2024年

4月24日、「ALPS処理水」停止を求める署名、要請提出と関連質問を行いました

2024年04月30日

2024年4月24日(水)、衆議院第二議員会館会議室にて、「『ALPS処理水』の海洋放出を直ちに停止することを求める署名」提出と関連質問の質疑を行いました。

出席者:
福島県平和フォーラム
原子力資料情報室
原水爆禁止日本国民会議
経済産業省
外務省
原子力規制庁
山崎誠衆議院議員

冒頭に、第一次集約分署名184,712筆(うち  紙署名 176,426筆、オンライン署名 8,286筆)を経済産業省へ提出しました。原水禁・谷事務局長から署名の趣旨や全国の皆さんの声を報告、また要請事項「『ALPS処理水』の海洋放出を直ちに停止してください」を改めて強調し要請しました。続いて事前に提出した5項目の質問に対して関係省庁からの回答をいただきました。

①「燃料デブリの取り出しに敷地が必要」ということが海洋放出の理由としてありましたが、燃料デブリの取り出しの今後の見通しについて、教えてください。また、中長期ロードマップにおいて、30~40年後としている廃止措置終了後の福島第一原発跡地の姿について教えてください。
【経済産業省から回答】
・燃料デブリの取り出しについて、現在2号機デブリの試験的取り出しに向けて貫通孔内の堆積物除去作業を実施中。伸縮可能な試験的取り出し装置を活用し取り出しの着手は遅くとも今年10月頃の見込み。
・3号機は燃料デブリの大規模取り出しに向けて原子力損害賠償廃炉等支援機構の小委員会による検討、報告、提言を踏まえ、東京電力で設計の見当を進める。高度な技術の作業ゆえ安全かつ着実に行うべく注意を払ってゆく。
・福島第一原発の廃炉の最終的な姿について、地元の皆さまの思いを受け止めながら具体化をする必要があると考える。そのためにもまずは10月の試験的なデブリの取り出しを着実に進め、大規模取り出しに向けて具体的な検討を進めたい。

②現在の福島第一原発廃炉費用は8兆円と見積もられていますが、これは当時の東京電力改革・1F問題委員会が実施した有識者ヒアリングの結果をもとにしたもので、TMI事故から推計した金額に過ぎません。また、福島第一原発の廃炉で膨大に出る低レベル放射性廃棄物の処分費用は含まれていません。政府は福島第一原発廃炉に要する費用総額をどのように考えているのか、教えてください。
【経済産業省から回答】
・8兆円という数字は現場機構の有識者ヒアリングに基づき算出。廃棄物の処理費用は含んでいない。廃棄物の量、性状がまだわからず数字を出すことが難しい。

③この海洋放出は、ロンドン条約/議定書で禁止された「その他の人工海洋構築物からの故意の海洋処分」に該当すると私たちは考えますが、政府が「海底トンネル及び放出口は人工海洋構築物ではない」とする根拠について、教えてください。また、1km先の沖合を「国の内水」とし自国の裁量とした根拠について、教えてください。
【外務省(地球環境課)から回答】
・トンネルを用いて陸上から海上への放出は条約・議定書における海への投棄には該当しない。
・「1km先の沖合を『国の内水』とし自国の裁量」という件は、政府から述べたことはない。

④事故由来の放射性物質による被ばく線量については「ないもの」とし、「追加年間1mSv」を満たしていれば良いとしていますが、すでにあるものをないとみることに無理があると考えます。事故から13年が経過しましたが、いつまで「現存被ばく状況」が継続するのか、教えてください。
【原子力規制庁から回答】
・福島第一原発は事故時に放出し沈着した放射性物質がサイト内外に広域に広がっており施設の状況に応じた適切な方法により管理を行うことが必要であり労基法に基づき現存被ばく状況を前提として規制。
・事故由来の放射性物質による被ばく線量についてないものにするということではなくその施設からの追加的な放出等による実効線量を1mSv未満にすることを求めて管理をするという考え方。

⑤海洋放出決定について、「関係者の理解は得られた」と判断した根拠について教えてください。
【経済産業省から回答】
・自治体や事業者等への意見交換においての説明を通じ、内容への理解は進んでいるとの声をいただいている。安全な廃炉の実現に向けて必要な対策を講じ続けて行く。

