3月, 2026 - 原水禁

原水禁パンフ『どうする?原発のごみ5 原子力政策と高レベル放射性廃棄物政策』の刊行のご案内

2026年03月24日

原発の稼働によって生み出される高レベル放射性廃棄物、いわゆる『核のごみ』。その最終処分場の選定をめぐり、3月3日に経済産業省は、東京都小笠原村に対して南鳥島での『文献調査』の実施について申入れを行いました。
日本では処分地も選定基準もなお不透明なまま、政策だけが先行しているのが現状です。こうした課題を考えるうえで重要な手がかりとなるのが、海外の取り組みです。

本書『どうする?原発のごみ5』では、エネルギー事情や経済構造に共通点の多いドイツと、直接民主主義を特徴とするスイスの事例を中心に、最終処分場の選定プロセスや市民参加のあり方を詳しく検証しています。ドイツでは科学的基準の明確化と市民参加の制度化が進められ、スイスでも早い段階から地域や隣国を含めた合意形成の仕組みが整えられています。
海外の実践と比較することで、日本の制度の課題や限界が浮き彫りになります。『核のごみ』問題は、原子力政策そのものと切り離して考えることはできません。

原水禁は、高レベル放射性廃棄物誘致の動きに対し、反対世論をつくり出すために、『どうする?原発のごみ』シリーズを刊行してまいりました。
この度、岡村りらさん(専修大学)に『比較環境政策』の観点から、核のごみ問題について執筆していただき、パンフレットを作成いたしましたので、ご案内します。

『どうする?原発のごみ5 原子力政策と高レベル放射性廃棄物政策―ドイツとスイス、日本の事例を中心に―』

(1)発行者:原水爆禁止日本国民会議/原子力資料情報室/反原発運動全国連絡会
(2)版  型:A5判 64頁
(3)頒  価:1冊700円/送料実費(50冊以上は送料無料)
(4)発  行:2026年3月
(5)内  容:はじめに/ドイツにおける原子力発電の議論/高レベル放射性廃棄物政策/比較考察/まとめ
(6)注文方法:ご注文冊数・お名前・お送り先ご住所・お電話番号を明記のうえ、下記までお送りください。
   FAX:03-5289-8223 mail:office@peace-forum.top

 

イラン攻撃の即時停止に向けた外交努力を求める要請

2026年03月18日

原水禁は3月18日、19のNGO・市民団体と連名で、高市首相に対して、イラン攻撃の即時停止に向けた外交努力を求める要請を送付しましたので、お知らせします。

イラン攻撃の即時停止に向けた外交努力を求める要請

内閣総理大臣 高市 早苗 様

米国およびイスラエルによるイランへの軍事攻撃は、イラン国内ではすでに1300人以上ともいわれる市民の生命を奪っています。そのなかには、米国による小学校への爆撃により失われた多くの子どもたちの命も含まれます。イランによる周辺国への攻撃や、イスラエルによるレバノンへの攻撃も重なって、中東全域が破滅的な戦火に陥りつつあります。世界経済への影響も甚大であり、事態は一刻の猶予も許しません。

さらに、原油の流出や火災、爆撃等によって大量の温室効果ガスや有害化学物質が排出され、水や空気、土壌や生態系が深刻に汚染されています。世界保健機関は、先日のイランの石油施設への攻撃後に降った黒い雨が健康被害をもたらし、深刻な大気汚染を引き起こしていると警告しました。戦争は最大の環境破壊であり、将来世代に健康被害を残し、生態系を壊滅させ、気候危機を加速させます。

日本国内の世論調査では、圧倒的多数の人々がこの軍事攻撃を「支持しない」と回答しています。3月19日に日米首脳会談に臨む高市総理におかれましては、トランプ米大統領へ以下の通り強く働きかけ、毅然とした外交姿勢を示すよう要請いたします。

1. 国際法の遵守と即時停戦

現在行われている軍事攻撃は、主権国家に対する武力行使を禁じた国連憲章第2条4項に明白に違反するものです。法を無視した軍事攻撃を続けることは、さらなる混沌と憎しみの連鎖を招きます。米国が、イランへの軍事攻撃を直ちに停止するとともに、イスラエルに対してもイランおよび周辺国への軍事攻撃の即時停止を働きかけるよう、日本政府として強く求めてください。

イランによる反撃が民間人の命を奪い、危険にさらしていることは由々しきことです。私たちはイラン政府に対してもそうした行為の停止を求めています。しかし、事態の経緯からして、まず米国が攻撃を停止しなければこの危機が収束しないことは明らかです。

