被爆79周年原水禁世界大会、2024年
今こそ、福島から反核・脱原発の声を上げよう!「被爆79周年原水爆禁止世界大会・福島大会」に約650人
2024年07月29日
7月28日、福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま」において、「被爆79周年原水爆禁止世界大会・福島大会」が開催され、約650人が参加しました。「ALPS処理水」海洋放出開始から1年、あたらめてこれを弾劾するとともに、全国・全世界の人びとと連帯し、反核・脱原発の運動をすすめていくことを確認しました。
開会にあたって東日本大震災の犠牲となったすべての方に対し黙とうを行いました。あわせて昨年の福島大会で基調講演を行っていただいた故・伴英幸さん(原子力資料情報室・共同代表、今年6月に逝去)への追悼の意も表しました。
染裕之・大会共同実行委員長と、現地実行委員会を代表し角田政志・福島県平和フォーラム共同代表がそれぞれあいさつしました。その後、大会基調提起を谷雅志・実行委員会事務局長が行いました(→大会基調はこちら)。
特定非営利活動法人「環境エネルギー政策研究所」所長の飯田哲也さんから基調講演が行われました。「文明史的エネルギー大転換と日本の未来を福島から見通す 第7次エネルギー基本計画策定にあたって」をテーマとして、日本のみならず世界的に原発回帰の動きがあるいっぽうで、再生可能エネルギーをめぐる「新しい現実」が出来していることを豊富なデータをもとに解説。太陽光・風力の急拡大のなかで日本はむしろ急ブレーキをかけている状況だが、太陽光・風力こそが原発や気候危機を含むエネルギー問題を解決する現実的な方策だとしました。
続いて、各地の原発をめぐる状況について、女川原発に関して多々良哲さん(女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション世話人)、柏崎刈羽原発に関して近藤正道さん(原水爆禁止新潟県協議会理事長)、そして福島第一原発に関して松久保肇さん(原子力資料情報室事務局長)から、それぞれ報告を受けました。
高校生平和大使からの訴えでは、福島の五十嵐まど佳さん・田村陽子さん(第26代)と長澤華咲さん・半谷優亜さん(第27代)、新潟の手代木幸さん(第26代)が登壇。昨年のジュネーブ派遣での活動報告や今年の派遣にかける意気込み、あるいは核兵器や原発をめぐっての率直な意見が表明されました。会場入口では署名活動とカンパの呼びかけが行われ、多くの参加者がこれに応じていました。
最後に、福島大会実行委員の菅野賢一さんが「フクシマアピール(案)」を読み上げて提案(本ページ下部に掲載)。全体の拍手をもって採択しました。
翌29日には東京電力福島復興本社への要請行動が行われました。
【被爆79周年原水爆禁止世界大会・福島大会】アーカイブ動画
2024 フクシマアピール
東京電力福島第一原発の過酷事故から13年が過ぎました。特定復興再生拠点区域の避難指示が、2023年11月の富岡町をもってすべて解除され、住民の帰還に向け、町の整備や企業誘致などが進められています。また、昨年6月の福島復興再生特別措置法の改正により、帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域外の区域において、避難指示の解除により住んでいた方々の帰還とその後の生活再建を目指す「特定帰還居住区域」を定めることが可能となりました。しかし、避難の長期化に伴い帰還を断念せざるを得ない住民も多くなっています。未だに立ち入ることのできない多くの帰還困難区域の除染は手つかずのままです。
避難指示区域等の住民の医療・介護保険料や医療費の窓口自己負担分の免除等の措置が、2014年までに避難指示が解除された地域から段階的に廃止されています。原発事故によって生活を奪われた人々の健康及び生活の保障は、事故を起こした国と東京電力の責務であり、被害者の当然の権利です。被災者の生活再建支援や健康への保障の打ち切りを許してはなりません。さらには、被ばくを強いられたすべての人々の健康と医療を保障させていかなければなりません。
政府・東京電力は、昨年8月24日、「ALPS処理水」の海洋放出を実施し、これまで7回、約5万5千トンを放出しました。2024年度は約5万4600トンを7回に分けて放出するとしていますが、今後もこの放出が30年間も繰り返し行われることになっています。漁業関係者をはじめ多くの県民、国民、さらには国際社会の理解が得られないまま、海洋放出を強行したことは許せません。
岸田政権は、GX(グリーントランスフォーメーション)推進と称して、原発再稼働と「60年超運転」を推し進めています。未だに約2万6千人の県民が避難を余儀なくされるなど、原発事故は現在進行形であるにもかかわらず、被害者の心の痛みを忘れたかのような政府方針の転換は、到底認められません。
今年元日の能登半島地震では志賀原発が「想定外」の事態に陥り、重大な損傷が生じました。地震大国日本において、原発は危険な施設以外の何ものでもありません。フクシマの悲劇を二度と繰り返させてはなりません。国の政策の誤りによって、再び人々が犠牲を強いられることがあってはなりません。
私たちは、今こそフクシマから声をあげます。宮城県女川原発、新潟県柏崎刈羽原発、茨城県東海第二原発の再稼働反対、加えて青森県六ヶ所村再処理工場の核燃料サイクル施設の建設・運転の断念などを求めます。また、福島第一原発事故がもたらした深刻な被害を風化させないため、世代を超えて共に考え、伝え、福島から全国、全世界に発信します。
さらに、国と東京電力の責任を厳しく問い、原発事故被害者の人権と補償の確立を求める運動を強めるため、全国、全世界の反核・脱原発運動と連帯します。ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・チェルノブイリをはじめ、世界の核被害者と連帯します。「核と人類は共存できない」を原点に、原発も核も戦争もない平和な社会の実現に向けたたかいを進めていきます。
2024年7月28日
被爆79周年原水爆禁止世界大会・福島大会