上記質問に関連して質疑を重ねました。
①に関して;
【質問】 デブリ取り出しはすでに3年遅れ。2011年作成のロードマップを早急に見直すべきではないか。被害者に犠牲が押し付けられている状態。海洋放出ありきか。
【経産省】 今すぐ改定するという考えはないが、地元の皆さんとのコミュニケーションを進める中で見直すべきものと考えている。現地視察、説明も定期的に開催。ALPS処理水に関しては6年間検討してきた。

【質問】 5回目の放出もトラブルで停止。デブリは取り出せるのか。難易度が高い作業ゆえに余裕のある検討を。東電では難しいので国がリードすべきこと。廃炉の後の姿も明確にされていない。
【経産省】 スケジュールありきではなく、住民や作業員にとっても安全に、着実に。現地の皆さんにおける情報の透明度を求めるべく東電を指導していく。廃炉後の姿を明らかにしてゆき、地域の将来像に関わることであるので、地元の皆さんの声を受け止めながら具体化していく。

【質問】 原発内にある廃棄物を含め法整備がされていない。現状認識に基づき早急に見直すべき。
【経産省】 作業の進捗に伴い廃炉途中の知見をもとに見直す。

【質問】 福島第一原発の廃炉は「JESCO法(中間貯蔵・環境安全事業株式会社法https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000044)」とリンクしているか。
【経産省】 「JESCO」に関して見識が浅く今答えられないが、ロードマップは別途作成されてきた。リンクされているかの関係性は分からない。

②に関して;
【質問】 廃棄物処理も含めて概算値くらいは出せるのではないか。原子力学会の推計も出ているが松久保の試算で15-16兆円。東電という企業が担えるのか、全体費用を見通して考えるべき。海洋放出は一番低コストとしてスタートしたが、現実はもっと費用が掛かること、もっと大変な事故だったということをオープンにすべき。事故処理費用が含まれていないということが分かりにくい記載であることもミスコミュニケーションにつながっている。原発単価が安い、という認識が一人歩きしないように。
【経産省】 8兆円で抑えるものではない。正確には全体でどのくらいかかるか、前人未到のことで、積み立て制度での資金確保が必要な規模。試算として承知するが現段階では分からない。地元の皆さんとのコミュニケーションという点ではこれからも継続し、いただいた意見を踏まえ検討をしていく。

③に関して;
【質問】 2年くらい前に「国の内水」といったと記憶している。福島第一原発の1km沖は国の内水ではない。
【外務省】 2021年7月に内水の論点でロンドン条約上の「内水」という定義で私が説明した。ALPS処理水は8月に計画を公表しているので、当時はオープンに回答していない。1キロ沖の件は地理的に内水ではない。条約については、条約と他の国の理解をみながら自分たちの国との関係で、条約の理解に反しないものという前提でやっていることは事実。

④に関して;
【質問】 建屋からでていく放射性物質を追加放出、雨水で流れたものを追加放出としないというのはなぜか。二重基準になっていることがおかしい。最近、放射性物質の数値が高い魚が見つかっていて数値が下がらなくなっている。排水路など基準の1mSvを超えていると思う。
【規制庁】 排水路にあるものは含まず、モニタリングし、フォールアウト(降下物)として管理している。事故後、東電がコントロール(管理)できるものは追加としている。

⑤に関して;
【質問】 地元の漁業関係者の苦しみをどれだけ分かっているか。本当に漁業をやっていけるのか大きな不安を抱えている。検査の手間や流通も問題。緊張感をもってやっているというけれどヒューマンエラーでは済まされないレベル。
【経産省】 福島県漁連の野崎会長からの抗議文のメッセージも受け止めている。アルプス処理水の放出に伴う風評被害や、身体汚染、水漏れなど、ヒューマンエラーだけではないという重大認識を持っている。地元の皆さんへの丁寧な説明と、安全確保をした廃炉作業に取り組んでいく。技術においては東電でも経産省でも公募を行っている。また文献調査を進めながら実用化できる技術がないかを注視していく。

上記は、「『ALPS処理水』の海洋放出を直ちに停止することを求める署名」の第一次提出にあわせた要請行動の報告となります。引き続き「ミライノウミプロジェクト」を通じて、汚染水の海洋放出反対に取り組んでまいります。

ミライノウミプロジェクトウェブサイト

オンライン署名ページ「ALPS処理水」の海洋放出を直ちに停止することを求める署名(change.org)

 

 

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