12月, 2024 - 原水禁

高校生平和大使 2024.12.7~12.13オスロ訪問報告

2024年12月27日

「微力だけど無力じゃない」をスローガンに、各地で核廃絶に向けた署名活動に取り組んでいる高校生たちがいます。彼ら彼女らは、全国で活動する高校生たちを代表して「高校生平和大使」として、毎年夏に、スイスの国連軍縮会議に全国で集めた署名を届けにいきます。
高校生平和大使、そしてともに署名活動にとりくむ高校生たちは、各地で自分たちが出来ることは何かと考えながら、小学校や中学校への平和教育・出前授業などにとりくんでいます。

2024年10月11日、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞の受賞が決まりました。「核兵器廃絶」という目標に向かって活動する団体が評価されて受賞したことが喜ばしい一方、受賞の背景には世界で核使用の危機が高まっている現実があります。
また、ノーベル平和賞の受賞はゴールではなく、被爆の実相を、今も続く原爆被害、在外被爆者、被爆体験者など、様々な問題に目を向けてもらうためのスタートだと原水禁は考えます。
そして、日本被団協のノーベル平和賞の受賞発表の際に、「日本の若い世代は被爆者の経験とメッセージを継承しています」と、次世代の活躍に期待する表現がなされています。
世界が核兵器の問題について注目するこのタイミングを逸することなく、被爆三世、四世として、「核兵器廃絶」という目標に向かって活動にとりくむ想いを伝えるべく、広島、長崎、熊本の高校生が12月10日のノーベル平和賞授賞式の日程を前後して訪問することとなりました。広島、長崎は世界的に有名な都市です。その二都市以外に、熊本の高校生が選出されたことは、「核兵器廃絶はすべての人が努力すべきことがらである」からです。被爆地だけがとりくめば解決する問題は決してありません。「被爆地ではない場所でも核兵器廃絶に向けてとりくんでいる」という被爆地以外のすべての人に共通する部分で想いを届け訴えるためです。

なお、これまでも、2018年から現地の高校生との交流など、複数回にわたって高校生や大学生がオスロを訪問しています。
2023年には、高校生平和大使経験者の大学生が訪問し、ノルウェーで活動する反核団体と交流しています。今回のオスロ訪問は、先に訪問している大学生が現地の団体や高校、シンクタンクなどと交流の機会を調整してくれたことで実現しています。

高校生平和大使 2024.12.7~12.13オスロ訪問報告

日本時間2024年12月7日出国、12月13日帰国
現地時間2024年12月8日到着、12月12日出国

4泊7日の日程で、高校生4人、大学生2人、引率の7人でオスロを訪問しました。
8日現地に到着し、翌日からの動きに備えて、ノーベルピースセンターやノーベル賞受賞者が宿泊するグランドホテルなど、少し市内を散策した後、ホテルロビーでプレゼンの準備を行いました。
オスロ訪問が決まった時点から、学習会などを重ね、各所へプレゼンテーションをするための原稿やスライドを作成してきました。それらの完成に向けて、読み合わせなどを行いました。

9日、午前中、オスロ市内の高校に訪問し、2クラスでそれぞれ90分の授業時間をいただき「出前授業」を行いました。事前に準備していたスライドを使い、活動紹介や原爆・被爆の実相、今なお続く被害などをプレゼンしました。その後、折り鶴を一緒に折り、テーマを決めてディスカッションをし、計60人弱の学生さんと交流し、お互いに感銘を受けました。
授業終了後のランチタイムには、授業クラス以外で交流を希望する生徒さんたちが集まり、にぎやかな時間となりました。
午後には、ノルウェーの労働組合を訪問し、プレゼンを行いました。高校生の話に真剣に耳を傾け、涙しながら感謝を述べてくださるかたもいらっしゃいました。
夜には、オスロ中央図書館で行われた被爆証言会に参加しました。

