核兵器ゼロにつながる具体的な行動についてなどであった。
原子力基本法の改定については、韓国国内では一般国民でも重要な課題としてみているが、その心理を保守派が利用していると述べた。また、オスプレイについては沖縄においては高江ヘリパッド場を利用して日常的に訓練が行われるが、本州においてもキャンプ富士などを拠点に、北は青森から九州まで、広く低空飛行訓練が行われると回答があった。
核兵器ゼロ行動については、ピースデポなどが取り組んでいる「北東アジア非核兵器地帯」への自治体首長による署名は402自治体にとどまっており、議会決議などを通じてもっと多くの首長が署名することで、核兵器廃絶への道ができるのではないかと解いた。
最後に座長からまとめとして、「核兵器を廃絶し、北東アジアにおける緊張緩和を進めるためには、直接民主主義や間接民主主義など様々な手法があるが、それぞれの国における大衆運動が結合し、運動を進めることが大事である。」と締めくくった。