2. 軍事協力および財政支援の拒否

日本は米国主導のこの戦争に、いかなる形でも協力すべきではありません。報道によれば、米海兵隊が在日米軍基地からイランに向けて出撃しており、さらにトランプ大統領は、日本に対してホルムズ海峡の安全確保のための自衛艦派遣を期待しているとのことです。しかし、日本は、自衛隊を派遣すべきでないことはもちろん、軍事費の財政支援も、断じて行うべきではありません。
その理由は、以下のとおりです。

● 法的根拠の欠如:2015年の安保法制の違憲性の疑いはさておいたとしても、憲法および現行法に照らして、日本が今回の軍事行動に対して自衛隊を派遣することを正当化しうる法的根拠は皆無であり、実施は不可能です。
● 現場の危険性:戦火が拡大する中での自衛隊の派遣はあまりに危険であり、隊員の命を不当なリスクに晒すものです。
● 外交的代償:万が一日本が、財政面を含め、支援を行えば、長年築いてきたイランとの友好関係のみならず、中東諸国やグローバルサウス諸国からの信頼を決定的に損なうことになります。

3. エネルギー安全保障と経済的安定への道

ホルムズ海峡の安定化と原油やLNGの安定供給は、日本にとって死活的な課題です。しかし、そのために必要なのは戦争への加担ではなく、戦争を今すぐ止めさせることです。軍事衝突の激化こそが供給網を破壊する最大のリスクであり、平和的な解決こそが日本のエネルギー安全保障を担保する唯一の道です。

そして、長期的には、輸入化石燃料に頼る社会から脱却していくことが必要です。

4. 核問題は外交で解決を

今回の軍事攻撃の「理由」とされたイランの核開発問題は、重大な問題ですが、外交によって解決すべきです。軍事力では核問題は解決できません。そもそも米国もイスラエルも核兵器を保有しています。米国は核不拡散条約(NPT)のもとで核廃絶への義務を負っており、イスラエルは自身の核保有について情報公開を求められています。今のままでは、国際的な核不拡散体制そのものが破壊されてしまいます。

一昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞は、核兵器が「絶対悪」であることを世界に再認識させました。イランの核開発問題は、来月開かれるNPT再検討会議や核兵器禁止条約などを通じて外交的に解決すべきであることを、米国に強く促してください。

友好国が過ちを犯しているときに、それに盲従したり忖度したりすることは、責任ある国家の行動とはいえません。国際的な「法の支配」が危機にある今こそ、「平和国家」を標榜してきた日本の外交の真価が問われます。歴史の正しい側に立ち、真の意味で国民の安全と国際社会の安定につながる外交を展開されることを、強く求めます。

2026年3月18日

APLA
ANT-Hiroshima
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)
WE WANT OUR FUTURE
FoE Japan
オルター・トレード・ジャパン
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)
グリーンピース・ジャパン
原子力資料情報室
原水爆禁止日本協議会(日本原水協)
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)
Japan Emergency Peace Action: 平和を求める緊急アクション
日本国際ボランティアセンター
日本平和委員会
パルシック
ピースデポ
ピースボート
フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)
Voice Up Japan
許すな!憲法改悪・市民連絡会
(以上20団体、50音順)

3月7日「フクシマ原発事故から15年 とめよう原発3.7全国集会」を開催

2026年03月18日

3月7日、代々木公園で「フクシマ原発事故から15年 とめよう原発3.7全国集会―持続可能で平和な社会を―」(主催:3.7脱原発全国集会 実行委員会)が開催され、全国から8500人が参加しました。
ケヤキ並木の出店ブースがにぎわうとともに、特設ミニステージ、野外音楽堂でのメインステージが行われ、集会後にはパレードも行われました。

詳しくは、以下のさようなら原発1000万人アクションのウェブサイトをご覧ください。

【開催報告】フクシマ原発事故から15年 とめよう原発3.7全国集会―持続可能で平和な社会を―

4月11日開催「第41回4.9反核燃の日全国集会」のご案内

2026年03月18日

1985年4月9日、北村正哉・青森県知事(当時)が核燃料サイクル施設の受け入れを決定したことから、この日を「反核燃の日」と制定し、核燃料サイクル政策、原子力政策そのものに反対する集会を重ねてきました。
今年も核燃料サイクル政策撤回を求め、脱原発を訴える集会を青森県・青森市で行います。

  