10日、オスロ市庁舎で行われたノーベル平和賞受賞式に参加しました。高校生平和大使を見かけたたくさんの方々が声をかけてくださり、改めて自分たちの活動について考える機会となりました。
午後には、在ノルウェー日本大使館主催で行われたレセプションに参加し、日本被団協の皆さまを含め、多くの方々と会話をする機会となりました。
その後、移動中、偶然にも日本被団協を尋ねに来ていたと思われるノーベル委員会のヨルゲン・バトネ・フリードネス委員長とグランドホテル前でお会いしました。「期待しているよ」と声をかけられたことで、全員、より一層の気合いが入りました。
夜には、核兵器廃絶を願う市民などが多く参加するたいまつ行列に参加しました。その後、ノーベル平和センターやICANノルウェー主催の夕食会に参加し、日本から訪問中の被爆者や二世、三世の皆さんと交流しました。

11日、午前中に「ヒバクシャと若者の交流」をテーマとする被爆証言会「Youth Dialogue with Hibakusha」を開催しました。日本被団協にも協力いただき、広島被爆者団体連絡会議事務局長の田中聰司さんらにお話をいただきました。
午後からは、Red Cross Youthやオスロ国際平和研究所(PRIO)を訪問し、プレゼンの時間をいただき、意見交換を行いました。
夜には、オスロ大学で行われた「被爆証言会」に参加し、プレゼンの時間をいただきました。大学生を中心とする若い世代の参加者が多く、日本被団協のノーベル平和賞受賞との効果とはいえ、関心度合いが高いことに驚かされました。イベント終了後には、「感動した」と参加者から次々と声をかけられ、移動が困難となるほどでした。また、オスロに留学中の日本人学生さんからも「自分も何かしたいと思わされた」と伝えられるなど、多くの学生さんたちと言葉を交わしました。

最終日となる12日、ノーベル平和センターに展示を見学に行きました。「核兵器問題」に関する特別展示が行われている中で、11月に広島県の宮島で撮影された高校生平和大使たちの写真も展示されていました。館内の一部では、企画として折り鶴を作成するコーナーがあり、予定時間を大幅に過ぎるほどに参加者と折り鶴を一緒に作成することに没頭し、交流しました。
午後には、空港に向かい、帰国の途につきました。

日本時間13日の夜に到着し、14日の午後、東京都千代田区のプレスセンタービルで記者会見を行い、それぞれが感じたことを発表し、オスロ訪問が無事に終わったことを伝えました。

高校生平和大使たちは、オスロで何を感じ、自分たちがどのように感じていかねばならないのか、「日本の高校生たちに伝えたいことがある」と気持ちを新たにしています。
高校生が核兵器廃絶に向けた活動を行うことが特別なことであってはいけない、と考える一方、2025年は被爆80年となる年、高校生平和大使の活動をサポートするとともに、原水禁としても核兵器廃絶に向けたとりくみに力を入れていきます。

 

第7次エネルギー基本計画(原案)に対する原水禁声明

2024年12月18日

12月17日に政府が「第7次エネルギー基本計画(原案)」を公表しました。原発の「最大限の活用」をかかげる計画案に対し、原水禁として声明を発表しました。

 

