声明申し入れ
浜岡原発の再稼動の中止と廃炉を求める要請(中部電力への要請書)
2012年03月02日
2012年3月2日
中部電力株式会社
代表取締役社長 水野 明久 様
浜岡原発の再稼動の中止と廃炉を求める要請
日々の電力事業における貴社の活動に敬意を表します。
さて、福島第一原発事故を機に昨年5月6日に菅直人首相の要請により、同月14日には貴社の浜岡原子力発電所が全基停止しました。その際貴社は、津波対策完了まで停止するとしています。
現在、再稼動に向けて浜岡原発は、防波堤工事などの津波対策を中心とする防災対策を実施しています。しかしそのことの契機となった福島第一原発の事故原因は究明されてはいません。事故の収束さえできずにいる中で、現場の検証すらまともにできていない状況です。地震や津波による事故原因の究明が徹底的になされてはじめて教訓や対策が講じられるのだろうと思います。原因究明も道半ばの中で、今後予想される東海地震へ対応しようとしても不十分であることは明らかです。何をもって現在の対策で、住民の安心・安全につながっていくのか、私たちにとってまったく理解に苦しむものです。
さらに今回の福島原発事故で、浜岡原発をめぐる世論の状況が大きく変わったことは明らかです。牧之原市議会をはじめ多くの県内の自治体で「永久停止」決議や再稼動に反対や慎重な発言が出てきていることは、これまでになかったことです。県民の不安は拡がるばかりです。さらに自治体にとって、今回の事故によって防災計画の範囲が拡がろうとしています。今後30㌔圏、50㌔圏の自治体でそれぞれ防災対策や避難対策など計画や訓練がなされなければならなくなります。その体制も整っていないのも現状です。震災対策でさえ大変な中で、放射能対策も加わることは自治体側も住民も想定外といえるでしょう。そのような状況がある中で、再稼動の県民合意をどのようにとろうとするのでしょうか。
東海地震の想定震源域の真ん中にある浜岡原発は、巨大地震による災害と放射能災害が同時に起こり、巨大災害=原発震災の危険性が、多くの専門家からも指摘されています。第二、第三のフクシマ原発事故を繰り返してはなりません。そうなれば明らかに人災です。
さらに、仮に原発が動いたとしても、現在の核燃料サイクル路線が破綻している現状があります。使用済み核燃料の行き場とともに最終的に核のゴミがどこに処分されるのかも明らかではありません。「トイレなきマンション」と言われる状態はいまだ解消できていないし、今後もその見通しが立っているわけではありません。見通しがない中で、原発再稼動によって大量に核のゴミをこれ以上生み出す正当性はないはずです。場当たり的な事業によって住民の命をこれ以上危険に晒すことは許されません。
私たちは、原子力の展望がない中で、東海地震の危険性がますます危惧される状況の中で、浜岡原発を再稼動させる理由はないと考えます。県民の安心・安全に対して貴社の責任は大きく、重いものがあります。県民の声をよく聴き、浜岡原発の再稼動を断念し、廃炉への舵を切ることを要請します。
2012年3月2日
原水爆禁止日本国民会議
議 長 川野 浩一 印略
原水禁東海ブロック連絡会議
議 長 櫻井 靖雄 印略
原水爆禁止静岡県民会議
代表委員 宮下 智亘 印略
代表委員 櫻井 規順 印略