核燃料サイクル政策は、青森県だけの問題ではありません。
全国からのご参加をお待ちしています。
集会翌日には、フィールドワークも実施します。

第41回4.9反核燃の日全国集会

日 時:2026年4月11日(土)14時~ 集会終了後デモ行進
場 所:青森市文化会館(リンクステーションホール青森)5階大会議室
☎017-773-7300
内 容:開会あいさつ・主催者あいさつ・基調報告・各地報告・集会アピール等
*集会後デモ行進 集会会場横~労働福祉会館前まで
主 催:第41回4・9反核燃の日全国集会実行委員会
【原水爆禁止日本国民会議/原子力資料情報室/青森県反核実行委員会(青森県平和推進労働組合会議、社会民主党青森県連合、社会民主主義フォーラム青森、原水爆禁止青森県民会議)、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団、核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会】
連絡先:「第41回4・9反核然の日全国集会」実行委員会(青森県反核実行委員会)
青森市青柳1丁目3-14青森県社会文化センター内
☎017-776-5665/FAX 017-777-3238

第41回4・9集会チラシ表面
第41回4・9集会チラシ裏面

原水禁全国交流集会

日 時:2026年4月11日(土) 16時30分~
場 所:青森県労働福祉会館 青森県青森市本町3-3-11
内 容:主催者挨拶、講演「原発に頼らない社会をつくる(前衆議院議員・山崎誠さん)」、他

現地抗議行動

日 時:4月12日(日)10時30分~11時00分
場 所:日本原燃本社正門前(六ヶ所村・再処理工場前)
その他:抗議行動後、デモ行進(六ヶ所村文化交流プラザ・スワニー~六ヶ所村役場)

【参加者募集中】4.12フィールドワーク

青森駅発着のフィールドワークです。六ケ所村にて、現地抗議集会に参加し、デモ行進にも参加します。日本原燃PRセンターでは、説明付きの見学ツアーに参加します。核燃料サイクルの推進する側、反対する側の両方の立場を見聞きすることで、核燃料サイクル問題について学びを深めます。

日 時:4月12日(日) 8時00分~16時00分(予定)
行 程:7時50分 青森駅前集合(原水禁の目印を出します)
8時00分 青森駅前出発~六ヶ所核燃サイクル施設外観見学
10時30分 現地抗議行動参加・六ヶ所再処理工場正門
11時30分 現地抗議デモ参加~六ヶ所文化交流プラザ・スワニー
~六ケ所村役場~昼食(時間の関係で車中となる可能性もあります)
13時00分 日本原燃PRセンター(日本原燃の説明・質疑応答・見学)
14時00分 現地出発(15時頃 野辺地駅経由)
16時00分(予定) 青森駅到着(※17時00分 新青森駅到着も調整中です)

*道路状況、視察状況によって変更が生じる可能性があります。
*現地抗議行動は、六ヶ所村内の関連施設の視察へと変更となる可能性もあります。

参加費:7,000円(バス代/弁当・お茶付き/保険料込み)
*参加費は4月11日開催の「原水禁全国交流集会」受付にてお支払いください。
集会に参加されない方は当日集金となります。

定 員:20人(定員になり次第締切り)
主 催:原水爆禁止日本国民会議(原水禁) ☎03-5289-8224
申込み:参加のご希望は、申し込み用紙(Word または PDF)をダウンロードし、ご記入の上、原水禁にご送付ください。
申し込み先/FAX 03-5289-8223/E-mail office@peace-forum.top
申し込み締め切り/4月2日(木)(必着)
*当日の連絡先は、後日ご案内いたします
*お申込み受付完了後、折り返し申込確認のご連絡をします。
*旅行保険申込のため、参加される方のよみがな・生年月日・性別の記入が必要となります。
*いただいた個人情報は、参加者とりまとめ及び旅行保険の申込み以外には使用しません。

【核燃料サイクルとは】

原発の稼働で出る「使用済み核燃料」を再処理し、再利用可能なウランやプルトニウムを取り出し、新たな核燃料(MOX燃料)に加工して、もう一度原発で利用することです。しかし、核燃料サイクルの中核となる六ヶ所再処理工場は完工延期が繰り返され、当初11兆円としていた総事業費も22兆円を超える見込みです。さらに青森には高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設や使用済み核燃料の中間貯蔵施設もあり、最終処分場が決まらない中で、核のごみが青森に集まり続けていることも大きな問題です。

【原水禁声明】原子力政策推進と南鳥島への「核のごみ」処分地選定調査申し入れに 断固反対し抗議する

2026年03月12日

3月3日、高レベル放射性廃棄物(「核のごみ」)の最終処分地の選定をめぐり、経済産業省が、東京 小笠原村の南鳥島で調査の第1段階となる「文献調査」の実施について村に申し入れを行いました。これを受け、原水禁は、抗議の意思を示す声明を発出しましので、ここにお知らせいたします。

原子力政策推進と南鳥島への「核のごみ」処分地選定調査申し入れに断固反対し抗議する

3月3日、経済産業省は、東京都小笠原村に対して南鳥島での「文献調査」の実施について申入れを行った。「文献調査」とは、高レベル放射性廃棄物(「核のごみ」)の最終処分地を選定するための第一段階の調査である。

