声明申し入れ
被災58周年3.1ビキニ・デー アピール
2012年03月01日
被災58周年3.1ビキニ・デー アピール
第五福竜丸がヒバクした1954年3月1日、ビキニ環礁での核実験から58年。あの衝撃から半世紀を超えたビキニ事件は、けっして過去のことではありません。
これまでヒロシマ、ナガサキ、ビキニ、JCO臨界事故と核被害の歴史は続き、昨年3月11日の福島第一原発の大事故が起きてしまいました。福島第一原発事故は、いまだ収束の見通しが立たず、大量に放出された放射能は、いまも海、空、大地を激しく汚染し、多くの住民がいまも放射能の脅威の中に置かれています。
私たちは、原水禁運動の中で「核と人類は共存できない」として反核、脱原発、ヒバクシャ連帯を訴えてきました。核の「軍事利用」はもとより「商業利用」についても問題とし、原子力施設の建設・運転に反対してきました。しかし、福島第一原発では、私たちの力及ばず、事故が引き起こされる結果となってしまいました。痛恨の極みです。もうこれ以上の核被害を繰り返してはなりません。核兵器や原発のある核社会からの決別が強く求められています。
一方で核兵器や原子力に固執する勢力もまだ大きな力を持っています。核兵器保有は、米ロ英仏中の5つの核保有国の他、インドやパキスタン、イスラエル、朝鮮民主主義人民共和国などへ拡がり、いまだその廃絶の道は厳しいものがあります。2万発を超える核兵器の存在は人類の存亡に関わる問題で、廃絶は喫緊の課題です。
また、福島原発事故の現状を見れば、「脱原発」は当然のことです。54基ある原発のうち現在稼働しているのは、柏崎刈羽原発6号機と泊原発3号機のみとなりました。この春には全ての原発が停止することになります。推進側は、原子力産業の生き残りをかけて、原発の再稼働に向けて総力を挙げて動き出していますが、これを許してはなりません。第五福竜丸の母港であったこの地、静岡では、東海地震の想定震源域の真ん中にある浜岡原発の存在によって、第五福竜丸に続き、再びヒバクシャを生み出す危険性をはらんでいます。巨大地震による災害と放射能災害が同時に起こりうることが、多くの専門家から指摘されています。
私たちは、広島、長崎、そしてビキニ事件を契機に原水爆の禁止を訴えて運動を進めてきました。その中には、「ヒバクシャを再びつくらない」という広島・長崎やビキニのヒバクシャの強い願いがありました。残念ながらビキニ事件以降も、相次ぐ核実験や原子力の「平和利用」という美名の下で、多くのヒバクシャを生み出してきました。私たちは、あらためて核の歴史に終止符を打つとともに、ヒバクの歴史にも終止符を打たねばなりません。
私たちは、ビキニのヒバクシャをはじめ世界中のあらゆるヒバクシャや平和を求める人々と連帯し、あらゆる国の、あらゆる核実験・核兵器、そして原発に反対し、ヒバクシャを生み出す全ての核開発を止めていくことをあらためてここに決意するものです。
2012年3月1日
被災58周年3.1ビキニ・デー全国集会参加者一同