第7次エネルギー基本計画(原案)に対する原水禁声明

政府・経済産業省は、中長期的なエネルギー政策の指針を示す第7次エネルギー基本計画に向けた原案を12月17日に示した。2050年の「カーボンニュートラル」の実現、ウクライナや中東情勢をめぐる「エネルギー分野におけるインフレーション」、DXやGXの進展にともなう今後のエネルギー需要の増大を理由に、2040年度の電源構成の見通しについて原子力を「2割程度」とし、既設の原子炉を「最大限活用する」としてこの間の原発の再稼働を正当化し、次世代革新炉の研究開発を進めると宣言している。福島第1原子力発電所における事故を踏まえる形で「可能な限り依存度を低減する」としていた2014年度以降の基本計画からの重大な方針転換である。
2023年2月に決定された「グリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた基本方針」では同一の敷地内としていた廃炉後の原子炉の建て替えについても、「同一事業者の原発の敷地内」であれば建て替えを認める方向へと条件が緩和されている。現実には、この間の各地の原発の新規建設計画はいっこうに進んでおらず、「最大限の活用」は老朽原発のさらなる延命を前提とする無謀な計画と言わざるを得ない。そもそも、既存の各原発内における使用済み核燃料の貯蔵容量が限界に近付き、最終処分の見通しも立たないなかでは、原発の運転の停止こそが現実的な方針である。
地球温暖化対策が喫緊の課題とされるなか、2021年の第6次基本計画では、再生エネルギーを「温室効果ガスを排出しない脱炭素エネルギー」と位置づけて主電源化に取り組むとして2030年度の電源構成で「36~38パーセント」に引き上げる方針が示されていた。ところが、今回公表された第7次基本計画の原案では「再生エネルギーに最優先でとりくむ」という文言が削除されたうえ、2040年における「4~5割程度」という比率も2050年の「カーボンニュートラル」実現という方針をきわめて疑わしいものとしている。
2023年度の日本国内における発電実績は、再生エネルギーが22.9パーセント、原子力は8.5パーセントに過ぎず、68.6パーセントを火力に依存している。火力の約半分がCO2排出量の多い石炭火力であり、2023年の発電実績で再生エネルギーの比率が4割以上を実現した国々があるEUや、加盟国の3割が「脱石炭」を達成しているOECD諸国に比べると、日本における温暖化対策の遅れがますます明確になっている。今回の原案では、二酸化炭素の出ない水素やアンモニアの活用により火力発電の脱炭素化を進めるとされているが、石炭火力については「安定供給性や経済性に優れた重要なエネルギー源」として「非効率な石炭火力を中心に発電量を減らしていく」という表現にとどまっている。ウクライナや中東の情勢を受けた「エネルギー分野のインフレーション」を問題にしつつ、実際には火力への依存を継続する無策をさらけ出すものであり、今のままでは国内での電力供給そのものに深刻な危機がもたらされかねない。
脱原発、脱炭素社会の実現こそが気候危機に対する唯一の解決策であり、エネルギー政策の転換が必要である。原水禁は、問題を先送りする女川原発、島根原発をはじめとする原発の再稼働に反対し、第7次エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーの活用を中心としたエネルギー計画、電源構成を示すことを日本政府に求める。

2024年12月18日
原水爆禁止日本国民会議
共同議長 川野 浩一
金子 哲夫
染  裕之

11月23日、「幌延デー北海道集会」を開催しました

2024年12月02日

11月23日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の道内での最終処分に反対する「11・23幌延デー北海道集会」(北海道平和運動フォーラム主催)が、北海道宗谷管内幌延町の町共進会場で開かれ、道内各地の市民団体や労働組合約500人が参加しました。この集会は、動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)が1985年11月23日、幌延町で放射性廃棄物貯蔵施設立地に向けた調査を抜き打ちで強行したことに抗議し、86年から毎年開催し、今年で38回目となります。

現在町内では、同機構の幌延深地層研究センターが高レベル放射性廃棄物の地層処分を研究しており、坑道を現在より150メートル深い地下500メートルまで掘削する工事を進めています。研究は2028年まで延長されましたが、そこで終わりとなるかは明らかではありません。

集会では、北海道平和運動フォーラムの山木紀彦代表が「(幌延を含め北海道に)核を持ち込ませない運動を、皆さんとともに粘り強く進めていきたい」とあいさつしました。地元住民団体や市民団体の発言が続き、その後参加者は町内を「北海道に核のごみはいらない!」「寿都も神恵内も最終処分場にさせないぞ!」などと声を上げデモ行進しました。

集会次第と決議はこちら(PDF)

 

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