日本では2000年に成立した「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」にもとづき、原子力発電(原発)から出る「核のごみ」を地下300メートル以上に埋設し、数万年から10万年単位で隔離する地層処分を基本方針として、原子力発電環境整備機構(NUMO)が処分事業を担っている。

政府は各自治体から手が挙がるような仕組みによる「応募誘導政策」を進め、これまで北海道の寿都町や神恵内村、佐賀県玄海町でNUMOが処分地の選定調査を進めている。

「応募誘導政策」が行き詰まる中、政府は「地域任せにせず、国の責任で地域に協力をお願いしていく」として、小笠原村への要請となった。政府は調査有望地を表示した「科学的特性マップ」で「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域とされている」ことや「全島が国有地である」ことなどを理由にあげている。

しかし、島の面積はおよそ1.5平方キロメートルであり十分な処分場所の確保ができるとは言い難く、台風の常襲地域であること、気候変動による海面上昇など長期的な環境変化の危険性も高いと考えられる。また、近年南鳥島近海では、放射性物質を含まない良質のレアアース鉱床が発見され、その開発が期待されている。

原子力政策は、経済面でも環境面でも利点はなく、政策そのものが行き詰まっていること、原発再稼働によって「核のごみ」がより一層増えていく問題を、原水禁はこれまでも繰り返し指摘してきた。日本だけでなく、世界のどこにも放射性廃棄物処分に関して確実に安全だと言い切れる場所は存在していない、にもかかわらず、処分地をどこかに設定し埋めてしまえばよいという安易な発想で問題を処理しようとしていることは許されない。本来問われるべきなのは、原子力政策とその構造的矛盾ではないか。

原水禁は、現状においては、脱原発を実現してこれ以上「核のごみ」を出さないこと、そして核燃料サイクル計画を断念し、使用済み核燃料はドライキャスクなど比較的安全な方法で監視できる場所で保管することを提起している。

日本の原子力政策は、「原発を動かして核のごみを生む、しかし処分地は決まらない」という矛盾を抱えたまま続けられている。その結果として、「住む人が比較的少ない場所、すなわち過疎地に膨大な財政支援を付帯して押しつける」という、極めて差別的で不公正な方法で進められる。

原水禁は、原子力政策そのものが誤った政策であることを強く訴え、脱原発社会の実現をめざしていく。今回明らかになった南鳥島への処分地選定調査の申し入れというやり方には断固反対する。そのうえで、「核のごみ」の問題については、地層処分方針からの転換を求め、すでに生み出してしまった「核のごみ」の行き場については、開かれた場所での議論を丁寧に進めていくことを、政府に求めていく。

2026年3月12日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野浩一
金子哲夫
染 裕之

【原水禁声明】東京電力福島第一原発電事故から15年 事故はいまだに終わっていない

2026年03月11日

3月11日という日を迎えるにあたり、東電福島第一原発事故の教訓と現在の課題をあらためて共有するため、原水禁は以下の声明を発出しました。

東京電力福島第一原発電事故から15年 事故はいまだに終わっていない

2011年3月11日に発生した東日本大震災。マグニチュード9.0という日本周辺における観測史上最大規模の地震によって大津波が発生し、多くの人も街も、それまでの生活のすべてをのみこむ甚大な被害をもたらしました。震災によって亡くなられた1万5900人を超えるみなさまに心から哀悼の意を表します。今も行方のわからない方が2519人いるとされ、避難中に体調を崩すなど、この15年の間に災害関連死と認定された方は3810人にのぼります。(人数は警察庁・復興庁まとめ)

震災発生当時、東京電力(東電)福島第一原子力発電所(原発)は1号機から3号機が運転中で、4号機から6号機は定期検査中でした。「想定外」とされた大津波によって全電源が喪失し、1号機から3号機は炉心溶融(メルトダウン)が起きました。その影響により水素が大量発生した結果、1号機・3号機・4号機が水素爆発を起こし、原子炉建屋、タービン建屋および周辺施設が大破しました。映像によって水素爆発の様子が報じられ、わが目を疑う事態が起きていることに私たちは大きな衝撃を受けたのです。

周辺住民の混乱は、筆舌に尽くしがたいものがありました。津波による被害から逃れるために着の身着のまま避難していた多くの住民は、そのまま自宅に戻ることもできず、行方不明の家族や親族等を探すこともできないままに避難を強いられました。目に見えない放射能におびえ、寒さに身を震わせながらの避難は大変なことでした。さまざまな報道がなされ、原発事故から避難することがどれほど過酷で残酷であったかを、私たちは目の当たりにすることになったのです。その衝撃は15年経った今でも決して色あせることはありません。まして2万3000人を超える福島県内外に避難を強いられ続けている住民の心情を思うとき、言葉にはならない強い憤りと不安を抱かざるにはいられません。

