2023年、世界・原水禁の動き
経済産業省・原子力規制庁・外務省との「学習会」を行いました
2023年09月11日
原水禁は9月8日、「さようなら原発実行委員会」とともに、経済産業省・原子力規制庁・外務省との「ALPS処理水」に関わる「学習会」を行いました。
私たちは「ALPS処理水」は放射能を含んだ汚染水であると考えています。政府がこの海洋放出について、他国や漁業関係者にどのように説明しているのかを聞き、そこに質問や意見を投げかけ、また私たちの反対の明確な意思を伝えることを目的として開催しました。
経済産業省・原子力規制庁・外務省からはこれまでに報道されている内容とほぼ同様の説明を受けることになりました。簡単なメモになりますが、やりとりを含めて記載してありますのでご覧ください。
【経済産業省】
・IAEA(国際原子力機関)については第3者機関であり、国際的な権威である。報告書6回受け取った。7月に包括的報告書をグロッシ事務局長から岸田首相が受け取った。
・東京電力による「ALPS処理水」環境影響評価の実施:その数値が国際的基準に合致していることをIAEAが確認
・「食物連鎖」の濃縮については東電が実際に水槽で魚を飼育して確認している。
・漁業関係者の皆様は「反対」の立場であるものの、勉強したい、教えてほしいという要望があり、繰り返し説明してきたことで「理解が進んでいる」と認識している。
・トリチウム以外は規制基準以下に「浄化」安全基準を満たしている
【原子力規制庁】
・第3者機関のチェックは重要だと考えている
・放出前から観測点を増やし、モニタリングを強化している
・トリチウム以外の核種については基準値以下だが3観測点で週に一度チェックする
・「蒸留法」:早く結果出るが詳細は難しい、「電解濃縮法」:時間がかかるが詳細までわかる
・沿岸部は環境省、沿岸から離れたあたりを原子力規制委員会でモニタリング(分担)
・採水:IAEA、研究機関、日本をそれぞれが同じ水を持ち帰り調査をした数値が互いに違いがないかを確認する
【外務省】
・上記の説明を海外の国にむけて説明している
・IAEA(外務省:公正中立な権威ある国際機関)の関与は続いていく
・海外の国から理解は得ていると認識している
☆参加者からの質問や意見にたいして
・「まずい結果」になったときはどういう止め方をするのか、トリチウム除去の技術革新が進むと取り入れる余地はあるのか
→東京電力「放出停止マニュアル」:いったん立ち止まる
・他の原発からもトリチウム水が出ているというが事故を起こした原発から放出する水とは根本が違うと考えるが
→他の原発は基本各自治体が検査をしていると認識している
・モニタリング地点を決めた根拠は
→「東京電力海洋拡散シミュレーション」に基づいている
・中国や韓国についての認識は
→中国とロシアから共同質問状が3回送られている。回答を全てしている、そのことが外務省HPに掲載されている
・補償について
→基金(300億+500億)に加えて予備費からさらに207億円(特定品目)を予定
300億円(風評被害に備える)と500億円(漁業支援)それぞれ使い道が違う
→基金は漁業支援に活用を想定している(大きな冷凍庫の整備や漁業具の購入等)
→漁業関係者に損害が出た場合は東京電力が賠償することになる
・調査の仕方、モニタリングについて、安全性をアピールするのであれば我々のような反対している市民の調査もできるようにするべきではないか。入れない、採水できないという状況は改善するべき
→放出口付近の採水については確認する
・IAEAはもともと原子力推進機関であることは間違いない。東京電力が調査をしたとして、これまでの経緯からそれを信用しろということに無理があるのではないか
→IAEAの研究機関や他の機関も調査をすることになっている
→東京電力の調査結果や公表についてしっかりチェックしていく
私たちとしてはIAEAと東京電力がいくら調査してもそれを信用しろということは難しいと考えている。本当に安全であるとアピールするなら、だれでも採水して調査できるように透明性を確保することも必要だと考えている