被爆80周年原水爆禁止世界大会、2025年
原発事故被害者の切り捨てを許さない!人権と補償の確立を!「被爆80周年原水爆禁止世界大会・福島大会」に約600人
2025年07月28日
7月26日、福島県福島市の「パルセいいざか」において、「被爆80周年原水爆禁止世界大会・福島大会」が開催され、約600人が参加しました。福島原発事故の収拾も未だならず、原発事故被害者への生活保障もないままに強行されている原発回帰を許さず、あらためて国と東京電力の責任を問うとともに、被害者の人権と補償の確立を求めていくことを確認しました。
吉井佳音さん(第23代高校生平和大使)、橋本花帆さん(第24代高校生平和大使)が司会を務めました。はじめに、開会にあたって東日本大震災の犠牲となったすべての方に対し黙とうを行いました。
染裕之・大会共同実行委員長と、現地実行委員会を代表し角田政志・福島県平和フォーラム共同代表がそれぞれあいさつしました。また、大会基調提起を谷雅志・実行委員会事務局長が行いました(→大会基調はこちら)。
原水禁共同議長の金子哲夫さんから基調講演が行われました。「被爆80年 核と人類は共存できない 核なき世界をめざして」をテーマに、原水禁運動の原点と歴史を振り返りました。とくに「核の平和利用」論と決別し、核絶対否定の理念を打ち立てていく経過について詳細に説明されました。この理念は原発立地県からの提起や科学者との交流のなかでかたちづくられたもので、ウラン採掘から最終処分に至るまで、弱い立場にある人びとを犠牲にし続ける核社会を問い、あらゆる核被害者の救済を求めるものであるとしました。そして再びの過ちを繰り返さないためにも、脱原発を実現することを呼びかけました。
続いて満田夏花さん(FoE Japan理事)から現在すすめられている原発回帰のエネルギー政策について、門馬好春さん(30年中間貯蔵施設地権者会会長)から福島現地の中間貯蔵施設問題について、そして吉田裕史さん(原水爆禁止新潟県協議会副理事長)から柏崎刈羽原発をめぐる状況について、それぞれ報告を受けました。
その後、高校生平和大使およびOPによるパネルディスカッションが行われました。岩手県から佐藤綾音さん(第26代)・小笠原妙衣さん(第28代)・澤田麻椰さん(第28代) 、新潟県から吉田苺加さん(第28代)、福島県から五十嵐まど佳さん(第26代) ・半谷優亜さん(第27代)、 後藤絆希さん(第28代)が登壇。高校生自身で集めた若者の意識調査のアンケート結果をもとにしながら、原発や核兵器に対する率直な意見を交わしました。
最後に、福島大会実行委員の鈴木健一さんが「2025 フクシマアピール(案)」を読み上げて提案(本ページ下部に掲載)。全体の拍手をもって採択しました。
【被爆80周年原水爆禁止世界大会・福島大会】アーカイブ動画
2025 フクシマ アピール
1945年8月6日広島・8月9日長崎。一瞬にして多くの命が奪われたばかりか、今も後遺症に苦しむ被爆者を生み出した原爆被爆から80年を迎えます。
東京電力福島第一原発の過酷事故からは14年が過ぎました。特定復興再生拠点区域の避難指示がすべて解除され、住民の帰還に向け、町の整備や企業誘致などが進められています。また、帰還意向のある住民が帰還できるよう、必要な箇所の除染を進める「特定帰還居住区域」は、5つの市と町で策定されましたが、避難の長期化に伴い帰還を断念せざるを得ない住民も多くなっています。
自民、公明でつくる東日本大震災復興加速化本部は第14次提言を石破首相に提出しました。しかし、この提言には、帰還困難区域での活動自由化が盛り込まれており、「被ばくが自己責任」になってしまうおそれがあるとともに、除染や被ばく対策などに関する国の責任がなし崩し的に放棄されかねません。福島原発事故が終わったことにはさせてはなりません。
除染土については、現在、福島県大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設に保管され、2045年までに福島県外で最終処分をすることが法律で定められています。その量は東京ドーム11杯分にのぼり、国は最終処分の量を減らすために再生利用する方針ですが、5兆円以上もかけて集めた除染土を再び拡散することは愚の骨頂です。国民的な議論が必要です。
避難指示区域等の住民の医療・介護保険料や医療費の窓口自己負担分の免除等の措置が、2014年までに避難指示が解除された地域から段階的に廃止されています。原発事故によって生活を奪われた人々の健康及び生活の保障は、事故を起こした国と東京電力の責務であり、被害者の当然の権利です。被ばくを強いられたすべての人々の健康と医療を保障させていかなければなりません。
政府・東京電力は、2023年8月24日、漁業関係者をはじめ多くの県民、国民、さらには国際社会の理解が得られないまま、「ALPS処理水」の海洋放出を開始し、今年4月までに通算12回、約9万4千トンを放出しました。放出1回当たりのトリチウム量が毎回増えてきており、今後もこの放出が30年間も続いていくことを思うと、将来どうなっていくのか非常に不安です。
政府与党は、第7次エネルギー基本計画を閣議決定し、再生可能エネルギーの割合を2040年度に4~5割程度へ引き上げる目標を示すと同時に、原発を最大限活用する政策へ回帰しています。原発事故の反省から明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との表現も削除されています。未だに約2万5千人の県民が避難を余儀なくされるなど、原発事故は現在進行形であるにもかかわらず、被害者の心の痛みを忘れたかのような政府方針の転換は、到底認められません。
私たちは、東日本で開催される原水爆禁止世界大会として、東北・新潟・茨城の組織と連帯し原子力施設の稼働反対、核燃料サイクル施設の建設・運転の断念などを求めます。
さらに、国と東京電力の責任を厳しく問い、原発事故被害者の人権と補償の確立を求める運動を強めるため、全国、全世界の反核・脱原発運動と連帯します。ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・チェルノブイリをはじめ、世界の核被害者と連帯します。「核と人類は共存できない」を原点に、原発も核も戦争もない平和な社会の実現に向けたたかいを進めていきます。
2025年7月26日
被爆80周年原水爆禁止世界大会・福島大会