東日本大震災から15年。復興する各地の様子が報じられることも多くなりました。しかし、避難指示・避難準備に指定されていた地域では住民の帰還率は20%にも満たず、いまだ復興とは程遠い状況にあります。東電福島第一原発事故は発生から15年経った今も、決して終わることはありません。それどころか、安全な廃炉に向けた道のりは遠く、多くの困難が待ち受けていることが明らかになっています。放射性物質に汚染された除染土(汚染土)は現在、福島県内の中間貯蔵施設に保管されていますが、2045年までに福島県外で最終処分することが決定しています。その行先はいまだ明らかになっていません。1号機から3号機にある核燃料デブリは約880トンとされていますが、試験的に取り出せたのは約0.9グラム、わずか「10億分の1」という現状です。それでも国と東電は「廃炉措置」を2051年までに完了させるというロードマップを提示し続けています。

政府の「原発回帰」政策は、これらの現実を直視しているのでしょうか。収束の見通しが不透明でありながらも、核燃料デブリを取り出し、2051年までに「廃炉措置」が実現できると強弁をふるい、過酷な避難を強いられた住民への医療費等の補助を打ち切り、事故の被害を小さく見せようとしています。まるで原発事故は終わったと言うかの如く、再び原発推進に舵を切り、避難者を切り捨てる政府の方針は、決して許されません。

東日本大震災・東電福島第一原発事故から15年を迎えるにあたり、原水禁は改めて命の尊厳と向き合う政策を政府に求めるとともに、「核と人類は共存できない」という理念の実現に向け、とりくんでいきます。原発に頼らない未来を描き、核エネルギーからの脱却を実現するその日まで、私たち原水禁運動の歩みを続けていく決意です。

2026年3月11日
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)
共同議長 川野浩一
金子哲夫
染 裕之

「被爆80年からその先へ 原水禁の集い」開催のご案内

2026年03月04日

2025年は被爆・戦後80年を迎える節目の年でした。原水禁としても、被爆者のみなさんの核兵器廃絶に向けた強い思いと結びつきながら反核・平和のとりくみを強めた1年となりました。そのなかで日本国内にとどまらず、世界の人びととの共同を拡げることもできました。

しかし、世界の核と戦争をめぐる情勢は、いっそう深刻な状況に至っています。止まない戦火のなかで核使用が現実の危機として認識され、核兵器の近代化(小型化・高性能化)だけでなく核弾頭の増強がすすめられ、全面的な核軍拡の様相を呈しつつあります。また、戦争被爆国であり、核兵器廃絶のための重要な役割を持っているはずの日本政府はこの間「核抑止力」依存へといっそう傾斜しており、さらには「非核三原則」の見直しを行おうという動きが強まっています。

いっぽう、2026年は核拡散防止条約(NPT)再検討会議(4・5月)、そして核兵器禁止条約(TPNW)再検討会議(11月)が予定されており、この機をとらえ、核軍縮、そして核廃絶をめざす世界の人びととともに、行動することが求められています。

こうした情勢を踏まえ、原水禁は被爆80年におけるとりくみの成果と課題を確認しつつ、NPT再検討会議に対する代表団派遣に向けた意志一致を図るべく、3月26日、「被爆80年からその先へ 原水禁の集い」を開催します。

以下の通りご案内しますので、ぜひ多くのご参加をお願いします。

被爆80年からその先へ 原水禁の集い

→チラシデータはこちら( PDF )

日時:3月26日(木)18時~19時30分
場所:連合会館203会議室
参加費:無料
主催:原水爆禁止日本国民会議(原水禁)
内容:主催者挨拶/各団体からの連帯挨拶
/国内外情勢について/「2035/2045プラン」について
/NPT再検討会議派遣団紹介/今後の原水禁運動について

被災72周年3.1ビキニ・デー全国集会を開催しました

2026年03月03日

原水禁は3月1日、静岡市・静岡労政会館ホールにおいて「被災72周年3.1ビキニ・デー全国集会」を開催し、全国から約160人が参加しました。

本集会の司会・進行は、第27代高校生平和大使(静岡選出)の谷河優那さんが務めました。

はじめに染裕之・原水禁共同議長が主催者あいさつ。イスラエル・アメリカによるイラン攻撃(2月28日)について、イラン核保有阻止を理由に行われていることをまず批判しました。核兵器廃絶に向け、4月末に開催予定の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を重要な機会として原水禁としても代表団を派遣するほか、「核兵器廃絶1000万署名」などにもとりくんでいくとしました。激動の国内外の情勢にあって、しっかり前を向いてとりくむことを呼びかけました。

開催地・静岡を代表して静岡県平和・国民運動センターの福井淳会長があいさつ。ビキニ事件の犠牲者となった故・久保山愛吉さんの「原水爆の被害者はわたしを最後にしてほしい」とことばは過去のものではなく、現在も私たちのなかに息づいているものだと述べました。今日の集会と明日の墓前祭の2日間のとりくみのなかで核兵器廃絶に向けた私たちの決意をあらためてうち固めていくことを訴えました。

フォトジャーナリストの豊﨑博光さんから「ヒバクシャと核被害」をテーマに講演を受けました。豊﨑さんは1970年代から世界各地を取材してきた経験をお持ちです。豊富な写真や資料を交えて、世界のヒバクシャと核被害の実態を紹介されました。

ビキニ環礁での核実験で「第五福竜丸」のほかにも周辺海域を航行していた多くの日本漁船が被爆しましたが、そのことはあまり知られていません。

また、核実験が繰り返された太平洋諸島の人びとには当然のように被爆が強制されましたが、米軍兵士にも多くの被爆がありました(アトミック・ソルジャー)。そしてウラン採掘の過程では先住民族の居住地域が残渣で汚染されましたが、採掘作業を担った先住民族の人びとが多量の被曝をしています。こうした構図はアメリカだけではなくロシア(旧ソ連)、イギリス、フランス、中国といった核保有国すべてでみられます。

核兵器は植民地主義や人種差別と深く繋がっています。そのことに対抗するために世界のヒバクシャどうしが連帯しようとする試みが続けられてきたこと、とりわけ太平洋諸国が続々と独立し、非核宣言を行ってきたことなどについても解説されました。

そして、原発も同様の問題を持っています。東電福島第一原発事故によって放出された放射性物質が世界中に到達・汚染している実態もデータに基づいて説明され、核被害を現在の私たち自身の課題として考える必要があるとしました。

つづいて第五福竜丸漁労長だった故・見崎吉男さんのご遺族、杉山厚子さんからの講話がありました。被爆直後、アメリカの核実験であることを直感した見崎さんは、アメリカ軍に拘束されることを恐れ、無線打電を避けたそうです。杉山さんは見崎さんの証言を引き継いで、生々しい被害の状況についてお話しされました。

見崎さんは被害者であるにもかかわらず、生涯にわたって水産業界や地域に対して迷惑をかけたとして謝罪のことばを述べ続けていました。その背景には見崎さんたち乗組員のおかれた状況があります。被爆直後、帰港した乗組員が遊び歩いていたなどの事実無根の報道がされ、バッシングを受けました。また、「放射能がうつる」などと遠ざけられるなどの差別もありました。

杉山さんは見崎さんやほかの乗組員の手記の内容も紹介されました。被爆したことによる苦しみと悲しみの吐露、そしてふたたびこのような事態を繰り返してほしくないという想いがあふれるものでした。

「第五福竜丸」の乗組員は苦しいなか孤軍奮闘しながら核兵器廃絶を訴えてきました。杉山さんはこうやって父たちの証言を聞き、共感してくれる人びとがたくさんいることに励まされていると感謝を述べられ、講話を締めくくられました。

静岡選出の第28代高校生平和大使の水野可麗さん、長崎派遣代表の大塚ほなみさんと山下耀生さんから、この1年間の活動報告が行われました。ジュネーブ派遣や広島・長崎への派遣のほか、日々署名活動のなかで培った平和への思いについてそれぞれ発言。そして小学校への出前授業などで歌ってきた合唱曲「千羽鶴」を披露しました。

司会から本集会に鈴木康友さん(静岡県知事)、難波喬司さん(静岡市長)、中野弘道さん(焼津市長)、市田真理さん(公益財団法人第五福竜丸平和協会事務局長)、デスモンド・ナライン・ドラチョムさん(マーシャル諸島・REACH-MI調査部長)からメッセージが寄せられていることが紹介されました。

最後に大須賀拓馬さん(全印刷局労働組合静岡支部副執行委員長)集会アピールを読み上げて提案。全体で確認し、集会を終了しました。(メッセージおよびアピールは本記事下部に掲載しています)


翌3月2日、焼津市・弘徳院で故・久保山愛吉さんの墓前祭を開催しました。金子哲夫・共同議長と地元・志太平和フォーラム代表の中山亜樹彦さんがあいさつ。その後参加者全員で久保山さんのご冥福をお祈りし、墓前に花束と線香を捧げました。

集会アーカイブ動画

集会へのメッセージ

鈴木康友さん(静岡県知事)

「被災72周年3.1ビキニデー全国集会」の開催に当たり、原水爆の犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表します。

静岡県では、県及び全ての市町が非核宣言を行っており、核兵器の廃絶と平和な世界の実現は県民共通の願いであります。

私は、県民の思いを大切にし、誰もが安心して暮らすことのできる、平和で豊かな“幸福度日本一の静岡県”の実現に向けて、全力を尽くしてまいります。

本日の集会が、県民、そして人類共通の願いである核兵器のない、戦争のない平和な世界の実現に向けて大きく寄与されますことを、心から祈念いたします。

難波喬司さん(静岡市長)

被災72周年3.1ビキニデー集会の開催にあたり、原水爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げますとともに、多くの方々の御支援・御賛同のもと開催されますことをお慶び申しあげます。

世界における核兵器廃絶に向けた気運がこれまでになく高まってまいりましたのも、皆様の不断の取り組みがあってこそと、深く敬意を表し、衷心より感謝いたします。

本集会がビキニ被爆の実相を内外に広く伝え、核兵器の非人道性を強く発信し、世界を恒久平和へと導く大きな力となりますことを心より祈念いたします。

中野弘道さん(焼津市長)

「被災72周年3.1ビキニデー全国集会」が開催されるにあたり、焼津市民を代表してメッセージをお送りいたします。

太平洋マーシャル諸島にあるビキニ環礁での米国の水爆実験により、マーシャル島民や近海で操業していた多くの船や船員が被災してから、本年で72年が経過しました。

このことは、世界各国の多くの人たちによる熱心な核兵器廃絶運動にもつながっており、「核兵器のない世界」の実現は、私たちの共通の願いでもあります。

焼津市では、毎年6月30日に核兵器廃絶と恒久平和の実現を訴える「市民集会」をはじめとした平和推進事業を通じて、焼津市民が平和を愛する心を持ち、後世に語り継いでいくよう、取り組んでおります。

また、本市が加盟しています平和首長会議、非核宣言自治体協議会の一員として、共に平和運動を展開し、世界平和の実現のため、引き続き取り組んでまいります。

結びに、皆様方の活動が、「核兵器のない世界」の実現につながりますことを念願いたしますとともに、御参加の皆様の御健勝と御活躍を心からお祈り申し上げます。

市田真理さん(公益財団法人第五福竜丸平和協会事務局長)

被災72周年3.1ビキニデー全国集会 ご参集のみなさまへ
連帯の挨拶をおくります

核と人類は共存できない。その信念を持ち、被災72周年3.1ビキニデー全国集会にご参集のみなさんに、連帯のご挨拶を申し上げます。

1954年3月1日、日本のマグロ漁船・第五福竜丸がアメリカの水爆実験ブラボーに遭遇し被災しました。実験場から160km離れていたにもかかわらず、第五福竜丸には放射性降下物=死の灰が降り注ぎました。23人の乗組員たちは頭痛、吐き気、放射線火傷、脱毛などの急性症状に見舞われ、半年後には無線長の久保山愛吉さんが亡くなりました。その後ほとんどが20代の乗組員のみなさんも、人生を狂わされました。

アメリカが太平洋で核実験を始めてから80年となります。「人類の幸福と世界の戦争を終わらせるために」と、核実験とされてしまった故郷を追い出されたビキニ環礁の人びと、第五福竜丸と同様「死の灰」を浴び、故郷を離れざるを得なくなったロンゲラップ環礁の人びとの苦悩を思います。核開発の被害を受けた世界のヒバクシャの怒りと苦しみに連帯し、核のない未来をともに模索してまいりましょう。

デスモンド・ナライン・ドラチョムさん(マーシャル諸島・REACH-MI共同創設者、調査部長)

ヤクウェ!(マーシャル語で「こんにちは!」) 静岡のみなさまにごあいさつを送ります。

REACH-MI(リーチ・ミー)を代表し、その共同創設者の一人として、そして現在の調査部長として、みなさまに激励と連帯のメッセージをお送りする機会にこの上ない栄誉を感じています。REACH-MIは、核実験によってもたらされた放射能による被ばくをめぐり、人らしく生きることができるマーシャル諸島の実現をめざして2016年に設立された非政府組織です。私たちの任務は、未解決の核問題について情報を共有し、注意を喚起し、マーシャル諸島の人々の生活や環境の改善を模索することです。REACH-MIは、マーシャル諸島共和国の「核の遺産」は私たちの国の歴史の一部であり、公的な関与と支援が不可欠だと強く信じています。

私たちはマーシャル諸島の核問題に関する情報を地域で、そして地球全体で共有しています。マーシャル諸島共和国の人々が直面している問題への支援や相互理解のため、未解決の核問題にいかに取り組むかを模索し、協力を呼びかけています。

私たちは、言葉、人どうしのつながり、対話による情報の共有を通じて目的を達成しようとしています。関心を持つ非政府組織、草の根の団体、世界とアメリカ合衆国の人々に支持を呼びかけ、リスト化することを意図しています。そして、私たちのもっとも大切な取り組みは「ドレカ・イン・ジャボン・エン」です。これはマーシャル諸島の言葉で、「基礎を固めるために石を集める」という意味です。私たちの「石」は、核実験の被害者の体験の聴き取り、核問題に関する文学や文書の調査、SNSを通じた広報と宣伝活動、そして議論や書簡を通じた青年や大衆との関わりです。

REACH-MIに参加する私たちは、高校生平和大使のみなさんをはじめ日本の若い世代の活動を心から誇りに思っています。それは、終わりのない平和を欲する私たちを、核兵器の恐怖に脅かされない世界を実現する若い世代と同じ隊列に並ばせているからです。

コマル・タタ(マーシャル語で「ありがとうございます」)

被災72周年3.1ビキニ・デー全国集会アピール

1954年3月1日、ビキニ環礁でのアメリカによる水爆実験によって、「第五福竜丸」をはじめとする日本の漁船が被爆しました。その後「第五福竜丸」乗組員の久保山愛吉さんは原爆症との闘病の末、「原水爆の被害者はわたしを最後にしてほしい」とのことばを残し亡くなりました。この被害に対する衝撃を契機に、原水爆禁止署名運動が全国に拡がり、これが現在まで続く原水禁運動の出発点となっています。

また、私たちはこれまで原水禁運動を積み重ねるなかで、マーシャル諸島をはじめとした世界の核被害者(グローバル・ヒバクシャ)と出会い、交流を深めてきました。核実験やウラン採掘、あるいは原発事故による甚大な被害の実態を直視し、「核と人類は共存できない」という立場を確立してきました。

2025年、広島・長崎の被爆から80年を迎えました。被爆者のみなさんを先頭に、日本国内、そして世界の人びとが核兵器廃絶に向け行動を強めた一年でありました。私たち自身も被爆者の思いを受け止め、被爆の実相の継承を重要な課題として引き受けながら、核も戦争もない世界をめざしとりくんできました。

しかし、核と戦争をめぐる危機的状況は、より深刻さを増していると言わざるを得ません。核保有国が国際法を無視し、武力による現状変更をいとわない行動に踏み込んでいます。核兵器が戦争を抑止するどころか、むしろ威嚇の手段として積極的に活用されている現状を、私たちは明確に批判しなくてはなりません。

2月28日に行われたイスラエル、アメリカによるイランへの先制攻撃は国際法違反にほかならず、怒りをもって抗議します。この間イランとアメリカによる核開発問題に関する間接協議が行われ、交渉継続が合意されており、核問題を口実に軍事攻撃を正当化することはできません。攻撃を即時停止すべきです。また、イランにも報復を自制することを求めます。

このような世界情勢にあって、戦争被爆国である日本が果たすべき役割は、いっそう重要になっています。ところが、昨年成立した高市政権は、アメリカのもとでの核抑止力強化を最優先事項にしています。

そればかりか、「非核三原則」の見直しにまで踏み込もうとしています。これまで日本政府が主張していた、被爆国として核保有国と非保有国との橋渡しを行うという建前すら投げ捨てるものであり、けっして日本の平和や安全にとってプラスにならないばかりか、世界全体における核軍縮を妨げ、いっそうの核軍拡を引き起こしかねません。

戦争被爆国日本に求められているのは、核兵器禁止条約(TPNW)への積極的な関与の表明など、日本政府自身が核廃絶に向けた具体的なステップをすすめることであり、核保有国に対しては先制不使用宣言を求めるなどの外交努力を果たすことです。「非核三原則」見直しや「核共有」の検討などは言語道断です。

広島・長崎に続くあらたな核兵器の使用を、この80年間にわたって辛くも阻んできたのは、「核抑止力」ではなく、どこにも、だれにも、核兵器の被害を再びもたらしてはならないという被爆者の訴え、そしてそれに心を揺り動かされた世界の人びとの行動です。

2026年は核拡散防止条約(NPT)再検討会議、そして核兵器禁止条約(TPNW)再検討会議が予定されており、昨年に引き続き重要な時期にあります。被爆80年のなかで得られた成果と課題をしっかり引き継ぐこと、そして私たちのよりいっそうのがんばりが求められていることを確認し、本年のビキニ・デーにあたってのアピールとします。

2025年3月1日
被災72周年ビキニ・デー全国集会

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